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審決分類 |
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y29 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y29 |
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管理番号 | 1113188 |
審判番号 | 不服2003-10042 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-06-04 |
確定日 | 2005-02-10 |
事件の表示 | 商願2002- 17786拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第29類「ヨーグルト」を指定商品として、平成15年3月7日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、青色の地に『鉄結合性を持つ糖たんぱく質』を表す『ラクトフェリン』の白抜き文字を書してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても『ラクトフェリンを含有するヨーグルト』を認識させるものであり、単に商品の品質、原材料を表したものと認識されるにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。出願人は、本願商標は同法第3条第2項の要件を具備している旨主張しているが、提出に係る証拠における商標は、出願人(請求人)の代表的出所標識とともに使用されているものであって、本願商標のみをもって何人かの業務にかかる商品であるかを認識することができるに至ったものであることを認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条1項第3号について 本願商標は、別掲(1)のとおり、右下の頂点が丸みを帯びている青色平行四辺形内に白抜きで「ラクトフェリン」の文字を書してなるものであるところ、該図形部分は、顕著な特徴もなく、自他商品の識別機能を有するとは認められないものである。そして、「ラクトフェリン」は、「母乳や乳製品に含まれる多機能たんぱく質」を意味する語であり(自由国民社発行 現代用語の基礎知識2004)、抗菌機能、免疫調節機能、鉄吸収調節機能、抗酸化機能など様々な機能を有することが知られており、これらの機能を活用して化粧品、いわゆる健康食品や栄養補助食品など多数の製品が開発されているほか、乳製品を始めとする通常の食品分野においても上記機能を生かした製品として、ラクトフェリンを配合、使用した商品が製造、販売されているところである。 例えば、ヨーグルトは、南日本酪農協同株式会社(商品名「骨こつ快朝ヨーグルト」が、飲むタイプのヨーグルトは、ヤクルト(商品名「のむビフィズスヨーグルト ヤクルト ミルミル」)及び南日本酪農協同株式会社(商品名「のむヨーグルト」が、乳性飲料は、日本たばこ産業株式会社(商品名「セノビーラクトフェリン」)及びダイドードリンコ株式会社(商品名「ふたつのベリー〜ストロベリー&ブルーベリー〜」及び「やまぶどうサワー」)が、乳飲料は、メグミルク(商品名「テツパワー」)が、スキムミルクは、雪印乳業(商品名「雪印 鉄ラクトフェリンスリム スティックタイプ」)が、ガムは、カネボウフーズ(商品名「歯みがきガム」)が、スープは、ファイン(商品名「ラクトフェリングリーンスープ」)が、清涼飲料は、雪印乳業(商品名「鉄分しっかり」)がそれぞれ製造、販売している。 また、請求人もラクトフェリンを使用して、本願商標に係る「森永ラクトフェリンヨーグルト」の他、ヨーグルト(商品名「おなかに配達ヨーグルト」及び「生き生き元気のむヨーグルト」)、スキムミルク(商品名「森永Caラクトフェリン スキムミルク」及び「ばっちりバランス」)、乳酸菌飲料(商品名「ラクトフェリンプラス」、ドライミルク(商品名「森永ドライミルクはぐくみ」、「チルミルあゆみ」及び「E赤ちゃん」)、栄養補助食品(商品名「ラクトフェリンアクティブ」)を製造、販売し、これらの商品は、ラクトフェリンを配合していることを商品説明に謳って宣伝しているものである。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても「ラクトフェリン」を含有した商品であるとして、その商品の品質、原材料を表示するにとどまるものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項について 請求人は、本願商標をヨーグルトに使用した結果、本願商標は、自他商品の識別力を有するに至った旨、主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番を含む。)を提出しているので、以下、この点について検討する。 甲第1号証は、本願商標を使用したカップ型容器入りのヨーグルト(以下、「使用商品」という。)のリーフレットであるが、リーフレットにある使用商品(別掲(2)参照)の上蓋部及び側面には、上段に請求人の代表的出所標識であるアルファベット「M」をデザインしたような図形と「morinaga」の文字を配した図形(以下、「図形ハウスマーク」という。)及び「森永」の文字を配し、中段には、上部には、白地に「あなたを守る乳の神秘」の文字を二段に書し、下部には本願商標を配した平行四辺形を配し、その下に「シンバイオティクスヨーグルト」(但し、「シンバイオティクス」の文字は、「ヨーグルト」の文字の半分程度の大きさである。)等の文字を配してなるものである。また、該リーフレットの表紙には、「いま話題の多機能たんぱく質・ラクトフェリン」及び「『森永ラクトフェリンヨーグルト』誕生」の記載があり、リーフレットの内側には、「乳の神秘・ラクトフェリン入り」、「多機能たんぱく質・ラクトフェリンが現代人の健康を応援します。」