ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 445 |
---|---|
管理番号 | 1081927 |
審判番号 | 取消2000-31188 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-09-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-10-06 |
確定日 | 2003-06-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第38741号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第38741号商標の第29類の指定商品中「肉のつくだに,肉の缶詰」及び同「塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,水産物のつくだに,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)」についての審判請求は、成り立たない。 請求に係る指定商品中「肉製品(ただし、肉のつくだに,肉の缶詰を除く。)」、「加工水産物(ただし、塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,水産物のつくだに,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)を除く。)」及び「カレー・シチュー又はスープのもと」についての審判請求は、却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第38741号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、明治42年9月18日に登録出願、第45類「各種ノ罐詰及ビ其ノ他他類ニ属セザル食料品、加味品一切」を指定商品として、同42年12月8日に設定登録されたものであるが、その後、6回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成11年12月6日に書換登録の申請があった結果、以下のように指定商品を書き換える旨の登録が同12年3月8日になされたものである。 〈指定商品の書換登録〉 第29類「食肉,塩辛,このわた,寒天,ジャム,卵,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,野菜のつくだに,肉の缶詰,水産物の缶詰,果実の缶詰・野菜の缶詰(乾燥果実の缶詰・乾燥野菜の缶詰を除く。),うに(塩辛魚介類)」 第30類「からし,こしょう」 第31類「のり,昆布,あらめ」 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中『肉製品,加工水産物,カレー・シチュウ又はスープのもと』について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁対する弁駁並びに審尋に対する回答及び上申に対して要旨次のように述べた。 1 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者(未登録のものを含む)のいずれもが、その指定商品中、「肉製品,加工水産物,カレー・シチュウ又はスープのもと』」について使用した事実が存しないから、標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁(第1回) (1)乙第1号証ついて (ア)日付について 乙第1号証中では、どこにも「日付」が読み取れず、いつの缶詰なのか不明である。乙第1号証は、「3年以内の使用」、つまり「日付」の点を証明していない。 また、缶、びん詰については、日本農林規格、品質表示基準、食品衛生法等に基づき、賞味期限(品質保持期限)の「日付」表示が義務づけられている。しかしながら乙第1号証では、この法的義務の「日付」表示が読み取れない(特に缶蓋について)。 (イ)証拠力について 乙第1号証の各写真を観察していると、本件商標(マル枠にトの字)の所だけが、不自然に新鮮で目立っている。側面拡大写真のみならず、側面全体写真や平面(底面)写真においても、本件商標の所だけがスポット的に新しく見え印象的に目につき、その周囲、特に金属露出部分の傷み具合や古さと対照的であり、不自然である。 さらに、乙第1号証の各写真を観察していると、本件商標の大きさや位置が、缶詰における通常の商標使用形態とは異なり、特に目立つ大きさや位置にて表示されており、この面からも不自然さを感じる。 取消審判において、写真を証拠として提出する場合は、責任の所在等を明確化すべく、通常、撮影年月日と撮影者の住所、氏名の付記、明示が行われているところ、乙第1号証の写真は、このような撮影年月日や撮影者の付記もなく、責任ある写真としての立証技術に劣っている。また、商標登録の取消審判の実務においては、被請求人が使用証明のため提出する証拠が写真のみの場合は、従来、証拠不足として取り扱われることが多い。写真のみによる「使用」の立証は認められない、とするのが過去の審決例である。 すなわち写真は、証拠とする場合、手を加え、改ざん、事後作成する等が容易である。そこで、「使用」の証拠としては、例えばラベル作成証明書、発注書、納品書、受領書、販売証明書、領収書、商品カタログ、チラシ、その他の取引書類を、写真と同時に提出することが、取消審判では通常行われている。 本件において被請求人は、乙第1号証として写真のみを提出し、これにて「使用」を証明した、と主張している。しかしながら、上述したように、これではではあまりに証拠がぜい弱である。 このように、乙第1号証は、証拠力が低く、「使用」を立証したとは認められない。 (ウ)取消審判に係る指定商品について 被請求人は、答弁書中の末尾において、「本件商標の指定商品は、乙第2号証に示したように書換られている。そこで、取消審判に係る指定商品と、本件商標の指定商品とは関係、範囲が不明確といえる」とあるので、この点について述べておく。 書換には、「旧指定商品と同一範囲内において新指定商品への書換を認める」、という書換要件が存在する。書換前後の新旧指定商品間は、「同一範囲内」という枠があり、実務上もそのためのガイドラインが広く活用されており、書換によって「関係、範囲が不明確」化するものはない。つまり、書換前の旧指定商品「各種ノ罐詰及ビ其ノ他他類ニ属セザル食料品、加味品一切」に、「肉製品,加工水産物」が含まれることは明確である。 そして、この「取消審判に係る指定商品」の「肉製品,加工水産物」(32F01,32F02)が、「書換後の指定商品」中の「塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,肉の缶詰,水産物の缶詰,(32F01,32F02)」を包含することも、自明である(類似商品・役務審査基準 参照)。 もって、「取消審判に係る指定商品と本件商標の指定商品と、について関係、範囲が不明確」となるおそれはない。ちなみにここで、これらの間で指定商品の減縮補正を行った場合でも、要旨変更ではなく認めるのが特許庁の実務である。 (エ)以上述べたように、乙第1号証には、「日付」表示がない。信ぴょう性に疑問あり証拠力が不足し、責任ある写真としての証拠力も不足しており、写真のみであり証拠力も低い。なお、この「取消審判に係る指定商品」は明確である。 