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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1083482 
審判番号 審判1998-31281 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1998-12-02 
確定日 2003-07-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第2346408号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件商標登録第2346408号商標(以下「本件商標」という。)は、「G.PATRICK」の欧文字を書してなり、昭和63年11月25日登録出願、第17類「洋服、コート、セータ類、ワイシャツ類、下着、ねまき類、和服」を指定商品として、平成3年10月30日に設定登録されたものであるが、その後、同13年9月25日に商標権の存続期間の更新の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『洋服、コート、セータ類、ワイシャツ類、下着、ねまき類、及びこれらに類似する商品』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
(1)取消原因
本件商標は、当該商標登録原簿に徴して明白なとおり、その指定商品中「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類、及びこれらに類似する商品」については、本件審判請求の登録日前継続して3年以上、一度も日本国内において、商標権者たる被請求人が本件商標を使用していない事実があり、かつ、本件商標に関して専用使用権者が存在しないことも明白である。更に、通常使用権者も存在しないものと思われる。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当し、指定商品中の上記商品についての登録は、取り消されるべきものである。
(2)請求人の答弁に対する弁駁(第1弁駁)
(ア)被請求人は、「答弁の理由」中において「…被請求人は平成3年10月30日の登録から現在にいたるまで、本件商標を付した商品、例えば、乙第1号証及び乙第2号証に示す「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を日本国内の業者に製造販売しているものである。…」旨述べているが、この被請求人の主張には理由がない。
(イ)商標法第2条第3項は、商標の使用を特定の事実行為として定義しているものである。
そして、商標の使用が特定の事実行為である以上、商標法の定める事実行為が特定の者(以下Aと称する。)によってなされていない限り、文理上前記者の使用行為は存在しないし、前記者以外の者(以下Bと称する。)の事実行為は、Bの使用行為であって、Aの使用行為であるということはできない。
したがって、被請求人が本件商標を附した「「カジュアルシャツ」、その他のシャツ類」を継続的に輸出していたとしても、わが国への輸入行為が被請求人以外のイムズインコーポレイテッドによって行なわれ、わが国において前記者により取り引きされ、展示される限りにおいては、我国における被請求人の本件商標の使用行為は存在しないのであるから、本件商標は不使用取消の対象とならざるを得ない(甲第3号証)。
以下、これらについて詳述する。
乙第1号の1および乙第1号証の2を検討すると、たしかにカジュアルシャツの近傍に本件商標が表われているようではあるが、下記の各不自然なところがある。

(a)家庭用品品質表示法により、繊維の組成、家庭洗濯等取扱い絵表示、及びはっ水性を表示することが義務付けられているが、これらの事項が表示されているのかどうか窺い知ることができない(乙第4号証)。
(b)当該商品は透明なビニール袋におさめられているが、このような形態で流通段階におかれることは稀で、それなりの化粧袋や化粧箱に収められているのが一般的である。
(c)各乙号証は、乙第2号証の1及び乙第2号証の2との関係で、「ORDERSHEET」中の何れの商品に対応しているのかが定かではない。
(ウ)貨物を輸出しようとする者は、わが国では、保税地域へ貨物を搬入し、貨物を輸出しようとする者が保税地域を管轄する税関官署に輸出申告を行ない、税関によって、その貨物が保税地域に搬入済みであるか、輸出申告書に必要事項が記載されているか等の審査・検査が行なわれ、前記商品について必要な検査を経て、その許可を受け、税関による審査・検査に問題がなければ、はじめて輸出の許可がおこなわれる(輸出通関手続(甲第5号証))。
