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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 037
管理番号 1098387 
審判番号 審判1999-35256 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-05-31 
確定日 2004-05-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3191898号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成14年5月13日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成14年(行ケ)第311号平成15年3月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第3191898号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3191898号商標(以下「本件商標」という。)は、「PCフレームアンカー工法」の文字を横書きしてなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項に規定する使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月18日に登録出願され、第37類「土木工事,タイル・レンガ・ブロック工事」を指定役務として、同8年8月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第11号証を提出した。
(1)平成3年法律第65号附則第7条第2項違反について
本件商標は、使用に基づく特例の適用を主張して出願されたものであるが、使用の証明として添付された甲第1号証の東京商工会議所発行の証明書は、日本電子計算株式会社が同社の業務に係る役務に同商標を使用していることを証明したものであり、出願人東亜グラウト工業株式会社が「PCフレームアンカー工法」の商標を自己の業務に使用していることを証明したものではない。
よって、本件商標は、自己の業務に係る役務について使用していたことが証明されていないので使用の特例は認められないものである。
(2)商標法第4条第1項第8号及び第15号違反について
本件商標の「PCフレームアンカー工法」は、甲第2号証にあるように、プレキャストのプレストレストコンクリート製のフレームをグラウンドアンカーによって法面、斜面に固定し、法面の安定化及び地すべりを防止する工事に対してPCフレーム協会が昭和61年以来使用してきた工法名である。
このPCフレームアンカー工法(法面防護枠工法)等を普及、発展させるため、甲第3号証の「PCフレーム工法に関する協定書」にあるように、黒沢建設株式会社、三信カーテンウォール株式会社、東亜グラウト工業株式会社、日本基礎技術株式会社、富士ピー・エス・コンクリート株式会社が協定を結び、甲第4号証に示すように、ピー・シー・フレームアンカー工法(法面防護枠工法)の工事の監督、施工、設計、計算および調査並びに請負等を目的とする株式会社ピー・シー・フレームが上記5社によって昭和61年12月8日に本店を東京都新宿区四谷1丁目23番地として設立され、代表取締役には被請求人会社社長の甲が就任した。
同時にPCフレーム協会を株式会社ピー・シー・フレームと同所に設立し、甲第5号証の「PCフレーム協会会則」を制定し、会員にPCフレームアンカー工法等の実施許諾をすることとした。
以後、PCフレーム協会は、本工法の普及、発展に努め、甲第6号証のパンフレットの頒布や新聞、業界紙による宣伝(甲第8号証および第9号証)、さらには、甲第2号証の技術雑誌に工法および実績を紹介するなどし、斜面安定工法において「PCフレームアンカー工法」を周知させると共に実績を築き評価を受けてきた。
協会と工法名が一体関係にあることは、PCフレーム協会発行のパンフレット(甲第6号証)、株式会社ピー・シー・フレームの目的が「ピーシーフレームアンカー工法の工事の監督、施工、設計、計算および調査並びに請負等」であること(甲第4号証)、会員名簿(甲第7号証 平成10年末現在)及びPCフレーム協会が設立以来行ってきた宣伝活動により、この業界の取引者、需要者(官公庁)に周知である。
しかるに、被請求人は、株式会社ピー・シー・フレーム設立時の参加会社であり、PCフレーム協会の正会員(現在は脱会)であるにもかかわらず、株式会社ピー・シー・フレーム及びPCフレーム協会の許諾を得ることなく無断で、PCフレーム協会の名称を含む本件商標を出願し、登録を受けたのであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
