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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 Y43 |
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管理番号 | 1113634 |
審判番号 | 不服2003-13339 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-11 |
確定日 | 2005-03-23 |
事件の表示 | 商願2002- 21596拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年3月19日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同15年4月17日付け手続補正書をもって、第43類「飲食物の提供」と補正されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3021676号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月17日登録出願、第42類「日本料理を主とする飲食物の提供,西洋料理を主とする飲食物の提供,アルコ―ル飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同7年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 同じく、登録第3226297号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月28日登録出願、第42類「西洋料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年11月29日に設定登録され、その後、同8年12月25日に商標登録令施行規則(平成3年通商産業省令第71号)附則第4条第1項の規定による重複商標の登録がされて、現に有効に存続しているものである。 同じく、登録第3239933号商標(以下、「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日登録出願、第42類「惣菜を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年12月25日に設定登録されるとともに、商標登録令施行規則(平成3年通商産業省令第71号)附則第4条第1項の規定による重複商標の登録がされて、現に有効に存続しているものである。 同じく、登録第3239934号商標(以下、「引用商標4」という。)は、別掲(5)のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日登録出願、第42類「台湾惣菜その他の台湾料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年12月25日に設定登録されるとともに、商標登録令施行規則(平成3年通商産業省令第71号)附則第4条第1項に規定による重複商標の登録がされて、現に有効に存続しているものである。 同じく、登録第4294834号商標(以下、「引用商標5」という。)は、別掲(6)のとおりの構成からなり、平成10年5月8日登録出願、第42類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,西洋料理を主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」を指定役務として、同11年7月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 本願商標は、別掲(1)のとおり、灰色の角を丸めた大括弧状の図形の内に橙色で「ju:」の欧文字及び記号を配してなるところ、該図形部分からは直ちに特定の称呼及び観念を生じ得ないことから、これに接する取引者、需要者は、その中央に橙色で顕著に表された「ju:」の欧文字及び記号部分に着目し、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も少なくないとするのが相当である。 そうとすると、本願商標は、該文字及び記号に相応して、「ジュー」の称呼を生ずるものである。 ところで、我が国においては、英語を始めとする外国語の普及に伴い、英和辞典、仏和辞典、独和辞典等、各種言語に関する辞典が広く用いられているところ、これらの辞典では、大括弧の内に「国際音声記号」(各種言語の音声を文字で表記すべく、国際音声学会が定めた音声記号)を用いることにより、掲載されている各語がどのような発音であるかを表示するのが一般的であり、例えば、広く知られた英語である「you」(「ユー」の発音)については「[ju:]」のように、同じく「use」(「ユーズ」の発音)については「[ju:z]」のように表示されている。 そうとすると、本願商標は、上記のような外国語に関する辞典に接する機会のある取引者、需要者にとって、「ユー」の音を表す国際音声記号に極めて似たものとして認識される場合も少なくなく、よって、その構成全体に相応する「ユー」の称呼及び「ユーの国際音声記号」の観念をもって取引に資する場合もまた、決して少なくないとするのが相当である。 してみれば、本願商標は、「ジュー」の称呼を生ずるほか、「ユー」の称呼及び「ユーの国際音声記号」の観念をも生ずるものである。 他方、引用商標1は、別掲(2)のとおりの構成からなるところ、やや図案化されてなるものの、全体として容易に「あなた(たち)は」等の意味を有する英語として一般に知られている「you」の「y」を大文字で表してなるものと理解、認識されることから、該文字に相応して「ユー」の称呼及び「あなた(たち)は」等の観念を生ずるものである。 同じく、引用商標2は、別掲(3)のとおり、顕著に表された「遊」の漢字の右下方に比較的小さく「You.」の欧文字及び記号を配してなるところ、その構成中の漢字部分は「ユウ」の読み及び「遊ぶこと、楽しむこと」等の意味を有するものとして広く知られており、また、該欧文字及び記号部分は、上記のとおり、「you」の文字が「あなた(たち)は」等の意味を有する英語として一般に知られているものであって、これらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情も直ちに見出し得ないものであるから、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るとするのが相当であり、前者に相応する「ユウ」の称呼及び「遊ぶこと、楽しむこと」等の観念を生ずるほか、後者に相応する「ユー」の称呼及び「あなた(たち)は」等の観念をも生ずるものである。 