しかして、イタリア国においても上記のような輸出通関手続が必要なことは、なんら証左の必要がないところ、被請求人は、イタリア国税関官署に対して、輸出通関手続を行なってはいない。
(エ)外国からわが国に到着した貨物を引き取る際には、例えば、下記(a)ないし(f)の申告事項を記載した「輸入(納税)申告書」に、下記(g)ないし(p)の書類を添付して、貨物が保管されている保税地域を管轄している税関官署に申告しなければならないところ、被請求人以外のイズムインコーポレイテッドは、前記税関官署にこのような輸入申告を行ない、申告内容の審査、貨物について必要な検査を受けた後、申告書類と貨物の同一性の確認を受け、貨物に課税される「関税」、「消費税」及び「内国消費税」を納付して輸入の許可を受けてはいない。

(a)貨物の記号、番号、品名、数量及び価格
(b)税額その他必要な事項
(c)貨物の原産地及び積出地
(d)貨物を積んでいた船舶又は航空機の名称又は登録番号
(e)貨物の蔵置場所
(f)その他参考となる事項
(g)仕入書(インボイス)
(h)船荷証券(ビー・エル(Bill of Lading))又は航空 貨物運送証(エアー・ウエイ・ビル(Air Way Bill))
(i)関税関係法令以外の法令による許可・承認等に関する許可書等
(j)納付書
(k)保険料明細書
(l)運賃明細書
(m)包装明細書
(n)特恵関税を適用する場合、「一般特恵制度原産地証明書(様式A)」(Generalized System of Preference,Certificate of origin,FormA)
(o)関税等の免税を受ける場合、免税申請書又は証明書
(p)インボイス等により課税価格が決定できない場合、評価申告書
(以上、甲第5号証参照)
(オ)(a)乙第2号証の1及び乙第2号証の2の「FACSIMILE MESSAGE」中において、支払いは「L/C」となっているのに、輸入業者の信用を保証するために銀行が発行した信用証書が呈示されておらず、加えて、「…至急に“事前の請求書”を送って下さる様お願いします。」とあるにもかかわらず、前記したところを証左する書証が示されていない。
(b)さらに、上記各乙号証の「ORDER SHEET」中において、価格が記載されておらず、このようなことは、取引場裏の通念からすると通常考えられないことである。
(カ)以上述べたところから、被請求人が本件商標をシャツ類について継続して3年以上我国で使用していないことは明らかになったので、本件商標の指定商品中の商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着、ねまき及びこれらに類似商品」に使用した事実がないとの主張は、当を得たものであるから、本件商標がその指定商品中の商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着、ねまき及びこれらに類似商品」について、その登録を取り消される理由はある。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁(第2弁駁)
(ア)被請求人の提出した各乙号証を以ってしては、一連の通関手続を行った形跡を窺い知ることはできない((甲第3号証)被請求人が提出した乙第3号証乃至乙第8号証の輸出関連書類のみでは、一連の通関手続きを行ない、乙第1号証の「G.PATRICK」を付した「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」がわが国内に輸入され販売されたことが明白であるとはいえない。)。
上記したところから、イムズインコーポレイテッドを含むわが国の業者が一連の通関手続きを行なった形跡がない以上、被請求人は、本件商標を付した「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」を、わが国の業者に製造販売しているということはできない(あくまでも、本件商標を付した「力ジュアルシャツ、その他のシャツ類」を、イムズインコーポレイテッドを含むわが国の業者に製造販売していると主張するのであれば、上記したところを証左されたい。)。
したがって、「カジュアルシャツ」に付された本件商標は、わが国の取引場裏において出所識別機能を果たしたということはできないから、商標法第2条第3項の標章についての使用には該当しない。
