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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない Y03
審判 全部無効 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 無効としない Y03
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない Y03
審判 全部無効 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 無効としない Y03
管理番号 1108139 
審判番号 無効2004-35073 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-02-04 
確定日 2004-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4730734号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の無効の審判
1 本件商標
本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4730734号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成15年4月17日に登録出願され、第3類「尿素とヒアルロン酸を配合してなる化粧水」を指定商品として、平成15年10月27日に登録査定、同年12月5日に設定登録されたものである。
2 本件商標登録の無効の審判
本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法3条1項3号、同4号、同5号及び同6号に違反して登録されたものであるとして、同法46条により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出した。
本件商標は、商標法3条1項3号、同4号、同5号及び同6号該当し、同法46条1項1号により、無効にすべきものである。
1 請求の理由
(1)商標法3条1項3号について
本件商標は、その構成中に「尿素とヒアルロン酸の化粧水」の文字を有するが、これらの文字は、商品の原材料と用途を表示したにすぎない。
即ち、商品「化粧水」が「尿素とヒアルロン酸」によって構成されていることを表すものである。
この点については、甲第1号証の商標公報及び登録原簿において、その指定商品が「尿素とヒアルロン酸を配合してなる化粧水」として登録されていることや甲第2号証の訴状の記載(第5〜6頁)において、被請求人自身も識別力がないことを認めていることからしても明らかであるが、請求人は念のため、さらに下記の資料を提出する。
商願2003-40294 (甲第3号証)
指定商品の表示として「尿素20%を配合した…」と記載されているように「尿素」は、商品の原材料を表す。
商標登録第4692749号(甲第4号証)
指定商品の表示として「ヒアルロン酸を主成分として…」と記載されているように、「ヒアルロン酸」は、商品の原材料を表す。
商願平11-102836号(甲第5号証)
商願平11-103949号(甲第6号証)
商願2000-67903 (甲第7号証)
商標中に「ヒアルロン酸」の文字を有するが、これらの商標は、商標法3条や同法4条1項16号によって、拒絶されていることから「ヒアルロン酸」は、商品の原材料を表す。
指定商品「尿素」に関する特許電子図書館資料「商品・役務名リスト」(甲第8号証)
指定商品の表示として「尿素」と記載されているように、「尿素」は、商品の原材料を表す。
指定商品「ヒアルロン酸」に関する特許電子図書館資料「商品・役務名リスト」(甲第9号証)
指定商品の表示として「ヒアルロン酸」と記載されているように、「ヒアルロン酸」は、商品の原材料を表す。
これらの資料からみても、本件商標中の「尿素とヒアルロン酸の化粧水」の文字は、明らかに商品の原材料を表示するものである。
ところで、被請求人は、甲第2号証の訴状(第5〜6頁)において、本件商標の要部は、「ヒアルロン酸」と「尿素」の文字の大きさが異なる配列にあると主張している。
しかしながら、被請求人が出願した下記の商標が商標法3条1項各号又は商標法4条1項16号によって、拒絶されていることからしても、その根拠が疑わしく、単なる文字の大きさや配列だけでは識別力がなく、商標法3条1項3号の「普通に用いられる方法で表示する」の域を出ないものと考えられる。
商願2000-99119 (甲第10号証)
商願2000一99120 (甲第11号証)
商願2000-99121 (甲第12号証)
即ち、これらの商標は、本件商標と同じように、文字の大きさや配列が異なる商標であるが、識別力がないとして拒絶されている。
