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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1103400 
審判番号 取消2003-30099 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-01-27 
確定日 2004-09-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4186781号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4186781号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4186781号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成9年5月21日に登録出願され、第25類「被服,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年9月11日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出している。
請求の理由
(1)本件商標は、アルファベットの大文字で「WORLD BEAR」を横書きしてなる構成のものであるが、その通常使用権者であり、後に商標権者となっている被請求人が、指定商品について本件商標に類似する商標の使用をすることによって、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる行為をしているので、その登録は取り消されるべきものである。
(2)まず、被請求人は、本件商標を所有している(甲第1号証)。
なお、本件商標権に関し、平成14年9月12日付で、有限会社三幸商会から被請求人に対する移転登録申請がなされ、本件商標権は被請求人に譲渡されている。
(3)本件商標の商標登録権者であった有限会社三幸商会は、少なくとも平成14年7月26日時点において、被請求人に対し、本件商標の通常実施権を許諾していた。このことは、平成14年7月16日付で、請求人が被請求人に対して送付した警告書(甲第2号証)に対する、被請求人からの平成14年7月26日付回答書(甲第3号証)で、被請求人自ら認めており、明らかである。
(4)被請求人は、甲第4号証の写真の被写体である「WORLD Bear」を横書きしてなる構成の商標を付した半袖シャツ・半ズボンの上下セット(以下「本件商品」という。)を販売している。
本件商品が被請求人の販売に係るものであることは、本件商品のタグ(甲第5号証)から明らかである。また、前述した被請求人からの回答書(甲第3号証)から、少なくとも平成14年7月26日の時点で、被請求人が本件商品を販売していたことは明らかである。
そして、甲第5号証には、「この製品は、日本国内商標登録第4186781号に登録されたことに基づき企画・生産されたものです。」と記載され、また、甲第3号証の回答書で、被請求人は本件商標の使用許諾を受けて本件商品の販売を行っていた旨を回答していることから、被請求人は、本件商品に付された商標が、本件商標と同一乃至類似であることを自認していることは明らかである。
また客観的にも、本件商品に付された商標は、「WORLD」の部分を「Bear」の部分に比して極めて小さく書し、また「BEAR」の部分を「Bear」と変更し、熊の図形を付記したものであるが、アルファベットの文字部分を見るに、大文字と小文字の違いを除けば、本件商標とアルファベットの綴りが全く同一であり、「Bear」の部分は「BEAR」の2文字目以降をアルファベットの小文字にしたに過ぎないことから、本件商標に類似することは明らかである。
そして、半袖シャツ・半ズボンの上下セットが、本件商標の指定商品の被服に該当することは明らかである。
よって、被請求人は、本件商標に類似する商標を、その指定商品について使用しているものである。
(5)一方、請求人は、登録第4419412号商標(甲第6号証)を所有し、また使用している。
また、請求人は、平成8年頃から、上記の登録商標を使用した「ジャケット」、「ティーシャツ」等を日本に輸入し、日本国内での販売を行っている(甲第7号証乃至甲第11号証)。
請求人商標を使用した商品は、日本国内でも好評を博し、大々的に販売されていることから、請求人商標は日本国内で周知乃至著名となっているが、そのため請求人の商品と混同を生じさせるような商品が多く出回るようにもなり、請求人は、取引者、消費者の注意を喚起するための広告を出すなどの対応を迫られている(甲第11号証)。
(6)そして、本件商標の通常使用権者であった被請求人が、前述のような本件商標と類似した商標を使用することによって、請求人の業務に係る商品と混同を生じる問題が発生している。
