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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z05
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z05
管理番号 1118436 
審判番号 無効2003-35287 
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-07-11 
確定日 2005-06-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4555554号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4555554号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4555554号商標(以下「本件商標」という。)は、「メバラチオン」の片仮名文字と「MEVALATION」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成13年4月3日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、平成14年3月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出している。
1.本件商標と引用する登録商標との類似性(商標法第4条第1項第11号について)
(1)請求人は、本件商標に対して、自己の所有に係る以下の(a)ないし(d)に記載する登録商標(以下、併せて「引用商標」という場合がある。)を引用する。
(a)登録第2049558号商標(以下「引用A商標」という。)は、「メバロチン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和61年1月20日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年5月26日に設定登録、その後、平成10年1月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(b)登録第2069627号商標(以下「引用B商標」という。)は、「MEVALOTIN」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年1月20日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年8月29日に設定登録、その後、平成10年4月28日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(c)登録第2448922号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲の(1)に示すとおり、「MEVALOTIN」の横書きした欧文字と彩色された幾何的図形を組み合わせてなるものであり、平成1年10月27日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録され、その後、存続期間の更新登録が平成14年4月2日にされたものである。指定商品については、平成14年3月22日にその書換登録申請がされ、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」ほか、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録が平成14年4月17日になされている。
(d)登録第2448923号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲の(2)に示すとおり「MEVALOTIN」の横書きした欧文字と幾何的図形を組み合わせてなるものであり、平成1年10月27日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録され、その後、存続期間の更新登録が平成14年4月2日にされたものである。指定商品については、平成14年3月22日にその書換登録申請がされ、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」ほか、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録が平成14年4月17日になされている。
(2)本件商標と各引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標と引用B商標の外観について比較検討してみるに、前者は、その構成中のローマ字が、「MEVALATION」であるのに対して、後者は、「MEVALOTIN」のローマ字を書してなるものであるが、10文字対9文字の構成よりなるうち、「M」、「E」、「V」、「A」、「L」、「T」、「I」、「O」及び「N」の9文字を全く同一にしているものであって、僅かに、前者において、「A」の文字が、1字多いにすぎないものであるばかりでなく、その配列をもほとんど同じくするものであるから、これらに接する看者が、時と処とを異にして、所謂、離隔的に観察したときには、その外観について、彼此を見誤らせるおそれの充分にある、互いに相紛らわしい外観形象であるといわざるを得ないところである。