同じく、引用商標3は、別掲(4)のとおり、赤色の八角形状の図形の内側に白色の円図形を描き、その中心部に赤色で「遊」の漢字を顕著に表し、さらに、該漢字の上方に赤色で「大皿総菜」の漢字を、下方に同色で「居酒屋」の漢字を、それぞれ該円図形の輪郭に沿うように配してなるところ、その指定役務との関係において、該「大皿総菜」及び「居酒屋」の漢字部分は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、該図形部分も直ちに特定の称呼及び観念を生じ得ないものであるから、その要部は「遊」の漢字部分にあるとするのが相当であり、該漢字に相応して「ユウ」の称呼及び「遊ぶこと、楽しむこと」等の称呼を生ずるものである。 同じく、引用商標4は、別掲(5)のとおり、四辺の略中央を内側に折り曲げて切欠きを設けた金色の正方形状の図形を描き、その内側中央に同色で「遊」の漢字を顕著に表すとともに、右下角に比較的小さく同色の「ゆう」の平仮名文字の周囲を同色の縦長長方形で囲ったものを配し、さらに、該正方形状の図形の上辺外側に沿うように同色で「台湾総菜居酒屋」の漢字を配してなるところ、その指定役務との関係において、該「台湾総菜居酒屋」の漢字部分は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、該「ゆう」の平仮名文字は該「遊」の漢字の読みを表したものと容易に理解、認識されるものであって、さらに、該正方形状の図形部分も直ちに特定の称呼及び観念を生じ得ないものであるから、その要部は「遊」の漢字部分にあるとするのが相当であり、該漢字に相応して「ユウ」の称呼及び「遊ぶこと、楽しむこと」等の観念を生ずるものである。 同じく、引用商標5は、別掲(6)のとおり、「JYU」の欧文字を顕著に表し、その下方に比較的小さく「ROBATA CUISINE」の欧文字及び「じゅう」の平仮名文字を配し、さらに、該平仮名文字の右方に直ちに特定の称呼及び観念を生じない図形を配してなるところ、該「JYU」の欧文字部分とその下方に位置する「ROBATA CUISINE」の欧文字及び「じゅう」の平仮名文字の部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情は見出し得ず、さらに、該「ROBATA CUISINE」の欧文字と「じゅう」の平仮名文字とは明らかに異なる書体をもって表されており、しかも、該「ROBATA CUISINE」の欧文字部分が「炉端料理」ほどの意味合いを有するのに対し、該「じゅう」の平仮名文字部分は、それ自体特定の意味合いを有さず、むしろその上方に顕著に表された「JYU」の欧文字の読みを表したものと看取され得ることから、その構成、態様と相俟って、該「JYU」の文字部分も独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るとするのが相当であり、その構成文字全体から「ジュウロバタキュイジーヌジュウ」の称呼を生ずるほか、「JYU」の欧文字及び「じゅう」の平仮名文字に相応して「ジュウ」の称呼をも生ずるものである。 そこで、本願商標から生ずる「ジュー」の称呼と引用商標5から生ずる「ジュウ」の称呼とを比較するに、両者は、語尾において長音「ー」と「ウ」の音の差異を有するにすぎず、しかも、該「ウ」の音はその前に位置する「ジュ」の音の母音「u」(ウ)の音との二重母音となり、聴感上、長音のように聴取されることから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤るおそれがあるほどに近似するものである。 また、本願商標から生ずる「ユー」の称呼と引用商標1及び引用商標2から生ずる「ユー」の称呼及び引用商標2ないし引用商標4から生ずる「ユウ」の称呼とを比較するに、前者の比較においては、称呼を同一とするものであり、また、後者の比較においても、上記の「ジュー」と「ジュウ」との比較と同様、語尾における長音「ー」と「ウ」の音の差異を有するにすぎず、しかも、該「ウ」の音はその前に位置する「ユ」の音の母音「u」(ウ)の音との二重母音となり、聴感上、長音のように聴取されることから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤るおそれがあるほどに近似するものである。 しかしながら、本願商標の外観と引用商標1ないし引用商標5の各外観とを対比してみると、それぞれの構成は別掲(1)ないし(6)のとおりであって、外観において著しく相違するものであるから、これらは、外観において全く別異の商標ということができる。 さらに、本願商標と引用商標1ないし引用商標5とのそれぞれの観念について比較すると、前記のとおり、本願商標は、その構成全体から「ユーの国際音声記号」の観念が生ずるのに対し、引用商標1は、その構成全体から「あなた(たち)は」等の観念が、引用商標2は、その構成中の「遊」の文字に相応する「遊ぶこと、楽しむこと」等の観念及び「You.」の文字に相応する「あなた(たち)は」等の観念が、引用商標3及び引用商標4は、共にその構成中の「遊」の文字に相応する「遊ぶこと、楽しむこと」等の観念が、引用商標5は、その構成中の「ROBATA CUISINE」の文字に相応する「炉端料理」の観念が、各々生ずるものであって、これらは、観念の点についての比較においては明瞭に区別し得るものである。 してみれば、本願商標と引用商標1ないし引用商標5とは、各々、称呼において近似する場合があるとしても、外観において顕著な差異があり、しかも、観念においても明瞭に区別し得るものである。加えて、需要者が役務の提供を受ける場所へ出向いていくのが一般的であるという飲食物の提供の分野の実情を総合勘案するならば、本願商標をその指定役務について使用しても、引用各商標を使用した役務とは、その出所について誤認、混同を生ずるおそれはないものとするのが相当であり、本願商標と引用各商標とは、それぞれ非類似の商標であるといわざるを得ない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当すると認定した原査定は、妥当なものでなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(別掲) (1)本願商標 (色彩については原本を参照のこと。) (2)引用商標1 (色彩については原本を参照のこと。) (3)引用商標2 (4)引用商標3 (色彩については原本を参照のこと。) (5)引用商標4 (色彩については原本を参照のこと。) (6)引用商標5 |
審決日 | 2005-03-03 |
出願番号 | 商願2002-21596(T2002-21596) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
WY
(Y43)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 今田 三男、豊田 純一 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 山本 良廣 |
商標の称呼 | ジュー、ジェイユウ、ユー |
代理人 | 中嶋 慎一 |
代理人 | 鳥巣 実 |