すなわち、被請求人は、本件商標の「WORLD」の部分を、「BEAR」の部分に比して極めて小さく書するように変更し、それに止まらず、請求人が所有し且つ使用している請求人商標の熊の図形に酷似した図形を付加しているため、請求人の使用する商標と酷似する構成となり、このような変更商標を、請求人の販売する「ジャケット」、「ティーシャツ」等の商品と同一乃至類似の商品である「半袖シャツ・半ズボンの上下セット」に使用することによって、請求人の業務に係る商品と混同を生じる問題が発生しているのである。
(7)なお、被請求人が上記の使用をした当時の商標権者は有限会社三幸商会であったところ、その取締役である渡邊勝正氏は、被請求人の代表取締役である(甲第12号証及び甲第13号証)。よって、両社には密接な関係があることは明白であり、有限会社三幸商会が不正使用の事実を知らなかったなどとは到底考えられない。
(8)なお、現在の商標権者である被請求人は、通常使用権者による不正使用が確認されている時点の商標権者から本件商標権の譲渡を受けた者であって、不正使用が確認されている時点での商標権者ではない。
しかし、商標法第53条第1項が使用権者の不正使用にすぎない場合でも登録商標の取消という商標権者に対する一種の制裁を設けている理由の1つは、商標権者は使用許諾の際、使用権者の使用につきコントロール可能であったにもかかわらず、これを怠り、需要者を混乱させる結果を生じた場合には、商標権者も制裁を免れる謂われはないという点にあると解される。
しかるに、被請求人は不正使用をしていた当事者なのであるから、まさに責任を問われるべき当事者であり、この譲渡をもって取消を免れるのであれば、不正使用者は2社の別法人を利用することで、商標法第53条第1項の取消請求を簡単に回避できることになり、不当であることは明らかである。よって、この譲渡が本件審判の結論に影響しないことは極めて当然のことである。
(9)以上のような事実関係から、被請求人が、請求人の周知・著名である商標と極めて紛らわしい商標を使用しておきながら、いざ請求人からクレームをつけられるや、これは本件商標に基づく使用であるという言い逃れをしようとしていることは、極めて明白というほかない。
このような言い逃れを許さず、このように商標登録制度を悪用しようとする者、そして、これを監督できながら見逃した(あるいは加担した)者にペナルティを課すことが、商標法第53条第1項の趣旨であるから、本件は正に同項が適用されるべき事案としかいいようがない。
(10)よって、本件商標は、商標法第53条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
理由
(1)請求の理由の認否について
(ア)請求の理由(1)は争い、同(2)は認める。
(イ)請求の理由(3)は否認する。
請求人は、過去に被請求人が通常使用権者であると、主張するが否認する。即ち、本件商標権の前権利者は有限会社三幸商会であるところ、被請求人は、該権利者との間に通常使用権を設定していたと主張するが、真実ではない。
被請求人は、前権利者有限会社三幸商会が、本件商標権を所有していたことを知っていたが、前権利者有限会社三幸商会と商取引もあったことから、特に同社とは明示の契約を交わさず、一方的に本件商標権を使用した。
一般に、通常実施権の許諾行為は、
「専用実施権とは異なり、通常実施権の成立には何らの要式も必要とされておらず、当事者の合意だけで成立する。口頭の契約によっても成立しうるが、詳細な契約書が作成されることが多い。また、両当事者が特殊な関係にある場合や、特許権者が他人の実施を黙認していた場合等において、黙示の実施許諾契約の成立することもありうる。ただし、この黙示の実施許諾は例外的なものであり、軽々に認定すべきものではない。その認定は、諸般のすべての事情を勘案し、実施許諾が当事者の推定される意思に合致し、かつ合理的である場合に初めて認定されるべきである。」(注解特許法78条)
とされる。従って、被請求人は、前権利者有限会社三幸商会との間で通常使用権者ではない。
そもそも、被請求人は、本件商標権の商標権者である。本件審判請求が堤起された時にも商標権者であった。被請求人は、前権利者有限会社三幸商会より、平成14年10月2日登録をもって、移転登録を受けたのである。
従って、本件審判請求時に、被請求人は、本件商標権の通常使用権者ではなく、商標権者であった。本件審判請求は、商標法第53条第1項により請求されている所、同条は、商標の専用使用権者及び通常使用権者が、商標権の正当な使用義務に違反した場合に、商標権者が該使用権者を監督する義務に違反し、該使用権者が、所定の誤認混同行為を行った場合には、商標権者に制裁のために、登録を取り消すことにしたものである。
そして、商標権は、該使用権者の誤認混同行為について、その事実を知らなかった場合で相当の注意をしていた時に、例外として、商標権の取り消しを免れることになる。従って被請求人である商標権者の抗弁事由になる。
ところで、請求人が主張する誤認混同行為は、被請求人が、権利者でなかった時期の行為であり、この時に商標権者である前権利者有限会社三幸商会の主観的要件など、立証できるはずがない。よって、本件審判請求は、少なくとも商標法第53条第1項の要件には合致せず、棄却を免れない。
(ウ)請求の原因(4)について
(a)請求の原因(4)の被請求人の主張の内、使用の部分は否認する。現在は使用していない。請求人は、