(イ)称呼について
本件商標と各引用商標とを比較検討してみるに、両者の構成は、それぞれ上述のとおりであって、それぞれの構成上、本件商標からは「メバラチオン」の称呼を生ずるものであるというを相当とするのに対して、各引用商標からは「メバロチン」の称呼を生ずるものであるというを相当とするところである。
しかして、本件商標より生ずる「メバラチオン」の称呼と各引用商標より生ずる「メバロチン」の称呼とは、文字により構成された商標における、自他商品を識別するための標識としての機能を果たす場合において、最も重要な要素となる語頭部分における「メ」、「バ」及び語尾部分の「チ」、「ン」の4音を全く同じくしているものであり、語中央部において、「ラチオ」音対「ロチ」音の差異を有するものではあるが、該差異音とても、「ラ」音と「ロ」音は、共に子音「r」を共通にする、同じラ行に属する舌音であって、調音方法及び発音仕方を同じくする近似した音であるばかりでなく、前者は、後者の「チ」「ン」の間に、「オ」音を挿入して、「チ」「オ」「ン」としたにすぎないものであるから、該差異音が、両者の全体的称呼に及ぼす影響は、決して大きなものではなく、したがって、両者を全体として、一連に称呼した場合には、その全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、これらに接する聴者をして、彼此の称呼を、聞き誤らせるおそれの充分にある、互いに相紛らわしい称呼であるといわざるを得ないところである。
してみれば、両商標が、薬剤について使用される場合には、その構成中の語頭部分の「メバ」の文字部分は、後半部の「ラチオン」及び「ロチン」の文字部分に比して、自他商品の識別力を果たす最も重要な部分、所謂、商標の要部若しくは商標の基幹部分というべきものである。更に、薬剤等の商標として、「メバ」の音で始まるものは、「メバロチン」のみであることからも、本件商標をその指定商品である「薬剤」について使用をするときは、観念的な連想を惹きおこし易い、その基幹部分「メバ」を共通にし、しかも、薬剤の商標の接尾語として、我が国においては、比較的好まれてありふれて採択使用されている文字の「ン」をも共通とする点からも、請求人の製造・販売する商品「高脂血症用薬剤」に使用する各引用商標を連想させ、これに接する取引者・需要者は、請求人のシリーズ商標若しくは姉妹商品として、請求人の製造・販売に係るものと誤認し、その商品の出所につき、混同を生じさせるおそれの充分にある、彼此相紛らわしい商標であるといわなければならないところである。
2.メバロチン標章の著名性について(商標法第4条第1項第15号について)
(1)販売実績について
請求人の「メバロチン」もしくは「MEVALOTIN」の文字からなる商標(以下「メバロチン標章」という。)は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」(動脈硬化用薬剤)に付されて使用され、平成1年の発売以来、その売上高は、当初の70億円(市場占有率17.5%)から、その売上を延ばし、同11年度には、1288億円(市場占有率53.9%)にものぼり、「高脂血症用薬剤」の単品商品が、売出しからの僅か11年間で、1兆59億円にも達している事実がある(甲第11号証、請求人のメバロチン標章の使用に係る商品(以下「使用商品」という。)の平成1年から同11年度までの売上高及び市場占有率一覧表)。これらの事実を立証する具体的な証拠方法としては、次のとおりである。
(a)甲第24号証
これは、平成2年4月5日薬事日報社発行「最近の新薬」('90/41集)であり、これにより、使用商品が平成1年3月31日に製造認可され、同年10月2日に発売された事実がわかる。
(b)甲第25号証
これは、平成2年3月20日、同5年4月25日、同10年3月20日及び同12年3月20日株式会社薬業時報社発行「保険薬事典」4種類であり、これにより、使用商品が平成1年の発売以来、継続して販売されていることがわかる。
(c)甲第26号証
これは、平成2年8月10日、同3年8月12日、同4年8月20日、同5年8月6日、同6年8月8日、同7年8月8日、同8年8月8日、同9年8月8日、同10年8月7日、同11年8月6日及び同12年8月8日薬事日報社発行「医薬品・医療衛生用品価格表」11種類であり、これにより、使用商品が平成1年の発売以来、継続して販売されていることがわかる。
(d)甲第27号証
これは、1990年9月24日、1991年9月23日、1992年7月13日、同年10月12日、1993年7月26日、同年10月25日、1994年8月22日、同年11月14日、1995年8月28日、同年11月13日、1996年8月26日、同年11月11日、1997年8月25日、同年11月10日国際商業出版株式会社発行「国際医薬品情報」14種類であり、その「マーケティングシェア・シリーズ」の項に徴し、使用商品の売上高及び市場占有率の比較により、他社の同種同薬効製品を圧倒的に引き離していることがわかる。
(e)甲第28号証
これは、2000年1月20日、2001年1月20日及び2002年1月25日国際商業出版株式会社発行「製薬企業の実態と中期展望」3種類であり、甲第27号証の内容を引き継いで掲載したものであり、同上趣旨の内容が引き続いていることがわかる。
(2)宣伝広告について