(イ)(a)「家庭用品品質表示法」とは、店舗に陳列されている多くの家庭用品(「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」)の中から、消費者がその性能や品質を正しく見分け、生活にあった特定の「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」を選びだすのは大変困難なことなので、消費者に個々の「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」についての正しい知識や情報を提供し、家庭用品(カジュアルシャツ、その他のシャツ類)に関する適正化を図ることによって、消費者の利益を保護することが目的の法律である(甲第6号証)。
(b)したがって、品質表示規程(繊維製品表示規程)では、「品目、繊維の組成、家庭洗濯等の取扱い方法、はっ水性及び備考(組成繊維の部位)」の表示に加えて、「表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号」の付記が義務づけられている(甲第7号証)。
(ウ)しかるに、乙第1号証1及び2に示される「カジュアルシャツその他のシャツ類」では、消費者が、その「カジュアルシャツその他のシャツ類」の性能や品質を正しく見分け、生活にあった特定の「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」を選びだすこと、さらには、消費者に、当該「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」についての正しい知識や情報が提供できることが可能であるということはできない(品質表示の箇所はともかくとして。)。
さらに、種々の店舗における商品の展示販売の形態は、それなりの化粧袋や包装箱におさめられている以外に様々あるとしても、乙第1号証1及び2に示される「カジュアルシャツその他のシャツ類」では、消費者が、その「カジュアルシャツその他のシャツ類」の性能や品質を正しく見分け、生活にあった特定の「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」を選びだすこと、さらには、消費者に、当該「カジュアルシャツ、その他のシャツ類」についての正しい知識や情報が提供できることが可能であるということはできない。
したがって、乙第1号証の1及び2は不自然であり、請求人の主張には根拠がある。
(エ)以上述べたところから、被請求人が本件商標をシャツ類について継続して3年以上我国で使用していないことは明らかになったので、本件商標の指定商品中の商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着、ねまき及びこれらに類似商品」に使用した事実がないとの主張は、当を得たものである。
(4)被請求人の答弁に対する弁駁(第3弁駁)
(a)被請求人が、「カジュアルシャツ」を日本国内の業者に製造販売していることを証左する資料として提出している書証は、下記の各書証のみである。

件外イムズインコーポレイテッドから被請求人あての1997年4月17日付け注文書(乙第2号証)。
件外ジ・エレ・エム・スティユデイオ SRLから請求人あてのファクシミリ送信書(乙第4号証)。
ユナイテツドパーセルサービス S.r.1の荷送状(乙第5号証)。
ユナイテッドパーセルサービス イタリア S.r.1の輸出関連書類(乙第6号証)。
ミラノ税関の貨物輸送関連書類(乙第7号証)。
被請求人が件外イムズインコーポレイテッドにあてた請求書(乙第8号証)。
そして、これらの各書証からすると、件外イムズインコーポレイテッドが1997年4月17日付けで被請求人に「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を注文し、1997年7月18日付けのミラノ税関の貨物輸出関連書類により輸出が許可されたことを推測することはできるかもしれないが、輸入手続未済のため再びイタリア国へ送り返されたかもしれないことも推測できる。
(b)しかして、「輸入」とは、「外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採取された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。」と定義されている(関税法第2条第1項第1号(甲第8号証))。
