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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 041
管理番号 1109845 
審判番号 取消2003-30503 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-04-22 
確定日 2004-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第3341470号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3341470号商標の指定役務中「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3341470号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成3年法律第65号附則第5条第1項に規定する使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月30日に登録出願された平成4年商標登録願第257589号の分割出願として、同7年3月13日に登録出願、第41類「冠婚葬祭の儀式に関する記録映画・コンパクトディスクの制作,教育情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供,スポーツの興行の企画・運営又は開催に関する情報の提供,運動施設の提供に関する情報の提供」を指定役務として、同9年8月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
平成16年4月19日付で被請求人より提出された答弁書(1)に添付された乙第1号証ないし乙第8号証の証拠に基づく主張について弁駁する。
(1)乙第1号証の1について
乙第1号証の1は、「業務概要」が記載された書類であり、株式会社ビットウェイブが「各種イベントのチケット販売における問合せ対応サービス」に関わっていることを示すものであるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、「各種イベントのチケット販売における問合せ対応サービス」に関するものであるから、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に本件商標の記載はない。
(ウ)証拠方法として被請求人により作成された旨主張されているが、書面上に株式会社ビットウェイブの記載はあるものの、被請求人の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(2)乙第1号証の2について
乙第1号証の2は、「商品概要(鈴木あみ コンサート)」が記載された書類であり、鈴木あみのコンサートチケット販売サービスに関するものであるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は「コンサートチケットの販売サービス」に関するものであるから、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に本件商標の記載はない。
(ウ)証拠方法として被請求人により作成された旨主張されているが、書面上には作成者の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(エ)本書証には年度が記載されていないため、作成時期が特定出来ないものであり、本件の請求以前の使用を示すものではない。
(3)乙第1号証の3について
乙第1号証の3は、「鈴木あみのコンサートに関するQ&A」が記載された書類であり、鈴木あみのコンサートに関するものであるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、鈴木あみのコンサートに関する質問と回答に過ぎず、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に本件商標の記載はない。
(ウ)証拠方法として被請求人により作成された旨主張されているが、書面上には作成者の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(4)乙第2号証の1について
乙第2号証の1は、「デイリーヤマザキ サルティンバンコ 2000」オンライン・チケッティング販売に関するスケジュールが記載された書類であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、サルティンバンコのチケット販売サービスに関する社内での内部書類に過ぎず、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に本件商標の記載はない。
(ウ)証拠方法として被請求人により作成された旨主張されているが、書面上には作成者の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(5)乙第2号証の2及び3について
乙第2号証の2及び3は、「申込予約受付終了日までのDY店舗用払込票発送・払込票払込期限・チケット発送日」の記載された書面であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、何らかのイベント等への申込に関する受付終了日までのDY店舗用払込票発送・払込票払込期限・チケット発送日の記載された社内の内部書類に過ぎず、本件役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に本件商標の記載はない。