上記商品の宣伝広告活動も、広告代理店、株式会社丹水社を通じて、活発かつ盛大に行っており、その宣伝広告費も、単品商品「高脂血症用薬剤」の金額としては、平成1年に1600万円台であったものが、同14年は10月までに2100万円台を投じ、発売以来の14年間で、4億3000万円以上もの広告費をかけているものである(甲第12号証、株式会社丹水社による平成1年から同14年までの使用商品の広告掲載金額一覧表及び甲第13号証、同上の雑誌出稿一覧表)。
その他にも、使用商品に関して、株式会社医薬広告社を通じて平成7年4月から同14年10月までの広告出稿一覧表(甲第14号証)、協和企画株式会社を通じて1995年度から2001年度にかけての広告出稿一覧表(甲第15号証)及び株式会社東宣を通じて1995年度から2002年度にかけての広告出稿一覧表(甲第16号証)がある。これらの宣伝広告等を掲載した具体的な証拠方法としては、次のとおりである。
(a)甲第23号証
これは、請求人の使用商品販売促進用の平成1年10月ないし同12年4月間のリーフレット12種類であり、これにより、使用商品の平成1年の発売以来、請求人によって、メバロチン標章が販売、宣伝広告活動に使用されている事実がわかる。
(b)甲第29号証
これは、1990年2月、同年4月、1991年ないし1998年の各月、1999年12月及び2000年1月の各月10日株式会社ライフサイエンス・メディカ発行の雑誌「PROGRESS MEDICINE」73種類であり、これにより、使用商品の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。
(c)甲第30号証
これは、平成1年7月、同年8月、同年10月ないし同2年6月、同3年11月、同4年5月、同年6月、同年9月、同年10月、同5年3月、同年4月、1994年5月、1995年3月、同年4月、1996年1月、同年2月、同年7月ないし同年10月、1997年1月ないし同年3月、1998年7月ないし同年9月、1999年1月ないし同年7月、同年12月及び2000年1月の各月1日の社団法人日本薬学会発行の雑誌「ファルマシア」42種類であり、これにより、使用商品の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。
(d)甲第31号証
これは、平成2年7月ないし12月、同3年7月ないし12月及び同4年ないし12年までの各月1日及び15日の日本医師会発行の雑誌「日本医師会雑誌」217種類であり、これにより、使用商品の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。
(3)したがって、メバロチン標章は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するためのものとして、この種商品を取り扱う業界における取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている周知、著名な商標であるから、これと相紛らわしい本件商標を、その指定商品である「薬剤」について使用をするときには、これらに接する取引者及び需要者をして、その商品が、請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれの充分にあるものといわなければならないところである。
3.むすび
本件商標は、引用B商標とその外観において、また、各引用商標と称呼の点において、互いに彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならず、かつ、本件商標の指定商品である「薬剤」は、各引用商標のそれに包含されていること明らかなところであり、かつ、メバロチン標章が、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている周知、著名な商標であるから、本件商標をその指定商品である「薬剤」について使用をするときは、これらに接する取引者及び需要者をして、その商品が、請求人の取り扱いに係る商品と誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号の各規定に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
本件商標は、各引用商標と出所混同を生じるおそれのあり得ない別異の商標である。本件商標は、メバロチン標章と非類似の商標である上、メバロチン標章の周知著名性により混同のおそれを生じ得る特段の事情も有しないから、メバロチン標章の周知著名性の如何にかかわらず、メバロチン標章との混同など生じ得ない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にも、同第15号にも該当しない商標であり、請求人の主張は失当である。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と各引用商標の称呼
(ア)本件商標は、「メバラチオン」なる片仮名文字と「MEVALATION」なる欧文字を二段に書してなる商標であり、「メバラチオン」なる称呼を生ずる。引用A商標は、「メバロチン」なる文字からなり、引用B商標ないし引用D商標は、「MEVALOTIN」なる文字を有することから、いずれも「メバロチン」なる称呼を生ずる。
(イ)本件商標より生ずる称呼「メバラチオン」と各引用商標から生ずる称呼「メバロチン」を対比すると、第1音、第2音の「メ」「バ」が同一、第3音「ラ」と「ロ」で相違、第4音が「チ」で同一、第5音「ン」と「オ」、第6音の「ン」の有無において相違する。