しかし、上記の各書証のみでは、上記定義される「輸入」、すなわち、本件に即すると「カジュアルシャツ」その他のシャツ類がわが国に到着して保税地域に搬入され、その後、件外イムズインコーポレイテッドが、必要事項を記載した「輸入(納税)申告書」並びに「仕入書」、「船荷証券(航空貨物輸送書)」、「保険料明細書」、「運賃明細書」及び「包装明細書」等を税関長に提出して輸入申告をし、税関により前記商品の書類審査及び必要な検査がなされ、関税等の税金が納付(甲第9号証の1)されたことが確認されて輸入許可書(甲第9号証の2)が交付されて輸入が許可され、該者が、この輸入許可書を保税地域の担当者に示し、「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を、保税地域から引き取った事実は証左されていない。
(c)上記した事実が証左されていない以上、イタリア国ミラノの税関で輸出の許可を受けた被請求人の製造に係る「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を、件外イムズインコーポレイテッドが本邦に引き取ったということはできないから、被請求人は、「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を日本の製造業者に製造販売しているということはできない。
以上述べたところは、「輸入とは外国から本邦に到着した貨物または輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることをいう…」と定義する「工業所有権用語辞典」(甲第10号証)の「「輸入」の定義規定からも証左される。
(5)被請求人の答弁に対する弁駁(第4弁駁)
請求人は、イムズインコーポレイテッドなる法人が実存するか否かを確認すべく法人格の種類を表す株式会社、有限会社、合資会社及び合名会社をイムズインコーポレイテッドの前、および後に付した商号で、各登記簿謄本を申請してみた。
その結果の回答は、何れの法人についても「請求された会社(法人)見当たりません。」とのことであった(甲第11号証1乃至8)。
上記したところから、被請求人が「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を製造・販売しているとする日本国内の業者である「イムズインコーポレイテッド」が実存しないことは明らかである。
(6)被請求人の答弁に対する弁駁(第5弁駁)
(ア)再々弁駁するが、件外イムズインコーポレイテッドが被請求人からの本件商標を付した「カジュアルシャツ」その他のシャツ類についての輸入の申告等をして輸入許可書の交付を受け、この許可書をもって保税地域から前記商品を引き取ったという事実が証左されていない。
付言するならば、「…商品を受け取りもしないのに商品の代金を支払う人はいない筈であり、…」等の答弁は、何等客観的な根拠が呈示されていない答弁であるから請求人の預かり知らぬことであり、したがって、前記事実を証左する根拠にはなり得ない。
(イ)被請求人は、本件商標を指定商品の一部「カジュアルシャツ」その他のシャツ類について継続して3年以上日本国内で使用していたとして、後記する各乙号証、すなわち、商品注文書(乙第2号証)、輸出関連書類(乙第4号証ないし乙第7号証)、乙第8号証の請求書及び銀行送金関連の書類等、詳細には、件外イムズインコーポレイテッドから被請求人あての1997年4月17日付け注文書(乙第2号証)、件外ジ・エレ・エム・スティユデイオ SRLから請求人あてのファクシミリ送信書(乙第4号証)、ユナイテツドバーセルサービス S.r.1の荷送状(乙第5号証)、ユナイテツドパーセルサービス イタリア S.r.1の輸出関連書類(乙第6号証)、ミラノ税関の貨物輸送関連書類(乙第7号証)、被請求人が件外件外イムズインコーポレイテッドにあてた請求書及び件外イムズインコーポレイテッドより東京三菱銀行を通して送金があったことを証する書類(乙第8号証)のみを以って、被請求人が件外イムズインコーポレイテッドに「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を製造販売している事実の証左は明らかであると答弁して事足れりとしているが、上記(ア)に記載した事実の証左が欠如している以上、本件商標を指定商品中の商品「カジュアルシャツ」その他のシャツ類について継続して3年以上日本国内で使用していたということはできない。