3 答弁に対する弁駁(第2回) 乙第3号証ないし乙第10号証は、いずれも、(a)時期面:審判請求登録前3年以内使用立証ではない、(b)対象面:写真をメインとした使用立証にすぎない、(c)立証者面:立証者が被請求人の関係者であり、客観的使用立証ではない、等により本件商標の使用を証明したとは認められない。以下、詳述する。 (1)乙第3号証(日付)について 被請求人は、「乙第3号証によれば、当該缶詰の賞味期限は、2003年9月28日である」と主張している。 しかしながら、この乙第3号証は、以下のとおり、乙第1号証の「日付」の点を証明していない。 (ア)被請求人も乙第3号証に関し、「賞味期限の日付表示は、商品の製造年月日や販売年月日などを直接証明するものではないため、当該表示は、商品の使用時期の証明に必要不可欠な事項ではない」と自認している。 (イ)賞味期限は自由に独自設定可能であり、乙第3号証には、乙第1号証の日付の証明能力はない。 (ウ)被請求人は、「使用の証明に関しては、他の証拠方法(乙第4号証ないし乙第6号証)により行う所存である」と主張しているが、後で詳述するように乙第4号証ないし乙第6号証によっても、乙第1号証の日付の点は何ら証明されていない。 (エ)被請求人は、答弁書後半の写真、資料の説明の欄において、「撮影年月日:平成13年9月17日」と記載している。乙第3号証は、使用を立証すべき最終期限たる平成12年11月15日から、10カ月を経過した後、最近撮影されたものである。 (オ)乙第3号証は、乙第1号証の撮影から9カ月を経過した後に、最近撮影されたものであり、両者の撮影対象の同一性そして賞味期限の同一性にも、疑問が生じる。 (カ)乙第3号証にて撮影された缶詰は、引っ張って開けるイージータイプ、プルトップタイプよりなる。これに対し、乙第1号証にて撮影された缶詰は、缶切りにて開けられている。この点からも、乙第3号証と乙第1号証について、両者の撮影対象の同一性に、疑問が生じる。 (キ)この缶詰について唯一の日付の手掛かりとされた賞味期限(後で乙第3号証にて撮影)について、乙第1号証の撮影時に容易に撮影、提出可能であったのに、何故提出しなかったのか。乙第1号証の撮影時に、乙第3号証にて撮影された箇所(賞味期限)は、存在していなかったのではないか、との疑問が生じる。 以上の(ア)ないし(キ)の各点からみて、乙第3号証は、乙第1号証の日付を立証するものとは、およそ認められない。 (2)乙第7号証ないし乙第10号証(証拠力)について 乙第7号証ないし乙第10号証(それぞれ写真)は、乙第1号証の缶詰が、平成9年11月15日から平成12年11月15日の間に、製造、販売され使用されたことを、以下のとおり、証明してはいない。 (ア)被請求人は、答弁書の写真、資料の説明の欄において、「撮影年月日:平成13年9月12日、14日」と記載している。つまり、乙第7号証ないし乙第10号証は、使用立証の最終期限たる平成12年11月15日から、10カ月を経過した後に、最近撮影されたものである。 (イ)乙第7号証ないし乙第10号証は、単に最近において、小売店、倉庫、製造ラインに、その缶詰が置かれていたということを、(その真偽は別として)写真として提出したにすぎない。 (ウ)商品が缶詰であることを考慮しても、乙第7号証及び乙第8号証は、期限経過後月日が大きく経過した後に、小売店で最近撮影されたものであり、使用説明の意味をなさない。また、乙第9号証及び乙第10号証は、同様に倉庫や製造ラインに最近あったとされるに止まり、使用証明に関し何の意味もない。 (エ)撮影者も被請求人の関係者であり、客観性がない。 以上の(ア)ないし(エ)からみて、乙第7号証ないし乙第10号証は、平成9年11月15日から平成12年11月15日の間における、乙第1号証の缶詰の使用を証明するものではない。 (3)乙第1号証の撮影年月日等について 被請求人は、撮影年月日と撮影者の記載を補充しているが、この記載では、以下のとおり、乙第1号証の証拠力は補充されない。 (ア)乙第1号証は、使用立証の最終期限たる平成12年11月15日を1カ月以上経過した後に、撮影されたものである。 (イ)撮影者は、被請求人の関係者である。 これらの面からも、平成9年11月15日から平成12年11月15日までの間における乙第1号証の缶詰の使用、つまり乙第1号証の証拠力を、認めることはできない。 (4)乙第4号証ないし乙第10号証について 乙第4号証ないし乙第10号証は、いずれも、客観性に乏しいと共に、平成9年11月15日から平成12年11月15日の間における、乙第1号証の缶詰の使用を、以下のとおり立証してはいない。 (ア)乙第4号証は、被請求人の使用許諾者とされる株式会社北村商店によって作成されたものであり、作成日付は、最近の平成13年9月17日で、伝票その他の裏付け資料、証拠もないから、客観性に乏しく、乙第4号証にて乙第1号証の使用を立証せんとするは、認められない。 (イ)乙第5号証は、インターネットのホームページであり、周知のごとく証拠力に乏しく、内容が余りにも登録商標の話に偏っており、意図的に作成された印象が感じられ、不自然である。 乙第5号証の掲載日は、2000年(平成12年)1月29日とあるが、この点はプログラム上いつでも更新、変更可能である。答弁書の写真、資料の説明の欄によると、このホームページの印刷年月日は、使用を立証すべき最終期限たる平成12年11月15日から、10カ月を経過した後の平成13年9月18日(平成13年9月13日とあるが、誤り)である。被請求人も、「なお乙第5号証によっては、使用時期の立証に関しては厳密な証明を行うものではない」と、自認している。 これらにより、乙第5号証にて、乙第1号証の使用を立証したり、乙第4号証を裏付けんとすることは、認められない。 (ウ)乙第6号証は、書換登録申請の承諾書であり、被請求人によると、「使用許諾関係の存在を証明する」ために提出した由だが、そもそも、使用許諾関係の存否と、実際上の使用の存否とは、別問題である(許諾があっても使ってないこともある)。「株式会社北村商店は、未登録の通常使用権者」とあるが、乙第6号証中では「専用(通常)使用権者(質権者)」とされたままであり、被請求人と株式会社北村商店間にて恣意的に作成された疑いもあり、客観性に乏しい。 これらにより、乙第6号証をもって、乙第1号証の使用を立証せんとするは、認められない。 要点のみを繰り返すと、乙第7号証ないし乙第10号証は、使用立証の最終期限たる平成12年11月15日を10カ月も経過した平成13年9月12日、14日に撮影、つまり最近撮影されたものである。そして、小売店、倉庫、製造ラインに缶詰が置かれていたことを(その真偽は別として)、写真としたにすぎない。撮影者も被請求人の関係者である。10カ月も経過した最近、小売店、倉庫製造ラインにあったとしても、何の意味もない。 (エ)被請求人が主張する「小売店による陳列、販売」、「倉庫での山積み」、「製造工程」等が、実際に行われたことの立証には、客観性のある証拠の提出が必要である。また、現在ではなく、証明期間中の過去について、証明が必要である。 (オ)例えば、小売店への納品書、請求書、領収書、小売店の販売証明書や、製造業者の製造証明書や、缶やパッケージラベル等の製造、印刷業者の証明書、等々の取引書類の提出をもって、客観性があり証拠力ある証拠と認め得る。期間中に使用事実があるとすれば、被請求人は、これらを容易に乙号証として提出し得る立場にあったはずである。 これら(ア)ないし(オ)からみて、乙第7号証ないし乙第10号証による立証は、信ぴょう性に乏しく、乙第1号証の缶詰の使用を証拠づけてはいない。 (5)取消審判に係る指定商品について (ア)被請求人は、「肉製品,加工水産物」を、包括概念表示であるとして、「被請求人において、一義的な商品特定が非常に困難」と主張しているが、例えば、取消審判の指定商品たる「加工水産物」に、商標登録の指定商品たる「水産物の缶詰」が包含されることは、自明であり、もって被請求人も、「水産物の缶詰」を示す乙第1号証を、疑念の余地なく提出した訳である。 (イ)書換後の商品について審判請求したと仮定すると、もしも被請求人が平成9年11月15日から書換登録前の平成12年3月8日の間について、書換後には含まれなくなった商品の使用を証明した場合、問題が生じる。 いずれにしても、「取消審判に係る指定商品」たる「肉製品,加工水産物」は、「書換後の指定商品」について、その範囲を明確に示し指定している。 (ウ)以上、被請求人が今回提出した乙第3号証ないし乙第10号証は、いずれも、乙第1号証を補充するものではない。 乙第3号証ないし乙第10号証は、いずれも審判請求後に、特に今回の答弁書の提出直前に、作成されたものである。 しかも、乙第3号証ないし乙第10号証は、主に写真に頼ると共に、被請求人の関係者にて作成されており、客観性に乏しい。取消審判の指定商品と商標登録の指定商品定の関係は、明白である。 したがって、被請求人の答弁書における主張は、理由がなく成り立たない。被請求人の乙第1号証ないし乙第10号証による使用の証明は、不十分である。 4 審尋の回答及び上申に対する弁駁(第3回) (1)回答に対して 回答書の乙第11号証の指図書や荷送人控は、手書き伝票であり、それだけでは基本的にその証拠力が低い。また、これらは、被請求人や通常使用権者(北村商店)の製造委託業者、下請業者、関係協力会社である(株)サスナにて、作成されたものであり、信ぴょう性も低い。さらに、乙第11号証及び乙第12号証は、商品「缶詰」との関係がはっきりしない(普通名称「缶詰」との関係の裏付説明、裏付証拠がなく、「缶詰」以外の他の食品に関するものとも解される)。 (2)上申に対して 上申書の乙第14号証ないし乙第21号証による使用立証も、次のように疑問が多く、成り立たない。 (ア)乙第19号証は、乙第15号証ないし乙第18号証の単なる裏付け資料で、同じく乙第21号証も、乙第20号証の単なる裏付け資料である。 (イ)乙第14号証、乙第15号証ないし乙第18号証及び乙第20号証は、それぞれコンピュータのアウトプット書類であり、それだけでは基本的にその証拠力が低いし、また、商品「缶詰」との関係が、はっきりしない(普通名称「缶詰」との関係の裏付説明、裏付証拠がなく、「缶詰」以外の他の食品に関するものとも解される)。 (ウ)今回提出された乙第11号証ないし乙第21号証は、この審判事件の最初の段階(平成13年当時)でも、十分提出可能であったにもかかわらず、その提出をせず、今頃になって追加的に提出されたものである。 いずれも手書きのものやコンピュータのアウトプット書類ばかりであって、最初の段階では提出できなかった(存在していなかったのか?)とも、推測される。 5 もって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る指定商品について商標登録を取消す、との審決を求める。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」旨答弁し、その理由、審尋に対する回答及び上申に対して要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁(第1回) 本件商標については、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者である「株式会社北村商店」が商品「水産物の缶詰」について使用している(乙第1号証)。 なお、「株式会社北村商店」は、商標登録原簿上において通常使用権者として登録されていないが、商標法第50条における使用においては、登録されていない通常使用権者でも使用している事実が立証されれば、不使用取消を免れるものである。また、乙第1号証からも明らかなように、本製品は容器側面に「商標権者」「甲府市」「株式会社テンヨ武田」の文字を有し、株式会社北村商店が、本件商標権者「株式会社テンヨ武田」との通常使用権許諾関係の下に、本件商標の使用を行っていることは明白な事実である。 したがって、以下においては、株式会社北村商店による本件商標の使用の事実につき立証する。 先ず、株式会社北村商店が本件商標について使用している商品「かつお味付」は、本件審判請求に係る指定商品の一つである「加工水産物」に該当する商品であるといえる。 株式会社北村商店は、赤地の上に黄色い円枠と「ト」の文字からなる商標を本件商品の側面2箇所に配しているほか、本件商品の上部に赤色の円枠と「ト」の文字からなる商標を配している。 これらの商標は、本件商標である黒色の円枠及び「ト」の文字に色彩を付加して表されているものの、商標法第50条の適用においては当然に登録商標の使用に該当する(商標法第70条第1項)。 次に、本件商標の使用時期としては、現在でも継続して使用中である。 以上のとおり、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者「株式会社テンヨ武田」と通常使用権許諾関係にある株式会社北村商店が、その請求に係る指定商品のうち商品「加工水産物」について登録商標の使用をしているのである。 なお、参考として述べるに、本件商標の指定商品は、書換の登録を受けたものである(乙第2号証)。 したがって、平成12年10月6日に請求された本件審判の取消請求対象たる商品「肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと」は、本件商標の指定商品との関係において、その範囲が不明確であり、本件審判請求自体が不適法であるといえる。 2 答弁(第2回) (1)請求人は、乙第1号証の缶詰からは賞味期限の日付表示が読み取れず、したがって、乙第1号証によっては使用時期の証明がされていない旨を主張している。 これに対し、被請求人は、乙第1号証の缶詰についての、缶詰下蓋に記載された賞味期限の日付表示の写真を乙第3号証として提出する。乙第3号証によれば、当該缶詰の賞味期限は2003年9月28日である。 なお、賞味期限の日付表示は、商品の製造年月日や販売年月日などを直接証明するものではないため、当該表示は商品の使用時期の証明に必要不可欠な事項ではない。被請求人は、使用時期の証明に関しては、他の証拠書類(乙第4号証ないし乙第6号証)により行う所存である。 (2)請求人は、乙第1号証の写真は不自然であり、その信ぴょう性に疑問がある旨主張している。 しかしながら、乙第1号証は被請求人により正当に撮影されたものであり、当該缶詰自体も、乙第1号証の写真にあらわされたそのままの形態で、製造され、更に流通、販売されている事実は乙第7号証ないし乙第10号証により明らかである。 請求人の主張は、いずれも説得力に欠け、事実とはかけ離れたことを指摘しているにすぎない。また、請求人が「缶詰における通常の使用形態」をどのようなものと認識しているかは明らかでないが、商品識別標識として機能すべき商標が「特に目立つ大さや位置にて表示」されていることに不自然さを感じるとは、全くもって理解し得ない主張である。 なお、被請求人は乙第1号証の缶詰の現物をいつでも提出する用意がある。 (3)請求人は、乙第1号証の写真は、撮影年月日や撮影者の付記がなく、したがって、その信憑性に欠ける旨を主張している。 これに対し、被請求人は、乙第1号証の写真について、撮影年月日と撮影者の記載を次のとおり、補充する。 (a)撮影年月日:平成12年12月21日 (b)撮影者住所(居所)及び氏名(名称):山梨県東八代郡豊富村高部1921-8 :株式会社テンヨ武田内 武田與史 (4)請求人は、写真のみでは、使用の立証が不十分である旨主張している。 これに対し、被請求人は乙第4号証ないし乙第10号証により、乙第1号証の使用の立証を補充する。 