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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 207
管理番号 1085389 
審判番号 取消2001-30680 
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-11-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-06-21 
確定日 2003-08-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第0553132号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件審判請求に係る登録第553132号商標(以下「本件商標」という。)は、「UNI」の欧文字と「ユニ」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、昭和33年5月8日に登録出願、第7類「他類に属しない金属製品」を指定商品として、昭和35年7月21日に設定登録されたものであり、その後、本件商標の商標権は、3回にわたり存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
第2 請求人の主張
本件商標の指定商品中「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,はし,はし箱,しゃもじ,栓抜き,盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,洋服ブラシ,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,貯金箱(金属製のものを除く。),紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,ねずみ取り器,はえたたき,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。)及びこれらに類似する商品」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べている。
1 本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において審判請求に係る指定商品について使用されていない。
したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取消を免れないものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標を1994年8月以降現在に至るまで「せっけん受け」に使用しており、該商品は「せっけん用ディスペンサー」に類似する商品であると主張する。
しかしながら、以下の理由により使用しているものとは認められない。
(1)予告登録日前3年以内の使用
被請求人が本件商標の「せっけん受け」への使用を立証するものは商品カタログに過ぎない。そして、被請求人は単にこのカタログが1999年4月1日に印刷されたものである旨を述べるだけで、この日に印刷されたことを客観的に立証する証拠方法を何ら提出していない。したがって、本件審判請求の予告登録日前3年以内に該カタログが印刷されたことが何ら立証されていないといわざるを得ない。
また、そのカタログが印刷されたとされる1999年4月1日は本件審判請求の予告登録日前3年以上前であるから、もし、カタログが1999年4月1日に印刷されたとしたら、予告登録日前3年以内の使用を立証するものとはならない。
さらに、商標の使用における広告とは、カタログ中に商品及び商標を表示するのみでは足りず、このカタログが需要者に実際に頒布される必要があると解される。商標法が広告を商標の使用としたのは、広告が行われて商標が付された商品の存在が需要者に認識されることによっても、商標法の保護対象である業務上の信用が商標に化体するからである。しかるに、カタログは需要者に実際に頒布されではじめて、商標が付された商品の存在が需要者に認識され業務上の信用が商標に化体されるのである。カタログが頒布されず、商品の取扱者の手元にあっただけでは、商標が付された商品の存在が需要者に認識されず、その結果,業務上の信用が商標に化体されることはないので、広告には該当しないと解される。問題のカタログが頒布されたことを立証されていない点でも、本件審判請求の登録日(予告登録日)前3年以内の使用を立証されていないといわざるを得ない。カタログを所持していることだけでは商標の使用には当たらない。
(2)商品についての使用
「せっけん用ディスペンサー」とは、せっけんを入れる容器であって、単なるせんけんを載せる台である「せっけん受け」とは用途、機能、製造業者、販売者のいずれの点においても異なる。したがって、「せっけん受け」は「せっけん用ディスベンサー」に類似するとは考えられない。
特許庁においても、「せっけん用ディスペンサー」の類似群コード番号は「19B54」であるが、特許庁電子図書館で「19B54」に属する商品を全てリストアップしたところ、「19B54」に属する商品には「せっけん受け」はなかった(甲第1号証)。「せっけん受け」は新商品ではなく、従来からあった商品であるから、もし、「せっけん受け」が「19B54」に属する商品であれば、当然、このリスト中に存在していたはずである。しかるに、「せっけん受け」がこのリスト中に見出せない以上、特許庁は「せっけん受け」が「せっけん用ディスペンサー」に類似するものではないと取り扱っていることを意味する。
