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審決分類 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z28
管理番号 1090456 
審判番号 無効2002-35540 
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-02-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-12-18 
確定日 2003-11-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4397233号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4397233号の指定商品中「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4397233号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成10年4月3日登録出願、第3類「つけづめ,つけまつ毛,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,塗料用剥離剤」、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,ロケット,スロットマシン,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,消防車,消防艇,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,メトロノーム」、第11類「電球類及び照明用器具,あんどん,ガスランプ,石油ランプ,ちょうちん,ほや,火鉢類,ガス湯沸かし器,調理台,流し台,加熱器,アイスボックス,氷冷蔵庫,便所ユニット,浴室ユニット,家庭用電熱用品類,浴槽類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,あんか,かいろ,かいろ灰,化学物質を充てんした保温保冷具,湯たんぽ」、第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,車いす,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製の花瓶・水盤・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,乗馬用具」、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),魚ぐし,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,化粧用具,デンタルフロス,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,家庭用燃え殻ふるい,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,じょうろ,寝室用簡易便器,石炭入れ,せっけん用ディスペンサー,貯金箱(金属製のものを除く。),トイレットペーパーホルダー,ねずみ取り器,はえたたき,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。),ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,コッフェル,水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」、第26類「編みレース生地,刺しゅうレース生地,組みひも,テープ,房類,リボン,ボタン類,針類,被服用はとめ,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,腕止め,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),造花」、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行及び清算,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,船舶の建造,船舶の修理又は整備,航空機の修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,育雛器の修理又は保守,ふ卵器の修理又は保守,医療用機械器具の修理又は保守,印刷又は製本用の機械器具の修理又は保守,映写機の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,エレベーターの修理又は保守,化学機械器具の修理又は保守,火災報知機の修理又は保守,ガソリンステーション用装置の修理又は保守,ガラス器製造機械の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,自転車駐輪器具の修理又は保守,牛乳ろ過器の修理又は保守,搾乳機の修理又は保守,業務用食器洗浄機の修理又は保守,業務用調理機械器具の修理又は保守,業務用電気洗濯機の修理又は保守,漁業用機械器具の修理又は保守,金属加工機械器具の修理又は保守,靴製造機械の修理又は保守,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。)の修理又は保守,栽培機械器具の修理又は保守,収穫機械器具の修理又は保守,植物粗製繊維加工機械器具の修理又は保守,飼料圧搾機の修理又は保守,飼料裁断機の修理又は保守,飼料配合機の修理又は保守,飼料粉砕機の修理又は保守,工業用炉の修理又は保守,鉱山機械器具の修理又は保守,ゴム製品製造機械器具の修理又は保守,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具の修理又は保守,自動販売機の修理又は保守,動力付床洗浄機の修理又は保守,銃砲の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,製材用・木工用又は合板用の機械器具の修理又は保守,繊維機械器具の修理又は保守,潜水用機械器具の修理又は保守,原子力発電プラントの修理又は保守,化学プラントの修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,たばこ製造機械の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,貯蔵槽類の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,配電用又は制御用機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守,塗装機械器具の修理又は保守,乗物用洗浄機の修理又は保守,土木機械器具の修理又は保守,廃棄物圧縮装置の修理又は保守,廃棄物破砕装置の修理又は保守,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の修理又は保守,