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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y36
管理番号 1100158 
異議申立番号 異議2003-90138 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-20 
確定日 2004-06-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第4629010号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4629010号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4629010号商標(以下「本件商標」という。)は、「MELLON」の文字を横書きしてなり、平成14年1月13日に登録出願され、第36類に属する以下の役務を指定役務として、同14年12月13日に設定登録されたものである。
第36類
「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,その他の有価証券に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金,金融に関する調査・分析又は予想,金融に関する情報の提供,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与,クレジットカードの発行の取次ぎ,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,金銭信託・その他の投資信託に関する情報の提供,有価証券に係る投資に関する助言,その他の投資に関する指導又は助言」

2 登録異議の申立ての理由
(1)登録異議申立人の略称、商標について
登録異議申立人メロン・ファイナンシャル・コーポレイション(以下「申立人」という。)は、1869年米国ペンシルバニア州ピッツバークにて創業のメロン銀行(Mellon Bank)を起源とし、それ以降長年にわたる事業実績の結果、現在、傘下13のにの資産運用会社(甲第12号証の1 第23頁ないし24頁参照)を有し2001年6月末にはグループ全体の運用資産総額は5,460ドル(68兆円)に達するに至ったメロン・グループ(Mellon Group)の中核的総合金融会社である。
メロン・グループ所属系列会社は現在米国内のみならず諸外国においても総合的金融サービスを展開しており、その一環として、日本国内においては、平成10年11月6日付けにて、申立人の子会社ザ・ドレイファス・コーポレーションの子会社ドレイファス・メロン・アセットマネジメント・ジャパン株式会社を設立し、同社は平成13年10月1日付けにて社名をメロン・グローバル・インベストメンツ・ジャパン株式会社と変更し、有価証券投資業務、資産運用コンサルティング等の事業を展開している。
そのような沿革及び事情の下、1869年のメロン銀行創立の時より今日まで申立人の名称を含むメロン・グループ所属系列会社で使用されている名称中の「Mellon」の横書き欧文字又は「MELLON」の横書き欧文字は、2001年末には当然のこと、かなり以前より米国を含む諸外国はもとより日本国においても、金融関係の取引者、需要者の間において、申立人を含むメロン・グループ所属の系列会社の略称又は商標として周知著名となっていた。
本件商標は、「MELLON」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、申立人を含むメロン・グループ所属系列会社の周知著名な略称又は商標「Mellon」又は「MELLON」と同一又は類似である。
また、本件商標の指定役務は前記のとおりであるが、申立人を含むメロン・グループ所属系列会社は総合金融サービスとして銀行及び証券業務全般に係り、その役務は、預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプンョン取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,等を含み、この申立人を含むメロン・グループ所属系列会社の役務は本件商標の指定役務と同一又は類似である。
(2)商標法第4条第1項第7号、同8号、同10号、同15号及び同19号について
上記のとおり、本件商標は他人の著名な略称を含む商標であるから商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであり、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であってその役務又はこれらに類似する役務について使用するものであるから商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって不正の目的をもって使用をするものであるから商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
なお、申立人の調査では、第36類に係る役務の実施に必要な公的許認可登録等、特に、銀行業(銀行法第10条)に必要な内閣総理大臣の免許(銀行法第4条第1項)、証券業(証券取引法第2条第8項)に必要な内閣総理大臣の登録(証券取引法第28条)を、本件商標権者が受けているとの事実は確認できない。したがって、本件商標の登録は、第36類に係る役務の実施に必要な所管官庁の公的許認可登録等の無い違法な使用すなわち「不正の目的」をもっての使用であって商標法第4条第1項第19号に違反する。
さらに、本件商標の登録は、他人の未登録周知著名商標の冒認的登録として、メロン・グループ所属系列会社に対しては、長年にわたり自己の事業実績によって蓄積したグッドウィルに基礎をおいての事業展開に対する不当な妨害となり、一方、金融関係取引者需要者に対しては役務提供者の誤認混同となる、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