したがって、本件商標も単なる文字の大きさや配列が異なる程度では、識別力がないものであり、商標法3条1項3号に該当するものである。
(2)商標法3条1項4号について
本件商標は、その構成中に「石澤研究所の」の文字を有するが、この文字は、ありふれた氏に「研究所の」を結合しているのみである。「石澤」がありふれた氏であることは、詳細に述べるまでもないことと考える。
また、「研究所」の文字も、甲第13号証の商標審査基準に例示されていることから、これらの文字に「の」の文字を結合したところで、その事情が変わるものとは到底考えられない。
この点については、被請求人自身も甲第2号証の訴状の記載(第5〜6頁)において、識別力がないことを認めている。
したがって、本件商標は、商標法3条1項4号に該当するものである。
(3)商標法3条1項5号について
本件商標は、「石澤研究所の」と「と」の文字に輪郭を有するが、これらの輪郭は普通に用いられるもので、甲第14号証の商標審査基準にも例示されているように、これをもって自他商品の識別力を有するものではない。
したがって、本件商標は、商標法3条1項5号に該当するものである。
(4)商標法3条1項6号について
本件商標は、商品の原材料、用途とありふれた氏及び輪郭として普通に用いられる形状を組み合わせて表示したものであり、商標法3条1項3号、同4号、同5号には該当しない可能性がある。
しかしながら、本件商標が、自他商品の識別力のない商標であることは、前述の通り明らかであり、商標法3条1項3号、同4号、同5号に該当しない場合には、識別力に関する登録要件の総括規定である商標法3条1項6号に該当するものである。
このように、識別力のない語を結合した商標が商標法3条1項6号に該当することは、下記の審決例からも明らかである。
昭和57年審判第21254号(甲第15号証)
平成9年審判第12270号 (甲第16号証)
(5)むすび
前記したように、本件商標は、自他商品の識別力のない商標であり、商標法3条1項3号、同4号、同5号、同6号に該当するものであるから、同法46条1項1号によって無効にすべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人の平成16年4月6日付提出の審判事件答弁書に対し、以下の如く弁駁する。
まず、被請求人は、本件商標中の「石澤研究所の」の部分は、ありふれた氏又は名称に当たらず、識別力があると主張している。
しかし、「石澤」なる氏は、特にめずらしい氏ではなく、世間にありふれてみられる氏である。また、その氏に「研究所」の文字を結合したところで、ありふれた名称の域を出ないことは、審判請求書に添付した甲第13号証の商標審査基準からも明らかである。
したがって、被請求人の「石澤」は、固有名詞であり、「石澤研究所」は、法人としての固有名詞であるという主張は失当である。
しかも、被請求人は、審判請求書に添付した甲第2号証の訴状の記載において、「石澤研究所の」の部分については、はっきり識別力がないことを認めている。
このように、一方では識別力がないと主張し、他方では識別力を有すると主張する被請求人の主張は、全く矛盾に満ちたものであり、禁反言の原則からみても到底受け入れられるものではない。
(2)また、被請求人は、本件商標は、使用により識別性を有すると主張している。
しかし、被請求人の提出した証拠を見てみると、ほとんどが構成要素の一部である「石澤研究所の」の部分を欠いた使用である(一部、不鮮明なものについては、同一か否か確認ができない)。使用により識別力を有するためには、その商標と同一の商標を使用していることが必要であり、商標法3条2項に関する商標審査基準にも明示されているように、僅かな書体の相違でも認められないものである。
このように、厳しい基準が存在するにも拘わらず、その構成要素の一部を欠いた使用によって、識別力が生じるようなことは考えられない。したがって、被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第12号証における使用では、使用による識別力を備えたものと言えないものである。
ましてや、被請求人は、本件商標は、結合商標として要素イ〜ニを一体不可分にみるべきと主張(審判事件答弁書第2頁8〜9行目)している。
一体不可分であるのなら、一体不可分で使用して、初めて識別力が生じるものではないのか。また、「石澤研究所の」の部分が、被請求人の主張のように識別力があるというのなら、何故識別力がある部分を使用しないのか。
このような点においても、被請求人の主張は矛盾している。
(3)以上述べたように、被請求人の主張は、矛盾に満ちたものであり、到底認めることはできないものである。
したがって、本件審判については、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む)を提出した。