半導体製造装置の修理又は保守,集積回路製造装置の修理又は保守,美容院用又は理髪店用の機械器具の修理又は保守,水質汚濁防止装置の修理又は保守,プラスチック加工機械器具の修理又は保守,包装用機械器具の修理又は保守,ミシンの修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,遊園地用機械器具の修理又は保守,理化学機械器具の修理又は保守,運動用具の修理,おもちゃ又は人形の修理,家具の修理,傘の修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,なべ類の修理又は保守,楽器の修理又は保守,看板の修理又は保守,かばん類又は袋物の修理,金庫の修理又は保守,靴の修理,錠前の取付け又は修理,洗浄機能付き便座の修理,釣り具の修理,時計の修理又は保守,はさみ研ぎ及びほうちょう研ぎ,ビリヤード用具の修理,遊戯用器具の修理,身飾品の修理,眼鏡の修理,浴槽類の修理又は保守,毛皮製品の手入れ又は修理,洗濯,被服のプレス,畳類の修理,被服の修理,布団綿の打直し,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,貯蔵槽類の清掃,公園の清掃,道路の清掃,運動場の清掃,放射線の除洗,浴槽又は浴槽がまの清掃,電話機の消毒,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),医療用器具の殺菌又は滅菌,洗車機の貸与,衣類乾燥機の貸与,電気洗濯機の貸与,衣類脱水機の貸与,土木機械器具の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定商品及び指定役務として、平成12年7月7日に設定登録されたものである。
2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第2410000号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成1年10月24日登録出願、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコ―ド、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成4年5月29日に設定登録されたものであるが、その商標権は、平成14年5月29日に存続期間満了により抹消され、平成15年2月5日にその登録がなされたものである。
3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、商願2002-41641における平成14年12月18日付け上申書及び請求人の「FISHING CATALOG/2000」を提出した。
(1)請求の理由
本件商標及び引用商標は、共に「ARCHE」なる文字を主体とする商標であり、極めて類似しているものである。
また、本件商標は、商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務には、「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」が含まれて、登録されたものである。
しかるに、本件商標の登録時点で、この商標に係わる同一又は類似と認められる引用商標が、昭和34年法の第24類「運動具,釣り具」を含んで存続していた。
引用商標は、平成4年5月29日に登録され、存続期間満了日は平成14年5月29日であった。
上記の事情から、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
よって、本件商標は、その指定商品中、「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」の登録は、無効にされるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア.利害関係について
請求人は、「ARCHE/アーチ」なる商標を、「運動用具,釣り具」を指定商品として登録出願(商願2002-41641)したが、本件商標を引用した拒絶理由通知を受け取ったものである。
平成14年12月18日付けで上申書を提出して、本件審判の審決が出るまで、審査を猶予してもらっている。
よって、請求人は、本件審判を請求したものであり、審判請求書の「1.審判事件の表示」の項にこの旨を記載した。
このことは、請求人が、本件商標により被害を被っていることは明白であり、また、審決時にも、同様な被害を被る恐れが大きいことは明らかである。
また、本件商標が登録された時点では、請求人は、引用商標を所有していて、実際にも使用していた(当社2000年版カタログ「FISHING CATALOG/2000」)し、現在も、引き続き使用している。当時、引用商標の商標権が侵害されるおそれが非常に大きかった状態にあったといえる。
イ.予備的主張
被請求人は、引用商標の権利消滅をもって、登録上の暇癖が治癒されたと主張するが、請求人は、その主張を認めることはできない。仮に、100歩譲って認めたとしても、新たに、商標法第4条第1項第13号により、本件商標は、登録の要件を欠いているものである。
したがって、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第13号にも該当していると予備的に主張する。
(3)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、同法第4条第1項第13号にも該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、却下する。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)利害関係について
商標登録無効審判の請求は、当該商標が無効となることに関し利害関係を有する者の請求が認められるものであるところ、請求人は、引用商標が自己の所有していた登録商標であるか否かすら主張せず、いわんや、本件審判を請求する具体的な利害の何たるかも何等立証するものではない。
したがって、請求人は、本件審判を請求するに不適格であるから、本件審判は却下されるべきである。
(2)本件商標と引用商標について
本件商標は、平成12年7月7日に設定登録がなされ、引用商標は、平成14年5月29日に存続期間を満了し消滅したものである。
そして、本件商標と引用商標が類似するものとすれば、平成12年7月7日から同14年5月29日までの間、重複して登録されていたこととなる。
しかしながら、平成14年5月29日をもって、引用商標は権利消滅したのであるから、前記日付けをもって登録上の暇癖は治癒されたのである。そして、引用商標については、いわゆる倍額期間(平成14年11月29日まで)に商標権存続期間更新登録申請をされることもなく数ヶ月を経過して後、請求人は、過去の暇癖を論難するものであって、無効審判制度の趣旨を誤解されたものと考えざるを得ない。また、上記の利害関係は、審判請求時はもちろん、審決時にも有しなければならないところ、少なくとも、平成14年5月29日には引用商標が権利消滅していたのであるから、現時点では請求の時期を逸した無効審判の請求として却下されるべきものである。
(3)むすび
