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審決分類 審判 一部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z28
審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z28
管理番号 1096721 
審判番号 無効2003-35334 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-06-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-13 
確定日 2004-04-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4236258号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4236258号の指定商品中「第28類 運動用具」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4236258号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年6月20日に登録出願され、「ティビージー」の片仮名文字と「TBG」の欧文字を二段に横書きしてなり、第28類「運動用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、同11年2月5日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件指定商品中「運動用具、遊戯用器具」についての登録を無効とする、との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)ターゲット・バードゴルフが「TBG」と略称され、当該略称が今日、前記スポーツについて普通に用いられている実情
(ア)ターゲット・バードゴルフの起源
ターゲット・バードゴルフの起源は、昭和43年(1968年)に埼玉県川口市に在住の野嶋孝重氏が発案したスポーツであり、昭和60年2月8日にターゲット・バードゴルフとして発表し、直ちに、このスポーツを一個人のものではなく、社会全体のスポーツとして普及させるために同年2月20日に埼玉県川口市体育課に用具を持参して説明したことから始まる。
このスポーツは、合成樹脂製の羽根付きのゴルフボールを通常のゴルフクラブで打って傘の内側を上に向けたような網製のホールに入れるまでの打数を競う競技である。
(イ)ターゲット・バードゴルフの普及の推移
(a)主な経緯
昭和60年4月5日財団法人日本レクリエーション協会の推薦用具に認定。
昭和60年6月20日埼玉県警察本部幹部研修科目に採用。
昭和60年7月7日文部省後援関東体育指導委員協議会で発表。
昭和60年8月12日ターゲットバードゴルフ協会発足。
昭和60年8月22日から8月25日富士リバーカントリーにおける伊藤園レディースゴルフトーナメント会場でアトラクションとしてコース競技を披露。
昭和60年10月10日第1回ターゲット・バードゴルフ(TBG)研究大会(以下「TBG大会」という。)(埼玉新聞社杯)を開催。
昭和60年10月17日第1回TBG大会をテレビ埼玉で放映。
昭和60年11月10日第4次文部省体育指導委員中央研修会において講習。
昭和60年11月23日第2回TBG大会を開催。
昭和60年11月25日上記第2回TBG大会をNHKサンデースポーツスペシャルで放映。
昭和61年5月国立代々木競技場での国際スポーツフェア会場で1週間公開演技及び指導。
昭和61年8月12日TBG昌国モデルコース開設。
昭和61年8月31日第1回会長杯争奪TBG大会開催。
昭和61年11月3日第1回川口市長杯争奪TBG大会開催。
昭和61年11月23日第1回昌国杯争奪TBG大会開催。
昭和61年12月5日文部省主催「生涯スポーツ実技指導者講習会」に実技指導の講師派遣(甲第1号証)。
昭和62年2月8日第1回読売新聞社杯争奪TBG大会開催。
昭和62年3月22日第1回川口市教育長杯争奪TBG大会開催。
昭和62年4月1日以降、体育スポーツ施設要覧に掲載。
昭和62年4月文部省の指導の下、日本ターゲット・バードゴルフ協会設立。
昭和63年11月14日第1回生涯スポーツ「全国スポーツ・レクリエーション祭」(山梨県)において第1回TBG全国大会開催。爾後、文部省認定スポーツとして毎年各県が持ち回りで開催し、現在まで継続。
平成1年11月30日文部省主催「生涯スポーツ実技指導者講習会」に実技指導の講師派遣(甲第2号証)。
平成4年11月14日第1回関東地区TBG選手権大会開催。爾後、関東各県が持ち回りで毎年開催し、現在まで継続。
平成7年10月20日TBGが第8回「ねんりんピック全国健康福祉祭」の正式種目に採用され、現在まで継続。
その他、各都府県及び各市町村におけるターゲット・バードゴルフ協会主催の大会が毎年定期的に開催されている。例えば、埼玉県TBG協会ではこれまで連続16回の県大会を開催し(甲第3号証)、川口市も川口市教育長杯を同様に連続16回開催している(甲第4号証)。
(b)ターゲット・バードゴルフ(TBG)に関する記事について