先ず、乙第4号証は、本件商標を乙第1号証の商品「かつお大和煮」について使用することについて、本件商標権者である株式会社テンヨ武田と使用権者である株式会社北村商店との間で取り交わされた使用許諾の対価の支払いに関する明細である。 これによれば、株式会社北村商店は、平成12年度に、本件商標を付した商品「かつお大和煮」を計5,633ケース製造販売し、その対価として株式会社テンヨ武田に計182,439円を支払った事実が明らかにされている。したがって、使用時期の証明に関し、使用を証明すべき期間である平成9年11月15日から平成12年11月15日までの期間のうち、少なくとも平成12年1月から11月までの期間は、株式会社北村商店によって本件商標の使用がなされていたことが証明される。 つぎに、乙第5号証は、乙第1号証の缶詰について、個人のホームページ(http://www.d4.dion.ne.jp/〜kyuuchan/tae/tae3/tae3.htm)で紹介されている内容を印刷したものである。なお、ホームページ作成者は株式会社テンヨ武田及びその関係各社とは何らの関係も有しない者である。 ホームページの内容としては、「妙(たえ)なるモノたち」(乙第5号証第1頁)のというコーナーの中で、ホームページ作成者が興味を抱いた商品について、その商品に関する自身の体験などを交えて講評を行うものである。この中で、ホームページ作成者が興味を持った商品の一つとして、乙第1号証の商品「○ト印 かつお大和煮」が紹介されている(乙第5号証第2頁ないし第4頁)。 具体的には、例えば、乙第5号証の第2頁の下から6行目において「この缶詰、現在26歳のカネ九が小学生のころ、スーパーで見かけた記憶があり、缶上部に」描かれた マークがやけに気にかかっていた。ただ、比較的お高い缶詰だった為か、我が家の食卓に上ることはなかった。」とあり、ホームページ作成者は十数年前から販売され続けている本件商品を知っていたことを述べている。また、第3頁の上から4行目には、「実家のほうのスーパーへ立ち寄ったとき、何気なーく売られていた。迷わずGET。」とあり、この記事を書いた頃には現に本件商品が販売されており、その商品を実際に購入して記事を書き上げたことが明らかにされている。なお、当該記事が書き上げられた又は実際にホームページに掲載された日時は2000年1月29日であることが、第4頁最下部の日付によりわかる。 なお、乙第5号証によっては、使用時期の立証に関しての厳密な証明を行うものではないが、乙第4号証による使用時期の証明を裏づけ、更に、本件商標が乙第1号証の缶詰に十数年前から使用されている事実を推認させるには十分な証拠であると思われる。 乙第6号証は、本件商標について、使用権者である株式会社北村商品から商標権者である株式会社テンヨ武田に対しての、指定商品の書換登録手続に関する承諾書である。乙第6号証からは、少なくとも平成11年12月3日の時点において、株式会社テンヨ武田と株式会社北村商店の間の使用許諾関係が継続していることが証明される。 乙第7号証及び乙第8号証は、乙第1号証の商品が実際に小売店で陳列され、販売されている写真である。 乙第9号証は、乙第1号証の商品が株式会社テンヨ武田内の倉庫に山積みにされ、出荷を待っている状態の写真である。 乙第10号証は、乙第1号証の商品が実際に製造されている工程を撮影した写真である。 (5)請求人は、「この取消審判に係る指定商品の『肉製品,加工水産物』は書換後の指定商品中の『塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,肉の缶詰,水産物の缶詰』を、示し包含することも、自明である」として、取消審判に係る指定商品と商標登録の指定商品とは関係、範囲が明確である旨を主張している。 ここで、審判請求に係る指定商品の記載は、必ずしも登録商標の指定商品の記載には拘束されないことは実務上よく知られている。例えば、登録商標の指定商品が「化学品」などの包括的な商品名で表示されている場合において、審判請求に係る指定商品を「硫酸」などとして記載する場合である。これは、請求人にとっては、真に取り消しを望む商品についてのみ審判請求を行うことを可能とさせ、被請求人にとっては、取消審判を請求された指定商品のいずれかについて使用していることを証明すれば足りるという明解さを担保させる趣旨である。 しかしながら、本件においては事情が異なる。すなわち、本件商標のように具体的な商品名が明記された指定商品に対して、それよりも包括的な概念で商品を指定して審判を請求された場合には、被請求人において一義的に指定商品を特定することは非常に困難である。また、包括的な商品名表示は、実質的に登録商標の範囲を逸脱した商品をも含めて指定していることとなり、商標法第50条第1項の規定にも反するものである。 なお、本件取消審判に係る指定商品には、「肉製品,加工水産物」のみならず、「カレー・シチュー又はスープのもと」についても請求されている。このように、登録商標の指定商品に含まれない商品を指定した審判請求は、商標権者に過度な負担と混乱を生じされるものであり、本来認められるべきではない。本件においては、審判請求の前に指定商品の書換が行われたという特段の事情はあるものの、本審判が請求された平成12年10月6日という日時は、指定商品書換の登録の日である平成12年3月8日から半年以上も経過した後である。 また、請求人は、「因にここで、これら間で指定商品の減縮補正を行った場合でも、要旨変更ではなく認めるとするのが、過去の庁実務である。」と述べているが明らかな誤りである。不使用取消審判における指定商品の減縮補正や、指定商品ごとの取下げはいかなる場合にも認められないものである。したがって、指定商品を『肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと』として取消審判を請求された本件審判について、指定商品『塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,肉の缶詰,水産物の缶詰』として請求された場合と同様に取り扱うことは、実質的に指定商品の減縮補正を認めることとなり、この点からも認容されるべきではない。 3 審尋に対する回答、答弁(第3回)及び上申 (1)審判長は、平成14年10月18日付けの審尋書で、「使用に係る商品『缶詰の写真(乙第1号証、乙第3号証)』及び『各種缶詰の販売現場、流通現場、製造工程の写真』(乙第7号証ないし乙10第号証)について、乙第4号証ないし乙第6号証として提出した『商標使用料明細』、『ホームページ』及び『書換登録申請承諾書』以外に、被請求人又は通常使用権者が第三者との間で、本件審判の請求の登録前3年以内に取引が具体的にあったと認めるに足りる取引書類、例えば、注文書、納品書、領収書、缶のラベルの製造、印刷業者の証明書等を提出されたい。」旨の審尋を行った。 (2)審尋に対する回答 被請求人は、審判長の審尋に対して、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売していることを立証するため、商品の製造委託業者である「株式会社サスナ」から、取引者、需要者に出荷することを指示する出荷図書の写し及び実際に出荷したことを示す配送伝票の写しを添付すると回答し、証拠方法として乙第11号証(1)ないし(163)を提出している。 (3)答弁(第3回) (ア)請求人は、乙第1号証と乙第3号証の同一性に関して種々述べているが、両者の同一性は明らかである。乙第1号証が缶切によって開けられているのに対し、乙第3号証がプルトップタイプであったことについて、乙1号証の7枚目の写真を缶切によって開けたのは、中身が見える状態で缶詰を撮影する際、プルトップの蓋の方を開けると、パッケージの図柄に付された本件商標が逆さまになってしまい見づらくなるため、便宜上プルトップでない方から缶切で開けて撮影したものである。