『被請求人は、甲第4号証の写真の被写体である「WORLD Bear」を横書きしてなる構成の商標を付した半袖シャツ・半ズボンの上下セット(以下、「本件商品」という。)を販売している。
本件商品が被請求人の販売に係るものであることは、本件商品のタグ(甲第5号証)から明らかである。また、前述した被請求人からの回答書(甲第3号証)から、少なくとも平成14年7月26日の時点で、被請求人が本件商品を販売していたことは明らかである。』と主張する。
まず、被請求人が、平成14年7月26日まで、甲第4号証の商品を販売していたことは認める。しかし、請求人の指摘により、速やかに旧標章を付した商品の販売を中止し、平成14年9月より、全面的に乙第1号証の1のワールドベアー タテグマとワールドベアー ヨコグマの二種類の標章に変更した。従って現時点での商品の誤認混同は生じていない。この点については、後述する。
(b)本件商標の類似について
請求人は、『また客観的にも、本件商品に付された商標は、「WORLD」の部分を「Bear」の部分に比して極めて小さく書し、また「BEAR」の部分を「Bear」と変更し、熊の図形を付記したものであるが、アルファベットの文字部分を見るに、大文字と小文字の違いを除けば、本件商標とアルファベットの綴りが全く同一であり、「Bear」の部分は「BEAR」の2文字目以降をアルファベットの小文字にしたに過ぎないことから、本件商標に類似することは明らかである。』と主張する。
本件商標との同一又は類似の点については、争わない。しかし本件商標の内、「BEAR」の部分は、識別力の弱い部分である。この部分についても、後述する。
(エ)請求の原因(5)について
請求の原因(5)のうち、請求人商標が日本国内で周知乃至は著名となっていることは不知であり、その余は認める。
(オ)請求の原因(6)について
否認する。しかし、前述したように請求人の要請により、被請求人は、標章を変更している。被請求人の旧商品と請求人の商品の混同については、後述する。
(カ)請求の原因(7)について
被請求人と旧商標権者である有限会社三幸商会とは、関係会社であることは事実であるが、一体ではない。従って、被請求人の旧標章の使用の事実を旧商標権者である有限会社三幸商会が知っていたことは否認する。
(キ)請求の原因(8)について
被請求人は、旧標章を使用した時に、有限会社三幸商会が、その使用について、コントロールが可能であったが、請求人からの平成14年7月の警告により、被請求人は速やかに、新標章に変更した。従って、旧商標権者である有限会社三幸商会は、被請求人をコントロールする間もなく、被請求人が新標章に変更したのである。
更に、旧商標権者である有限会社三幸商会と被請求人との間には、通常実施権について何らの契約も無かった。
以上より、本件の商標法第53条第1項の請求は成り立たない。
(ク)請求の原因(9)について
否認する。被請求人が旧商標権者である有限会社三幸商会から本件商標の移転登録を受けた事情は、請求人が誤解しているような事情ではないことは、本答弁書から明白である。
(ケ)請求の原因(10)について
争う。
(2)被請求人の主張
(ア)被請求人の旧標章と請求人商標の類否について
(a)被請求人の旧標章について
被請求人の旧標章は、請求人の主張によれば、『「WORLD」の部分を「Bear」の部分に比して極めて小さく書し、熊の図形を付記したものである』である。
(b)請求人商標の類似群コードは、17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 22A01 22A02 22A03、である。
ところで、この類似群コードにより、「ベア」で検索した結果は、乙第4号証の通りである。ベア又はペアで130件検索したが、大部分は本件商標と同じ「ベア」である。
同様に、この類似群コードにより、図形検索を(02A13)で検索した結果は、乙第5号証の通りである。実に、598件出力した。
この乙第4号証及び乙第5号証を元に、請求人商標と関連するものをあげたのが、乙第6、7号証である。
(c)乙第6号証について
何れも熊のアウトラインと「Bear」又は「BEAR」との組み合わせによる商標である。特に商標登録第4214586号、同第4507125号、同第4536505号、同第4483692号が、類似した構成になっている。
(d)乙第7号証について
乙第7号証は、熊のアウトラインのみの商標群である。
(e)請求人の商標群について
請求人は、乙第8号証のような、何れも熊のアウトラインと「Bear」の文字が分離した標章を登録している。出願中のものも、これらのバリエーションの範疇にある。
(f)請求人標章
甲第7号証によれば、請求人は、商品のTシャツ自体に熊のアウトラインと「Bear」との組み合わせによる標章が付されているが、前の「Bear」文字の後ろ側に、左サイドに熊のアウトラインの図形が付されている。
このように甲第7号証の商標の使用は、請求人商標のように、熊のアウトラインの中に「Bear」の文字が組み込まれたものではない。
(g)結論