また、本件商標を一会員の被請求人が単独で登録し、独占することは、PCフレーム協会が長年かけて築き上げた該工法の評価を独占しようとするものであり、また、取引者及び需要者に混同を生じさせ、出所の誤認を生じさせるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の代表取締役である甲に対して顧問料返還訴訟(東京地裁平成12年(ワ)第21972号 甲第10号証)を提起しているが、甲は、平成13年2月7日付け準備書面(甲第11号証)において、「甲は、PCフレーム協会及び株式会社ピー・シー・フレームのために『PCフレームアンカー工法』の営業、宣伝活動を行い、その結果、国の工事にも採用されるようになり、平成8年頃には年商60億円(請求人の集計によれば50億円)にも達し、斜面安定工法分野においては、大きなシェアを占めるようになり、普及に多大な貢献をした」と述べておきながら、本件答弁書では宣伝活動の証明が足りないと反論しており、その場限りの取り繕いの主張に終始しており、被請求人の答弁は、なんら反論になっておらず、本件商標を無効にすべき理由は明白である。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
(1)平成3年法律第65号附則第7条第2項について
証明書に記載された日本電子計算株式会社は、被請求人とは全く無関係の会社であるが、これは証明書発行の際、東京商工会議所が被請求人の名称を記載すべきところ、誤って右会社名を記載してしまったことによるものである。
東京商工会議所に使用者名を訂正した証明書の再発行を要求したところ、当時の関係書類が既に破棄されているため、その要求には応じかねるとの回答であった。
そこで、訂正証明書に代えて、被請求人会社のカタログを乙第1号証として提出する。右カタログは、平成2年に発行されたものであり、被請求人が特例出願前より日本国内において自己の業務に係る役務に本件商標を使用していたことを証明するものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
ある商標が商標法第4条第1項第8号に該当するというためには、他人のフルネームをその商標中に含んでいる必要があるが、本件商標は「PCフレームアンカー工法」であって、「PCフレーム協会」のフルネームを含むものではない。また、PCフレーム協会が「PCフレーム」と略称され、かつ、その略称が著名であれば、本件商標は本条項に該当するかもしれないが、「PCフレーム」がPCフレーム協会の著名な略称であったという事実はなく、また、請求人も何らその証拠を示していない。したがって、本件商標が本条項に該当するという請求人の主張は不当である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、PCフレーム協会が「PCフレームアンカー工法」を周知させるため、パンフレットの頒布、新聞、業界紙による宣伝、技術雑誌での紹介を行ったとしているが、それを立証するために提出されたのは甲第2号証、第8号証及び第9号証の雑誌、第6号証のパンフレットのみである。著名性を立証するためには多数の取引書類、広告宣伝が掲載された印刷物、商標が使用されている写真、広告業者、同業者、取引先、需要者、公的機関等の証明書等の提出が必要であって、この程度の証拠によっては、PCフレーム協会の「PCフレームアンカー工法」が著名であるとは到底認められるものではない。したがって、本件商標が本条項に該当するということはできない。

4 当審の判断
本件商標は、前記のとおり、「PCフレームアンカー工法」の文字よりなるところ、請求人は、本件商標は「PCフレーム協会」が設立以来おこなってきた宣伝活動により、「法面防護枠工法」を表すものとして、本件指定役務に係る取引者、需要者間に広く知られていた旨主張しているので、この点について判断する。
(1)請求人の提出に係る各号証によれば「PCフレームアンカー工法」とは、プレキャストのプレストレストコンクリート製のフレーム(PCフレ ーム)をグラウンドアンカーによって法面、斜面に固定し、法面の安定化及び地すべりを防止する工事の工法の名称であること(甲第2号証)、この「PCフレームアンカー工法」等を普及、発展させるため、黒沢建設株式会社、三信カーテンウォール株式会社、東亜グラウト工業株式会社、日本基礎技術株式会社及び富士ピー・エス・コンクリート株式会社の5社で協定を結び、上記5社によって、「PCフレームアンカー工法」等の工事の監督、施工、設計、計算および調査並びに請負等を目的とする株式会社ピー・シー・フレーム(請求人)を昭和61年12月8日に本店を東京都新宿区四谷1丁目23番地として設立し、代表取締役には被請求人会社社長の甲が就任したこと(甲第3号証 PCフレーム工法に関する協定書)及び同第4号証(登記簿謄本写し)、また、株式会社ピー・シー・フレームの設立と同時に、PCフレーム協会を株式会社ピー・シー・フレームと同所に設立したこと(甲第5号証 PCフレーム協会会則)の各事実を認めることができる。