現に乙第1号証として提出された5枚目の写真には、缶詰のパッケージに「缶切不要」と明示されていることは誰が見ても明らかで、これは、乙第1号証がプルトップタイプであった事実を裏付けており、乙第1号証と乙第3号証の同一性について疑問が生じる余地は全く無い。 また、乙第3号証について、請求人は、「乙第1号証の撮影時に容易に撮影、提出可能であったのに、何故提出しなかったのか。乙第1号証の撮影時に、乙第3号証にて撮影された箇所は存在していなかったのではないか、との疑問が生じるとあるが、証拠の提出方法や順序、内容に関しての規定、規則は存在せず、全くの任意で行われるものである。したがって、このような請求人の主張は根拠がないものであり、認められない。そして、前述したように、乙第1号証と乙第3号証の同一性には疑念の余地はないのだから、このような主張は請求人の単なる憶測、予断にすぎない。 (イ)請求人は、「乙第1号証の各写真では、本件商標や商標権者の表示が不自然に強調されており、審判請求の登録後の使用、つまり使用が問題となった後の使用ではないのか、との疑問が生じる」と、上記第2、2(1)(ア)で述べたことを再度主張している。これにつき、被請求人は、上記第3、2(2)において既に反論済みであるので、今回特に改めて新たな反論は行わない。なお、請求人の考える「缶詰における商標の自然な表示」とは具体的にいかなる表示態様であるのか、また、本件商標の表示態様のどのような点がどのように不自然なのかが具体的に記述されておらず、ただ「不自然に強調されている」ということだけ記述して「使用が問題となった後の使用ではないのか、との疑問が生じる」と主張するのは、説得力が全くなく、請求人の単なる希望的憶測であるといわざるを得ず、根拠がないもので、認められない。 (ウ)乙第7号証ないし乙第10号証に関し、請求人は「乙第7号証ないし乙第10号証の缶詰が、平成9年11月15日から平成12年11月15日の間に製造、販売され使用されたことを証明していない」と述べているが、被請求人は、乙第7号証から乙第10号証の写真を示すことにより、乙第1号証の缶詰自体が、乙第1号証に表されたそのまま態様(様子、外観)で、実際に製造、販売されていることを証明するために提出されたものであり、本件商標の使用の時期を直接乙第7号証ないし乙第10号証のみによって証明しようという目的のものではない。乙第1号証に示す缶詰が、乙第7号証ないし乙第10号証に示すものと同じような製造、販売態様で本件審判請求登録以前3年以内に製造、販売されているという事実及び時期を、日付が明記してある乙第4号証ないし乙第6号証によって証明したのである。つまり、被請求人は、上記第3、2(4)において「被請求人は乙第4号証ないし乙第10号証により、乙第1号証の使用の立証を補充する」と明述しているのだから、その中の乙第7号証ないし乙第10号証のみを特に取り出して本件商標の使用時期について論ずるのは、全く的外れなことである。 (エ)請求人は、上記第2、3(3)及び(4)において、乙各号証について、客観性の乏しさ、及び客観性のある取引書類の提出がないため証拠力ある証拠と認め得ない趣旨の主張をしているが、被請求人は、本答弁書と同日付で提出した本件取消審判に関する審尋に対する回答書の添付書類として、本件商標を付した商品「かつお大和煮の缶詰」の出荷指図書の写し、配送伝票の写し、及び在庫証明書の写しを、乙第11号証(1)ないし(163)、乙第12号証(1)ないし(7)として追加提出した。これらはいずれも本件商標の使用を立証すべき平成9年11月15日から平成12年11月15日の間に該当するもので、請求人が指摘する本件商標権者の関係者以外との間でなされた取引に関するものも多数含まれており、これによって乙各号証の客観性、及び本件商標の使用時期は、十分証明された。 ところで、請求人は、上記第2、3(4)(イ)で、乙第5号証について、「内容が余りにも登録商標の話に偏っており、意図的に作成された印象が感じられ、不自然」等種々述べているが、一個人がどのような事柄に興味を持ち、どの程度深く、またどの程度の頻度で研究、調査、発表等を行うかについては、他人である請求人及び被請求人の全く関知しないところであり、同時に異論を唱える余地もないはずである。また、ここでも請求人は乙第5号証の証拠力が認められない根拠として「不自然」ということを挙げているが、一個人が作成するホームページの内容において「自然」であるとは、一体どのような内容であるべきなのか。ホームページとは、そもそも自分の興味ある事柄を中心に作成される、という性質であることを考えれば、内容がある特定の事柄に集中していても何ら不思議はないものである。よって、ここでも請求人の主張が、根拠のない、単なる主観、憶測に基づいていることは明確であり、妥当ではない。さらに請求人は乙第5号証に関し「単なる昔話にすぎない」と主張しているが、乙第5号証3枚目の上から3行目に「今の行きつけのスーパーでは、この缶詰売っていないのだ。…実家のほうのスーパーへ立ち寄ったとき、何気なーく売られていた。迷わずGET。」とあるように、このホームページの作成者は単なる昔話をしているのではなく、ホームページ掲載時若しくはホームページ掲載時に限りなく近い過去の話をしているのである。そして、乙第5号証の印刷年月日がいつであれ、このホームページ掲載日が2000年1月29日であることは動かしようのない事実である。なお、被請求人が乙第5号証について「使用時期の立証に関しての厳密な証明を行うものではない」としたことついては、個人によるホームページという存在の、ある程度の不安定さを鑑みた結果であるが、平成13年9月28日付答弁書でも述べたように、乙第5号証の存在から本件商標の使用時期が本件審判請求登録以前3年以内であることを「推認」させるには十分な証拠である。そして、「使用時期の立証に関しての厳密な証明を行うものではない」との文言を、乙第5号証に関する証拠力主張を放棄した、というふうにとらえた請求人の理解は全くの誤りである。また、上記(イ)でも述べたとおり、乙第5号証のみで直接的に本件商標の使用時期を立証しようという目的ではなく、乙各号証全体で総合的に本件商標の使用時期を立証しようという目的であったことを念の為申し添える。 そして、今回、本答弁書と同日付で提出した本件取消審判に関する審尋に対する回答書の乙第11号証(1)ないし(163)及び乙第12号証(1)ないし(7)が追加されたことにより、乙各号証全体による証拠力はさらに確実なものとなり、これで本件商標の使用及び使用時期に関する証明は十分である。 (オ)請求人は、「『取消審判に係る指定商品』と、『商標登録の指定商品』との関係は明確である」とし、種々述べているが、これら請求人の主張は、以下の理由から認められない。 本件取消審判に係る指定商品「肉製品,加工水産物」が本件商標書換以前の指定商品「各種ノ罐詰及ビ其ノ他他類ニ属セザル食料品、加味品一切」に含まれることは自明であるが、「肉製品,加工水産物」以外の本件取消審判に係る指定商品、即ち「カレー・シチュー又はスープのもと」について、本件商標の書換以前の指定商品「各種ノ罐話及ビ其ノ他他類ニ属セザル食料品、加味品一切」に含まれないこともまた自明である。さらに詳しく述べると、「カレー・シチュー又はスープのもと」に付与されている類似群コードは「32F10」である(類似商品・役務審査基準の第29類参照)が、明治32年法第45類の書換ガイドライン(乙第13号証)の書換表示欄に「32F10」は含まれていない。