1 審判請求の理由の認否
(1)請求人は、無効理由として本件商標は商標法3条1項3号ないし同項5号のいずれかに該当する、と主張している。
本件商標は下記に示すとおり、イ〜ニの各要素が不可分一体に結合した結合商標である。
イ 上1行目に 石澤研究所の
ロ 縦1行目に 尿素と(との文字は●に白抜き)
ハ 縦2行目に ヒアルロン酸の
ニ 縦3行目に 化粧水
(2)請求人は、(請求の理由)の商標法3条1項3号については要素ロ及び同ハである「尿素とヒアルロン酸」を、また同3条1項4号及び同3条1項5号では要素イ「石澤研究所の」を、それぞれ本件商標中から抜き出して論じている。しかしながら、本件商標は結合商標であるから要素イ〜ニを一体不可分にみるべきであり、請求人の判断方法は誤りである。
(3)要素イにおける「石澤研究所の」の表示は出所を表示するものであるから、この要素イを含む本件商標に出所の識別力があること明らかである。
請求人は、「石澤」はありふれた氏であるというが、「石澤」は固有名詞である。また「石澤研究所」は法人としての固有名詞である。石澤研究所という名称が日本国に被請求人以外に存在し得るとしても、本件商標はありふれた氏又は名称に当たらない。
ましてや、上記要素イ〜ニからなる本件商標は、「石澤研究所の」という出所表示及び「尿素と(との文字は●に白抜き)ヒアルロン酸」とを含んでいるから、本件商標は「商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法3条1項3号)に該当しない、また「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(同4号)に該当しない。また、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」(同5号)にも該当しないし、「需要者が何人かの商品であることを認識することができない商標」(同6号)にも該当しない。
(4)使用による顕著性
(ア)被請求人は、平成14年2月以来「尿素とヒアルロン酸の化粧水」(被請求人商品)を販売しており、また同商品に、乙第1号証〜第7号証に示す商標(以下、本件使用商標という)を使用している。そして本件使用商標は下記のとおりであり、本件商標と同一又は類似する商標である。
透明な縦長円筒形状の容器外周面に「尿素」と縦書きしこの文字と平行に「ヒアルロン酸」を縦書きし、前者の「尿素」の文字の大きさが後者の「ヒアルロン酸」より大きい文字の配列であり、また文字の色はベイジュ(らくだ色)を基調にしている。
(イ)広告媒体及び雑誌等(乙1〜乙7)
これらの媒体は全て、被請求人の商品「尿素とヒアルロン酸の化粧水」の本件使用商標を掲載し紹介している。
(ウ)流通関係
被請求人の本件商品の主たる流通経路は3つある。
(a)株式会社井田両国堂を一次卸として、その傘下にある全国の1905の得意先店舗(乙8)に、商品名を略号「イシザワニョウソケショウスイ」(同号証右端)として流通し、消費者に販売されている。また、同号証中の NO.1からNO.6は二次卸で得意先名NO.4「フタミリョウゴクドウ」はその傘下に160店舗を有している。
また、その他の二次卸店も数十店舗を有している。したがって、この流通では少なくとも全国2100店舗で被請求人の本件商品を販売している。
(b)株式会社カワタキコーポレーション(京都府伏見区)を-次卸とする流通がある。同社から全国各地の生協を経て販売される。
(c)株式会社りゅうたん(沖縄県那覇市)を-次卸とする。同社はインターネット通信販売で本件商品を販売している。
(d)販売促進実績販売開始(平成14年2月)直後のプロモーションとして同年2月〜10月になされた報告書を提出する(乙9号証の1〜6)。
・大宮ロフト(同年2月27日〜4月8日、同号証の1)
結果報告「バカ売れ!! 1週間で92ケペースでした。」
・聖蹟アートマン(同年3月1日〜5月14日、同号証の2)
結果報告「積むだけ売れる!とかなり好評」
・府中キクヤ(同年3月6日〜5月6日、同号証の3)
結果報告「久々のヒット化粧水だった。しっとり系は年間通して売れるので安心!」
・梅田ロフト(同年9月21日〜同号証の4)
結果報告「積めば積むだけ売れる。化粧水200本以上」
・聖蹟アートマン(同年9月25日〜11月21日、同号証の5)
結果報告「売れているので延長して行いました。」
・大宮ロフト(同年10月3日〜10月24日、同号証の6)
結果報告「化粧水はかなりの回転。今では定番でもGood!」
(エ)経済社会的背景
「尿素とヒアルロン酸を商品表示中に記載した化粧水」を販売したのは被請求人が初めてである。そして、「顔と尿(尿素)」との結合には矛盾乃至抵抗感があり、この抵抗感に逆行して被請求人は「尿素とヒアルロン酸を商品表示(商品の顔)中に記載」した化粧水を業界で初めて販売した。恰も一つのショック療法(表示)であり、「尿素とヒアルロン酸の化粧水」の人気は予想外とはいえ高かった(乙9の1〜6)。このことは、流通大手の「『尿素とヒアルロン酸の化粧水』という大胆かつ絶妙なパッケージデザインそのものが嘗て無い特徴の有る商品ならびに商品名として広く一般消費者間に浸透し、認知されております。」との評価に端的に示されている(乙10下段)。
