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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 審決却下 130
審判 全部無効 商8条先願 審決却下 130
管理番号 1108220 
審判番号 無効2003-35508 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-12-05 
確定日 2004-11-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第2410857号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2410857号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの「きじめん亭」の文字を縦書きしてなり、平成元年3月22日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として平成4年5月29日に設定登録され、その後、平成14年6月18日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成15年11月5日に指定商品を第30類「きしめんのめん,その他の穀物の加工品,きしめん入りべんとう,その他のべんとう」とする書換登録がされているものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第2407792号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの「きしめん亭」の文字を横書きしてなり、昭和58年12月9日に登録出願、第32類「きしめん」を指定商品として平成4年4月30日に設定登録され、その後、平成13年11月13日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成14年9月18日に指定商品を第30類「きしめんのめん」とする書換登録がされているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出している。
1 請求の理由
(1)本件商標と引用商標との対比
本件商標及び引用商標は、毛筆の草書体風の活字にて書してなる商標であることは同じである。ただ、両商標は次の2点で相違する。
すなわち、本件商標の第2文字が「じ」であるのに対し、引用商標の第2文字は「し」の文字からなる点である。そして、あとの3文字は全く同一形態の文字からなるものである。
次に、本件商標が縦書きしてなるものであるのに対し、引用商標は横書きしてなる点が相違する。
したがって、両商標を離隔的、全体的に観察した場合、外観上類似するものであることは明白である。つまり、本件商標の第2文字が「し」に「゛」がある「じ」であっても、全体的に観察した場合本件商標も引用商標も彼比混同誤認する程、外観上類似している。
また、本件商標が縦書きよりなり、引用商標が横書きよりなっていても、縦書き、横書きの相違のみによって両商標が非類似となるものでないことは論をまたないところである。
さらに、両商標は、称呼上においても、第2音が濁音か清音になるかの違いがあるのみで、全体的に称呼した場合、両商標は混同誤認のおそれがあるほど、称呼上相紛らわしく類似するものである。
(2)結び
以上、要するに、本件商標と同一又は類似の商品について使用する類似の商標(引用商標)が、本件商標の登録出願日以前に登録出願されていたのにもかかわらず、誤って設定登録されたものである。
よって、本件商標は、商標法第8条第1項に規定する先願登録主義に違反して登録されたものであるゆえ、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、引用商標の登録出願前に登録第1486997号商標「きじめん亭」の設定登録を受けており(以下、「乙第1号証商標」という。)、本件商標は乙第1号証商標の連合商標として設定登録されたものであると述べているが、乙第1号証商標の設定登録(昭和56年11月27日)後に、本件商標(平成元年3月22日登録出願)が平成4年5月22日設定登録されたということは、乙第1号証商標と本件商標との間に請求人が所有する昭和58年12月9日登録出願に係わる引用商標が平成4年4月30日に登録されている事実がありながら、本件商標が乙第1号証商標の連合商標として登録されたことになる。
換言するならば、特許庁は、本件商標は引用商標とは非類似の商標と判断して設定登録したことになる。
(2)本件商標がたとえ、乙第1号証商標の連合商標として登録出願したものであったとしても、引用商標に本件商標が類似しておれば、当然拒絶され設定登録を受けることができなかったものである。それを特許庁が設定登録したことは、社会取引上の秩序、及び社会の法秩序の混乱を招いた由々しき問題である。
(3)そもそも、請求人の前身「株式会社なごや」は昭和29年6月23日に、尾張の小麦どころ、江南東部に設立し、麺類の製造販売及び飲食業を開業したのがはじまりで、いち早く名古屋にきしめんを完全包装し化粧箱に詰め市販したところ、地元名古屋はもとより、東京でも大変な評判になり、その後各主要都市はじめ、やがてはニューヨーク、サンフランシスコ、ホンコン等の各国のすき焼店からも注文が来るようになった。東京の顧客からも是非東京へきしめん専門の店を出して欲しいとのすすめにより獅子文六が名付け親になり「きしめん亭」という店を数寄橋に開いた。この銀座店が1号店となり、その後大阪、名古屋、岐阜にも出店をだすことになり、各店共きしめんの名店と高く評価され、顧客から広く認識されるに至ったのである(甲第5号証)。
このように「きしめん亭」の商標(引用商標)は、名古屋にたった一軒のきしめん専門店の請求人の商標、商号(名称)として取引需要者間に広く認識され、更に著名となっていった実績が認められて、その後、引用商標は平成4年4月30日に特許庁にて設定登録されるに至ったのである(甲第3号証及び甲第4号証)。
(4)引用商標が存在しているのを承知の上、本件商標をその後(平成4年5月29日)に特許庁が設定登録したことは、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
この請求人の主張は決して審判請求の趣旨を補正することに当たるものではない。なぜならば、審判請求の審理の過程において自然派生的に生じてきたものであって、審判基準そのものを故意に曲げるものに当たらない。むしろ、このような事態に対しては職権主義を建前とする特許庁が進んで事実の究明解決に取組んでいくことこそが、商標制度を健全に育成していくことにつながるものである。
(5)現実に、本件商標は明らかに引用商標に類似するものであるゆえ、請求人は被請求人に「きしめん亭」及び「きじめん亭」の商標使用中止を通告した(甲第6号証)。
しかるに、被請求人の使用に係る商標「きじめん亭」は、被請求人の所有する本件商標の通常の使用であり、かつまた、包装紙の裏面の「きしめん亭」の表示は、同じく当人の所有する商標登録第3195441号の役務に関する店舗名を製造・販売元として記載したものであって、被請求人は、請求人の商標権を侵害するものではないと述べて、いまもって、「きじめん亭」商標はおろか、「きしめん亭」の商標をまで使用して公然と侵害行為を継続している(甲第7号証)。
(6)これは、もとをただせば、請求人所有の引用商標の先願が登録されているのにもかかわらず、特許庁が本件商標を登録したことが、被請求人を増長させる起因となったものである。
したがって、特許庁は、傍観して高見の見物を決めることは絶対に許されない。むしろ積極的に、本件商標が引用商標に類似しているか否かをこの際はっきり言明し、類似しているということならば即刻被請求人に本件商標の放棄手続する旨を強く勧告すべきである。そして、被請求人もいつ迄も公然と侵害行為をしておらず、その非を謙虚に受け止め、本件商標の放棄を確約することが同業者としての最低のモラルである。さもなければ、いたずらに無用の紛争が延々と続きかねない。その責は当然被請求人に振りかかることになる。除斥期間経過後といえども、その使用行為は違法行為に当る。
(7)以上、要するに、引用商標が存在するのにもかかわらず本件商標が設定登録されたことは、明らかに商標法第4条第1項第15号にいう他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標を登録したことに当り、本件商標は同号により無効とされるべきものである。無用な紛争を回避するために被請求人は本件商標を自主的に速やかに放棄すべきである。けだし、除斥期間といえども、本件商標の使用行為は違法行為に当たる。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
1 請求人は、本件商標は、その登録出願の日前に本件商標と同一又は類似の商品に使用する類似の引用商標が既に商標登録出願されていたにもかかわらず、登録されたものであるとし、本件商標は商標法第8条第1項の先願登録主義の規定に違反して設定登録されたものであると主張している。
しかしながら、商標登録が商標法第8条第1項の規定に違反してなされたものであることを理由として、その登録の無効を請求する審判は、その商標についての商標権の設定の日から5年を経過した後は請求することができないものであることは、同法第47条に規定されている。
しかるに、本件商標の商標権の設定の登録の日は、平成4年5月29日である。
これに対して、本件審判の請求日は平成15年12月5日であるから、本件審判の請求が本件商標の商標権の設定の登録の日から5年を経過した後のものであることは明らかである。
それゆえ、本件審判の請求は不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条により却下されるべきものである。
2 なお、本件無効審判について、請求人は引用商標に基づき、本件商標の登録が無効であると主張しているが、被請求人は、引用商標の登録出願前に、乙第1号証商標の設定登録を受けており、本件商標はこの登録商標の連合商標として設定登録されたものである。
また、被請求人の登録第1712007号商標(以下「乙第2号証商標」という。)は、引用商標の登録出願前の昭和54年1月19日に登録出願し、引用商標の設定登録前の昭和59年9月26日に設定登録されたもので、現在も存続している。
これらの商標登録出願及び設定登録の経緯から明かなように、乙第1号証商標及び乙第2号証商標より後に登録出願し、設定登録された引用商標にこそ本来無効事由が存在していたものである。

