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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 014 |
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管理番号 | 1088315 |
審判番号 | 取消2001-31121 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2001-10-11 |
確定日 | 2003-11-20 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4190496号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4190496号商標の登録は、指定商品中「時計」について、取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4190496号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年12月11日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割器・コショウ入れ・さとう入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶,貴金属製の水盤,貴金属製の針箱,貴金属製の宝石箱,貴金属製の蝋燭消し,貴金属製の蝋燭たて,貴金属製の喫煙用具,時計」を指定商品として平成10年9月25日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張及び弁駁の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁書に対する弁駁を要旨次のように主張し甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係るについての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。 (2)被請求人は、企業Aに本件商標に係る商標権の使用許諾を与えていると述べ、乙1号証を以てその事実を証明しているが、企業Aが本件商標を現に使用しているという事実については何ら証明されていない。言うまでもなく、商標の使用とは、商標法第2条第3項に規定される各行為を指称するものであって、単なる商標の使用許諾行為は「使用」に該当しない。答弁の理由中にも「企業Aは上記商標を付した時計を販売している」と述べるに止まり、何ら具体的な使用の事実は示されていない。 さらに、乙第3号証の企業Aの登記簿謄本を見ても、事業の目的に「時計の製造、販売」といった記載は見られず、「衣料の卸、販売」と並んで「商標権の売買並びに仲介業」が明示されている。「商標権の売買並びに仲介業」は、当然に「商標権の使用許諾の仲介業」をも含むものと理解され、かかる業者の多くは不使用取消審判が請求された場合の対処法を心得ているものであり、予測されたものですらありえる。 次に、平成14年3月8日付け差出しの答弁書は、商標法第56条において準用する特許法134条第1項に規定する、被請求人に対して答弁書提出のために指定された期間の経過後に提出されたものであることはその差出し日より明らかであり、これを証拠として採用することは、当事者間の公平を欠くものであり、不使用取消審判の趣旨にも反するから、期間経過後に提出された答弁書については、審理の対象としないことを希求するが、該答弁書の内容について以下のように弁駁する。 被請求人は、「使用権者である企業Aは乙第4号証に見られるような「時計」を平成13年5月より製造を行い数店で販売を行っている」と述べているに過ぎず、販売に係る店舗の所在地、名称等を明らかにしておらず、乙4号証の右上の写真も店舗の外観を撮影したに過ぎず、本件取消しに係る商品「時計」との関連も不明である。さらに、乙第4号証の左上の時計の写真及び時計の拡大写真とおぼしきものも、画像データの合成、改変を自在に行い得る今日のコンピュータ技術やコピー技術を持ってすれば、この程度の資料は容易に準備でき、客観的にみて使用事実を証明するものとは認められない。実際に製造、販売しているのであれば、取引書類を始め、種々の資料を提出するのは容易であるはずであり、むしろ、そうしたものが証拠として提出されて然かるべきである。 (3)被請求人は、平成13年12月23日付け及び平成14年3月8日差出しの答弁で、被請求人の商標管理代理人である企業Bと企業Aとの契約書を乙第1号証として提出しているが、被請求人と企業Aが本件商標に係る使用許諾契約を締結していることを証するものではない。 また、該契約書に添付の別紙(1)に商標権者として、企業Cの記名及び捺印がなされ、続いて商標管理代理人として企業Bの記名及び捺印がみられる。しかし、商標管理代理人とは、法的に定義されておらず、かつ実務上も一定の概念を有する用語として使用されることのないものである。 