(ウ)さらに付言するならば、請求人は、被請求人が、「力ジュアルシャツ」その他のシャツ類についての輸入の申告等をして輸入許可書の交付を受け、この許可書をもって保税地域から前記商品を引き取ったという事実が証左されていない事実を弁駁する意図の根拠として「輸入とは外国から本邦に到着した貨物または輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることをいう…」と定義する「工業所有権用語辞典」(甲第10号証)及び「輸入」とは、「外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採取された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。」と規定する関税法第2条第1項第1号(甲第8号証)及び輸入許可通知書等の甲第9号証の各甲号証を提出したのであるが、被請求人は、この意図を全く理解しておらず、甲第10号証に対しては、「…輸入についての解説がなされているにすぎず、…」と、甲第8号証に対しては、「…関税法の抜粋記載されているにすぎず…」と、さらに、甲第9号証に対しては、「…なにも記載されていないのでそのような様式があるというにすぎず…」と答弁するのみで前記答弁内容を証左する客観的な根拠を呈示せず、したがって、的外れな答弁である。
(エ)以上述べたところから、被請求人が本件商標を「カジュアルシャツ」その他のシャツ類について継続して3年以上わが国で使用していないことは明らかになったので、本件商標の指定商品中の商品「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類及びこれらに類似する商品」に使用した事実がないとの主張は、当を得たものであり、したがって、本件商標がその指定商品中の商品「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類及びこれらに類似する商品」について、その登録を取り消される理由はある。
以上の次第であるから、本件登録商標は、商標法第50条第1項の規定に該当する。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由(第1答弁)
(ア)被請求人は、平成3年10月30日の登録から現在にいたるまで、本件商標を付した商品、例えば、乙第1号証1及び2に示す「カジュアルシャツ」その他のシャツ類を日本国内の業者に製造販売しているものである。
このことは、1997年(平成9年)4月17日付けの大阪市中央区本町橋8-9プラネットビル901に所在するイムズインコーポレイテッドから被請求人へ宛てた注文書(乙第2号証1及び2参照)の記載内容より明らかである。
また、被請求人はこの注文書のほかにイムズインコーポレイテッドに、当該年度中におよそ400着以上販売しているものである(必要によっては証拠を提出する。)。
(イ)上記各乙号証から明らかなように、被請求人は本件商標を「シャツ類」について継続して3年以上日本国内で使用しているものであるから、請求人の「本件商標の指定商品中の『洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類及びこれらに類似する商品』を継続して3年以上日本国内において使用した事実がない」との主張は当を得てないし、本件商標がその指定商品中「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類及びこれらに類似する商品」について、その登録を取り消される理由もない。
(2)答弁の理由(第2答弁)
(ア)請求人は、同人の提出した甲第3号証〜甲第5号証を基として色々述べているが、これら請求人の主張は根拠のないものである。
(イ)すなわち、請求人は、甲第4号証を提出し、その証拠を基として弁駁書で、本件商標は商標法第2条第3項の商標の使用に当たらないとして取消理由を縷々と述べている。
しかしながら、この請求人の主張は当を得ていない。すなわち、商標法第2条第3項は、標章の「使用」について以下のとおり定義している。
・商品又は商品の包装に標章を付する行為
・商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡もしくは引き渡しのため展示し、又は輸入する行為(以下省略)
・商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し又は頒布する行為(以下省略)
しかして、被請求人が先に提出した乙第1号証1及び2で示す本件商標の使用の事実を証する写真には、本件商標の指定商品中の一つの「カジュアルシャツ」に本件商標の「G.PATRICK」を標記した「夕ッグ」「下げ札」等を付した商品が現されており、また、乙第2号証の注文書には商標「G.PTRICK」と本件商標が表示されている。
これは、正しく商標法第2条第3項で定義されている商標の「使用」に他ならず、このことにより請求人の主張が何等根拠のないものであることは明白である。
また、被請求人が提出する乙第3号証の網野誠著「商標法」の第147頁〜第150頁おける「商標の使用」についての説明からも、請求人の本件商標が不使用取消の対象となるとする、請求の理由が根拠のないことは明白である。