次に、相違する音の位置、前後の音の称呼全体に与える影響を考察する。第3音「ラ」と「ロ」は、母音を異にするものの、確かに子音「r」を共通にするものであり、前後音も「バ」と「チ」で共通である。しかしながら、各引用商標の称呼「メバロチン」中の「ロ」は、前音「バ」との母音の相違から、前音「バ」から口を閉じて発音することとなり、「バ」を誇張するように「ロ」そのものは弱く発音される。そして、「ロ」の後音「チ」は、破擦音として本来的に強く発音されることに加え、第5音「チ」と結合して「チン」と弾んだ調子で強いアクセントをもって発音され、聴取されることとなるため、「バ」との関係で弱まった「ロ」との対比は、そのアクセントを一層強調し、「バ」に小さなアクセントと「チ」に大きなアクセントを生じ、称呼全体に音調の起伏を生じさせることとなる。一方、本件商標の称呼「メバラチオン」中の「ラ」は、前音「バ」と母音「a」を共通にすることから、口の開きを変更することなく発音でき、「バ」「ラ」と各々明確に発音される。そして本来強く発音される破擦音たる後音「チ」は、その後音「オ」が「オン」と弾んだ調子で強く発音されることから、相対的に弱く聴取されることなり、称呼全体は、平坦な調子で発音され、聴取されることとなる。よって、両称呼間の、第3音「ラ」と「ロ」の相違、「ン」の前音の音質の相違等は、称呼全体に大きな影響を与えることとなり、平坦な調子で発音される本件商標と、「バ」と「チ」に音調の起伏を生じる各引用商標とは、語調、語感を著しく違えるものである。このように語調、語感を違える本件商標と各引用商標の称呼は、需要者の記憶においても、当然に、明確に聴別し得るものである。
(ウ)したがって、「該差異音が、両者の称呼全体に及ぼす影響は大きなものでなく」、「全体の語調、語感が極めて近似した」とする請求人の主張は何ら根拠のないものである。また、請求人は、「ン」音が「薬剤の商標として比較的好まれて採択使用されている」として、その共通性が両称呼の相紛らわしさを助長する旨主張している。しかし、「ン」音は、口を閉じ鼻腔を通じて発する弱音であり、音質的に聴取され難いものである上、前述の「チン」、「オン」、のように、前音と結びつき、前音を強く発音させる効果を有するものである。よって、称呼全体における「ン」音の位置、その前音は、称呼全体の音調、音質に大きな影響を与えるものである。本件商標と各引用商標においては、上述したように、「ン」音の位置を第5音、第6音と異にする上、「ン」音が強調する前音が「チ」と「オ」で相違する。よって、本件商標と各引用商標との称呼における「ン」音の存在は、却って、両称呼全体の音調、音質の相違をより一層顕著にするものである。
(エ)そして、上述の本件商標と各引用商標の語調、語感の相違の下、称呼全体から聴取される音を対比すると、語頭音の「メバ」は同一であるものの、「メ バ ラ チ オン」と明確に発音され聴取される本件商標の「ラ」の音と、前後音の関係で弱く発音される各引用商標の「ロ」音とは、母音の相違に音量の相違が相俟まって、明確に聴別し得るものであり、それに続く「チ」は音質を同一としつつもアクセントの有無で相違し、語尾では「オ」の有無で相違する。
すなわち、結局、本件商標と各引用商標とは、単に語頭の称呼「メバ」を共通にするにすぎないものであり、「メバ」に続く個々の相違音も明確に聴別でき、称呼全体の語調、語感を異にするものである。よって、両者は全く別異の商標であり、取引上、相紛れるおそれはない。
その上、乙第1号証に示すように、現在、「薬剤」を指定商品とする出願商標・登録商標中、「ラチオン」を語尾とする商標は本件商標しか存在しない。したがって、本件商標の称呼「メバラチオン」中の7割近くを占める「ラチオン」なる称呼は、需要者に新鮮な印象を与えるものである。
(オ)請求人は、語頭部「メバ」部分が各引用商標の要部、基幹部分であると主張している。しかし、本件商標も各引用商標もいずれも、文字部分は、同書体同大同間隔で書され、全体称呼も冗長でないことから略称される蓋然性はなく、「MEVA」もしくは「メバ」が、両商標の要部たり得る特段の事情は有しない。よって、係る請求人の主張は、商標の要部の認識を誤ったものである。
確かに、称呼の類否判断においては、語頭音が比較的重視されるものである。
しかしながら、商標の称呼が相紛らわしいか否かは、語頭音を考慮しつつも称呼全体の語調、語感、相違音の聴別などを総合的に考察して判断されるべきものである。ましてや、本件商標の称呼「メバラチオン」は、総音数6音である。総音数6音中、単に、語頭の2音が同一であることのみをもって、直ちに相紛れるなどと判断し得ないことは周知の事実である。
また、請求人は、「薬剤などの商標として、『メバ』の音で始まるものは、『メバロチン』のみである」ことを理由に、本件商標が称呼上相紛らわしい旨主張している。しかし、ある商品等について、語頭のわずか2音を最先に使用した事実のみをもって、その類似範囲が拡大するなどいった解釈は存在しない。
なお、本件商標の出願時前、平成2年3月15日に出願された「メバコア/MEVACOR」はじめ、本件商標の査定時前には、「メバ」を語頭に有する登録商標23件が存在していたのであり(乙第3号証)、甲第32号証の「医薬品・医療衛生商品/価格表/平成元年」にも、「メバポン」(沢井製薬株式会社)が記載されている。よって、請求人の主張は真実ではない。