よって、商標管理代理人である企業Bと企業Aとを当事者とする本契約書(乙1号証)をもって、被請求人が、企業Aに対して本件商標に係る使用許諾をなしているとは到底認めることができないから、たとえ、企業Aが本件商標を「時計」に使用しているとしても、本件商標権に係る通常使用権者による使用には該当しない。 上述のとおり、被請求人提出の2通の答弁書並びに乙第1号証ないし乙第4号証により、当該商標の指定商品「時計」について通常使用権者が本件商標を使用している事実が証明されたものとは認められず、よって、本件商標の登録は、指定商品中「時計」について、取り消されるべきものである。 3 被請求人の答弁及び平成14年7月11日付けの請求人の弁駁に対する答弁の要点 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した(乙第5号証及び乙第6号証については、被請求人が前記弁駁に対する答弁に乙第1号証及び乙第2号証として添付したものであるが番号が重複するので当審で通し番号を付した。)。 (1)本件商標の指定商品中「時計」については、被請求人とその商標管理代理人企業Bは、企業Aに商標権の使用許諾を与えて、平成12年8月1日から平成13年12月現在も契約を結び、企業Aは指定商品中の「時計」の販売をおこなっている。(乙1号証及び乙第4号証)。 被請求人とその商標管理代理人企業Bは居所が同じであり、役員2名が兼任している。3社の会社謄本のコピーを提出する(乙第2号証及び乙第3号証)。 したがって、本件商標の登録は有効であり、取り消されることはないものである。 (2)被請求人は、使用の事実を証明する取引書類を提出する(乙第5号証)。 乙5号証により、企業Bと企業Aが、平成12年頃、商標「CHROME HEARTS(クロムハーツ)」に関する打ち合わせを行い、その結果、企業Aが企業Bに対し、前払保証金として200万円(消費税込みで210万円)を支払うことに合意した。 企業Bは被請求人より商標「CHROME HEARTS」の使用許可並びにライセンスの合意を受けた。、平成12年6月30日に企業Aより企業Bへの入金の事実が確認できる。証拠として平成12年6月30日に企業Aより企業Bへの入金の事実が確認できる。 企業Aは、平成12年8月に「時計」「傘」を、同年9月に「眼鏡」を製造し、直営店で販売した。 次に、被請求人と商標管理人企業Bとの関係を証明するために契約書(乙第6号証)を提出する。 「商標管理代理人」とは、法的な定義はないが、「特許管理人」、「法定代理人」、「代理人」、「請求人代理人」があり、合成語として「商標管理代理人」は意味を持つ言葉であると思料する。 以上の通り、本件商標は本件指定商品中「時計」について使用されている事実が証明された訳であり、今後も本件商標を付した商品を製造・販売するので、本件商標は取り消されるべきではない。 4 当審の判断 被請求人の提出に係る乙各号証について検討する。 (1)被請求人と企業Bが、企業Aに本件商標の使用許諾を与えて、時計について使用しいているとして提出した写真の写し(乙第4号証)によれば、商品「時計」及び本件商標と社会通念上同一と認めうる「CHROME HEARTS」を表示したタグの存在は確認できるが、これが誰によって、何時販売、使用されているかは不明であるから、企業Aが「時計」の販売を行っていることの証拠とはならない。 (2)被請求人が本件商標の使用の事実を証明する取引書類として提出した乙第5号証は、企業B名義の預金通帳の写し、企業Aの記載がある計算書(平成12年8月、平成12年9月)及び現金出納簿の写しであるが、これらは、商標の使用料に関しての金銭の動きを示すものと推測されるものであって、商品が流通し、取引きされたとの事実を証明するものとはいえない。 なお、被請求人は、平成12年8月1日から平成13年9月25日現在使用の実績があること、企業Aが平成12年8月に「時計」「傘」を、同年9月に「眼鏡」を製造し、直営店で販売した旨を張するのみで、本件商標を本件取消しに係る商品「時計」について使用していることを具体的かつ客観的に証明する取引書類(納品書、請求書等)の書証を何ら提出していない。 してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件審判請求に係る商品「時計」について使用されていたと認めることができない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の「結論掲記の商品」について取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 本件商標 ![]() |
審理終結日 | 2002-11-12 |
結審通知日 | 2002-11-15 |
審決日 | 2002-12-06 |
出願番号 | 商願平8-139533 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(014)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 飯島 袈裟夫 |
特許庁審判長 |
小林 薫 |
特許庁審判官 |
薩摩 純一 岩崎 良子 |
登録日 | 1998-09-25 |
登録番号 | 商標登録第4190496号(T4190496) |
商標の称呼 | クロームハーツ、ハーツ |
代理人 | 中馬 典嗣 |
代理人 | 倉持 裕 |
代理人 | 竹沢 荘一 |