、「様々な可能性を持つ天然由来成分・ラクトフェリン100mgと」、「天然由来成分・ラクトフェリン」の記載の他、「たんぱく質・ラクトフェリン」の説明が記載され、裏表紙には、商品概要の記載があり、その商品名欄には、「森永ラクトフェリンヨーグルト」の記載があり、原材料欄には、他の原材料とともに「ラクトフェリン」の記載がある。 甲第2号証の4ないし7及び甲第8号証の2ないし5は、6種のテレビ広告のスチルであるが、いずれも画面には、側面から見た使用商品が映し出され、音声も「森永ラクトフェリンヨーグルト」と紹介しているものである。加えて、甲第2号証の7(甲第8号証の3も同じ。)のスチルには、「ラクトフェリン構造図(イメージ)」としてその構造図が示されている。 甲第3号証の4ないし17及び甲第4号証の23は、新聞及び雑誌に掲載された使用商品の広告であるが、これらはいずれも広告の中央に大きく側面から見た使用商品を配してなるものである。そして、甲第3号証の4ないし10及び甲第4号証の3、5ないし13は、「乳の神秘であなたを守る『森永ラクトフェリンヨーグルト』新発売」の記載の他、説明中に「・・多機能たんぱく質・ラクトフェリン100mgと・・」、「ウシラクトフェリン構造図」の記載及び構造図の記載等がある。甲第3号証の11及び甲第4号証の4、14ないし23には、「森永ラクトフェリンヨーグルト」(「ラクトフェリン」の文字がやや大きい。)のほか、「・・今話題の多機能たんぱく質・ラクトフェリン」、「『森永ラクトフェリンヨーグルト』は、生乳中にわずかに含まれるラクトフェリン100mgと」の記載がある。甲第3号証の12ないし17号証は、「ラクトフェリンが入ったヨーグルトは、森永だけ」、「『母乳がもつ守るチカラ』ラクトフェリンに注目!!」、「・・ラクトフェリンを手軽に摂れるヨーグルトとして、・・・『森永ラクトフェリンヨーグルト』。」の記載がある。 甲第6号証、甲第10号証の1ないし46及び甲第12号証は、使用商品に関する新聞記事等であるが、見出しに「ラクトフェリンヨーグルト」と記載されたものがいくつか散見できるものの、いずれも記事中にラクトフェリンを添加(配合)した旨の記載があり、その多くが商品名を「森永ラクトフェリンヨーグルト」とし、また、多機能たんぱく質としての「ラクトフェリン」につての記載がある。 上記の事実によれば、請求人(出願人)が本願商標と同一の標章を付した使用商品を平成13年10月から販売し、テレビや雑誌、新聞等で宣伝し、また、相当の販売量であることが認められるが、使用商品には、出願人の代表的出所標識である図形ハウスマーク及び「森永」の文字とともに使用されているものであって、その広告においても使用商品の写真を大きく配してなるものであり、広告及び使用商品に関する新聞記事等において「森永ラクトフェリンヨーグルト」と紹介されているものであり、本願商標のみが独立して指定商品に使用されて社会的に自他商品の識別標識機能を備えるに至ったという本願商標の使用例は、確認することができない。 そして、前記(1)のとおり、「ラクトフェリン」は、人体、健康に必要な様々な機能を有するたんぱく質の一種として知られ、各種食品に使用されているものであり、請求人も前記のとおり、使用商品をラクトフェリンを添加、配合した商品であると大々的に宣伝していることからすると、本願商標は、請求人の業務に係る「ヨーグルト」のみを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、したがって、いまだ、自他商品の識別機能、即ち、特別顕著性を獲得していないものであるというのが相当である。 請求人は、一の商品にハウスマークや個別商品毎の商標とが複合的に用いられているのが実情であり、本願商標が使用商品の容器側面及び容器蓋の中央部分にひときわ大きく顕著に表されているから、需要者が本願商標を当該商品の個別商品名の表示であると独立して認識するとともに、この表示をもって、商品を識別するとみるのが自然である、旨主張しているが、商品の普通名称や原材料名等をハウスマーク等に比して大きく顕著に表示することは、一般的に行われているところであり、本件使用商品において、本願商標は、請求人の代表的ハウスマークとともに使用されているものであって、しかも「ラクトフェリン」が前記たんぱく質を意味する語であると知られていること前記のとおりであるから、本願商標が使用商品に大きく、顕著に表されていることをもって、直ちに自他商品の識別力を有するに至った個別商品名として認識されるということはできない。 したがって、本願商標は、その指定商品に使用され、請求人(出願人)の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるにいたっているものであるとは、認められないものであるから、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人の主張は採用できない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(1)本願商標![]() (色彩は原本参照) (2)使用商品 ![]() |
審理終結日 | 2004-11-24 |
結審通知日 | 2004-11-30 |
審決日 | 2004-12-16 |
出願番号 | 商願2002-17786(T2002-17786) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Y29)
T 1 8・ 17- Z (Y29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀内 仁子 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
津金 純子 内山 進 |
商標の称呼 | ラクトフェリン、フェリン |
代理人 | 河野 茂夫 |