ターゲット・バードゴルフ(TBG)に関する記事は、NHKのテレビ放送をはじめ各報道機関で取り上げられたのは、平成3年までに300回以上ある。
昭和60年5月14日付「週間東京大学新聞」広告欄には、「ターゲット・バード・ゴルフ」と「T・B・G」が共に掲載されている(甲第5号証)。
昭和62年8月22日付「報知新聞」には、ターゲット・バードゴルフの常設コースが北海道から福岡県まで11個所あることが掲載されており、これらのコース名に「TBG」の文字が使用されている。当時の競技人口は12000人と記載されている(甲第6号証)。
昭和62年12月19日付「日刊工業新聞」には、ターゲット・バード・ゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも、「TBG」の文字が使用されている(甲第7号証)。
昭和64年1月1日、社団法人時事画報社発行「フォト」には、ターゲット・バードゴルフを紹介した記事が掲載されており、それには写真の旗に「T・B・G」の文字が見受けられる(甲第8号証)。
平成2年6月25日付「中日スポーツ」には、ターゲットバードゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも、その略称「TBG」が使用されている。また、この頃全国のコース数は50位と記載されている(甲第9号証)。
平成3年3月15日、京都府教育委員会発行「府民スポーツ広報」には、ターゲット・バードゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも「T・B・G」の文字が使用されている。また、全国スポーツ・レクリエーション祭りの正式種目であること及び全国に12の県協会が設立されていること等が記載されている(甲第10号証)。
平成3年11月29日付「産経新聞」には、ターゲット・バードゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも「TBG」の文字が見出せる。そして、そこにはTBG人口が20万〜30万であること及び常設コースの紹介等についても掲載されている(甲第11号証)。
平成5年3月15日、財団法人地域活性化センター発行「地域づくり第45号」には、ターゲット・バードゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも略称としての「TBG」が表示されている。さらに、各地の代表的コースとして、14の公営コース、20の民営コースが紹介されている。なかでも伊豆グランパル公園TBG場は年間4万2千人の入場者がいると記載されている(甲第12号証)。
平成7年12月8日付「東京新聞」には、ターゲット・バードゴルフを紹介した記事が掲載されており、ここでも「TBG」の文字が表示されている。そのほかに、その競技人口は推定50万人、常設コースは全国に100箇所を数えるとの記載もされている(甲第13号証)。
(ウ)以上の如く、ターゲット・バードゴルフは、本件商標の出願時(平成9年6月20日)には、既に全国大会が9年連続して開催されており、これまでに連続15回目を数えるものであり、また、上記の如く、ほとんどの都府県にはターゲット・バードゴルフ協会があり、毎年大会を開催しており、さらに、ブロック大会を数えると、公式競技だけでも大変な回数になる(甲第14号証)。
なお、1991年(平成3年)に初めて発行し、現在(第12版)まで版を重ねている日本ターゲット・バードゴルフ協会の規約、競技規則等の目次をはじめ、各所には、「TBG」の文字が記載されている(甲第14号証)。
このように、このターゲット・バードゴルフは、国民に知れ亘ったスポーツの公式名称として定着しており、その略称としての「TBG」は、常にそれと一体的に使用され、ターゲット・バードゴルフを示す略称として定着している。
さらに、当該競技に使用されるホールに立てられる旗(甲第8号証)及び競技場における各表示やスコアーカード(甲第15号証)等にも「TBG」の文字が表示されており、だれの目にも常に触れるようになっている。
したがって、「TBG」は、一スポーツの名称であるターゲット・バードゴルフの略称として普通に用いられているものというのが相当である。
(2)以上のように、ターゲット・バードゴルフは、今日では、日本各地で競技会が行われ、また、地方自治体等の催し物の一つとして取り上げられることが多く、その略称である「TBG」も上記した如く常に一緒に使用されており、ターゲット・バードゴルフの略称としてこれに接する取引者、需要者は、「TBG」に係る商品がターゲット・バードゴルフに関係するもの、すなわち「ターゲット・バードゴルフ用の運動用具」あるいは「ターゲット・バードゴルフを内容とする遊戯用器具」であると認識している。
よって、本件商標は、その指定商品中「ターゲット・バードゴルフ用の運動用具」あるいは「ターゲット・バードゴルフを内容とする遊戯用器具」に使用するときは、単に商品の品質、用途を表示するにすぎず、自他商品の識別機能を有するものではない。また、それ以外の商品に使用するときは、それが恰もターゲット・バードゴルフに関するものであるかのように、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断