(オ)被請求人商品表示と商品の関連及び出荷本数
2002年(平成14年)2月に販売を開始して以来今日まで、被請求人の商品に使用している本件使用商標を変えたことはない。
また、出荷本数は上記販売開始以来2002年12月までに15万3,541本、2003年1年間で25万7,472本及び2004年1月は22,104本の実績となっており、合計433,117本(乙11)となっている。この業界で20万本以上売れればヒット商品であり(乙10上段)、本件商品はその出荷本数からみて、空前のヒット商品といえる。
(カ)市場での関心
今回、インターネットで、「尿素」、「ヒアルロン酸」及び「化粧水」を組み合わせたキーワードで検索サイト「YAHOO」及び「Google」を検索し、ヒットしたコンテンツについて一つ一つどこの化粧水かを調べた。その結果は下記(乙12号証)のとおりであり、被請求人の本件商品の知名度は極めて高い。
・キーワード「尿素とヒアルロン酸の化粧水」
「YAHOO」 39件中34件が本件商品の記事。5件は不明。
「Google」 57件中49件が本件商品の記事。8件は不明。
・同「尿素+ヒアルロン酸の化粧水」
「YAHOO」 4件中3件が本件商品の記事。1件は不明。
「Google」 4件中3件が本件商品の記事。1件は不明。
・同「尿素ヒアルロン酸化粧水」
「YAHOO」 2件中2件が本件商品の記事。
「Google」 12件中10件が本件商品の記事。2件は不明。
また、「YAHOO」の記事中、記事番号17の参考文献「ELLE」には「衝撃的な二大保湿成分が、そのまま商品名になっている。今年の2月に発売されて以来のヒット商品「尿素とヒアルロン酸」シリーズ」が、また同20の文献「バイト日記」には「尿素?と思う人もいるかもしれません。しかし、昨今では「尿素とヒアルロン酸の化粧水」(石澤研究所)という、そのまんまなネーミングの(中略)商品も流通しているのでドラッグストア好きの婦女子にとってはおなじみですね。」が記載されている。
(キ)以上のとおりであるから、本件商標及びこれと同一又は類似する本件使用商標は、流通関係者および一般消費者から特定人(被請求人)の商品表示として認識され、自他識別機能を有している。
また、この特定人とは需要者において被請求人自身であることを認識する必要はない。本件使用商標によって特定される本件商品は「同一人の製造販売するものであり出所において同一性があること。」が知られれば足りる。かつ、この同一性によって品質の同一性が保証されている。
さらに、本件商品の合計20万本の販売実績を達成した、平成15年2月末時点で本件商標及び本件使用商標は被請求人の商品表示として需要者に認識されている。

第4 当審の判断
1 本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中、「尿素」の文字を極端に大きく表し、その下に黒円内に白抜きの「と」の文字を配し、これらの文字の左側に「ヒアルロン酸の」の文字と「化粧水」の文字を3列に縦書きしてなる部分は、一般に化粧品においては、容器外周面に主成分を大きく、目立つ態様で表示することが普通に行われているところであり、本件商標の上記文字部分の表示態様も、他の化粧品における主成分表示の表示態様と格別異なる態様とは認め得ないものであるから、これに接した需要者は、該文字部分については、単に、「尿素とヒアルロン酸を配合してなる化粧水」という本件商標の指定商品の品質、内容を示す表示であると認識し、自他商品の識別標識としての機能を果たす表示であると認識することはないと解するのが相当である。
2 被請求人は、平成14年2月以来、本件商標と同一又は類似する商標である「尿素とヒアルロン酸の化粧水」の商標をもって被請求人商品を販売し、これが使用による顕著性を獲得している旨主張し、乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む)を提出している。
そこで検討するに、乙第1号証は、被請求人の商品を宣伝するウェブサイトであるところ、ここには、「化粧水」と思しき商品の容器の表面に、本件商標構成中のものと近似する態様で「尿素と」(「と」の文字は、円内に白抜きで表されている。)、「ヒアルロン酸の」、「化粧水」の各文字よりなる標章(以下、この態様の標章を「被請求人使用標章」という。)が表示されている。