(ウ)証拠方法として被請求人により作成された旨主張されているが、書面上には作成者の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(エ)本書証中には作成年月日が記載されていないため、本書証の作成時期は特定出来ないものであり、本件の請求以前の使用を示すものではない。
(6)乙第3号証について
乙第3号証は、「デジシート問い合わせセンター コールバック用受信シート」に関する書面であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、被請求人及び株式会社ビットウェイブ間の内部書類としてのデジシート問い合わせセンターのコールバック用受信シートに過ぎず、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に被請求人の記載はあるが、部署及び連絡先と併せて記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、本件商標の記載ではない。
(ウ)本書証中には作成年月日が記載されていないため、本書証の作成時期は特定出来ないものであり、本件の請求以前の使用を証明するものではない。
(7)乙第4号証の1ないし20について
乙第4号証の1ないし20は、乙第1号証ないし乙第3号証に関する平成12年6月20日ないし同13年1月20日付けの業務関連の請求書及び各請求書に対応する生産出荷伝票であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
乙第4号証の1ないし4は、被請求人が「オンラインチケッティングサービス」及びそれに付随する「アウトバンド業務」を提供した旨を示す過ぎず、乙第4号証の5ないし12は、「テレマーケティングサービス」及びそれに付随するサービス(TSR研修を含む)を提供している事実を示すものに過ぎず、乙第4号証の13ないし16は、提供している具体的な業務(サービス/役務)が記載されておらず、乙第4号証の17ないし20は、「番号変更アナウンス」サービスに関するものである。
したがって、これらの請求書及び生産出荷伝票は、取消請求に係る指定役務における商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
各請求書には「株式会社テレワーク」の文字は記載されているが、住所・電話・FAX及び銀行口座とともに記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用であるに過ぎない。
各生産出荷伝票にFAX送信者として被請求人の記載はあるが、本件商標の記載ではない。
(ウ)各請求書は、デジシート(オンラインチケッティングサービス)及びその発信業務(アウトバウンド業務)の開設するための一連の費用(乙第4号証の1ないし4)、テレマーケティングサービス及びそれに付随する費用(乙第4号証の5ないし8)、「テレマーケティングサービス」等の発信業務(アウトバウンド業務)に関する費用(乙第4号証の9ないし12)、具体的な業務が記載されていない一般業務費用(乙第4号証の13ないし16)及び番号変更サービス(いかなる業務かは具体的に記載されていない。)(乙第4号証の17ないし20)に関する被請求人から株式会社ビットウェイブ宛ての請求書及び株式会社ビットウェイブ宛ての生産出荷伝票ではあるが、乙第1号証ないし乙第3号証中、いずれのサービスに係るものであるかについて不明確であり、本件商標の使用を証明するものではない。
(エ)各生産出荷伝票は、証拠方法として被請求人により作成された旨記載されているが、書面上には作成者の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない。
(8)乙第5号証について
乙第5号証は、「週刊B-ing」(2001年 株式会社リクルート発行)への掲載広告であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
本書証は、被請求人が本書証中の「会社DATA」箇所に記載された「テレマーケティングサービスとは?」の説明内容として「新商品及びイベント告知情報の提供」について示しているに過ぎず、取消請求に係る指定役務に係る本件商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
本書証中に、被請求人の名称が商号としてページ左上に記載され、同ページの右下に登録商標のマーク(マルR)が付された別掲(2)の「TELEWORK」(「O」は特殊文字)(以下「TELEWORK」という。)及び本件商標が記載されている。
しかしながら、仮に、本書証中の右下に記載された本件商標が商標の使用としての識別機能を有するとしても、本書証は被請求人の求人広告であって、同被請求人の提供する一連の業務に「新商品及びイベント告知情報の提供」が含まれるとしても、本書証に係る役務は「テレマーケティング又はマーケティング」サービスである。
(9)乙第6号証の1ないし3について
乙第6号証の1は、被請求人の現在使用している会社案内であり、乙第6号証の2は、被請求人の以前の会社案内であり、被請求人の業務を紹介したリーフレットであるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