本件審判に関しては、上記取扱とは異なる取扱がされることは、行政処分の統一性から許されないことであるといわざるを得ない。特に、商品の類否については特許庁においては画一的な取扱いがされていることは夙に知られている。この点で、「せっけん受け」が「せっけん用ディスペンサー」に類似するものではないとの取扱が本件審判で行われないとは到底考えられない。
以上述べたことから明らかなように、本件商標は取消請求に係る商品ではない商品に使用されている。したがって、被請求人は本件商標がその取消請求に係る商品に使用されていることを何ら証明していないものである。
(3)まとめ
以上述べたことから明らかなように、本件商標の登録は商標法第50条の規定により取消を免れないものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として乙第1号証を提出している。
1 本件商標を使用していることについて
被請求人は、「登録商標の使用説明書」の乙第1号証に示されているように.少なくとも便所の壁面等に取り付けて使用する金属製の「石けん受け」(ソープホルダー)について、本件商標を少なくとも1994年(平成6年)8月以降現在に至るまで使用している。
そして、該「せっけん受け」は、本件商標の指定商品に属するものであり、本件審判請求に係る商品中の「せっけん用ディスペンサー」と用途や使用者、販売部門等が一致するから類似する商品である。
なお、請求人は、審判請求に係る指定商品として、多数の商品を示すとともに、その指摘した商品に「類似する商品」を挙げている。しかしながら、この「類似する商品」の表現は商品の範囲を暖味にするので許されてはならないものである。
以上のとおり、本件審判請求に係る指定商品について使用しているものである。
2 請求人の弁駁に対する答弁
(1) 請求人は、「被請求人提出に係るカタログ(乙第1号証)の印刷日である1999年4月1日は、本件審判請求の予告登録日(2001年7月18日)前3年以上前であるから、予告登録日前3年以内の使用を立証するものとはならない。」(弁駁書1頁21行〜23行)旨の主張をしている。
しかしながら、前記予告登録日から印刷日を控除すると2年3月強となるので、カタログの印刷日は予告登録日前から3年以内の使用に該当するものである。故に、この点における請求人主張を認めることができない。
(2) 被請求人が提出したカタログ(乙第1号証)は、得意先である印刷会社が真正に印刷したものであり、同カタログを卸売業者や小売り業者の取引業者及び一般需要者に頒布したものである。
これに対し、請求人は、上記カタログが頒布された事実を立証すべきことを要求しているが、上記日付のカタログは、その当時に殆ど全部を取引業者や一般需要者に頒布し終わっており、現存しているのは数枚程度しかなかった。必要であれば、頒布された事実を立証できる証拠を提出する用意がある。
(3)(a) 請求人は、「せっけん用ディスペンサー」と「せつけん受け」とは非類似と主張している。
しかしながら、両者は何れも、洗面所や便所等に配置して子供から大人までの万人の手を洗うものであって、使用場所や用途並びに需要者の範囲も同一である。また、両者は共に衛生器具であるので、一般的には衛生器具店等で販売されるため販売店を共通とする。
従って、両者は同一または類似の商品である。
(b) 次に、請求人は、「せっけん受け」は類似群コード番号の「19B54」に記載されていないから、両者は非類似であると、主張している。
しかしながら、本件カタログ記載の「せっけん受け」が、類似群コード「19B54」に記載されていないから非類似商品であると断定し得るものではない。なぜなら、各類似群コードは、類似する商品の全部をことごとく包含させたものではなく、あくまでも例示したものであるから、当該同一類似群コードに記載されていないからといって非類似の商品であるといえないからである。
(4) 以上の通り、本件商標は、「せっけん用ディスペンサー」と同一又は類似の商品について使用されているものであり、商標法第50条の規定により取消されてはならないものである。
第3 当審の判断
被請求人は、本件商標を「金属製せっけん受け」に使用していると主張しているので、その点について検討する。
1 被請求人が提出した「商標の使用の事実を示す書類」である乙第1号証によると、商標使用者は、商標権者の一人である「株式会社ユニオン」であること、使用に係る商品名は「金属製せっけん受け」であること、商標の使用の事実を示す書類として「カタログ」が添付され、そのカタログは1999年4月1日に大阪市城東区所在の「浅井印刷株式会社」が作成したものであることが記載されており、その商標の使用の事実を示す書類である「カタログ」をみると、「ユニオン サニタリー コーディネイトシリーズ」及び「ソープホルダー」の記載、楕円形を塗り潰した図形を地として「ユニ」の文字が書かれ、その下段に「SR-2022」と記載、そして壁などに取り付けて使用する金属製のせっけん受けとみられる写真及び該商品に固形せっけんが乗せられている状態の写真が掲載され、そしてカタログの一番下部分に「株式会社ユニオン」の名称及び右下の端に「Printed 1999.4.1」の文字が記載されていることが認められる。
2 上記「商標の使用の事実を示す書類」及び被請求人の主張を総合すると、そのカタログに掲載されている商品は、「サニタリー コーディネイトシリーズ」としての浴室や洗面所等の壁面などに取り付けて使用する固形せっけん用の「金属製のせっけん受け」(以下「使用商品」という。)であること、該カタログは「Printed 1999.4.1」と記載されていることから1999年4月1日に大阪市城東区所在の印刷会社で印刷されたものであること、そして楕円形に塗り潰した図形を地として「ユニ」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が使用されていることが認められる。