(ウ)請求人は、被請求人が提出乙第1号証1及び2に対して、弁駁書において、「(a)家庭用品品質表示法により、繊維の組成、家庭洗濯等取り扱い絵表示及びはっ水性を表示することが義務付けられいるが、これらの事項が表示されているのかどうか窺い知ることができない(乙第4号証)」とか、「(b)当該商品は透明なビニール袋におさめられているが、このような形態で流通段階におかれることは稀で、それなりの化粧袋や化粧箱に収められているのが一般的である。」などと述べ、本件商標の使用の事実を否定しているが、そのことにより本件商標の使用の事実が否定されるものでもない。
すなわち、商品シャツの品質表示の仕方において、品質を表示した夕ッグや、洗濯等の取り扱いの注意書きの夕ッグは、シャツの裏側下部に縫いつけたりしてあるのが普通であり、それらの夕ッグは必ずシャツの胸前等の見える箇所に表示しなければならないと義務付けられているものでもない。
したがって、乙第1号証1及び2のように品質表示や洗濯等の取り扱いの注意書きの夕ッグが一目で見える位置に表示されていなくとも、何等不自然なことではなく、請求人の主張は根拠のないものである。
また、商品の展示販売形態には種々あり、全ての商品を請求人が主張する様に、必ず化粧箱あるいは、化粧袋に入れて販売しなければならないという規則もない。
例えば、デパート、ショッピングセンター、アウトレット店、個人経営の洋品店、その他の店舗での商品の取扱いは、陳列棚や陳列ケースなどに、商品のシャツを化粧箱に入れた状態で展示販売している場合もあれば、透明な包装袋に入れたものを並べている場合、また、マネキンに着せてある場合もあれば、ハンガーに吊している場合、さらにむき出しのまま販売台に山積みにして販売している場合と、商品の展示販売の形態は様々である。
要するに、乙第1号証1及び2の成立を否定する請求人の主張は、何等根拠がない。
(エ)請求人は被請求人が提出した乙第1号証及び乙第2号証について、税関官署のホームページからダウンロードした「1999年6月21日税関ホーム」(甲第3号証)を引用して、各乙号証には不自然なところがある旨述べている。
この甲第3号証によって乙第1号証及び乙第2号証の成立が否定されるものでもないが、被請求人はここに乙第4号証〜乙第8号証を提出する。
この乙第4号証1〜3は、乙第2号証に示す件外イムズインコポレーテッドの注文書のファクシミリを受信した件外ジ・エレ・エム・ステュディオ S.R.L( 13069一ヴィリヤーノ・ピエレーセ(bi)ヴァイア・リヴェッテイ59所在)から被請求人宛に送信されたファクシミリ送信書と、その英訳文及び和訳文である。
また、乙第5号証1〜3は荷送状の写と、その英訳文及び和訳文であり、乙第6号証1〜3及び乙第7号証1〜3は貨物輸送関連書類の写及び英訳文と和訳文であり、乙第8号証1〜2は請求書の写とその和訳文である。
(オ)上記乙第4号証〜乙第8号証により乙第1号証に示す商標「G.PATRICK」を付した商品シャツが、日本国内に輸入され販売されたことは明白な事実で、要するに、被請求人が本件商標「G.PATRICK」を指定商品の一部の「シャツ類」について継続して3年以上日本国内で使用していることは明らかであり、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当しない。
(3)答弁の理由(第3答弁)
請求人の第2弁駁における主張は、先の主張を繰り返しているにすぎないので被請求人はあえて答弁しないが、ここに先に提出した乙第8号証1及び2のコピーを提出する。
この乙第8号証には、本件商標「G.PATRICK」及び指定商品の一部の「Cotton Shirts」並びに製品の数量・価格が記載されており、このことから請求人の「ORDER SHEET」中に価格が記載されていないから云々の主張は根拠がない。
(4)証拠の説明(物件提出)
被請求人が先に乙第8号証として提出した件外イムズコーポレイテッド宛ての請求書(M80779)に関連して、イムズコーポレイテッドより東京三菱銀行を通して送金があったことを証する証拠、乙第8号証3〜8を提出する。
これによって、被請求人と件外イムズコーポレイテッドとの間に取引があったことは明らかであり、請求人の主張が何等根拠のないことを立証する。
(5)答弁の理由(第4答弁)
(ア)請求人は、本件商標が不使用であるから取消されるべきであるとする理由として、輸入手続の手順を細々と述べているが、被請求人が提出した乙第1号証には、本件商標「G.PATRICK」を付した商品「カジュアルシャツ」の写真、また、乙第2号証の商品注文書、さらに、乙第4号証〜乙第7号証の輸出関連書類及び乙第8号証の請求書並乙第8号証3〜8の銀行送金関連の書類等から本件商標が使用されたことは明らかある。