乙第6号証の1は、被請求人がテレマーケティング事業における顧客化促進プロセスの一つとして「イベント・キャンペーンフォローコール」サービス、顧客発掘プロセスの一つとして「各種イベント・セミナー等来場促進コール、各種イベント・セミナー等来場の受付」サービスを提供していることを示すものであり、乙第6号証の2は、被請求人が「テレマーケティングサービス」の一環としてとして販売促進を目的とした「展示会・イベント来場促進サービス、新規顧客開拓サービス」、顧客管理を目的とした「情報提供サービス(キャンペーンビフォア・アフターフォロー)」を提供していることを示すものであり、乙第6号証の3は、被請求人が「テレコミュニケーションによるネットワークシステム」を提供することを示すものであって、その例としてホテル・レジャー情報、機械のメンテナンス、通信販売サービスの代行等が紹介されているに過ぎず、いずれも取消請求に係る指定役務に係る商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
乙第6号証の1及び2は、それぞれパンフレットの裏ページに発行元として「TELEWORK」及び本件商標が二段に並記されているが、住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されており、乙第6号証の3は、最終頁に記載された「株式会社テレワーク」の文字は、住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されており、これらの記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用であるに過ぎない。
(ウ)乙第6号証の1ないし3は、いずれも発行年月日が記載されておらず、使用時期が特定出来ないものであり、本件の請求以前の使用であることを証明するものではない。
(10)乙第7号証ないし乙第8号証について
乙第7号証の1は、被請求人使用の請求書用封筒の写しであり、乙第7号証の2は、被請求人使用の汎用封筒の写し(小型)であり、乙第7号証の3は、被請求人使用の汎用封筒の写し(大型)であり、被請求人の従業員が使用する名刺であるが、以下の点により、取消請求に係る指定役務についての本件商標の使用を証明するものではない。
(ア)役務について
これらの書証は、被請求人の提供するサービスを示すものではないから、取消請求に係る指定役務に係る商標の使用を証明するものではない。
(イ)商標について
これらの書証に付された「株式会社テレワーク」の文字は、住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用であるに過ぎない。
(11)まとめ
以上により、平成16年4月19日付で答弁書(1)に添付された乙第1号証ないし乙第8号証は、いずれも本件商標の使用にあたらないことが明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めるとして、平成16年4月19日付け答弁書(1)及び弁駁に対する平成16年8月23日付け答弁書(3)により、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として前記答弁書において、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出している。
1 平成16年4月19日付け答弁書(1)における答弁
(1)乙第1号証の1ないし乙第3号証
乙第1号証の1ないし乙第3号証は、被請求人の業務に使用された資料である。乙第1号証の1には、「業務期間2000年7月9日(日)〜」と記載されており、本審判請求の日前3年以内に被請求人によりこの業務が行われたことが分かる。なお、この業務期間は、乙第1号証の2中の「2.開催内容」の「開催日」、乙第4号証の1ないし20の請求書・生産出荷伝票の日付とも時期的に合致している。
そして、乙第1号証の3を見ると、『Q&A〈鈴木あみ コンサート〉』として、消費者からの電話による問い合わせに対して、提供すべき音楽の演奏に関する情報が細かく記載されている。
以上より、被請求人が、本審判請求の登録前3年以内に、本件指定役務中の「音楽の演奏に関する情報の提供」を行ったことは明白である。
(2)乙第4号証の1ないし20
乙第4号証の1ないし20は、乙第1号証ないし乙第3号証に記載されている業務についての請求書・生産出荷伝票である。各請求書には本件商標が付されている。また、各号証に記載された宛名(顧客名)を見ると、「ビットウェイブ」と記載され、乙第1号証の1及び乙第3号証に記載された顧客名と一致しており、また、前記のとおり日付・期間も合致している。
さらに、これらの請求書は、本件商標が明確に使用された乙第7号証の1の封筒に入れられて顧客に送付されたものである。
以上より、被請求人が、本審判請求の登録前3年以内に、本件指定役務中の「音楽の演奏に関する情報の提供」を行っており、これに本件商標を使用したことは明白である。
なお、乙第4号証の1ないし20における請求書に記載された商標「株式会社テレワーク」は、本件商標とは僅かに書体が異なっているが、商標の識別力に何ら影響を与えるものではなく、社会通念上同一のものである。
(3)乙第5号証
乙第5号証は、2001年に(株)リクルートが発行した求人情報誌「B-ing」に掲載された被請求人の求人広告であり、本件商標が右下に使用されている。
