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審決分類 審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z29
審判 一部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z29
管理番号 1098588 
審判番号 無効2003-35367 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-09-04 
確定日 2004-06-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4527953号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4527953号の指定商品中、第29類「肉製品,加工野菜,冷凍野菜」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の無効の審判
1 本件商標
本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4527953号商標(以下「本件商標」という。)は、「男爵」の文字を書してなり(標準文字による)、平成13年2月9日に登録出願され、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、同13年12月7日に設定の登録がされたものである。
そして、指定商品中の「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」については、商標登録の一部抹消登録の申請が平成15年10月22日に申請され、商標権の登録の一部抹消の登録が平成15年11月5日になされているものである。
2 本件商標登録の無効の審判
本件商標登録の無効の審判は、本件商標の指定商品中「肉製品、加工野菜、冷凍野菜」については、商標法3条1項3号及び同法商標法4条1項16号に違反して登録されたものであるとして、同法46条により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の主張
1 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第64号証を提出した。
2 請求の理由
本件商標は甲第3号証ないし同第48号証から明らかなように「男爵」なる語は、じやがいもの品種名として我国において広く知られ親しまれていることから本件商標に接した世人は直ちにじやがいもの一種であると認識し理解することは明白である。
そうとすれば、本件商標に接する取引者・需要者は「男爵」はじゃがいもの品種名の一種として認識し理解するものとみるのはきわめて自然である。
してみれば、本件商標をその指定商品中の「肉製品に包含されるコロッケ、じやがいもを材料とする肉製品、ポテトサラダ、ポテトフライ、マッシュポテト、その他じゃがいもを材料とする加工野菜ならびに冷凍じゃがいも」に使用するときは単に商品の品質、材料を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能を果たし得ないものである。また上記文字に照応する商品以外の「肉製品,加工野菜,冷凍野菜」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当するものであるから、同法46条1項の規定により、その指定商品中の「肉製品,加工野菜,冷凍野菜」についての登録を無効とすべきである。

第3 被請求人の答弁
1 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
2 答弁の理由
(1)被請求人は、本件商標の指定商品中の「カレー・シチュー又はスープのもと」以外の商品の登録を放棄した(乙第1号証)。したがって、請求人の申し立てる商標法3条1項3号の規定に該当するという点については請求人の請求の理由の指定商品を含まないことになるので問題がなくなる。
(2)しかしながら、指定商品を「カレー・シチュー又はスープのもと」に減縮したとしても、商標法4条1項16号の規定に該当するという点が残るが、商品「カレー・シチュー又はスープのもと」には必ず「じやがいも」を使用するという観念は、現在の消費者にはないと考える。カレー関連商品の場合について検討すると、魚のカレー、野菜のカレー、ビーフカレー、チキンカレー等多種多様なカレーが食べられており、商品としての「カレーのもと」も多様なものが製造されている。シチュー関連商品、スープ関連商品にも同様なことが言える。これらの商品名に「男爵」と付いていたからといって「男爵いも」がなんらか関連するというように誤解されるというのは理解できない。一般的に「男爵」の意味は爵位の意味が第一に来るのであって、男爵いもではない。
従って、商品が「じやがいも」を原材料として認識されるようなものはともかく少なくとも商品「カレー・シチュー又はスープのもと」はその種類の多様性により品質の誤認を生じる恐れはないと考える。
(3)以上のことから、本件商標は商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当しない。

第4 当審の判断
1 本件商標の指定商品の一部放棄の効果について
被請求人は、本件商標は、その指定商品中の「カレー・シチュー又はスープのもと」以外の商品の登録を放棄したから、本件商標は、商標法3条1項3号についての無効理由は解消する旨主張している。
そこで、乙第1号証及び本件商標の登録原簿を徴するに、本件商標の指定商品中「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」について、前記「第1、1」のとおり、商標登録の一部抹消の登録がなされているものである。
しかるところ、商標法35条で準用する特許法98条1項1号によれば、商標権の放棄による消滅は登録しなければ効力を生じないと規定されているから、平成15年11月5日に登録された、本件商標に係る上記指定商品の放棄の効果は、本件無効審判の予告登録日(平成15年10月1日)には遡及しないというべきである。
したがって、指定商品の一部放棄により本件の無効理由は解消する旨の被請求人の主張は失当である。
そして、商標法46条2項によれば、同条1項の審判は、商標権の消滅後においても請求することができるとされており、この趣旨に照らしても、指定商品の一部放棄以前になされた本件無効審判の理由が、指定商品の放棄により解消するということはできず、被請求人の上記主張は採用することはできない。
以下、本件について、請求人主張の無効理由について検討する。
2 無効理由についての判断
請求人提出に係る甲3号証の大辞林(1989年3月30日第10刷発行)の「男爵」の項には「じゃがいもの栽培品種。1907年(明治40)北海道の川田男爵がアメリカから導入。芋の外皮は淡褐色、肉は白い。早作で収量が多く、日本で最も多く栽培される。男爵いも。」との記載が認められる。
このほか、請求人が提出した甲第4号証ないし同第48号証を総合すれば、「男爵いも」は、じゃがいもの栽培品種として、我が国において広く知られ普通に使用されているといえるものである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中、男爵いもを材料として使用する商品、例えば「男爵いもを原材料とする肉製品,男爵いもを原材料とする加工野菜及び冷凍じゃがいも」について使用するときは、商品の品質、原材料等を表示するに過ぎないというべきであり、本件商標は、上記指定商品については、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
また、本件商標を上記指定商品以外の「肉製品,加工野菜及び冷凍野菜」について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、本件審判の請求の趣旨によれば、「カレー・シチュー又はスープのもと」の登録の無効は請求されていないから、この点について述べる被請求人の答弁(前記、第3、2,(2))は失当である。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「肉製品,加工野菜,冷凍野菜」については、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に違反して登録されたものであるから、同法46条1項により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-04-06 
結審通知日 2004-04-08 
審決日 2004-04-20 
出願番号 商願2001-10620(T2001-10620) 
審決分類 T 1 12・ 272- Z (Z29)
T 1 12・ 13- Z (Z29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谷村 浩幸 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 2001-12-07 
登録番号 商標登録第4527953号(T4527953) 
商標の称呼 ダンシャク 
代理人 奥田 稲美 

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