請求人は、請求人商標のような形態ではなく、(f)記載の形態、更には、請求人が出願中の乙第8号証に見られるような熊のアウトラインと「Bear」の文字が分離した標章の使用もしており、必ずしも熊のアウトラインと「Bear」の文字が一体となった構成が使用の主流ではない。又、前述したように、請求人商標の類似群では、「Bear」乃至「BEAR」自体は識別力が弱く、むしろ図形商標としての「ベア」乃至「熊」の形状に特徴を求める傾向にあることは、乙第4、5号証で顕著である。然るに、請求人商標と同じ熊のアウトラインは、乙第6号証、乙第7号証に見られる所であり、ありふれている。
これらの諸事情を考慮すれば、被請求人の旧標章は、請求人商標を付した商品と誤認あるいは混同を生ずることは無い。
(イ)被請求人の新標章について
被請求人が、平成14年7月26日まで、甲第4号証の商品を販売していたことは認めるが、その後請求人の警告に、速やかに旧標章を付した商品の販売を中止し、平成14年9月より、全面的に乙第1号証の1のワールドベアー タテグマとワールドベアー ヨコグマの二種類の標章に変更した。従って現時点での商品の誤認混同は生じていない。
新標章は、タテグマ及びヨコグマは何れも「World Bear」と文字の大きさを変えずに表記し、熊のアウトラインと「BEAR」又は「Bear」の文字が、分離して表示されたものである。タテグマは、熊、「World BEAR」、星条旗が上下に表記されており、ヨコグマは、星条旗の中に熊が描かれ、その横には、「World」、「Bear」が二段に表記されている。
(ロ)被請求人の新標章を付した商品類について
乙第1号証の2以下の通りに、WB-F568A、WB-F603B、WB-F607、WB-F612である。なお、末尾のAとBはそれぞれタテグマとヨコグマを示すものである。又、これ以外にも新標章を付した商品があるが補充して証拠は提出する。
乙第2号証は、被請求人の新標章を付した商品の伝票類である。
乙第2号証の1は、WB-F601A、B及びWB-F603A、Bの伝票類である。乙第2号証の2は、WB-F607の伝票類である。乙第2号証の3は、WB-F612の伝票類である。
乙第3号証は、被請求人の新標章を付した商品群であるが、商品に新標章を付した商品を提出した段階で改めて説明する。
以上のように、被請求人の新標章を付した商品と請求人商標を付した商品とは、商品の誤認混同は生じていない。
以上何れにしても、本請求は棄却されるべきである。

第4 当審の判断
1 通常使用権者について
請求人、ベアー、ユー、エス、エー、インコーポレーテッドの提出に係る甲第3号証の平成14年7月26日付け回答書によれば、『…有限会社三幸商会から、同社の登録商標(…登録4186781号)である「WORLD BEAR」の使用許諾を受け、』と記載されており、被請求人、株式会社ウイング・ビートは、当時の本件商標の商標権者である有限会社三幸商会(以下「商標権者」という。)と商標の使用許諾に関する契約を締結していたものと推認し得るものであり、株式会社ウイング・ビートは、少なくも平成14年7月26日時点において、本件商標に関する通常使用権者であったものと認めざるを得ない。
2 通常使用権者使用商標とその使用事実について
株式会社ウイング・ビート(以下「通常使用権者」という。)が、別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「通常使用権者使用商標」という。)を使用した事実については、当事者間に争いがないものであり、甲第4号証の本件商標を変更使用している「半袖シャツ、半ズボン」からも、使用した事実が認められる。
また、甲第4号証によれば、通常使用権者使用商標を使用した商品は、「半袖シャツ、半ズボン」である事実を認めることができる。
3 通常使用権者使用商標と本件商標との類否について
通常使用権者使用商標と本件商標は、構成態様に差違はあるものの、通常使用権者使用商標の熊の図形内に表示されている「WORLD」と「Bear」の欧文字部分と本件商標とは、その綴りを同じくし、それより生ずると認められる「ワールドベア」又は「ワールドベアー」の称呼を共通にするものであるから、通常使用権者使用商標と本件商標とは、類似する商標と認められる。
4 使用商品について
通常使用権者使用商標を使用した商品「半袖シャツ、半ズボン」は、本件商標の指定商品中の「被服」に含まれる商品と認められる。
5 他人(請求人)の業務に係る商品との混同について
請求人主張の理由及び甲第7号証ないし甲第10号証(雑誌「BOON」1996年10月号、雑誌「COOL」1999年11月号、雑誌「COOL」1999年12月号及び請求人の登録商標が使用された「ジャケット」)によれば、請求人は、別掲(3)のとおりの構成よりなる商標(以下「請求人使用商標」という。)を付した請求人の販売に係るジャケットが、雑誌に宣伝広告されていた等の事実が認められる。