会社DATAの欄には、「新商品情報やイベントの告知など顧客に役立つ情報も発信。適切なアナウンス効果で、クライアントの各種プロモーションを側面から支援しています。」と記載されていることからも、被請求人が本件指定役務中「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」を主要事業の一つとして行っており、本件商標をこの役務について使用していることが分かる。
(4)乙第6号証の1ないし3
乙第6号証の1ないし3は、被請求人が顧客等に配布している会社案内である。従来のものから現在のものまで、すべて裏表紙には本件商標が使用されている。現在の会社案内(乙第6号証の1)にあっては、2頁目にも本件商標が記載されている。
現在使用している会社案内には被請求人の主要業務が紹介されており、その中には「各種イベント・セミナー等来場促進コール」、「各種イベント・セミナー等来場の受付」、「イベント・キャンペーンフォローコール」などが記載されている(5頁及び6頁)。
また、以前の会社案内(乙第6号証の2)においても「テレマーケティング活用事例」として被請求人の行っている業務が紹介され、その中には.「展示会・イベント来場促進サービス」、「情報提供サービス」などが記載されている(11頁)。
このことからも、被請求人は、乙第1号証の1ないし乙第3号証に記載されているような取消請求に係る指定役務を、従来から現在まで主要業務の一つとして行ってきたものであり、本件商標をその役務について継続的に使用してきたことは明らかである。
(5)乙第7号証の1ないし乙第8号証
乙第7号証の1ないし乙第8号証は、被請求人が業務を行うにあたって日常的に使用している封筒及び名刺である。
これらの封筒や名刺にも、本件商標が使用されており、被請求人が業務を行うにあたって本件商標を使用していることは明らかである。
なお、乙第1号証の1ないし乙第4号証の20から、被請求人が提供したことが明らかな本件指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」についても、これらの封筒や名刺が使用されたことは、通常の業務態様から考えても当然である。
2 平成16年8月23日付け答弁書(3)における答弁
(1)乙第1号証の1ないし3について
(ア) 請求人の「各種イベントのチケット販売における問合せ対応サービス」等が「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当しない旨の主張は、理由・根拠についての説明は一切なく、請求人の上記主張は非論理的であると言わざるを得ない。
乙第1号証の1ないし3は、チケッティングサービス「デジシート(degiseat)」に関するもので、内容的に一体をなすものである。
そして、乙第1号証の3においては、オペレーターが需要者に対し提供する情報が詳細に記載されており、これらの情報の提供が「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当することは明白である。
(イ)請求人は、本書証中に本件商標の記載がないため、本件商標の使用は行っていない、と主張しているが、役務は無体であるから、その性質上、物理的に商標を付することは不可能である。それ故に、商標法は、役務についての標章の使用として広範な規定(商標法2条3項3号ないし8号)を設けているのであって、社内で使用するに過ぎない資料にまで逐一、直接に商標を付すことを要求する趣旨ではない。
したがって、商標法は、指定役務を現実に提供しており、且つ、少なくともその役務に関する広告、取引書類等に商標を使用し頒布等していれば、「商標の使用」に該当するとしているのである。
本件について見ると、(ア)で述べたように、被請求人は、本件指定役務中「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」を現実に提供しており、且つ、頒布される「広告」や「取引書類」にあたる雑誌広告、会社案内、請求書やその他の書類を入れる封筒、名刺(乙第4号証ないし乙第8号証)について本件登録商標を使用している。このような態様における本件登録商標の使用は、少なくとも商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当することは明白である。
(ウ) 請求人は、書面上に被請求人の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない、旨主張している。
しかし、内部でのみ使用する書面にまで全て社名等を入れることは通常なされない。そして、(イ)でも述べた通り、登録商標の使用を証明する証拠は総合的に判断されるべきものであって、各々バラバラに分断して判断すべきではない。
以上の事項から、乙第1号証の1ないし3が被請求人の使用に係るものであることは明らかである。
(エ)被請求人は、「乙第1号証の2は、年度が記載されていないため、本証書の作成時期が特定できず、本件の請求以前の使用を示すものではない。」旨の主張をしている。
しかし、各証拠を総合的に判断すれば、かかる請求人の主張が失当であることは明白である。
(2)乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証について
(ア) 請求人は、「乙第2号証の1ないし3はサルティンバンコのチケット販売サービス等に関する社内での内部書類に過ぎず、本件商標の使用を証明するものではない。」旨を主張している。