(カ)以上、詳述したように、本件商標の称呼「メバラチオン」と各引用商標の称呼「メバロチン」とは、単に、語頭の称呼「メバ」を共通にするにすぎないものであり、「メバ」に続く個々の相違音も明確に聴別でき、称呼全体の語調、語感を異にするものである。よって、両者は全く別異の称呼であり、取引上、相紛れるおそれはない。
(2)本件商標と各引用商標との外観
(ア)本件商標は、「メバラチオン」なる片仮名文字と「MEVALATION」なる欧文字を二段に書してなる商標であり、一連に横書きした片仮名文字「メバロチン」のみからなる引用A商標、一連に横書きした欧文字「MEVALOTIN」のみからなる引用B商標、4色の矢印の幾何図形を背景に欧文字「MEVALOTIN」を一連に横書きした引用C商標、及び矢印の幾何図形を背景に欧文字「MEVALOTIN」一連に横書きした引用D商標とは、その構成を著しく異にし、外観上相紛れることのない商標である。
(イ)請求人は、本件商標から、下段に配した欧文字部分「MEVALATION」のみを抽出して、引用B商標と対比して相紛らわしい旨主張している。しかし、本件商標は、二段に書した構成であるものの、両段の文字は同一幅に書され、上段と下段を密接させて配した一体性のある外観であり、一見して、「メバラチオン」と「MEVALATION」を一体に看取できるものである。ましてや、欧文宇部分「MEVALATION」は、片仮名部分の下段に、そして片仮名文字より小さな文字で表されているのであり、構成上、何ら当該欧文字部分にのみ需要者が注意を引くべき事情はない。したがって、本件商標が外観上相紛らわしいか否か判断するにあたり、当該欧文字部分のみを抽出して、引用B商標と対比すべき理由はない。
(ウ)仮に万一、取引において、本件商標中の欧文字部分「MEVALATION」のみが、片仮名部分「メバラチオン」と分離して需要者の記憶に留まるような場合があったとしても、引用B商標とは、外観上目立つアルファベット「O」の位置が全く異なる上、中央部たる6文字目の「A」と「O」の差異は、アルファベットの外観上明確である。また、本件商標後段の「TION」部分は、「STATION」、「OPERATION」、「COMMUNICATION」など、日本人が慣れ親しんだ英単語に頻繁に使用される綴りであり、外観上の特徴として需要者に明確に記憶され易い。よって、需要者の記憶においても、引用B商標と外観上、相紛れることはない。
(3)本件商標と各引用商標の観念
本件商標及び各引用商標は、ともに造語にかかるものであり、固有の意味を有しないものである。よって、両者の観念の混同など生じ得ない。
(4)まとめ
以上、詳述したように、本件商標と各引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれにおいても相紛れることのない非類似の商標である。よって、本件商標は、各引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号違反の無効理由は有しない。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)周知著名性により混同のおそれを生ずる事情の有無
対比される商標が、本来的に非類似であっても、一方の周知著名性により、類似性や混同のおそれが認められる場合もある。しかしながら、それは、周知商標「ロレアル」に対して「ラブロレアル」、「GUCCI」に対して「PAOLOGUCCI」のように、周知商標そのものが、他の文字又は図形等と結合した商標である場合や、著名商標の一部が略称として著名となっている場合に、その著名な略称そのものが、他の文字又は図形など結合した商標である場合などである。
本件商標は、メバロチン標章に他の文字を結合させた商標ではなく、「メバ」なる称呼がメバロチン標章の略称として著名である事実も存在しない。
また、周知著名な商標、略称は、長年の使用等により、需要者の間に広く知られ、その称呼、外観が明確にその記憶にとどめられるものである。
よって、本件事案においても、メバロチン標章が、周知著名であればある程、「メバロチン」もしくは「MEVALOTIN」なる称呼、外観は、その細部まで明確に需要者に記憶されていることとなる。したがって、仮に、メバロチン標章が周知著名であるとしても、その周知著名性は、需要者にとって、別異の商標である本件商標とメバロチン標章との識別を、一層容易にするものである。
(2)商標の語頭部分に対する需要者の注意力
「薬剤」の分野においては、同一医薬品間において、語頭2音ないし4音を共通にする商品名が、製造者を異にして多数並存している。よって、需要者も「単に、語頭音2音ないし4音のみで出所及び商品の同一性等を判断しない」程度の注意力は、一般に持ち合わせているものである。特に医師等は、誤投与の危険を防ぐため、商品名を略称で取り扱わないよう注意をしている。
「保健薬事典/平成13年8月版」(乙第4号証)に示すように、本件商標の査定時前においても、使用商品に係る「高脂血症用剤」はじめ、「血管拡張剤」、「その他の循環器官用薬」の同一医薬品間で、製造者を異にする語頭2音ないし4音を共通にする商品名が多数並存している。
かかる実情を鑑みれば、本件商標の査定時における需要者の一般的な注意力をもってすれば、本件商標が、その語頭部分「メバ」(MEVA)を共通にすることのみをもって、メバロチン標章と出所を混同するような事態は生じ得ない。
(3)「メバロチン」(MEVALOTIN)とメバロン酸との関係