(イ)また、請求人は甲第6号証YAHOO/JAPANのホームページからダウンロードした「家庭用品品質表示法」及び甲第7号証北海道通産局のホームページからダウンロードした「家庭用品品質表示法」の解説記事を証拠として提出し、本件商標を付した乙第1号証の商品「カジュアルシャツ」には、品質表示法に基づく「品質表示」の夕ッグが添付されていないので、本件商標を付した商品「カジュアルシャツ」の販売がなされていないことは明らかであると主張している。
この様な請求人が主張する商品に品質表示のタッグがなければ、その商品を販売することができないというものでもない。
すなわち、「家庭用品質表示法」の条文の第1条の「目的」、第2条の「定義」、第3条の「表示の標準」、第4条の「指示等」、第5条第8条の「指示に関する命令」、以下第23条の「両罰規定」の何れの条文を見ても「…命ずることができる。」との規定はあるが、「品質表示」がなければ「その商品の販売をしてはならない」とする規定は何処にもない。要するに品質表示法と商品の販売があったか、否かの事実関係との間には何等関係がない。したがって、請求人の主張は根拠のないものである。
(ウ)また、請求人は乙第1号証1及び乙第1号証2の商品「カジュアルシャツ」の写真には、品質表示タッグなどが見当たらないので、乙第1号証1及び2は不自然である旨述べているが、乙第1号証1及び2の商品写真は、商標の使用の事実を証する証拠写真として何等不自然なことはない。
例えば、旧法時代の商標権存続期間更新登録申請書に、必ず、添付しなければならなかった登録商標の使用の事実を示す資料として、商品の写真の提出が認められていたが、その審査基準によれば、「商標が直接商品に付されている場合には、その状態の写真を提出するものとする。なお、商品及び商標が1枚の写真で判明できるときは、その写真だけを提出すれば足りるが、商品の大きさに比べて付されている商標が小さいため、その商標を判別できないときは、その商品の全体の写真及び商標が付されている部分の拡大写真を併せて提出しなければならない。」としていた(乙第9号証)。
乙第1号証1及び乙第1号証2の商品の写真は、正にこの審査基準に則って作成されているので、証拠の成立を何等否定されるものでもない。しかしながら、ここに乙第1号証1の2及び乙第1号証2の2を提出する。
この乙第1号証1の2及び乙第1号証2の2は、先に提出した乙第1号証1及び乙第1号証2に示す商品「カジュアルシャツ」のそれぞれの裏面に縫着されている品質表示の夕ッグであり、この様に乙第1号証1及び2の商品「カジュアルシャツ」には品質表示があり、請求人の主張は理由がない。
(6)答弁の理由(第5答弁)
(ア)請求人は、弁駁の理由において、証拠として、甲第8号証〜甲第10号証を提出して取消理由を縷々のべているが、その主張は理由がない。
すなわち、請求人は本件第4回弁駁書の第2頁第7行〜第9行において「1997年7月18日付けのミラノ税関の貨物輸出関連書類により輸出が許可されたことを推測することはできるかも知れないが」と乙第1号証商品が輸出された事実を認めながら、一方請求人は『輸入手続未済のため再びイタリア国へ送り返されたかも知れないことが推測できる。』と述べているが、甲第8号証3〜甲第8号証8から明らかなように、商品を受け取りもしないのに商品の代金を払う人はいない筈であり、請求人の主張は根拠がない。
また、請求人の提出した甲第8号証の岩波大六法には単に関税法の抜粋が記載されているにすぎず、さらに、甲第9号証1の納付書・領収書写し及び甲第9号証2の輸入許可通知書(写)には、何も記載されていないのでその様な書式があるということを証するにすぎず、さらに、甲第10号証の工業所有権用語辞典第731頁には輸入についての解説がなされているにすぎず、これら証拠は本件商標が使用されていないとの証拠足り得ない。
(イ)さらに、請求人は、「請求人はイムズインコーポレイデッド法人が実存するか否かを確認すべく法人格の種類を表す株式会社、有限会社、合資会社及び合名会社をイムズインコーポレイテッドの前、および後に付した商号で、登記簿謄本を申請してみた。その結果の回答は、何れの法人についても『請求された会社(法人)見当たりません。』とのことであった(甲第11号証1ないし8)。」と述べ、また、「上記したところから、被請求人が『カジュアルシャツ』」その他のシャツ類を製造・販売しているとする日本国内の業者である『イムズインコーポレイテッド』が実存しないことは明らかである。」旨主張している。