そこで、通常使用権者使用商標と請求人使用商標とをみると、通常使用権者使用商標は、別掲(2)のとおり、図形と文字の組み合わせよりなるところ、その構成中の「WORLD」と「SPORT」の文字部分は、中央に顕著に表示されている「Bear」の文字部分に比して小さく表示されていることから、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は構成中の「Bear」の文字部分に着目して、この部分をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、通常使用権者使用商標からは、その構成中の「Bear」の文字部分に相応して、単に「ベア」又は「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。
他方、請求人使用商標は、別掲(3)のとおり、その構成中に表された「Bear」の文字部分から、「ベア」又は「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものであり、通常使用権者使用商標と請求人使用商標は、「ベア」又は「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を共通にするものである。
また、外観においても、通常使用権者使用商標と請求人使用商標とは、「WORLD」と「SPORT」の文字の有無の差異、また、熊の図形の右側に星条旗と思しき図形を表してなるか、「USA」の文字を表してなるかの相違はあるものの、外観上の要部は、熊の図形の後方に「Bear」の文字を囲んだ枠を配置して両者の輪郭線を連続させて一体化させたところというべきであり、両商標は全体として酷似した印象を受けるものであるから、時と所を異にして離隔観察するときは、外観上彼此見誤るおそれがあるものとみるのが相当である。
そして、通常使用権者使用商標を使用した商品「半袖シャツ、半ズボン」と請求人使用商標を使用したジャケットとは、密接な関係がある商品といえる。
してみれば、通常使用権者による商品「半袖シャツ、半ズボン」についての通常使用権者使用商標の使用は、請求人使用商標をジャケットに使用していた請求人の業務に係る商品であるかのように取引者、需要者に商品の出所の混同を生ずるものをしたというべきである。
6 出所の混同の事実に関する商標権者の認識について
商標権者は、請求人使用商標を使用した商品の宣伝広告が掲載された甲第8号証ないし甲第11号証の雑誌及び商標権者の取締役が通常使用権者の代表取締役であった事実を認めることができる甲第12号証及び甲第13号証の「履歴事項全部証明書」等によれば、通常使用権者が、少なくも平成14年7月26日時点において、請求人使用商標と酷似する本件商標と類似の商標を使用し、商品の出所の混同を生ずるものをした事実を知っていたものと認められる。
7 結び
通常使用権者による商品「半袖シャツ、半ズボン」についての通常使用権者使用商標の使用は、通常使用権者が指定商品についての本件商標に類似する商標の使用であって、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるものをしたというべきであり、また、商標権者は、少なくも平成14年7月26日時点において、その事実を知っていたものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定により取り消されるべきである。
なお、被請求人は、乙第4号証ないし乙第7号証を提出し、諸事情を考慮すれば、被請求人の旧標章は、請求人商標を付した商品と誤認あるいは混同を生ずることは無い旨主張しているが、その登録例はいずれも本件と事案を異にするものであって、本件の判断を左右するものではないから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。
また、被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証を提出し、新標章に変更したので、現時点での商品の誤認混同は生じていない旨主張しているが、本件については、上記認定のとおり請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるものをしたというべきであって、新標章に変更したことをもって、本件の判断に影響を及ぼすものとは認められないから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 本件商標



別掲(2)使用商標(色彩の詳細については原本を参照されたい。)



別掲(3)使用商標(色彩の詳細については原本を参照されたい。)

審理終結日 2004-02-09 
結審通知日 2004-02-13 
審決日 2004-03-02 
出願番号 商願平9-118595 
審決分類 T 1 31・ 5- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1998-09-11 
登録番号 商標登録第4186781号(T4186781) 
商標の称呼 ワールドベア 
代理人 吉武 賢次 
代理人 渡邊 敏 
代理人 宮嶋 学 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 塩谷 信 
代理人 上原 空也 
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