メバロチン標章の語頭部分「メバロ」(MEVALO)は、使用商品「HMG-CoA還元酵素阻害剤」「プラバスタチンナトリウム」(一般名)(甲第22号証等)との関係においては、同医薬が、その顕著な効果効能として生成を阻害する「メバロン酸(MEVALONIC ACID)」に由来するものである。そして、高脂血症溶剤「ベザフィブラート」(一般名)について、「ベザトール」、「ベザリップ」、「ベザテート」などが並存する等、商品の品質等を示す名称の語頭を有する商品名が、製造者を異にして多数存在するのが取引界の実情である(乙第4号証)。
とすれば、需要者が、他の商標とメバロチン標章とを識別するにあたり、商品の顕著な効果効能として生成を阻害する「メバロン酸」(MEVALONIC ACID)と共通する語頭「メバロ」(MEVALO)もしくは「メバ」(MEVA)のみに着目して、そのシリーズ商標若しくは姉妹品であると誤認するような不注意を生じることは到底想定しえない。このような取引実情においては、商標の識別、特に、商品の品質等に由来した商標の識別にあたっては、需要者は、一層高度な注意力を払い、商標全体での対比を行って、その識別を行うであろうことは容易に推測できることである。
本件商標とメバロチン標章とは、商標全体として、称呼、外観、観念いずれにおいても十分に識別し得る別異の商標であることから、需要者が商標全体での対比を行った場合に、両者を混同するおそれがないことは明らかである。その上、本件商標の称呼中7割を占める語尾「ラチオン」部分は、現在他の「薬剤」の商標にない、新規な称呼である(乙第1号証)。よって、需要者が、メバロチン標章とは別異のものとして、本件商標を認識することに疑いはない。
(4)まとめ
以上、詳述したように、本件商標とメバロチン標章は、本来的に非類似である上、メバロチン標章の周知性を加味して混同を認定されるべき特段の事情をも有するものではない。また、取引実情から、「メバ」(MEVA)なる語頭の共通性のみをもって、需要者が両者の出所を混同する蓋然性もない。したがって、本件商標は、請求人が主張するメバロチン標章の周知著名性の当否を判断するまでもなく、メバロチン標章との関係において、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
3.請求人提出の証拠について
(1)甲第17号証ないし同第20号証
請求人の提出した甲第17号証ないし同第20号証の審決及び判決は、本件とは全く事案を異にするものであり、本件商標の無効理由を主張するにあたり、何らの証拠ともなり得ない。
(2)甲第21号証及び甲第22号証
請求人が提出した甲第21号証及び甲第22号証は、本件事案の審理とは無関係である。特許法は特許発明の公衆利用の代償として一定期間独占排他的権利を付与するものであり、存続期間満了後に、他社が後発医薬品を販売することは、特許法の予定するところである。よって、「ただ乗り」等の不正日的の存否とも、何ら関係がない。また、甲第22号証についても、請求人の商標法第4条第1項第15号の適用についての希望を主張しているにすぎず、何らの証拠ともなり得ないことは言うまでもない。
(3)甲第11号証ないし甲第16号証及び甲第23号証ないし甲第32号証
上述したように、本件商標とメバロチン標章とは、十分識別し得る別異の商標であり、メバロチン標章の周知著名性如何にかかわらず、混同を生じ得ない商標である。よって、メバロチン標章の周知著名性の主張の当否は、本件商標の無効理由の在否とは無関係である。
4.むすび
以上、詳述したように、本件商標は、いずれの引用商標及びメバロチン標章との関係においても、商標法第4条第1項第11号及び第15号に該当するものではなく、商標登録を無効とされるべき何らの理由も有しない。

第5 当審の判断
1.メバロチン標章の著名性及び独創性の程度
請求人の提出に係る甲第11号証(平成1年ないし同11年度の使用商品の売上高及び市場占有率一覧表)、甲第12号証(株式会社丹水社による平成1年ないし同14年の使用商品の広告掲載金額一覧表)、甲第13号証(株式会社丹水社による平成1年ないし同14年の使用商品の広告掲載雑誌出稿一覧表)、甲第14号証(株式会社医薬広告社による平成7年4月ないし同14年10月の使用商品の広告出稿一覧表)、甲第15号証(協和企画株式会社による1995年度ないし2001年度の使用商品の広告出稿一覧表)、甲第16号証(株式会社東宣による1995年度ないし2002年度の使用商品の広告出稿一覧表)、甲第23号証(使用商品の1989年ないし2000年の商品販売促進用のリーフレット)、甲第26号証(薬事日報社発行の1990年ないし2000年の「医薬品・医療衛生用品価格表」抜粋)、甲第27号証(国際商業出版株式会社発行の1990年ないし1997年の「国際医薬品情報」抜粋)、甲第28号証(国際商業出版株式会社発行の2000年度版ないし2002年度版の「製薬企業の実態と中期展望」抜粋)、甲第29号証(株式会社ライフサイエンス・メディカ発行の1990年ないし2000年の雑誌「PROGRESS MEDICINE」抜粋)、甲第30号証(社団法人日本薬学会発行の1989年ないし2000年の「ファルマシア」抜粋)及び甲第31号証(日本医師会発行の1990年ないし2000年の「日本医師会雑誌」抜粋)によれば、請求人は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」(動脈硬化用薬剤)についてメバロチン標章を付して平成1年に発売して以来、継続して宣伝、広告を行い、その売上実績及び動脈硬化用剤市場における占有率は、当初の平成1年が70億円(市場占有率17.5%)から、平成11年度には1288億円(市場占有率53.9%)に達し、平成2年度から平成11年度までの動脈硬化用剤市場における売上高の第1位を占めていて、同期間の市場占有率は毎年50%を越えていたことが認められる。