しかし、これらの証拠の記載内容及び乙第3号証の記載内容をみれば、請求人が、サルテインバンコの開催日時、チケット販売その他の情報の提供を行っていることは明らかであり、これは「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当するものである。なお、乙第2号証の1ないし3と共に本件指定役務について使用された乙第3号証の下欄外には、本件登録商標「株式会社テレワーク」が記載されている。
(イ)請求人は、「本書証中に本件商標の記載がないため、本件商標の使用は行っていない。」と主張している。
この請求人の主張に対する反論は、上記(1)(イ)で述べた通りである。
なお、請求人は、乙第3号証に記載されている本件商標「株式会社テレワーク」について、「部署及び連絡先と併せて記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、本件商標の記載ではない。よって、本件商標の使用は行っていない。」などと主張している。
しかし、商標が商号を表示するとともに、同時に需要者に識別標識として認識されることも当然あるのであるから、「商号を表示するものであるから商標ではない」とする請求人の主張は全く合理的でない。
(ウ) 請求人は、「書面上に被請求人の記載はなく、被請求人の使用に係るものではない」と主張している。
しかし、内部でのみ使用する書面にまで全て社名等を入れることは通常なされない。登録商標の使用を証明する証拠は総合的に判断されるべきものであり、各々バラバラに分断して判断すべきではない。
乙第2号証のないし3と併せて乙第3号証を総合的に判断すると、これらの書面が被請求人の業務において使用されたことは明らかである。
(エ)被請求人は、「乙第2号証の2、3及び乙第3号証には、作成年月日が記載されていないため、本証書の作成時期が特定できず、本件の請求以前の使用を示すものではない。」旨の主張をしている。
しかし、各証拠を総合的に判断すれば、かかる請求人の主張が失当であることは明白である。
(3)乙第4号証の1ないし20について
請求人は、弁駁書において、被請求人が提出した乙第4号証の1ないし20について種々述べているが、いずれも失当である。請求人の主張は重複しており、全てに逐一反論するのは冗長となるため、以下、主要なものを抜粋して反論する。
(ア) 請求人は、「本書証は、『オンラインチケッティングサービス』及びそれに付随する『アウトバンド業務』を提供した旨を示す請求書であるに過ぎず、本件役務における商標の使用を証明するものではない。」などと主張している。
しかし、「オンラインチケッテイングサービス」等が「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当しない理由・根拠についての説明は一切なく、請求人の主張は非論理的であると言わざるを得ない。
例えば、乙第1号証の1ないし3等と乙第4号証の3及び4は内容的に一体をなすものである。
そして、乙第1号証の3においては、オペレーターが需要者に対し提供するコンサートの情報が詳細に記載されており、これらの情報の提供が「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当することは明白である。
(イ)請求人は、「本書証は、デジシート(オンラインチケッティングサービス)及びその発信業務(アウトバウンド業務)を開設するための一連の費用に関する審判被請求人から株式会社ビットウェイブ宛ての請求書であるが、乙第1号証ないし乙第3号証中のいずれのサービスに係るものであるかについて不明確であり、本件商標の使用を証明するものではない。」などと主張している。
しかし、(ア)と同様に少なくとも、乙第4号証の3及び4が乙第1号証の1ないし3に記載の業務についてのものであることは明白であり、上記請求人の主張は失当である。
(ウ)請求人は、「本書証中に『株式会社テレワーク』の文字は記載されているが、住所・電話・FAX及び銀行口座とともに記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用であるに過ぎず、商標の使用は行っていない。」などと主張をしている。
しかし、請求人の主張は商標についての理解を欠いた主張であり、到底認められない。本件商標が住所等と共に使用されていても、その態様から自他役務識別標識として需要者に認識され、商標の使用に該当することは明白である。
(4)乙第5号証について
(ア)請求人は、「…本証書は、審判被請求人が『テレマーケティングサービスとは?』の説明内容として『新商品及びイベント告知情報』について示しているに過ぎず、当該役務に係る本件商標の使用を証明するものではない。」などと主張している。
しかし、この乙第5号証における「新商品情報やイベントの告知など顧客に役立つ情報も発信。適切なアナウンス効果で、クライアントの各種プロモーションを側面から支援しています。」との記載から把握される役務が、本件指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当することは明白である。
そして、この乙第5号証は、本件指定役務に関する「広告」であるから、登録商標の使用に該当することは明らかである(商標法2条3項8号)。
(イ)請求人は、「…仮に、本書証中の右下に記載された本件商標が商標の使用としての識別機能を有するとしても、本書証は審判被請求人の求人広告であって、同被請求人の提供する一連の業務に『新商品及びイベント告知情報の提供』が含まれるとしても、本書証に係る役務は『テレマーケテイング又はマーケティング』サービスである。よって、本件商標の使用は行っていない。」と主張している。