第5 当審の判断
1 本件商標は、上記第1のとおり、平成4年5月29日に設定登録されたものである。これに対し、本件審判が平成15年12月5日に請求されたものであることは、請求人による審判請求書及び当庁の記録から明らかである。
しかして、請求人は、本件審判の請求の理由として、本件商標が商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項によりその登録を無効にすべき旨述べている。
しかしながら、商標登録が商標法第8条第1項の規定に違反してされたことを理由として、その登録の無効を請求する審判は、該商標の設定の登録の日の日から5年を経過した後は請求することができないものであることは、同法第47条に規定するとおりである。
しかるに、本件審判の請求は、上記のとおり、本件商標の設定の登録の日の日から5年を経過した後になされたものであることが明らかである。
してみれば、本件審判の請求は、不適法なものであって、その補正をすることができないものといわなければならない。
2 請求人は、平成16年5月12日付けの弁駁書において、引用商標が存在しているのを承知の上、本件商標を設定登録したのは商標法第4条第1項第15号に違反するものである旨主張している。
しかしながら、請求人のこの主張は、当初審判請求書において主張していなかった請求の理由を新たに追加するものであり、請求の理由の要旨を変更するものである。そして、審判請求書の要旨を変更する補正が許されないものであることは、商標法第56条において準用する特許法第131条第2項(平成15年法律第47号による改正前の法律)の規定から明らかである。
してみれば、請求人のこの主張は採用することができない。
なお、仮に請求人のこの主張が審判請求書の要旨変更に当たらないとしても、商標法第4条第1項第15号違背を理由とする登録無効の審判は、不正の目的で商標登録を受けた場合を除き、商標権の設定の登録の日の日から5年を経過した後は請求することができないところ(同法第47条)、本件商標は不正の目的で登録されたものとは認められないし、請求人もこの点に関して何ら主張・立証していないから、やはり本件審判の請求は不適法なものであることに変わりはない。
3 以上のとおり、本件審判の請求は、不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定に基づき却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本件商標


別掲2
引用商標


審理終結日 2004-09-16 
結審通知日 2004-09-17 
審決日 2004-10-05 
出願番号 商願平1-31900 
審決分類 T 1 11・ 4- X (130)
T 1 11・ 271- X (130)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 鈴木 幸一石井 千里 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 三澤 惠美子
茂木 静代
登録日 1992-05-29 
登録番号 商標登録第2410857号(T2410857) 
商標の称呼 キジメンテイ 
代理人 大矢 須和夫 
代理人 向山 正一 
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