本件商標は、前記のとおり、「ティビージー」と「TBG」の文字を二段に横書きしてなるものである。
ところで、請求人は、「TBG」の語は、スポーツの一つであるターゲット・バードゴルフの略称として普通に用いられているものである旨主張しているところ、請求人の提出に係る各甲号証によれば、以下のことが認められる。
(1)「川口市TBG協会川口市教育長杯TBG大会開催のお知らせ(平成15年8月5日)」(甲第4号証)には、「川口市教育長杯TBG大会を北スポーツセンターターゲット・バードゴルフコースで開催されます。」と記載されていること。
(2)「中日スポーツ(1990年(平成2年)6月25日発行)」(甲第9号証)には、「ターゲットバードゴルフ、家族連れに人気上々。ターゲットバードゴルフ(略称TBG)とは、ゴルフのピッチングウェッジでバドミントンのシャトルコックに似た羽根つきの球を打つ新種のレクリエーションスポーツ。」と記載されていること。
(3)「府民スポーツ広報(平成3年3月15日 京都府教育委員会発行)」(甲第10号証)には、「ターゲット・バードゴルフの概要、地域に根ざす生涯スポーツの一つとして、『ターゲット(標的)』『バード(鳥)』『ゴルフ』(略称T・B・G)が全国の各地で注目されています。この三つの名前が組み合わされたT・B・Gは、本格的なゴルフのスイングの面白さと、ファッション、レジャー的な要素も含まれていることから、発祥の地、埼玉県川口市を中心として全国へ広がりを見せています。」と記載されていること。
(4)「産経新聞(平成3年(1991年)11月29日発行)」(甲第11号証)には、「『もっと手軽にゴルフを楽しもう』とゴルフを改良したのがターゲットバードゴルフ(TBG)だ。」と記載されていること。
(5)「地域づくり第45号(平成5年3月15日 財団法人地域活性化センター発行)特集:生涯スポーツによるまちづくり」(甲第12号証)には、「ターゲット・バード・ゴルフは、『ターゲット(標的)』『バード(鳥)』『ゴルフ』の三語をつなぎ合わせた名称で、略称TBGといい、地域に根差す生涯スポーツのひとつとして認められ始めている。TBG用のボールは中空のプラスチック製のボールにバドミントンの羽根がついた形をしており、重さは29グラム、ゴルフボールの五分の三くらい。」と記載されていること。
(6)「東京新聞(1995年(平成7年)12月8日発行)」(甲第13号証)には、「『ターゲット・バード・ゴルフって何?』手軽にできて、ゴルフの醍醐味はそのまま。しかも、ベテランから初心者まで老若男女を問わず楽しめるのがターゲット・バード・ゴルフ(TBG)である。」と記載されていること。
(7)そして、現代用語の基礎知識2002には、「ターゲット・バード・ゴルフ」(target bird golf)は、「ゴルフボールにバドミントンのシャトルをつけたような形状のボールと、傘を逆さまにして立てたような形状のホールとゴルフクラブを用いて行う」との略紹介記事が掲載されている。
以上の事実によれば、「TBG」の文字は、上記したスポーツの名称である「ターゲット・バードゴルフ」の略称として広く一般において認識されているものと認められる。
してみれば、「ティビージー」及び「TBG」の文字を書してなる本件商標をその指定商品中「ターゲット・バードゴルフ用の運動用具」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、当該商品が「ターゲット・バードゴルフ用のもの」であることを容易に認識し、商品の品質、用途を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
また、本件商標を、前記商品以外の「運動用具」に使用した場合には、恰も「ターゲット・バードゴルフ用のもの」であるかの如く商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、その指定商品中「運動用具」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
しかしながら、その余の審判請求に係る商品については、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから、その登録を無効とすることはできない。
よって、本件審判請求は結論掲記の商品について理由があるからこれを認容し、審判費用につき商標法第56条第1項、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第64条を適用して、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-02-24 
結審通知日 2004-02-27 
審決日 2004-03-16 
出願番号 商願平9-130084 
審決分類 T 1 12・ 13- ZC (Z28)
T 1 12・ 272- ZC (Z28)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 梶原 良子
鈴木 新五
登録日 1999-02-05 
登録番号 商標登録第4236258号(T4236258) 
商標の称呼 ティビージー、テイビイジイ 
代理人 金倉 喬二 

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