しかし、乙第5号証の「新商品情報やイベントの告知など顧客に役立つ情報も発信。適切なアナウンス効果で、クライアントの各種プロモーションを側面から支援しています。」との記載が、仮に「テレマーケティング又はマーケティングサービス」の側面を有していたとしても、上記の業務説明の内容を合理的に解釈すれば、この記載が本件指定役務 「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当することは明白である。
(5)乙第6号証の1ないし3について
(ア)請求人は、「乙第6号証の1ないし3に記載されている役務は、いずれも本件指定役務『映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供』には該当しない。」旨を主張している。
しかし、請求人のように各証拠をバラバラに分断して「商標の使用に該当しない。」とするのは妥当でない。
乙第6号証の1及び2と乙第1号証の1ないし3、乙第4号証の3及び乙4の記載事項を併せて考慮すると、乙第1号証の1等の記載事項から把握される被請求人の業務が、被請求人の会社案内に記載された「情報提供サービス(キャンべーンビフオア・アフターフォロー)」等の業務に該当するものであることは明らかである。
そして、先述の通り、乙第1号証の1等に記載された役務は、本件指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に該当するものである。
(イ)請求人は、「乙第6号証の1ないし3に記載された『株式会社テレワーク』の文字は、住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用であるに過ぎず、商標の使用は行っていない。」旨の主張をしている。
しかし、請求人の主張は商標についての理解を欠いた主張であり、到底認められない。
さらに、乙第6号証の1の第2頁下部においては、本件商標が住所等を伴わずに使用されており、請求人は主張の前提となる事実すら誤認していることを付け加えておく。
(ウ)請求人は、「乙第6号証の1ないし3には発行年月日が記載されていないため使用時期が特定できず、本件請求以前の使用であることを証明するものではない。」旨の主張をしている。
しかし、会社案内のパンフレットは、一般的に、業務内容や重要事項の変更がない限り、改訂せずに使用し続けることが予定されているものである。それ故に、かかる会社案内の性質上会社案内に発行年月日を記載することは通常行われない。このように、その性質上発行年月日を記載することが一般的に行われないものについてまで、発行年月日がなければ不使用取消審判による取消を免れないとすれば実情に反し、著しく具体的妥当性に欠ける結果となる。
さらに、乙第11号証において、添付された受注伝票にも記載されているように、会社案内(乙第6号証の1)は平成12年6月20日に有限会社スカイから被請求人に納入され、3000部印刷されたものであることが証明されている。
したがって、納品日及び印刷部数からも被請求人の現在使用している会社案内が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において頒布されているものであることは明らかである。
(6) 乙第7号証の1ないし乙第8号証について
(ア) 請求人は、「乙第7号証の1ないし乙第8号証は、被請求人の提供するサービスを示すものではないから、本件役務に係る商標の使用を証明するものではない。」旨の主張をしている。
しかし、被請求人は本件指定役務を実際に提供しており、且つ、当該役務に関する「取引書類」に該当する請求書用封筒(乙第7号証の1)、汎用封筒(乙第7号証の2及び3)、従業員が頒布する名刺(乙第8号証)に本件登録商標を明確に付しているのであるから、乙第7号証の1ないし乙第8号証が本件登録商標の使用を示すものであることは明らかである。
(ウ) 請求人は、「乙第7号証の1ないし乙第8号証に付された『株式会社テレワーク』の文字は住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されており、同記載はむしろ商号を表示するものであって、商号としての使用に過ぎないから、本件商標の使用は行っていない。」旨を主張している。
しかし、「商標」に該当するか否かは、それが商標の機能を発揮する態様で使用されているか、すなわち、自他役務識別標識として使用されているか否かで判断すべきであり、「住所・電話番号及びFAX番号とともに記載されている」か否かは問題ではない。
乙第7号証の1ないし乙第8号証に記載された本件商標が住所と共に使用されていても、その態様から自他役務識別標識として需要者に認識され、商標の使用に該当することは明白である。
3 まとめ
以上より、商標権者である被請求人が、本件商標を、本審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、取消請求に係る指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」について、本件審判請求の登録(平成15年5月14日)前3年以内に日本国内において本件商標を使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)提出しているので、以下検討する。
1 乙第1号証の1ないし乙第8号証及び乙第11号証より以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の1ないし3は、それぞれ「◆業務概要」、「◆商品概要<鈴木あみ コンサート>、「◆Q&A<鈴木あみ コンサート>」と記載された「デジシート 問合せセンター」業務に係る一連の資料である。