3 取消理由の通知(要旨)
本件商標は、1869年米国ペンシルバニア州ピッツバークで創業のメロン銀行(T.Mellon and Sons’Bank)を起源とし、世界の指導的なプロバイダーの一つであり、2001年度末にて運用、管理又は保管下にある資産は概略2兆7千億ドルに達し、運用下では5千9百2十億ドルを含み、金融商品及びサービスを提供している(甲第12号証の1及び甲第12号証の2 参照)メロン・グループ(Mellon Group)の中核的総合金融会社である申立人とそのグループ所属系列会社が使用し、その結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、米国を含む諸外国において、金融関係の取引者、需要者の間に周知著名となっていたと認められる「Mellon」又は「MELLON」の欧文字を横書きしてなる商標と同一又は類似するものである。
また、本件商標を構成する「MELLON」の欧文字は、果物のメロン(melon)とは綴りが異なること、本件商標の指定役務の多くが金融に関係する役務であることからすると、本件商標の登録出願については、申立人とそのグループ所属系列会社が使用して周知著名となっていた上記の「Mellon」又は「MELLON」の欧文字を横書きしてなる商標を不正に利用する意図が認められるものであり、本件商標は不正の目的をもって使用をするものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)
取消理由は、「Mellon」が著名であることを挙げ、「不正の目的があり、商標法に違反して登録された」と締めくくっている(甲第1号証)。
「Mellon」は「Melon」とスペルが非常に類似しており、表音も「メロン」で判別がつかない。このケースでは、綴りが異なるのは、取消理由にならない。また、メロンと言えば、ほとんどの人が果物のメロンをイメージする。果物の名前を「不正」と指摘されるのは心外である。
申立人は商標権者が「公的許認可等を持っていない」ことを理由に違法だと指摘している(甲第2号証)。それはあくまでも顧客から手数料を取る方々が対象で、ボランティア(手数料 無料)で行うサービス(例 株式市況サービス、金融情報提供サービスそれに付随した無料相談 街頭での募金集め)の場合、免許等は必要ないはずである。
申立人は、あくまでも「商売」の観点から勝手に「不正」を憶測したにすぎない。免許等がなくとも行えるサービスは数多く存在する。また、規制のゆるい国(モンテネグロ共和国等)から銀行免許を取得し、日本で駐在員として活動することは合法である(甲第3号証ないし甲第5号証)。
また、特許庁の長い審査期間を経て、登録査定を出してから商標登録ができる。その特許庁が取消理由で「不正」を指摘するのは非常に奇妙である。

5 当審の判断
(1)前記3(取消理由の通知)で認定したとおり、「Mellon」又は「MELLON」商標は、金融商品及びサービスを提供している申立人とそのグループ所属系列会社が使用し、その結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、米国を含む諸外国において、金融関係の取引者、需要者の間に周知著名となっていたと認められるものであって、本件商標と同一又は類似し、役務も本件商標の指定役務と同一又は類似するものである。
そして、本件商標の指定役務のほとんどが金融に関係する役務であるところ、上記のとおり、「Mellon」又は「MELLON」商標が金融関係の取引者、需要者の間に申立人とそのグループ所属系列会社が使用して周知著名となっていたこと、更に、本件商標を構成する「MELLON」の欧文字は、果物のメロン(melon)とは綴りが異なる特異なものであって、これと同一綴りの本件商標が偶然に一致したものとは考え難いことからすると、商標権者は、本件商標が他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている「Mellon」又は「MELLON」商標と同一若しくは類似の商標であることを承知のうえ、当該商標が未だ登録されていないことを奇貨として、その著名性にただ乗りし不当な利益を得る等の目的のもとに登録出願し、権利を取得したものと推認せざるを得ないところであるから、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標に該当するものといわざるを得ない。
(2)商標権者の意見について
商標権者、メロンと言えば、ほとんどの人が果物のメロンをイメージするものであり、果物の名前を「不正」と指摘されるのは心外である旨主張する。
しかしながら、前述のとおり、「Mellon」又は「MELLON」商標が金融関係の取引者、需要者の間に申立人とそのグループ所属系列会社が使用して周知著名となっていたところ、金融に関係する役務を指定役務とする本件商標の所有者である商標権者が「Mellon」又は「MELLON」商標の存在を知らなかったとは到底認め難く、更に本件商標「MELLON」は、果物のメロン(melon)とは綴りが異なるものであることからすると、商標権者の主張は採用できない。他に上記(1)の認定を覆すに足る証拠の提出はない。
なお、商標権者は、特許庁が登録査定をした後に取消しの理由を通知したことについて種々のべているが、商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するために、登録後に登録処分の適否を審理し、瑕疵ある場合に是正を図るために設けられているのが登録後の異議申立制度であるから、この点に関する商標権者の主張に理由がないことは明らかである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2004-05-10 
出願番号 商願2002-6121(T2002-6121) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Y36)
最終処分 取消  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
茂木 静代
登録日 2002-12-13 
登録番号 商標登録第4629010号(T4629010) 
権利者 堀田 政義
商標の称呼 メロン、メルロン 
代理人 大島 陽一 

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