すなわち、本件取消審判に係る指定商品「カレー・シチュー又はスープのもと」は元々本件商標の指定商品には含有されない商品であって、本件商標の書換後の指定商品に含まれていないのももちろんであり、よって、本件商標の指定商品に含まれない商品の取消を求める本件取消審判は、商標法第50条第1項の規定に明らかに反しているものである。 また、請求人は、上記第2、3の弁駁書において、取消審判に係る指定商品中「カレー・シチュー又はスープのもと」については何も触れておらず、あたかも本件取消審判に係る指定商品が最初から「肉製品,加工水産物」だけであったかのように装っているが、これは実質的に本件取消審判に係る指定商品を「肉製品,加工水産物」に限定する減縮補正を行ったのと同等であり、容認されるべきではない。取消審判請求の対象である指定商品は不可分一体であり、不便用取消審判における商品の減縮補正は、如何なる場合にも認められないことは、被請求人が上記第3、2(5)がでも述べたとおりである。 あくまで請求人が「『取消審判に係る指定商品』と、『商標登録の指定商品』との関係は明確である」と主張するなら、取消審判に係る指定商品中「カレー・シチュー又はスープのもと」が、本件商標書換以前、以後の指定商品との関係においてどのように明確なのか、具体的且つ詳細な説明を求める。 (4)上申 被請求人は、さらに、本件商標の本件審判請求登録以前3年以内の使用を立証するため、乙第14号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)を追加提出する。 (ア)乙第14号証により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売を行っていることを立証するため、取引者である「株式会社オギノ」の各店舗商品別販売実績データを添付する。なお、1枚目の文章中「(全4枚)」との表示があるが、添付する際の便宜上、それぞれミシン目から切り離して全8枚にした。 (イ)乙第15号証(1)ないし(5)により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売を行っていることを立証するため、取引者である「株式会社アマノ パークス竜王店」に商品を納品した際の納品書(控)2000年8月分、及び各納品書(控)の内容に該当する武田食品株式会社の得意先元帳写しを添付する。 乙第15号証(1)納品日が2000年8月5日の納品書(控)、乙第15号証(2)納品日が2000年8月11日の納品書(控)、乙第15号証(3)納品日が2000年8月14日の納品書(控)、乙第15号証(4)納品日が2000年8月19日の納品書(控)、乙第15号証(5)納品日が2000年8月23日の納品書(控) (ウ)乙第16号証(1)ないし(5)により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売を行っていることを立証するため、取引者である「株式会社アマノ パークス竜王店」に商品を納品した際の納品書(控)2000年9月分、及び各納品書(控)の内容に該当する武田食品株式会社の得意先元帳写しを添付する。 乙第16号証(1)納品日が2000年9月4日の納品書(控)、乙第16号証(2)納品日が2000年9月7日の納品書(控)、乙第16号証(3)納品日が2000年9月14日の納品書(控)、乙第16号証(4)納品日が2000年9月15日の納品書(控)、乙第16号証(5)納品日が2000年9月29日の納品書(控) (エ)乙第17号証(1)ないし(4)により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用アマノ パークス竜王店」の仕入伝票2000年8月分の写しを添付する。 乙第17号証(1)納品日が2000年8月5日の仕入伝票、乙第17号証(2)納品日が2000年8月14日の仕入伝票、乙第17号証(3)納品日が2000年8月19日の仕入伝票、乙第17号証(4)納品日が2000年8月23日の仕入伝票、 (オ)乙第18号証(1)ないし(5)により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売を行っていることを立証するため、取引者である「株式会社アマノ パークス竜王店」の仕入伝票2000年9月分の写しを添付する。 乙第18号証(1)納品日が2000年9月4日の仕入伝票、乙第18号証(2)納品日が2000年9月7日の仕入伝票、乙第18号証(3)納品日が2000年9月14日の仕入伝票、乙第18号証(4)納品日が2000年9月15日の仕入伝票、乙第18号証(5)納品日が2000年9月29日の仕入伝票 (カ)乙第15号証ないし乙第18号証(枝番含む。)に表示のある「株式会社アマノ パークス竜王店」に関し、実在している会社であるということを示すため、乙第19号証を添付する。 (キ)乙第20号証により、本件商標を商品「かつお大和煮」に用いて販売を行っていることを立証するため、取引者である食品卸売問屋「株式会社丸水長野県水」が「Aコープ南部センター」へ商品を納品したことを示す納品案内書(1999年12月24日納品)の写しを添付する。この納品案内書は、納品先であるAコープ担当者が受領印を捺印したのちに、株式会社テンヨ武田に返却されたものである。 (ク)乙第20号証に表示のある「株式会社丸水長野県水」に関し、実在している会社であるということを示すため、乙第21号証を添付する。 (ケ)以上のように、本件審判請求登録前3年以内に、被請求人が本件商標をその指定商品「水産物の缶詰」に使用していた事実は明らかである。また、本件商標の指定商品以外の商品についての取消を求める本件取消審判は不適法なものであり、認められない。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によって取消されるべきではない。 第4 当審の判断 1 書換登録と取消請求に係る指定商品について 本件審判について、本件商標の商標登録原簿を調査するに、本件商標の指定商品は、上記第1のとおり、平成12年3月8日に書換登録がなされ、その後、同12年11月15日に審判の請求の登録がなされているものである。 そして、書換登録の申請は、その申請に係る商標権の指定商品の範囲を実質的に超えないように、書換に規定する商品及び役務の区分に従ってしなければならず(平成8年6月法律68号により追加された商標法附則第4条第1項)、さらに、書換は、登録によりその効果を生じ(同第12条第1項)、申請書に記載されなかった指定商品に係る商標権は、登録の時に消滅する(同第12条第3項)と規定されているものである。 これを本件審判についてみるに、本件審判の取消請求に係る指定商品は、本件商標の指定商品中の「肉製品,加工水産物,カレー・シチュウ又はスープのもと」であって、これについて取り消すとして請求がなされているものである。 そして、該取消請求に係る指定商品「肉製品,加工水産物,カレー・シチュウ又はスープのもと」中の「肉製品,加工水産物」は、書換登録されている指定商品の区分、書換登録された具体的商品表示(概念表示としての商品表示も含める。)、その用途及び表現と、昭和34年法における旧商品区分に例示されていた商品概念の表示とを総合すると、本件商標の指定商品について、書換登録がなされた後の第29類の指定商品中の「塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,肉のつくだに,水産物のつくだに,肉の詰缶,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)」に相当すると認められるものである。 