• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1106809 
審判番号 取消2003-31105 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-08-20 
確定日 2004-11-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4010351号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4010351号商標(以下「本件商標」という。)は、「コスメディカルズ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成8年1月19日登録出願、第3類「せっけん類(薬剤に属するものを除く),化粧品(薬剤に属するものを除く)」を指定商品として、平成9年6月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるベきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証ないし乙第6号証に示した「貴方は、もっと美しい/見てもらうことから魅せることへ/コスメディカルズのご紹介」との表題が記載されたパンフレット(以下「パンフレットA」という。)及び「ジュビネレディーの1日」との表題が記載されたパンフレット(以下「パンフレットB」という。)をみるに、これらには、「コスメディカルズ」の文字が使用されていることは確認できるが、その他にも「ジュベリアコスメディカルズ」、「コスメディカルズ式」の文字も商品説明文の中に同時に使用されており、「コスメディカルズ」の文字は、被請求人の商号の一部であることから、同人の商号の略記と認識される場合があるとしても、自他商品の識別標識として直接具体的商品等に使用されていたものとも認めることができないものである。
また、請求人の調査によれば、被請求人は、通信販売の方法によってその商品を販売しているものであり、パンフレットA及びBは、その記載内容並びに添付の商品購買者の証明書内容からみて、「商品取扱説明書」として商品に添付して直接商品購買者にのみ提供されるものと認められ、これは、カタログとして不特定多数を対象として頒布されたものとは認められないから、これらパンフレットに使用されている「コスメディカルズ」の文字は、商標法第2条第1項第3号(「商標法第2条第3項」の誤記と認める。)に規定する商標の「使用」に該当しないものである。
(2)乙第7号証及び乙第8号証は、上記パンフレットA及びBが有限会社オクムラ印刷(以下「オクムラ印刷」という。)により印刷され、被請求人に納入された事実を証明するにとどまり、これらパンフレットが不特定多数を対象にして頒布されたことを証明するものではない。
また、これらが示すパンフレットAの印刷枚数が4,900枚、パンフレットBが2,000枚という数は、一般需要音に広く頒布するにはいかにも少なすぎるものであり、これも、これらが購買製品の取扱説明書としてしか使用されなかったという証拠である。
(3)パンフレットA中には、「特許出願中」の文字を用いて商品の優秀性を印象付けようとする記載や、「★」印の数で商品の効果を示そうとする記載があるが、これらの記載は、薬事法及び景品表示法上問題があるところであって、仮にこれらが一般需要者に広く頒布されているとすれば規制の対象となる可能性が高いものである。これは、パンフレットBも同様であって、このように問題の多いパンフレットが公に広く頒布されたとは到底考えられないところであり、このことによっても、これらが通信販売による購買者に商品取扱説明書として添付されたにすぎないものであることが明らかである。
(4)乙第9号証は、「コスメディカルズ」の文字が商標として使用されていた事実を立証するものでないことは明らかである。
(5)以上、乙各号証を総合勘案しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものとは認められないものである。また、請求人の調査によれば、この他に、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が「せっけん類、化粧品」に含まれる商品について本件商標を使用しているという事実は確認できなかったものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 使用の事実
(1)本件商標権者(被請求人)は、平成13年8月2日に、化粧品「ビューリゲン-ionicin 80ml(商品名)」を、東京都世田谷区太子堂5-4-3-205に所在の田中有紀に販売した際、本件商標が使用されたパンフレットAを上記田中有紀に譲り渡した(乙第2号証)。