被請求人は、請求人により存在しない法人である指摘されたイムズインコーポレイテッド(有限会社イムズ)の登記簿謄本を乙第10号証として提出する。一般に商号の使用にあたって、国内向け書類に記載される日本語表記の商号と、対外国向け書類に記載される英文表記の商号があり、その商号表記が異なっていることは多々あることである。
例えば日本電気株式会社は、「日本電気株式会社」及び「NEC CORPORAITION」の商号を使用しており、また、パソコンに画像を取り込むソフトの「PAINT SHOP PRO」を販売している株式会社メッツは、日本名が「株式会社メッツ」で、英文名が「MET’S CORPORAITION」と商号を使い分けている。
なお、この上記の被請求人の主張について、敢えて証拠を提出する必要はないと思料するが、必要であれば証拠を提出する。
要するに、件外、「有限会社イムズ」も国内では「有限会社イムズ」、対外国向けの商号の表記は、「EM’S INC(イムズインコーポレイテッド)」と商号を使用しているものであり、両商号が同一法人のものであることは明らかである。
従って、請求人が提出している甲第11号証及び主張は何等理由がない。

4 当審の判断
(1)使用について
本件商標の商標登録原簿に徴すれば、被請求人は、わが国に本件商標を登録している権利者であって、イタリア国在住の在外者であることが認められる。
そして、被請求人の提出した乙第2号証、同第4号証ないし同第8号証及び同第10号証よりすれば、被請求人は、「G.PATRICK」のラベルを付けたカジュアルシャツ102着を大阪市中央区本町8ー9プラネットビル901在のわが国法人「有限会社 イムズ」(イムズインコーポレイテッド)から、注文番号「EMー0434NK」として注文を受け、該注文者である「有限会社 イムズ」(イムズインコーポレイテッド)宛に荷送したことが認められる。
以上よりすれば、被請求人の上記行為は、標章の「使用」について定めている商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に……、又は輸入する行為」に該当するものと判断するのが相当である。
(2)商標の表示方法について
本件商標の指定商品中の商品「カジュアルシャツ」等のシャツ類は、商標を表示する場合、直接的には襟吊り又は襟の裏側中央の下部に縫い付けたタグに表示する方法が一般に採られているところである。
しかして、被請求人の提出した乙第1号証1、同第1号証1の2及び同第1号証2の2よりすれば、「カジュアルシャツ」に本件商標と社会通念上同一の商標「G.PATRICK」が表示されたタグが襟の裏側中央下部に縫い付けられているのが認められる。
(3)また、被請求人の提出した乙第2号証及び同第6号証よりすれば、被請求人は、1997(平成9年)年1月27日付の注文書を上記「有限会社 イムズ」(イムズインコーポレイテッド)から、「G.PATRICK」のラベルを付ける旨の注意事項のある注文番号「EMー0434NK」の注文書を受け、被請求人は1998(平成10年)年1月27日付けでイタリア国から貨物輸送したことが輸送関連書から認められる。
(4)結び
以上の乙各号証を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録(平成11年1月6日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品中の商品「カジュアルシャツ」について使用していたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すことはできない。
なお、上記「カジュアルシャツ」等のシャツ類の販売方法は、販売者それぞれの販売方針により、包装方法を含めて様々な形態が採られるのは当然であるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-25 
結審通知日 2002-05-01 
審決日 2002-05-30 
出願番号 商願昭63-133147 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小畑 恵一板垣 健輔 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 米重 洋和
小林 和男
登録日 1991-10-30 
登録番号 商標登録第2346408号(T2346408) 
商標の称呼 ジイパトリック、パトリック 
代理人 斉藤 侑 
代理人 伊藤 文彦 
代理人 斉藤 秀守 
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