(1)使用商品について
使用商品は、上記で述べたとおり、その商品のカタログに「サニタリー コーディネイトシリーズ」と記載していることから、風呂や洗面所等に取り付け手や身体を洗い清潔にする一種の衛生器具として使用する固形せっけん用の「金属製せっけん受け」であって、本件商標の指定商品に含まれる商品と認められるものである。
他方、審判請求に係る指定商品中の「せっけん用ディスペンサー」は、手や身体を洗い清潔を保つために浴室や洗面所等に置き又はその壁面などに取り付けて使用するものであって、液体や粉体のせっけんを入れる容器からなる器具であることから、両商品は、いずれも設置場所や設置方法、その用途、用法を共通にしているものであり、共に生産部門、販売部門を同じくする場合の多い商品とみられるので、使用商品と審判請求に係る指定商品中「せっけん用ディスペンサー」とは類似する商品と認められるものである。
なお、請求人は、「せっけん受け」は「せっけん用ディスペンサー」と類似する商品として取り扱われていないので類似商品ではない旨主張しているが、被請求人の提出に係る資料である「カタログ」に掲載されている使用商品の写真及び説明からして、その商品は上記認定のとおりのものであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(2)使用商標について
本件商標は、第1の項で述べたとおり、「UNI」の欧文字と「ユニ」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、「UNI」の文字は「ユニ」と発音され、「一、単」を意味する英語(接頭辞)であること、他方、使用商標の「ユニ」の文字は「ユニ」と発音され、「UNI」の文字からなる語を容易に想起しうるものであり、また楕円形に塗り潰した地となっている図形の部分は「ユニ」の文字を強調する程度のものとして装飾的に付記されているものとしか看取され得ないことから、使用商標は登録商標と同一の称呼及び観念を生じる社会通念上同一の商標とみるのが相当である。
(3)使用時期について
使用商品の「カタログ」(乙第1号証)は、その全体的記載事項からみて、使用商品を販売するためのものであって、そのカタログ中に「Printed 1999.4.1」と記載がされていることから1999年(平成11年)4月1日に印刷されたものであり、本件審判請求の登録(平成13年7月18日)前3年以内に使用商品の販売のために使用されたものと推認されるものである。
3 してみると、本件商標は、商標権者の一人である株式会社ユニオンが日本国内において、本件審判請求の登録前3年以内に、その審判請求に係る指定商品中の「せっけん用ディスペンサー」に類似する商品「浴室や洗面所等の壁面などに取り付けて使用する金属製せっけん受け」について使用をしていたものと推認される。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
5 なお、被請求人は、本件取消審判の請求に係る指定商品を「・・・,これらに類似する商品」と記載されているが、その「類似する商品」の商品の範囲が曖昧なものである旨主張する。
しかしながら、商標法第50条に規定する取消審判の趣旨は、例えば、新たに登録出願して商標の使用をしようとする場合に、既に他人の登録が存続し、その登録出願について拒絶がされる場合に、その他人の登録中不使用範囲の指定商品についての登録の取り消しを求めるものであるところ、登録出願の拒絶条文である同法第4条第1項(第11号)の規定からして「使用しようとする商品及びその類似する商品」の範囲まで、当該他人の登録に係る指定商品の登録を取り消さなければ取消審判が有効に機能し得ないこととなる。特に、本件審判請求に係る指定商品のように商品の単品を列挙する場合に、その単品の商品と類似する商品が存在しないことが明確である場合を除き、単品の商品のみの取消審判の請求は、その取消審判の対象となっている登録に類似する商品が指定商品として残存することとなり、当該取消審判の請求が成立しその審決が確定したとしても、その新たな登録出願が拒絶されることとなる。
してみると、上記取消審判制度の趣旨及び商標法第4条第1項(第11号)の規定からして、取消審判の請求に係る指定商品について「これらに類似する商品」と記載する方法は、商標法上類似する商品の範囲に特定しかつ限定しているものであって、取消を求めている指定商品の範囲が明確でないものということはではないものであるから、この点についての被請求人の主張は採用できない。
6 よって、本件審判請求は、成り立たないものとし、審判費用の負担について商標法第56条第1項及び特許法第169条第2項が準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-06-02 
結審通知日 2003-06-05 
審決日 2003-07-07 
出願番号 商願昭33-12762 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (207)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高橋 厚子
宮川 久成
登録日 1960-07-21 
登録番号 商標登録第553132号(T553132) 
商標の称呼 1=ユニ 2=ユウエヌアイ 
代理人 玉利 冨二郎 

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