(2)被請求人は、平成13年12月3日に、化粧品「ディローションD-ionic(商品名)」、「ナイトローションN-ionic(商品名)」、「ジュビネ-ionicin 45ml(商品名)」、「ビューリゲン-ionicin 25ml(商品名)」を、静岡県駿東郡長泉町下土狩203-5に所在の森川玲美に販売した際、パンフレットA及びBを上記森川玲美に譲り渡した(乙第3号証)。
(3)被請求人は、14年2月6日に、化粧品「ディローションD-ionic(商品名)」、「ナイトローションN-ionic(商品名)」、「フィロストニック アイゾメ-ionic(商品名)」、「ラ・ボーソマイロン(商品名)」を、静岡県田方郡函南町柏谷680-10に所在の芦沢和江に販売した際、パンフレットA及びBを上記芦沢和江に譲り渡した(乙第4号証)。
(4)被請求人は、平成14年6月19日に、化粧品「ディローションD-ionic(商品名)」、「ラ・ボーソマイロン(商品名)」、「アノインテーム(商品名)」、「エンブラスクリオネ-ionicaリフィル用(商品名)」を、静岡県裾野市稲荷216-6に所在の加藤照美に販売した際、パンフレットA及びBを上記加藤照美に譲り渡した(乙第5号証)。
(5)被請求人は、平成14年12月16日に、化粧品「ディローションD-ionic(商品名)」、「ナイトローションN-ionic(商品名)」、「フィロストニック アイゾメ-ionic(商品名)」、「ジュビネ-ionicin(商品名)」、「ビューリゲン-ionicin 25ml(商品名)」を、静岡県三島市芝本町7一16に所在の五十嵐美砂に販売した際、パンフレットA及びBを上記五十嵐美砂に譲り渡した(乙第6号証)。
(6)オクムラ印刷は、パンフレットA及びBを印刷し、前者は平成13年3月28日に、後者は平成13年9月26日に被請求人に納入した(乙第7号証の1ないし乙第8号証の2)。
(7)パンフレットA中に記載の「特許出願中」とは、乙第9号証に示す特開2002-104950号公報記載のものであり、該特許出願は平成12年9月27日になされている。
2 以上のことより、本件商標権者は、起算日以前に本件商標を指定商品「せっけん類、化粧品」に使用している事実があるから、本件商標は、その指定商品についての登録は、取消されるべきでない。

第4 当審の判断
1 請求人は、使用に係る商品が請求に係る指定商品中に含まれる「石鹸、化粧品」であること、使用者が本件商標権者(被請求人)であることについては、争うことを明らかにしていない。
そこで、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用に係る商品について使用されたか否かについて、以下検討する。
2 乙第2号証ないし乙第8号証の2によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証ないし乙第6号証に添付のパンフレットは、表紙の上部に「貴方は、もっと美しい/見てもらうことから魅せることへ/コスメディカルズのご紹介」との表題が記載され、その下部に「ジュベリア コスメディカルズ」と記載されたパンフレット(パンフレットA)と、表紙の上部に「ジュビネレディーの1日/コスメディカルズの使い方」との表題が記載され、その下部に「ジュベリア コスメディカルズ」と記載されたパンフレット(パンフレットB、但し、パンフレットBは、乙第2号証には添付されていない。)であるところ、パンフレットAの3枚目には、「コスメディカルズは、『トラブル解消と老化防止を同時に!』が目的です」、「コスメディカルズを使い切るまで効果が持続」などの記載があり、同4枚目には、「コスメディカルズ全8品で、」、「ジュベリアコスメディカルズは、肌と髪を徹底して科学した独自の理論を持っています。その理論は全てのコスメディカルズと、その使い方に集約・反映されています。」などの記載がある。また、パンフレットBの1枚目の左側には、「“コスメディカルズの正しい使い方ビデオ”」の記載があり、同3枚目には、「コスメディカルズで、健康・素肌美人に!!/ジュベリアではマイナスイオンをコスメディカルズに応用」、「コスメディカルズは今までの化粧品と考え方が根本的に異なります。」、「お届けのサンプルはコスメディカルズ全8品が揃っております」などの記載がある。
(2)乙第2号証ないし乙第6号証に添付の「ご注文明細書」は、受付日を2001年(平成13年)8月2日から2002年(平成14年)12月16日にかけてのものであり、取引があった商品は、パンフレットAに掲載された商品「ビューリゲン-ionicin 80ml」、「ディローションD-ionic」等である。
(3)乙第2号証ないし乙第6号証に添付の証明書は、上記(2)の「ご注文明細書」における注文者が注文書に記載の商品を購入したこと及びパンフレットA及びBを受け取ったことを証明するものである(但し、乙第2号証に添付のものについては、パンフレットAのみ。)。