しかしながら、取消請求に係る指定商品「肉製品,加工水産物,カレー・シチュウ又はスープのもと」中の「カレー・シチュウ又はスープのもと」は、上記と同様に、他の具体的商品表示、旧商品区分に例示されていた商品概念の表示等からみて、書換登録がなされた後の第29類、第30類及び第31類の指定商品中には含まれていないといわざるを得ない。 してみれば、本件審判請求の取消請求に係る指定商品中の「カレー・シチュウ又はスープのもと」は、たとえ書換登録以前に本件商標の指定商品中に含まれていたとしても、該「カレー・シチュウ又はスープのもと」に係る商標権は、その審判請求の登録の日(予告登録日平成12年11月15日)前の書換登録(書換登録日平成12年3月8日)によって、既に消滅していたものである。 したがって、本件商標は、その取消請求に係る指定商品中「肉製品(ただし、肉のつくだに,肉の缶詰を除く。)」、「加工水産物(ただし、塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,水産物のつくだに,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)を除く。)」及び「カレー・シチュー又はスープのもと」については、取り消すべき対象物の存在しない不適法な請求であるから、これを却下すべきである。 2 乙各1号証ないし乙第10号証について (1)乙第1号証は、「かつお大和煮」の表示のある缶詰の写真であり、本件商標が、「かつお大和煮」の表示中央の上部、側面及び上蓋か若しくは底蓋に表示されているものである。 (2)乙第3号証は、乙第1号証の缶詰とは異なるが、同じく「かつお大和煮」の表示のある缶詰の写真であり、本件商標が、「かつお大和煮」の表示中央の上部に表示され、底面中央部には賞味期限を表したものと思われる「SJC SHC/030928」の表示が認められる。この写真については、(ア)撮影年月日:平成13年9月17日(イ)撮影者住所(居所)及び氏名(名称):山梨県東八代郡豊富村高部1921-8、株式会社テンヨ武田内 武田與史、と説明されている。 (3)乙第4号証は、「株式会社北村商店 北村博」の平成13年9月17日付の「商標使用料明細」の一覧表であって、「『商標使用料明細』のとおり、本件商標を商品缶詰に使用する対価として、お支払いしたことに相違ございません」の表記下の一覧表からすると、「平成12年度 かつお大和煮商標支払い明細」として、1月から12月までに、T2/24×2を計1920ケース、P4/48を計400ケース、P4×4/2を計1291ケース、T2/48を1561ケース及びP4/48を計400ケース、総計5633ケース、対価総計182439円であることが認められる。 (4)乙第5号証は、2000年(平成12年)9月18日付けの「妙(たえ)なるモノたち」の表題のホームページ(http://wwwd4.dion.ne.jp/〜kyuuchan/tae/tae3/tae3.htm)であり、本件商標印の「かつお大和煮」が紹介されている(乙第5号証第2頁ないし第4頁)。 (5)乙第6号証は、平成11年12月3日付けの商標権者「株式会社テンヨ武田」に対する、使用権者「株式会社北村商店 北村博」の本件商標の指定商品についての書換登録の申請の承諾書である。 (6)乙第7号証ないし乙第10号証は、本件商品の販売、流通、製造現場の写真であって、乙第7号証及び乙第8号証には本件商標の表示された「かつお大和煮」の缶詰が複数中段部に写っており、乙第9号証には本件商標と「かつお大和煮」の表示のある包装用段ボール箱が山積みされて写っており、乙第10号証には本件商標の表示されたの缶詰が製造ラインに乗っているものと、本件商標と「かつお大和煮」の表示のある複数の包装用段ボール箱の前部に本件商標の表示されたの缶詰が複数積まれて写っているものである。 3 当審の審尋に対する被請求人の回答、答弁及び上申並びに乙第11号証ないし乙第21号証について (1)回答及び乙第11号証及び乙第12号証(枝番を含む。)について 被請求人は、商品の製造委託業者である「株式会社サスナ」から取引者、需要者に出荷することを指示する出荷指示書の写し及び配送伝票の写しを証拠方法としている。 乙第11号証の(1)ないし(163)は、平成10年5月21日から平成10年11月30日の間の、「株式会社セスナ」から取引者、需要者に対する出荷指示書の写し及び配送伝票であり、乙第12号証の(1)ないし(7)は在庫証明書であって、具体的には以下のとおり。 (ア)乙第11号証(1)の出荷指図書写しには、御送先:株式会社マユミ、品名:本件商標の表示された「かつお大和煮」、企画入数:T2/24×2、数量:10、帳合先:(株)北村商店、出荷日:5/21、扱便:日通アロー便の記載が認められ、同じく配送伝票の写しには、日本通運株式会社営業店「静岡自動車」、届け先:(株)マユミ、品名:本件商標の表示された「かつお大和煮」、T2/24×2、10C/S、荷送人:(株)サスケ、個数:10の記載が認められる。 (イ)乙第11号証(2)の出荷指図書写しには、御送先:武田食品(株)、品名:本件商標の表示された「かつお大和煮」、企画入数:T2/24×2、数量:25、帳合先:(株)北村商店、出荷日:5/26、扱便:日通アロー便の記載が認められ、同じく配送伝票の写しには、日本通運株式会社営業店「静岡自動車」、届け先:武田食品(株)、品名:本件商標の表示された「かつお大和煮」、T2/24×2、25C/S、荷送人:(株)サスケ、個数:25の記載が認められる。 (ウ)乙第11号証(3)ないし(163)は、御送先を同じくする出荷指図書写しも一部見受けられるが、多岐にわたっており、出荷指図の内容及び配送伝票の内容は、上記(ア)及び(イ)とほぼ同じである。 (エ)乙第12号証(1)は、株式会社サスナの株式会社北村商店に対する在庫証明書であって、品名:本件商標の表示された「かつお大和煮」、型入数:T2/24×2、数量:203C/Sの記載が認められる。 (オ)乙第12号証(2)ないし(7)も、株式会社サスナの株式会社北村商店に対する在庫証明書であって、型入数及び数量が異なるが、品名が全て同じである。 (2)乙第14号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)について (ア)乙第14号証は、取引者である「株式会社オギノ」の各店舗商品別販売実績データであって、データ項目の説明とあわせて、2000年9月25日から2000年10月1日「マルトカツオT2」及び「マルトカツオヤマトニE0P4」の販売実績データが認められる。 (イ)乙第15号証及び乙第16号証(枝番を含む。)は、それぞれ武田食品株式会社が、商品「キタムラ カツオヤマトニ」及び「○ト かつお味付EO P4」を(株)アマノ パークス竜王店へ納品した納品書(控)及び得意先元帳写しであって、乙第15号証(1)の納品書(控)には、納品日として2000年8月5日、品名・規格:「キタムラ カツオヤマトニ/75G」、商品名コード:4902057080065、数量:12、原価金額:1056円、売価金額:1416円の記載が認められ、同じく得意先元帳写しには、2000年と8月5日、「○ト かつお味付EO P4」、数量:12、原価金額:1056円の記載が認められる。他の乙第15号証(2)ないし(5)及び乙第号16証(枝番を含む。)も、納品日及び品名・規格が異なるものもあるが、内容としてはほぼ同様である。 (ウ)乙第17号証ないし乙第18号証(枝番を含む。)は、(株)アマノ パークス竜王店が、武田食品株式会社から商品「キタムラ カツオヤマトニ」を仕入れた仕入伝票であって、乙第15号証及び乙第16号証(枝番を含む。)の納品書(控)の納品日、品名・規格、商品名コード及び数量等が対応しているものである。 (エ)乙第19号証は、2002年12月10日付けのインターネット情報で、株式会社アマノ パークス竜王店に関する電話番号と住所が掲載されている。 (オ)乙第20号証は、右上部に「株式会社テンヨ武田」の本社他の住所等が印刷されている納品案内書であって、(株)丸水長野県水 松本支店が、商品「マルトカツオT2/24×2」を上伊那郡南箕輪村字中の原9741ー3在のAコープ南部センターへ、1999年12月24日に納品した記載が認められ、乙第21号証は、株式会社丸水長野県水の会社概要・沿革のホームページ案内の写しである。 4 上記2及び3を総合すれば、本件商標の通常使用権者である株式会社北村商店が、本件審判の請求の登録(平成12年11月15日)前3年以内である平成10年5月21日から同年11月30日の間に、製造委託業者である「株式会社サスナ」を介して本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消に係る指定商品中の「加工水産物」の範疇に属する水産物の缶詰である「かつおの大和煮」に表示して販売したことが認められる。 してみれば、通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消請求に係る指定商品中の「加工水産物」の範疇に属する「水産物の缶詰」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用していたと認めることができる。 5 請求人の主張について (1)使用許諾について 請求人は、通常使用権許諾契約について、「株式会社北村商店は、未登録の通常使用権者とあるが、乙第6号証中では『専用(通常)使用権者(質権者)』とされたままであり、客観性に乏しく、乙第6号証をもって、乙第1号証の使用を立証せんとするは、認められない。」旨、主張する。 しかしながら、(ア)名古屋市中村区名前駅5丁目32番1号在「株式会社北村商店」は、平成12年1月から12月までの商標「○ト」についての商標使用料を乙第4号証の明細のとおり支払っていること、(イ)株式会社北村商店は、商標権者「株式会社テンヨ武田」が本件商標の指定商品の書換登録の申請をすることにつき平成11年12月3日に承諾(乙第6号証)していたこと、(ウ)商品の製造委託業者「株式会社サスナ」が、取引者、需要者へ商品「○ト かつお大和煮」を出荷したとする平成10年5月21日付けの出荷指図書中(乙第11号証(1)ないし(163))に、帳合先として「(株)北村商店」の記載が認められること、(エ)平成10年5月30日付け在庫証明書(乙第12号証(枝番を含む。))によれば、上記「株式会社サスナ」からの「株式会社北村商店」へ商品「○ト かつお大和煮」の在庫数量証明していること。 以上(ア)ないし(エ)の事情を勘案すれば、1998年(平成10年)5月21日には既に、本件商標権者と株式会社北村商店の間で、使用許諾契約がなされていたと推認することができる。 (2)写真について 請求人は、乙第1号証の商品写真には使用した日付がなく、本件商標の所だけ新鮮で目立って不自然であり、撮影者の住所、氏名、撮影年月日の記載もない、また乙第3号証及び乙第7号証ないし乙第10号証の写真(缶詰の販売、流通製造工程)も、賞味期限の日付表示では使用した日付の証明にはならないし、本件審判の請求の登録日以降の(平成13年9月17日)であって、撮影者も被請求人の関係者であるから、これらの写真では、本件商標が加工水産物たる水産物について、本件審判の請求の登録日前3年以内に商標権者により使用されていたことを証明するものではない旨、主張する。 しかしながら、被請求人が本件審判の請求の登録日前3年以内に、取消に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明するものとして提出した書類は、上記各写真のみではないのみならず、商品写真の撮影年月日が本件審判の請求の登録日以降であるとしても、該写真は、本件取消に係る指定商品中に含まれる使用商品について、どのような態様で本件商標が使用されているかなど、いわば本件商標の使用状態を示すための写真の一つであるから、その撮影年月日が重要となるものではなく、提出された他の取引書類等とを総合して、本件商標が本件審判の請求の登録日前3年以内に請求に係る商品等について使用されたか否かを判断すれば足りるというべきである。 したがって、使用商品の写真の撮影日が本件審判の請求の登録日以降であるから、証拠力に欠けるとする請求人の主張は理由がない。 (3)審判の請求の登録(平成12年11月15日)前3年以内の使用について 請求人は、乙各号証によっても、審判の請求の登録(平成12年11月15日)前3年以内の使用は、何ら証明されていない旨主張する。 しかしながら、前記4で認定したとおり、乙各号証を総合すれば、本件商標の通常使用権者である株式会社北村商店は、取消に係る指定商品中の「加工水産物」の範疇に属する水産物の缶詰である「かつおの大和煮」(商品記号=T2/24×2)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して、製造委託業者である「株式会社サスナ」を介して株式会社マユミ外へ販売したことが認められる。 (4)取消請求に係る指定商品と書換後の指定商品との関係についての請求人の主張に対しては、上記1のとおりである。 (5)証拠の提出時期に関する請求人の主張ついて 商標登録の不使用取消の審判において、審判請求の登録前3年以内における登録商標の使用の事実の主張立証に関する証拠の提出は、審理終結時までできるものと解され、商標登録の不使用取消の審決に対する取消訴訟においては、審判請求の登録前3年以内における登録商標の使用の事実の主張立証は事実審の口頭弁論終結時に至るまで許されると解すべきである(最高裁判所平成3年4月23日判決民集45巻4号538頁)とされているものである。 (6)以上、請求人の主張はいずれも採用できない。 6 以上のとおりであるから、本件請求に係る第29類の指定商品中「肉のつくだに,肉の缶詰」及び同「塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,水産物のつくだに,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)」についての本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでなく、請求に係る指定商品中「肉製品(ただし、肉のつくだに,肉の缶詰を除く。)」、「加工水産物(ただし、塩辛,このわた,寒天,かつお節,するめ,干しあわび,干しのり,焼きのり,とろろ昆布,干しあらめ,水産物のつくだに,水産物の缶詰,うに(塩辛魚介類)を除く。)」及び「カレー・シチュー又はスープのもと」についての請求は、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により、これを却下すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】![]() |
審理終結日 | 2003-04-08 |
結審通知日 | 2003-04-11 |
審決日 | 2003-04-22 |
出願番号 | 不詳 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(445)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 茂木 静代 |
登録日 | 1909-12-08 |
登録番号 | 商標登録第38741号(T38741) |
商標の称呼 | 1=マルト 2=ト |
代理人 | 合志 元延 |
代理人 | 小田 治親 |