乙第1号証の1には、「業務内容」について「各種イベントのチケット発売における問合せ対応業務」との説明の記載があり、さらに詳細として「ホームページ上・チケット申込者への返信メール・チケット購入代金請求書に案内されていると問合せセンター03-3360-5505へのイベント及びチケット購入に対する問合せの受付対応。」の記載があり、「業務期間」の項に「2000年7月9日(日)〜」の記載がある。業務報告の項には、「a)DAILY報告」として、業務終了後当日18:00までにFAXで送信(報告)すること等が記載され、送信先として「株式会社ビットウェイブ」及びその担当者氏名、FAX番号、電話番号の記載がある。
乙第1号証の2は、商品概要<鈴木あみコンサート>として、「1.今回のチケティングサービスについて」の項に「今回のチケッティングサービスは・・・『福利厚生倶楽部(リロクラブ)』の会員の方のみを販売対象としています。一般のお客様は購入できません。」の記載があるほか、開催内容(会場、開催日、主催者名等)、チケット予約期間、チケット価格、チケット購入ルール、チケット購入代金支払方法及び受け渡しについての説明の記載があり、乙第1号証の3は、Q&A<鈴木あみコンサート>として、質問と回答が表形式で記載されているものであるが、質問は、公演日程、会場への経路、倶楽部申込資格、チケット購入方法等に関するものである。
(2)乙第2号証の1は「クールヤマザキ サルティンバンコ2000 オンライン・チケッティング発売に関するスケジュール」と題し、「2000年8月30日作成」と記載されている書類であり、10月12日から1月28日までの公演(月日、曜日、時間で特定)毎の「払込票発送予定日」、「DY店舗払込期限」、「チケット発送予定日」、「CC決裁顧客チケット到着予定日」等の日付を記載した一覧表及びスケジュール設定に当たっての前提条件を記載したものである。
乙第2号証の2及び3は、「申込予約受付終了日までのDY店舗用払込票発送・払込票払込期限・チケット発送日」と題する書類であり、「払込票作成日」毎に「お客様申込み期間」「DY払込期限」「チケット発送予定日」が記載されている一覧表である。
(3)乙第3号証は、株式会社ビットウェイブのEC事業部担当者宛ての3つのイベント(「PRIDE.10」、「2000年プロ野球公式戦」及び「サンティンバンコ2000」)共通の「デジシート 問い合わせセンターコールバック用受信シート」であるところ、受付日欄の他、「分類」として「問合せ」又は「クレーム」の記載及びそれへのチェック欄があり、「項目」として、「イベントについて」、「チケット購入について」、「チケット変更について」、「キャンセルについて」、「キャンセル待ちについて」、「その他」の記載及びそれへのチェック欄があり、「チケット」として月日、席の種類、枚数を記載するように「月 日 席× 枚」の記載があるほか、内容、対応状況を記載する欄等がある。また、欄外に「お問合わせ先」として「株式会社テレワーク オペレーション部」及び電話番号、FAX番号の記載、及び「処理担当印」とする欄が設けられている。
(4)乙第4号証の1ないし20は、発行日を2000年6月20日付けから2001年1月20日付けの「生産部門」を「オペレーション1課」とし、「得意先名」を「(株)TMJ(ビットウェイブ)」とする「オペレーション3課生産出荷伝票」及びそれに対応する平成12年6月20日締切分から平成13年1月20日締切分の(株)テレマーケティングジャパン(ビットウェイブ)営業本部担当者を宛先とする請求書控えである。
これらの出荷伝票の請求項目欄及び請求書の品名欄には「基本業務料金」、「業務管理費」、「アウトバウンド業務量」、「テレマーケティング費」等の記載があるほか、「マニュアル作成費」、「回線設備費」等、いずれも提供する情報の内容について具体的な記載のない費用項目名及び業務に関する設備、環境構築に必要な費用項目名が記載されている。各請求書の請求者名欄には、「株式会社テレワーク」の記載及びその下に住所、電話番号、FAX番号、振込先口座名の記載がある。
(5)乙第5号証は、求人情報誌「B-ing 2001」の業種「通信」欄への被請求人の求人広告(101頁)であるが、「業務内容」欄に「マーケティングを主としたマーケティング業務」として「イベントの告知など顧客に役立つ情報も発信」等の説明の記載がある。該求人広告の左上部分には「株式会社 テレワーク」の記載があり、右下部分には横線を挟んで上段に「TELEWORK」、下段に「株式会社テレワーク」の記載がある。
(6)乙第6号証の1ないし3は、被請求人の会社案内である。これらの会社案内には、いずれも作成日の記載はない。なお、被請求人は、乙第6号証の1は、現在まで使用している会社案内であると主張している。乙第6号証の2及び3は、以前に使用した会社案内と認められる。また、乙第11号証は、乙第6号証の会社案内を平成12年6月10日に被請求人に納品した旨の有限会社スカイの証明及び得意先を「(株)テレワーク」とし、納期を12年6月20日とする会社案内の受注伝票である。
乙第6号証の1には、顧客化促進プロセスの項に「イベント・キャンペーンフォローコール」(5頁)、顧客発掘プロセスの項に「各種イベント・セミナー等来場促進コール」、「各種イベント・セミナー来場の受付」(以上6頁)等の記載があるが、取消請求に係る役務についての記載はない。表紙には、「TELEWORK」の記載があり、2頁目及び裏表紙には、横線を挟んで上段に「TELEWORK」、下段に「株式会社テレワーク」の記載がある。