(4)乙第7号証の1ないし乙第8号証の2は、オクムラ印刷が被請求人に宛てたパンフレットA及びBについての、平成13年3月28日付け及び同年9月26日付けの納品書である。その内訳は、パンフレットAが4,900部、パンフレットBが2,000部である。
3 前記2で認定した事実によれば、商標権者(被請求人)は、本件審判の請求の登録日(平成15年9月10日)前3年以内である2001年(平成13年)8月2日から2002年(平成14年)12月16日にかけて、本件商標の指定商品中に含まれる「ローション(化粧品)、ペースト石鹸」等について、本件商標を使用していたと認め得るところである。
4 パンフレットA及びBに関する請求人の主張について
(1)請求人は、パンフレットA及びBには、「コスメディカルズ」のほか、「ジュベリアコスメディカルズ」、「コスメディカルズ式」の文字も同時に使用されており、「コスメディカルズ」の文字は、被請求人の商号の一部であることから、同人の商号の略記と認識される場合があるとしても、自他商品の識別標識として直接具体的商品等に使用されていたものとも認めることができない旨主張する。
しかしながら、前記2(1)で認定したとおり、パンフレットA及びBの表紙には、「コスメディカルズのご紹介」、「コスメディカルズの使い方」との記載があるばかりでなく、商品の説明文と認められる「コスメディカルズを使い切るまで効果が持続」、「コスメディカルズ全8品で、」、「コスメディカルズは今までの化粧品と考え方が根本的に異なります。」、「お届けのサンプルはコスメディカルズ全8品が揃っております」との記載も認められる。加えて、「ジュベリアコスメディカルズは、肌と髪を徹底して科学した独自の理論を持っています。その理論は全てのコスメディカルズと、その使い方に集約・反映されています。」、「コスメディカルズで、健康・素肌美人に!!/ジュベリアではマイナスイオンをコスメディカルズに応用」のように、被請求人の商号の略称と商品に使用する商標とを使い分けた記載が認められるところからすれば、パンフレットA及びBに表示された「コスメディカルズ」は、被請求人の取扱いに係る商品に使用される商標と理解されるというべきである。
(2)請求人は、被請求人の販売方法は、通信販売であり、また、パンフレットA及びBは、その記載内容並びに添付の商品購買者の証明書内容からみて、「商品取扱説明書」として商品に添付して直接商品購買者にのみ提供されるものと認められ、不特定多数を対象として頒布されたものでないから、これらパンフレットに使用されている「コスメディカルズ」の文字は、商標法第2条第3項に規定する商標の「使用」に当たらない旨主張し、さらに、パンフレットAの印刷枚数が4,900枚、パンフレットBが2,000枚という、一般需要者に頒布するには少なすぎる枚数であることから、これらが購買製品の取扱説明書としてしか使用されなかったという証拠である旨主張する。
しかし、パンフレットA及びBの頒布方法が商品購買者のみに限られたものであるという明確な証拠は存在しないのみならず、パンフレットA及びBの印刷注文が1回限りのものであるという明確な証拠も存在しない。
また、仮にパンフレットA及びBが、商品購買者のみに頒布されるものであるとしても、被請求人の取扱いに係る商品を広告するためのものとして何ら機能を発揮していないということできないし、単なる商品の説明書であったとしても、商品の取引書類の一形態といえるから、当該登録商標が表示されているとすれば、商標の使用に当たらないとすることはできない。
付言すれば、パンフレットA及びBは、その記載内容からみれば、単なる商品の説明書でなく、商品の広告機能を兼ね備えたものであることは明らかである。
(3)その他パンフレットA及びBに関する請求人の主張は、その主張を裏付ける証拠が何ら提出されていないものであるから、認めることはできない。他に前記3の認定を覆すに足る証拠の提出はない。
5 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品について、その登録を取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-02-24 
結審通知日 2004-02-27 
審決日 2004-03-09 
出願番号 商願平8-4176 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 1997-06-13 
登録番号 商標登録第4010351号(T4010351) 
商標の称呼 コスメディカルズ 
代理人 三好 秀和 
代理人 三好 保男 
代理人 野末 寿一 
代理人 入江 一郎 
代理人 加藤 静富 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