以上の事実を総合すると、メバロチン標章は、請求人が平成1年から商品「高脂血症用薬剤」を製造、販売して以来、継続して宣伝、広告してきた結果、本件商標の登録出願の時(平成13年11月13日)には、医薬品業界における取引者、需要者間において、請求人の取扱に係る上記商品の商標として広く認識され、高い著名性を獲得していたものと判断するのが相当である。
また、メバロチン標章の「メバロチン」及び「MEVALOTIN」の文字は、本来、特段の意味を有しない造語と認められるものである。そして、該文字は、使用商品の医薬の効果効能として生成を阻害する「メバロン酸」(MEVALONIC ACID)と語頭部分の「メバロ」及び「MEVALO」が共通であるとしても、例えば、甲第26号証(薬事日報社発行の「医薬品・医療衛生用品価格表」抜粋)によれば、少なくとも平成2年8月発行から平成12年8月発行までの間には、「メバ」(「MEVA」)を語頭に有する医薬品は、請求人が販売する「メバロチン」、「MEVALOTIN」以外に掲載されていないことからすると(なお、甲第32号証「医薬品・医療衛生用品価格表’89」にメピリゾール主成分とする消炎・鎮痛剤「メバポン(沢井)」の記載が認められるが、上記、「医療品・医療衛生用品価格表」の1990年版には、「メバポン」の記載はない。)、その独創性は、相当高いものと認められる。
2.本件商標とメバロチン標章の類似性の程度
本件商標とメバロチン標章を比較するに、本件商標は前記のとおり、「メバラチオン」の片仮名文字と「MEVALATION」の欧文字を書してなるものであり、請求人の使用に係るメバロチン標章は、「メバロチン」の片仮名文字もしくは「MEVALOTIN」の欧文字を使用するものであり、前記のとおり、いずれも特定の意味合いを有しない造語と認められる。
また、本件商標は、その構成文字より「メバラチオン」の称呼を生じるものと認められ、メバロチン標章は、「メバロチン」の称呼をもって取引に資されているものと認められる。
そこで、「メバラチオン」の称呼と「メバロチン」の称呼とを比較すると、両者は、第3音の「ラ」と「ロ」音の差異及び後者が第5音目に「オ」の音を有していない点に差異を有するものであり、いずれも特徴的なアクセントがなく平坦な調子で発音させるものである。
しかして、第3音で相違する「ラ」と「ロ」の音は、子音の「r」を共通にする同行音であり、その母音「a」と「o」も発音方法において近似する音であるから、両称呼は、比較的印象されやすいその前半の「メバラチ」及び「メバロチ」部分において、近似した印象を与えるものといえる。また、「オ」の音は、弱音「ン」の前音となることから、一定程度明確に発音されるが、比較的聴取し難い末尾にあることから、全体の称呼に与える影響は、一定程度減ぜられる。
そうすると、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、それぞれの語感、語調において相当程度の共通性を有するものということができる。
さらに、外観についてみると、本件商標は、前記のとおり「メバラチオン」の片仮名文字と「MEVALATION」の欧文字よりなるものであるところ、片仮名文字部分は、欧文字部分の振り仮名(表音)の表記であると容易に看取することができるから、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「MEVALATION」の欧文字部分もしくは「メバラチオン」の片仮名文字部分に着目し、当該文字部分を自他商品の識別標識としての取引に当たることが多いと認められる。
これに対して、メバロチン標章は、上述のように「メバロチン」または「MEVALOTIN」文字からなる商標を「高脂血症用薬剤」に使用し、高い著名性を得ているものである。
そこで、本件商標の「MEVALATION」の欧文字部分とメバロチン標章の「MEVALOTIN」の欧文字とを比較すると、前者は10文字、後者は9文字で構成されていて、両者の構成文字は、前者が「A」の文字が1字多いほかは「E」、「V」、「A」、「L」、「T」、「I」、「O」及び「N」の9文字のすべてが同一である。また、その配列において異なるところは、第6文字における「A」と「O」の文字、及び、前者の末尾から2文字の「ON」が後者は「N」の1文字となっている点である。
以上の構成よりすると、両者は、第8文字までで異なるのは第6文字の「A」と「O」の文字であるが、前者の「A」の文字は後者の第4文字に含まれ、後者の「O」の文字は前者の第9文字に含まれている。また、後者が第9文字に有していない「O」の文字は後者の第6文字に含まれているものである。
してみれば、時と処を異にして離隔的に観察した場合、本件商標の「MEVALATION」とメバロチン標章の「MEVALOTIN」は、外観において類似するものとまではいえないとしても、その欧文字との対比において外観上かなり近似していて相似た印象を受けるものといわなければならない。
また、本件商標の「メバラチオン」の片仮名文字部分とメバロチン標章の「メバロチン」とは、語頭の「メバ」及び「末尾」の「ン」を共通にし、ともに顕著にデザインを施されているというような特徴もないものであるから、少なくとも本件商標とメバロチン標章の類似性を妨げるような差異を有しているものではない。
