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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z03
管理番号 1083825 
異議申立番号 異議2001-90922 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-10 
確定日 2003-08-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第4504590号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4504590号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4504590号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヘアカラーグロス」の片仮名文字(標準文字による)よりなり、平成10年3月31日登録出願、第3類「染毛剤」を指定商品として、平成13年9月7日に設定登録がなされたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、「つやだし効果のある染毛剤」を直感させるから、商標法3条1項3号に該当し、「つやだし効果のある染毛剤」以外の指定商品に使用するときには商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから商標法4条1項16号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)より提出のあった甲第1号証によれば、「グロス」の語は、化粧品を取り扱う業界において、「グロス効果で、髪にツヤ感・うるおい感を演出」、「唇にリップグロス、髪には髪グロス」などと唇や髪にツヤ(輝き)を与える効果を有する化粧品を指称する語として普通に使用されていることが認められる。そして、現にある美容室のインターネットホームページには「髪にしっとり感やシャープ感を演出しながら色の変化を楽しめます」との表現を用いて「ヘアカラーグロス」の語が使用されていることが認められる。
本件商標は、前記したとおり「ヘアカラーグロス」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、これを本件商標の指定商品「染毛剤」について使用した場合には、上記の事実より取引者、需要者をして「つやだし効果のある染毛剤」を認識させるに止まるものであって、その商品の品質、効能を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法3条1項3号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見の要旨
上記3の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)本件商標は造語として理解されるため、自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮する。例えば「広辞苑第五版」(岩波書店発行)には「ヘアカラーグロス」、「ヘアカラー」の語句が掲載されている事実はない(乙第1号証)。
また後半部「グロス」に関しては,単に「グロス」といえば「数量の単位を示す語」、あるいは「ゴルフでハンディキャップを差し引かないスコア」であることが直感されるが、本件商標全体では,どのような観念が生じるかが直ちには理解できない。「グロス」は「つやだし」の観念よりも,「リップグロス」に結びつくことが想起され,指定商品「染毛剤」とは一見しただけでは何の関連があるかが理解できない。
確かに「ヘアカラー」は化粧品の業界において「染毛剤」に通じる意味合いがあるが、代表的な国語辞典にも掲載されていない単語である。
また、「ヘアカラーグロス」の語が広く業界で用いられている事実はなく、出願人が独自に案出した造語である。一般人が本件商標から「つやだし効果のある染毛剤」の意味を直ちに想起し、認識することはない。
(2)甲第1号証として提出されたインターネットのホームページのものは、いずれも唇用化粧品に関するものである。
また、「ヘアカラーグロス」の語句が用いられた(98春 ヘアカラーグロス)は本件商標権者の使用に係るものであるため,当然造語として使用されているものである。
その他美容院のインターネットのホームページに係る、「ヘアカラーグロス」(New Style)は,数多くある美容院のインターネットのホームページの中でたった1つしか見いだせず、「ヘアカラーグロス」の語が「つやだし効果のある染毛剤」といった一定の観念を有する語句として使用されていないことは明白である。
(3)第3類の「化粧品」において「デュアルグロス/DUALGLOSS」、「CLINIQUE QUICK GLOSS/クリニーククイックグロス」、「Moistgloss/モイストグロス」、「キャンディーグロス/CANDY GLOSS」、「キャンディシロップグロス」等々,多数の「GLOSS」「グロス」の語を含んだ結合商標が登録されている(乙第2号証及び同第3号証)が、いずれも指定商品が化粧品全般を指定していて「つや出し効果を有する化粧品」に限定されている登録例は見当たらない。
そして、これらが構成中に「グロス」の文字部分を含んでいたとしても、染毛剤の品質・効能表示となるような観念は生じないと判断されたからに他ならない。

5 当審の判断
本件商標は、上記したとおり、「ヘアカラーグロス」の片仮名文字(標準文字による)よりなるところ、その構成中の「ヘアカラー」及び「グロス」の語についてみるに、以下の事実が認められる。
(1)「イミダス2000版」1244頁の「ヘアカラー[hair color]」の項には、「染毛料やブリーチなど髪の色を変化させるものの総称」との記載がある。
(2)「現代用語の基礎知識2000版」1116頁の「ヘア・マニキュア[hair manicure]」の項には、「髪の内部に浸透して染めるヘア・カラーに対し………」との記載がある。
(3)「コンサイス外来語辞典第4刷」(1982年12月1日発行)の「ヘア-カラー[hair color]」の項には、「頭髪染色剤。とくに一時的に染めるのに用いるものをいう。」との記載がされている。
(4)「グロス」の文字(語)は、英語の「gloss」に通じるものであるところ、「新英和中辞典」(第21刷)の該語の欄には、第一義的に「光沢、つや」の意味があることが記載されている。
(5)申立人が提出した甲第1号証の1葉目には「ピュア グロス スプレー」として「髪にツヤとサラサラ感を与え、乾燥、静電気から守ります。」表示が、同7葉目には「くちびるに『リップグロス』髪に、『髪グロス?』………2001年6月29日新発売」「グロス効果により、傷んでツヤの失われた髪を、うるおい感のあるブリリアントな髪へと導くスタイリング剤」との表示が、同14葉目には、髪の毛の染毛に関する表示とともに、「カラーグロス」「グロス感覚のトリートメント」との語が使用されていること、同16葉目には「唇にリップグロスがあるように、髪にもグロスのツヤを。」との表示がされているところである。
しかして、本件商標を構成する「ヘアカラーグロス」の語そのものが、特定の意味を有するものとして本件指定商品との関係で使用されていないとしても、上記の(1)ないし(5)の事実よりすれば、これを本願指定商品に使用するときには、取引者・需要者は、それが「つやだし効果のある染毛剤」であることを認識・理解するというのが相当であると判断される。
商標権者は、「ヘアカラーグロス」の語が広く業界で用いられている事実はなく、出願人が独自に案出した造語であり、一般人が本件商標から「つやだし効果のある染毛剤」の意味を直ちに想起し認識することはないと述べている。
しかしながら、「ヘアカラー」及び「グロス」の語が使用されている事実(「ヘアカラー」が「染毛剤」を意味すること自体商標権者も認めている。)に照らせば、本件商標を構成する「ヘアカラーグロス」の語は、前記のように認識されるとみるのが相当であり、商標権者の意見は採用できない。
また、商標権者の提示する登録例は、本件商標と商標の構成を異にし、これらの事例をもって本件の判断の基準にするのは相当ではない。
してみれば、本件商標は、その登録時において、指定商品に使用するときには、商品の品質・効能を表示するにすぎないものであったといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法3条1項3号に違反して登録されたものといわざるを得ず、商標法43条の3、2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-07-03 
出願番号 商願平10-27238 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (Z03)
最終処分 取消  
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高橋 厚子
宮川 久成
登録日 2001-09-07 
登録番号 商標登録第4504590号(T4504590) 
権利者 株式会社マンダム
商標の称呼 ヘアカラーグロス、グロス 
代理人 秋山 泰治 
代理人 秋山 佳子 

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