しかるところ、この容器における表示をみる限りでは、前記「1」で述べたとおり、これが自他商品を識別するための標識として使用されているとはいえず、かえって、商品の容器が表示されている部分の上部には、「『水を呼ぶ』尿素」、「水分を引き寄せる効果のある尿素と」、「その水分を保つ効果の高いヒアルロン酸を配合しました。」との表示があり、容器が表示されている左側には、「尿素で潤いがずーっと続くそのわけは?」との表示がされ、右上部分には、「ヒアルロン酸にはどんな働きや効果があるの?」との文字が表示されており、次葉においても、「尿素で肌をしっかり保温」、「ヒアルロン酸・グリセリン・6種の植物エキスも配合」との文字とともに、被請求人使用標章が付された「化粧水」の容器が表示されていることから、当該容器に表示された被請求人使用標章は、当該「化粧水」の原材料や品質を記述的に表示したものと理解されるとみるのが自然であり、これが、自他商品を識別する標識として認識されるとは、直ちにはいい得ないものである。
このほか、乙第2号証ないし同第7号証に徴しても、容器に被請求人標章が表示された「化粧水」が宣伝されてはいるものの、そこには、上記乙第1号証の場合と同様に、被請求人使用標章の表示とともに、尿素やヒアルロン酸が商品の原材料として使用されている旨等の記述がなされており、これらによれば、被請求人使用標章が、自他商品を識別する標識として認識されるといえる方法で使用されていたとすることはできないものである。
そうとすれば、乙第8号証に示される取引、同第9号証(枝番を含む。)に示される営業報告、同第10号証内容の証明、同第11号証に示される販売量、同第12号証の陳述書をもってしては、被請求人の取り扱いに係る商品である「化粧水」の取引内容がそれなりに把握できるとしても、被請求人使用商標の顕著性の証明とすることはできないといわなければならない。
したがって、被請求人が提出した乙各号証をもってしては、本件商標の登録査定時である平成15年10月の時点において、取引者・需要者により、被請求人使用標章が、同人の取り扱いに係る「化粧水」の出所を表示する標識であるとの認識がされ、自他商品の識別機能を果たしていたと認めることはできないものであり、上記の被請求人の主張は採用することはできない。
3 しかしながら、本件商標の上部には、横長の長方形内に書された「石澤研究所の」の文字部分は、「石澤」(石沢)という氏がありふれたものであり、また、「研究所」が格別識別力を有しないものであるとしても、このことから当然に本件商標中の該「石澤研究所(の)」の文字部分が本件審判の請求の理由の各条項所定の商標に該当するものとするのは相当でなく、むしろ、「石澤」と「研究所」が結合した表示を基準として本件商標の識別性を判断すべきものと解される。
しかして、インターネットによる「タウンページ東京版(「日本電信電話株式会社」の登録商標)」において「石澤研究所」を検索したところ、被請求人のみが検索されることから、本件商標中の「石澤研究所」の表示が、自他商品の識別力を有しないほどありふれたものであるとまでは認め難いところである。
また、商標法3条1項6号は、「需要者がその商品が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない」ことを商標の不登録事由としているものであって、本件商標中の「石澤研究所」の表示は、自他商品の識別力を果たし得ないほどにありふれたものとまでは認められない。
4 してみれば、本件商標は、その構成中の「石澤研究所」の表示をもって自他商品を識別することができるといえるから、本件商標をその指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないとすることができないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法3条1項3号、同4号、同5号及び同6号に違反して登録されたものではないから、同法46条1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
本件商標(登録第4730734号商標)

審理終結日 2004-09-10 
結審通知日 2004-09-14 
審決日 2004-09-27 
出願番号 商願2003-36106(T2003-36106) 
審決分類 T 1 11・ 14- Y (Y03)
T 1 11・ 15- Y (Y03)
T 1 11・ 13- Y (Y03)
T 1 11・ 16- Y (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2003-12-05 
登録番号 商標登録第4730734号(T4730734) 
商標の称呼 イシザワケンキュージョノニョーソトヒアルロンサンノケショースイ、イシザワケンキュージョノ、ニョーソトヒアルロンサンノケショースイ、イシザワケンキュージョ、イシザワ 
代理人 足立 勉 
代理人 安田 有三 

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