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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20006894 | 審決 | 商標 |
不服20006895 | 審決 | 商標 |
審判199916888 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z33 |
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管理番号 | 1091872 |
審判番号 | 不服2000-17141 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-10-26 |
確定日 | 2004-02-20 |
事件の表示 | 平成 9年商標登録願第101566号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第33類「ウイスキー」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。 2原査定の理由 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、その指定商品との関係よりすれば、その商品の形状(収納容器)の一形態であることを容易に認識させる立体的形状をもって表してなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は商標法第3条第2項の主張をしているが、提出された証拠から使用による商標の立体的形状のみが独立して、自他商標識別力を有するに至ったものとは認められない。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3当審の判断 (1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。 立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。 また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 (2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。 また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所昭和50年(ワ)第3035号昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。 (3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、縦長の直方体の立体的な全体形状は、液体等を収納する容器そのものを表したものである。そして、容器の四方側面に施された線と面で構成される切り欠け状の模様は、商品の機能(持ち易さ)、美観を効果的に高めるための範囲内のものにすぎないというべきである。してみると本願商標は、これをその指定商品(ウイスキー)に使用しても、取引者・需要者は、全体としてウイスキーの包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。 請求人は、「ウイスキーの瓶には、色々な形状をした瓶が用いられており、本願商標が表す瓶の形状はウイスキー瓶の形態として必然的なものではなく、また、ウイスキーその他の洋酒について、本願商標と同様な形状をした瓶を販売しているメーカーはない。」旨主張する。 しかしながら、「ウイスキー」を取り扱う業界においては、その取り扱う商品が液体であるが故に、ある程度特徴をもたせた形状の容器を採択し、商品「ウイスキー」を販売している実情にあることは認め得るとしても、本願商標は、前記したとおり、包装容器としての立体的形状に切り欠け状の模様等を施した特徴は、商品の機能(持ちやすさ)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲内のものというべきであって、液体(ウイスキー)を収納する容器の機能等から予測し難いような特異な形状、特徴を備えているものとは認められず、取引者、需要者に、ウイスキーの収納容器として一般的に採用し得る機能又は美観であるとの印象を与えるにすぎないものである。 したがって、本願商標は、前示(1)で述べたとおり、上記特徴を持たせたことをもって、自他商品の識別機能を有するものとは認めることはできず、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。 (4)請求人は、「本願商標は、昭和12年以来、65年もの間、継続して使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品『ウイスキー』であることを認識することができるに至っているものであるから、商標法第3条第2項により登録されるべきである。」旨主張し、原審において添付書類1ないし同5を、当審において2000年出願人製品カタログの抜粋写を提出した。 ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られるものである。 したがって、出願に係る商標が立体的形状のみからなるものであるのに対し、使用に係る商標が立体的形状と文字、図形等の平面標章より構成されている場合には、両商標の全体的構成は同一でないことから、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。 ただし、使用に係る商標の形状の全体を観察した場合、その立体的形状部分と出願に係る商標とが同一であり、その立体的形状が識別標識として機能するには、そこに付された平面標章部分が不可欠であるとする理由が認められず、むしろ平面標章部分よりも立体的形状に施された変更、装飾等をもって需要者に強い印象、記憶を与えるものと認められ、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至っていることの客観的な証拠(例えば、同業組合又は同業者等、第三者機関による証明)の提出があったときは、直ちに商標の全体的な構成が同一ではないことを理由として商標法第3条第2項の主張を退けるのではなく、提出された証拠から、使用に係る商標の立体的形状部分のみが独立して、自他商品又は役務を識別するための出所表示としての機能を有するに至っていると認められるか否かについて判断する必要があるというべきである。 そこで、これを本願についてみれば、請求人提出の「『みてくんなはれ/サントリー70周年史』抜粋写(添付書類1)」、「角瓶の広告ポスター写『平成8年』(添付書類2)」、及び「2000年の本出願人製品カタログ」によれば、使用に係る商標は、いずれも本願商標と同一形状からなる包装容器(瓶)の正面部分の縦長楕円形内に「SUNTORY」、「LiqueurWhisky」等の文字と図形とが表示されており、本願商標とは構成において同一のものとは認められない。 つぎに、使用に係る商標中の立体的形状部分のみが独立して、自他商品を識別するための出所標識としての機能を有するに至っており、したがって、本願商標が請求人の取扱いに係る商品「ウイスキー」を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されていたか否かについて検討する。 本願商標は、前記認定のとおり、これを構成する立体的形状の特徴は、商品「ウイスキー」の収納容器としての機能(持ちやすさ)や美観(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるために施された範囲内のものというべきである。これを前提に、上記添付書類1,2及び「2000年の本出願人製品カタログ」に示された使用に係る商標についてみれば、使用に係る商標は、本願商標と同一の態様からなる立体的形状部分に、請求人の取扱いに係る商品 「ウイスキー」等を表示するものとして著名な「SUNTORY」の文字が大きく書され、他にそれ自体独立して自他商品の識別機能を果たし得る図形などが表示されているところ、使用に係る商標に接する取引者、需要者は、これらの文字若しくは図形又はこれらの組み合せによって、自他商品を識別する標識として捉え、取引に当たる場合が多いとみるのが相当であり、立体的形状部分は、商品「ウイスキー」の包装(収納容器)そのものを表したと認識するにとどまるものである。 してみると、使用に係る商標は、平面商標部分より立体的形状部分に施された装飾等がその需要者に強い印象、記憶を与えるものということはできない。 この点に関し、請求人は、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標(瓶の形状)のみにより、請求人(出願人)の商品「ウイスキー」を示すものとして認識するものである旨主張し、「『主要銘柄知名率調査』写(添付書類3)」「販売数量及び広告露出量報告書『出願人作成』(添付書類4)」及び「(株)社会調査研究所による『銘柄想起調査(CLT)結果報告書写』」(添付書類5)を提出した。 しかしながら、主要銘柄知名率調査は、消費者が想起し得るウイスキーの銘柄を答える「非助成知名率」とウイスキーの銘柄名称入り銘柄写真を呈示して知っている銘柄をあげる「助成知名率」とからなるものであって、その結果から、サントリーの製造販売に係るウイスキーの銘柄である「角瓶」の知名率は計れるとしても、出願に係る商標自体の知名率、すなわち、出願に係る商標の著名性が計れるものとは認められない。 また、銘柄想起調査(CLT)は、調査対象者に本願商標をみせて、それからどのような商品を想起するかを調査するものであるが、調査対象者が200人と少ないこと及びアンケート用紙の配布方法等が明確に示されていないこと等からして、これをもって本願商標が使用をされた結果、需要者により請求人の取り扱いにかかる商品「ウイスキー」を表示する商標であるとの認識がされる状態に至っているとの直接的証左とはいえないものである。 その他、請求人提出の参考資料を総合してみても、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているとするには十分とはいえないものであるから、先の認定を覆すに足りない。 4結論 してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備していないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本願商標 |
審理終結日 | 2002-09-03 |
結審通知日 | 2002-09-06 |
審決日 | 2002-09-24 |
出願番号 | 商願平9-101566 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z33)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 静子、小林 薫 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 瀧本 佐代子 |
復代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 柳生 征男 |
復代理人 | 青木 博通 |
復代理人 | 中田 和博 |