ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Z20 |
---|---|
管理番号 | 1095144 |
審判番号 | 不服2001-16757 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-09-20 |
確定日 | 2004-03-22 |
事件の表示 | 平成11年商標登録願第121505号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第20類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成11年12月27日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同12年11月15日付け手続補正書により、第20類「屋外用イス,屋外用ソファ,屋外用テーブル,屋外用寝台」と補正されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第1134212号商標(以下「引用商標」という。)は、「Petra」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年9月25日登録出願、第20類「寝台」を指定商品として同50年7月22日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記したとおり、「Petrous」の欧文字と柄の部分を省略した傘と思しき図形とを組み合わせた構成よりなるところ、文字部分と図形部分とを常に一体不可分のものとしてみるべき特別な事情も見出せないものであるから、該文字部分と該図形部分とはそれぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。 しかして、「Petrous」の文字部分についてみると、該文字は、「岩上の、錐体部の」等の意味を有する英語と認められるものであるから、これからは、「ペトラス」の称呼を生ずると判断するのが相当である。 他方、引用商標は、前記したとおり、「Petra」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「ヨルダン中南部の古代都市遺跡」の意味を有し、「ペトラ」の称呼を生ずるものである。 そこで、本願商標から生ずる「ペトラス」の称呼と引用商標から生ずる「ペトラ」の称呼を比較すると、この両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含む3音を同じくし、異なるところは語尾における「ス」の音の有無のみである。 しかして、この「ス」の音は、それ自体響きの弱い無声摩擦音であるばかりでなく、比較的聴取され難い語尾に位置することから、該「ス」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標と引用商標とは、外観及び観念において相違することを考慮しても、称呼において相紛らわしい類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものと認められる。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 なお、請求人は、商標の類否は取引の実情を参酌したうえで判断すべきものであり、「Petrous」の文字は、英語の成語であるとしても一般の需要者に馴染みがなく、造語として看取されるため、これはローマ字読みに「ペトロウス」と称呼されるばかりでなく、請求人作成のカタログ、チラシにおいて「ペトロウス」と紹介されており、「Petrous」の文字と傘の図形とを一体的に表示した態様でのみ使用している旨主張するとともに、本願商標と同様の構成態様からなる商標が大韓民国において登録されているから、パリ条約第6条の5A(1)の規定により、本願商標は登録されるべきであると主張している。 しかしながら、請求人の提出したこれらの証拠(カタログ、チラシ)は、何れも、配布した数量、期間、地域等が不明であるから、提出されたこれらの証拠によっては、本願商標が「ペトロウス」とのみ称呼されて、取引者、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、また、本願商標は、前記したとおり文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。 また、たとえ、「Petrous」の文字が、我が国の取引者、需要者に広く親しまれているとはいい難いとしても、これに接する取引者・需要者は、我が国において最も親しまれた外国語である英語読みまたはローマ字読みで称呼するとみられるところ、これからは、ローマ字読み風に「ペトロウス」の称呼を生ずる他に、英語の「wondrous」を「ワンダラス」、「dangerous」を「デンジャラス」、「decorous」を「デコラス」、「monstrous」を「モンストラス」、「adventurous」を「アドベンチャラス」と発音する例に倣い、英語読み風に「ペトラス」の称呼をも生ずるというのが相当である。 さらに、パリ条約第6条の5A(1)は、「本国において正規に登録された商標は、この条で特に規定する場合を除くほか、他の同盟国においても、そのままその登録を認められかつ保護される。」と規定しており、該「この条で特に規定する場合を除く」ものとして、同条約第6条の5B1は、「当該商標が、保護が要求される国における第三者の既得権を害するようなものである場合」と規定していることから、たとえ、本願商標が大韓民国で登録された商標と同様であるとしても、前記したとおり本願商標は、引用商標と類似の商標と認められるものであるから、同条約6条の5B1に該当するものと解される。 以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 本願商標 (色彩については、原本参照) |
審理終結日 | 2003-10-20 |
結審通知日 | 2003-10-24 |
審決日 | 2003-11-06 |
出願番号 | 商願平11-121505 |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(Z20)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山本 良廣 |
特許庁審判長 |
小川 有三 |
特許庁審判官 |
岩内 三夫 末武 久佳 |
商標の称呼 | ペトラス、ピートラス、ペトロウス |
代理人 | 藤本 昇 |