したがって、本件審判請求は請求人の適格を欠き、かつ、請求の時期を逸したものであるから却下されるべきである。
5 当審の判断
(1)利害関係について
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係の有無について、当事者間に争いがあるので、この点について検討する。
「商標法46条の規定に基づき商標登録を無効にすることについての審判を請求するためには、請求人に右審判を請求するについての法律上正当な利益が存することを必要と解すべきであるが、無効審判請求の利益は、審判請求を適法なものとして取り上げ、請求の当否について審決を得るために具備すべき要件であるから、審決時を基準として判断すべきであり、審決時に存在することを必要とするとともにこれをもって足りるというべきである。」(平成1年10月19日東京高等裁判所判決、昭和63年(行ケ)第65号)ところ、これを本件についてみるに、請求人は、審判請求書の「1.審判事件の表示」中に「拒絶理由を受けた引例への審判事件」と記載する(もっとも、一般的には利害関係を有することを明示する場合、本件ように「1.審判事件の表示」中に記載することは極めてまれであるから、この記載から直ちに利害関係を示すものとして理解されることは少ないといえる。)とともに、請求人の出願に係る商願2002-41641について、本件商標が引用されたことを示す、上記出願おける平成14年12月18日付け上申書を提出したものである。
そして、職権で行った調査によれば、上記商願2002-41641は、現在審査に係属していることが認められた。
そうすると、請求人は、引用商標の存在によって、自己の出願に係る商標登録出願が拒絶査定を受けるという、不利益な結果を被るおそれがあるから、本件審判を請求するにつき、法律上正当な利益を有するものといわなければならない。
(2)本件商標と引用商標との類否及びこれらの指定商品についての類否について
引用商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「ARCHE」の文字部分は、下段に書された片仮名文字部分に比べ、太字でやや幅広に書されているものであるから、看者の注意を惹く部分であるといえるばかりでなく、下段に書された片仮名文字部分は、欧文字部分の読みを特定したものと理解されるにすぎないものである。
してみると、引用商標は、全体として「アーチ」の称呼を生ずるものであるものといわなければならない。
一方、本件商標は、別掲(1)のとおり、文字と図形よりなるものであるところ、その構成中の文字部分は、籠字をもって書されているものであるから、単に線のみで描かれ、特定の称呼、観念を生じない図形部分に比べ、看者に強い印象を与えるものといえる。また、文字部分と図形部分とが一体のものとなって、親しまれた観念を生ずるものとも認め難いところである。
してみると、本件商標に接する取引者、需要者は、外観上強く印象付けられ、かつ、比較的称呼しやすい文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって、商品の取引に当たる場合が多いというのが相当である。
そして、本件商標中の文字部分は、引用商標中の欧文字部分と同一の綴り文字よりなるものであるから、「アーチ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
そうすると、本件商標と引用商標は、「アーチ」の称呼を共通にするものであって、いずれも看者の注意を強く惹く欧文字部分において、「ARCHE」の綴りを同じくする外観上相紛らわしい商標というべきである。
また、請求に係る本件商標の指定商品中の「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」は、引用商標の指定商品中に含まれる商品と認められる。
(3)予備的主張について
本件審判の請求の理由は、請求当初、本件商標の指定商品中、「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に該当するというものであったところ、請求人は、平成15年4月10日付け審判事件弁駁書において、請求の理由として、上記指定商品について、商標法第4条第1項第13号にも該当するとして、追加的主張をしたものである。
しかしながら、この主張は、「請求の理由」の要旨を実質的に変更するものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第131条第2項の規定により、認めることができない。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、引用商標の商標権は、平成14年5月29日をもって消滅したのであるから、その日付けをもって、本件商標の登録上の暇癖は治癒されたのであり、また、本件審判を請求するについての請求人の利害関係は、審判請求時はもちろん、審決時にも有しなければならないところ、少なくとも、平成14年5月29日には引用商標が権利消滅していたのであるから、現時点では請求の時期を逸した無効審判の請求として却下されるべきものである旨主張する。
しかしながら、本件審判は、その請求の理由を商標法第4条第1項第11号を根拠に、本件商標の指定商品中の「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」についての登録は、無効であるとするものであるから、本件商標の登録が該条文に該当するか否かの判断時期は、登録査定時と解するのが相当である。
そして、引用商標の商標権は、平成14年5月29日に存続期間の満了により消滅したものであることは、前記2のとおりであり、本件商標の登録査定時である平成12年5月1日には、引用商標の商標権は、存続していたことは明らかである。また、前記5(2)で認定したとおり、本件商標は、引用商標と商標において類似する商標であって、その指定商品中の「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」は、引用商標の指定商品中に含まれるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないし、審判における利害関係については、前記5(1)のとおりである。
したがって、被請求人の上記主張は理由がない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び「第28類 運動用具,釣り具」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審決日 2003-09-29 
出願番号 商願平10-28136 
審決分類 T 1 12・ 26- Z (Z28)
最終処分 成立  
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 瀧本 佐代子
井岡 賢一
登録日 2000-07-07 
登録番号 商標登録番号第4397233号(T4397233) 
商標の称呼 1=アルシェ 2=アルシュ 3=アーキ 4=アルケ 
代理人 村越 祐輔 
代理人 萼 経夫 
代理人 館石 光雄 

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