3.出所の混同について
前記1.のとおり、請求人の使用商品の平成2年以降約10年間における高脂血症用薬剤市場におけるシェアは、毎年50%を越えていて、メバロチン標章は、高脂血症用薬剤の商標として高い著名性を獲得していたものと認められ、独創性も相当高いものと認められる。
また、前記2.のとおり、本件商標とメバロチン標章とは、称呼において語調、語感に相当程度の共通性を有するものであり、また、本件商標は、メバロチン標章の欧文字との対比において外観上かなり近似した相似た印象を受けるものと認められる。
加えて、本件商標の指定商品「薬剤」は、メバロチン標章が使用され、著名性を獲得している商品「高脂血症用薬剤」を含むものであるから、両者の需要者、取引者も共通にしているということができる。。
これらの事情を総合的に判断すると、本件商標は、これに接した取引者及び需要者に対し、メバロチン標章を連想させて請求人の業務に係る商品の出所について誤認を生じさせるか、いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品か事業を営みグループに属する関係にあると誤信させ、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
4.被請求人の主張について
(1)被請求人は、メバロチン標章が周知著名であればあるほど「メバロチン」若しくは「MEVALOTIN」なる称呼、外観は、その細部まで明確に需要者に記憶されることとなるから、仮にメバロチン標章が周知著名であるとしても、その周知著名性は、需要者にとって、別異の商標である本件商標とメバロチン商標との識別を一層容易にするものである、旨の主張をしている。
しかしながら、「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきであるところ、他人の周知著名性の程度が高く顕著な差を有しているときは、当該著名商標の連想性が強まり、「混同を生ずるおそれ」を一層高めることになるというべきであるから、その主張は採用できない。
(2)被請求人は、「薬剤の分野において同一医薬品間において語頭2音ないし4音を共通にする商品名が製造者を異にして多数併存している。需要者も「単に語頭2音ないし4音のみで出所及び本人の同一性を判断しない」程度の注意力は一般に持ち合わせているものであり、特に医師等は、誤投与の危険を防ぐため、商品名を略称で取り扱わないようにしている。需要者の一般的な注意力をもってすれば、本件商標が「メバ」(MEVA)を共通にすることのみをもってメバロチン標章と出所を混同するような事態は起こり得ない、旨主張している
しかしながら、医療過誤や取引における過誤において、実際過誤が生じない、ということをもって、広義の混同を生ずるおそれがないということはできない。また、薬剤の分野において同一医薬品間において語頭2音ないし4音を共通にする商品名が製造者を異にして多数併存している事実があるとしても、メバロチン標章は、前記のように高い著名性を獲得しているものであり、被請求人の掲げる例は、本件審判に係る商標と構成文字においても相違するものであるだけでなく、本件商標は先のように判断すべきであるから被請求人の主張は採用できない。
(3)被請求人は、「メバロチン」の語頭の「メバロ」は、使用する医薬の効果効能として生成を阻害する「メバロン酸」(MEVALONIC ACID)に由来するものであり、需要者が前記の「メバロン酸」に共通にする語頭「メバロ」(MEVALO)若しくは「メバ」(MEVA)のみに着目してそのシリーズ商標もしくは姉妹品であると誤認するような不注意を生ずることは到底想定し得ない、商標の識別、特に商品の品質等に由来した商標の識別に当たっては、需要者は一層高度な注意力を払い、商標全体の識別を行うであろうことは容易に推測できる、旨主張している。
しかしながら、メバロチン標章は、前記のように高い著名性を獲得しているものであり、しかも、前記のように「メバ」を語頭に有する医薬品が流通しているというような事実も認められないから、仮に商品の品質等に由来するものであったとしても混同を生ずるおそれを否定するものとはならない。
4.むすび
したがって、本件商標は、同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)引用C商標

(2)引用D商標

審理終結日 2004-06-11 
結審通知日 2004-06-15 
審決日 2004-06-29 
出願番号 商願2001-30551(T2001-30551) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z05)
T 1 11・ 262- Z (Z05)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
内山 進
登録日 2002-03-29 
登録番号 商標登録第4555554号(T4555554) 
商標の称呼 メバラチオン 
代理人 浅村 肇 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 山根 広昭 
代理人 城村 邦彦 
代理人 熊野 剛 
代理人 浅村 皓 
代理人 白石 吉之 
代理人 田中 秀佳 
代理人 岡野 光男 
代理人 江原 省吾 
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