(2)PCフレーム協会は、「PCフレームアンカー工法等の周知、普及をはかるとともに、品質、施工法、施工管理、安全性等に関し、一層の向上を図るための研究を行い、該工法の健全な発展により、地域社会の整備と環境保全に寄与すること」を目的として設立された社団であり、株式会社ピー・シー・フレームから実施許諾を受けた会員を中心として構成され、以来、法人格を有しないものの、会則を定め、代表者として理事から互選される会長を置き、該工法の設計施工管理等に関する調査研究、該工法の普及、発展に努め、PCフレーム協会の名称を表示した「PCフレームアンカー工法」のパンフレットの頒布 (甲第6号証)、業界誌による宣伝(甲第8号証)、技術雑誌による工法および実績の紹介(甲第2号証)等により、斜面安定工法における「PCフレームアンカー工法」等の周知、普及をはかってきたことを認めることができる。
(3)請求人の提出に係る甲第2、6、8、9号証によれば、以下のことが認められる。
(ア)甲第2号証(昭和63年9月21日総合土木研究所発行の「新技術による法面・斜面対策」)には、表紙に「P.C.F.A.工法 プレストレストコンクリートフレームアンカー工法」「PCフレーム協会」などの文字とともに法面工事の施工写真が掲載され、目次頁に「表紙説明」として、「PCフレームアンカー工法-P.C.F.A.工法 PCフレームアンカー工法は、プレキャストのプレストレストコンクリートフレームとグラウンドアンカーの組合わせで構成され、主に切土のり面の安定化および自然斜面の崩壊や地すべりの防止に適用されるものである。・・・事務局 PCフレーム協会」と記載されている。また、本文中に、「PCフレームアンカー工法とその設計・施工」と題する金氏眞の論稿が掲載され、昭和63年までに行われたPCフレームアンカー工法による施工例6件が記載されており、該技術誌が発行された昭和63年9月当時において、すでに、PCフレームアンカー工法の代表的な実施例として、京滋バイパス平津工事(日本道路公団平津工事)、国道266号線改良工事(熊本県本渡土木事務所)、県道中野〜厚木線改良工事(神奈川県津久井土木事務所)、大川瀬ダム(近畿農政局東播用農業水利事業所)、長崎地方裁判所擁壁防護工事(九州地方法務局)及び姉ヶ崎火力発電所擁壁防護工事(東京電力株式会社)の例が掲載されており、該工事の施工は、全国的な規模にわたっていたこと。
(イ)本件商標登録後のものと認められる、甲第6号証(1997年PCフレーム協会発行の「PCフレームアンカー工法」パンフレット)には、「画期的な斜面安定工法」の表題の下、「PCフレーム工法を世におくりだしてから8年余が経過致しました・・・」と記載されている。
(ウ)甲第8号証(昭和62年発行の雑誌「基礎工」同年12月号)に、「PCフレームアンカー工法」の表題と写真の下に「PCフレーム協会 事務局ピー・シー・フレーム」と表示し、その下に「PCフレーム協会員」として全6社の社名を表示した1頁の広告が掲載されている。
(エ)甲第9号証(平成2年発行の雑誌「土と基礎」同年5月号)に、「PCフレームアンカー工法」の名称及び写真とともに、「PCフレーム協会」と表示し、「PCフレーム協会員」として全15社の社名を表示した半頁大の広告が掲載されている。
(4)甲第7号証によれば、本件商標登録時である、平成8年8月30日以降においても「PCフレームアンカー工法」は、33社の会員により、法面安定化工法の名称として全国的に使用されていたものと推認し得る。
(5)上記(1)ないし(4)、並びに雑誌等の記事内容及び広告等を総合すると、本件商標登録出願時点(平成4年9月18日)において、法面安定化工としての「PCフレームアンカー工法」の名称は土木業界、特に法面工事の業界において、請求人を含めた「PCフレーム協会」の取り扱いに係るものとして、需要者の間に広く知られたものとなっており、これが本件商標登録時においても継続していたものと認められる。
そうとすれば、本件商標をその指定役務に使用した場合、請求人又は請求人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-01 
結審通知日 2002-04-04 
審決日 2002-05-13 
出願番号 商願平4-190095 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (037)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 薫山口 烈 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 宮川 久成
岩崎 良子
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3191898号(T3191898) 
商標の称呼 ピイシイフレームアンカーコーホー、ピイシイフレーム、フレームアンカー 
代理人 江藤 聡明 
代理人 石井 良和 
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