乙第6号証の2には、販売促進の項に「イベント来場促進サービス」、顧客管理の項に「情報提供サービス(キャンペーンビフォア・アフターフォロー」等の記載があるが、取消請求に係る役務についての記載はない。
乙第6号証の3は、「情報案内サービス」として「リゾートライフに関する情報をいち早くお届けします。」等の記載があるが、取消請求に係る役務についての記載はない。
(7)乙第7号証の1ないし3は、大、中、小のサイズの封筒の写しであり、乙第8号証は、2名の名刺の写しである。
2 上記認定事実に基づいて、商標権者(被請求人)による本件商標の使用に係る役務が取消請求に係る指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に属する役務か否かについて、以下検討する。
(1)乙第4号証の1ないし20の請求書及び生産出荷伝票には、上記のとおり、請求費用項目名に提供している情報の内容等、取消請求に係る役務についての具体的記載はなく(なお、被請求人は、乙第4号証の1ないし20は、乙第1号証の1ないし3と内容的に一体をなすものである、と主張している。)、乙第5号証の求人広告及び乙第6号証1ないし3の会社案内は、被請求人の行っている業務が記載されているものであるが、取消請求に係る役務についての具体的な記載はなく、乙第7号証の1ないし乙第8号証には、請求人の行っている役務等の記載はない(なお、乙第6号証の1の会社案内は、要証期間内に使用されたものと認め得るが、乙第6号証の2及び3は、同期間内に使用したとは、必ずしも認められないし、また、乙第7号証ないし、乙第8号証の封筒、名刺も使用時期は不明であるが、進んで判断した。)。
そうすると、上記各証拠のみによっては、被請求人が取消請求に係る役務を行っていることを認めることはできない。
(2)乙第1号証の1ないし3は、歌手鈴木あみの平成12年8月21日から開催されるコンサートのチケット発売における問合せ対応業務に関するものであり、乙第1号証の1及び2の記載事項は、全て上記問合せ業務に関する実務的な内容が記載されているものであり、さらに、チケット購入(予定)者からの問い合わせに対応するために、予め想定されている質問及び回答(乙第1号証の3)も演奏曲目や演奏の評論というような音楽の演奏に関する内容ではなく、日程、公演場所などのほか一般の需要者がチケット購入に際しての質問等に関する内容である。そうすると、乙第1号証の1ないし3によって行われている役務は、上記コンサートのチケット販売(興行場の座席の手配)に付随した電話での問合せに対する応対というべきであり、その際提供される情報は、興行場の座席の手配に関する情報というべきであるから、乙第1号証の1ないし3によっては、取消請求に係る役務を行っているものとは認められない。
(3)乙第2号証の1は、上記のとおり、「デイリーヤマザキ サルティンバンコ2000」と称する公演のチケット販売のスケジュール表であり、乙第2号証の2及び3は、公演名は不明であるが、チケット販売のスケジュール表であり、乙第3号証は、上記のとおり主にチケット販売に関する項目について記載することを想定している受信シートであるから、具体的な役務は明らかではないが、記載の内容及び乙第1号証の1ないし3が興行場の座席の手配に関するものであることから、これらの書証も興行場の座席の手配に関するものであると推認できるものであって、被請求人が本件請求に係る役務を行っているものとは認めることができない。
(4)以上のとおり、被請求人提出に係る証拠によっては、商標権者(被請求人)による本件商標の使用に係る役務が本件請求に係る指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」に属する役務であるとは認めることができない。
3 以上によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかが本件請求に係る役務「映画・園芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」について本件商標の使用をしていたことを証明したということはできず、また、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の指定商品中、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏に関する情報の提供」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
(1)本件商標

(2)「TELEWORK」

審理終結日 2004-10-19 
結審通知日 2004-10-20 
審決日 2004-11-02 
出願番号 商願平7-24727 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (041)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小畑 恵一大島 護寺光 幸子 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
内山 進
登録日 1997-08-22 
登録番号 商標登録第3341470号(T3341470) 
商標の称呼 テレワーク 
代理人 安原 正義 
代理人 福島 三雄 
代理人 小山 方宜 
代理人 安原 正之 

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