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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1081719 
審判番号 取消2002-31233 
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-10-18 
確定日 2003-07-28 
事件の表示 上記当事者間における登録第3351546号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3351546号商標(以下「本件商標」という。)は、「アスカ」の片仮名文宇により構成されるものであって、平成3年法律第65号による改正商標法附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月30日に登録出願、「個人の身元又は行動に関する調査」を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とする特例商標であり、及び同改正法附則第5条第3項による重複商標(重複登録番号第3336019号)として、平成9年10月17日に商標権の設定登録がされたものである。

2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条の規定により本件商標の指定役務中、「個人の身元又は行動に関する調査」についての登録を取り消すとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1) 請求の理由
本件商標は、その指定役務「個人の身元又は行動に関する調査」について、少なくとも本件審判請求の日前3年間継続して、商標権者又はその使用権者の何れによっても使用されていない。よって、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2) 弁駁の理由
請求人は、被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標をその指定役務について本件審判事件請求の日前3年以内に使用した証拠として成立していないものと考える。
(ア) 乙第1号証は、身元調査等に関するパンフレットであると認められ、これには本件商標と社会通念上同一と思われる商標が付されている。
しかしながら、かかるパンフレットは作成された時期が不明である。すなわち、パンフレットが作成された時期を証明する客観的な証拠がない以上、本件商標を使用した証拠としては不十分である。
また、かかるパンフレットの頒布の事実についても不明である。すなわち、パンフレットを作成したのみでは、単に不使用取消を免れるためだけの名目的な使用行為としか認められず、本件商標を使用した証拠としては不十分である。
さらに、かかるパンフレットは本件審判請求後に作成することも可能であり、また作成時期を明記したとしても詐称することが可能である。すなわち、パンフレット単独では、本件商標を使用した証拠としては不十分である。
以上より、乙第1号証は、本件商標をその指定役務について本件審判請求の日前3年以内に使用した証拠として成立していないものと考える。
(イ) 乙第2号証は、請求書であると認められるが、請求書原本の写しか控えかが不明であり、いずれにしても合理性を欠くことから証拠として成立しないものである。すなわち、まず仮に控えであるとすると、通常の商慣習では「(控)」の文字を付してなる簡単な様式が一般的であるところ、かかる請求書には控えである旨が印刷されていない。また、社名まで印刷されており、かかる請求書は控えとしては異常に立派な装丁である。さらに、請求書番号まで記載されていないのは不自然である。これらのことから、平成13年9月3日に作成された請求書の控えであるとの証明力に乏しく、かかる請求書は本件審判請求後に作成したものであるとの疑念まで生じかねない。また、原本の写しであって、記名の中島ユリ氏から拝借したものを添付したものであるとしても、第一に商慣習上一般的にされるべき押印がない。また、請求書番号が記載されていないのも不自然である。これらのことから、平成13年9月3日に作成された請求書原本の写しであるとの証明力に乏しく、かかる請求書は本件審判請求後に作成し、有印私文書偽造を避けるために押印をしていないとの疑念まで生じかねない。
以上より、乙第2号証は、本件商標をその指定役務について本件審判事件請求の日前3年以内に使用した証拠として成立していないものと考える。
(ウ) 乙第3号証は、領収証であると認められるが、まず仮に控えであるとすると、通常の商慣習では「(控)」の文字を付してなる簡単な様式が一般的であるところ、かかる領収証には控えである旨が印刷されていない。また、領収証の周囲に装飾が施されているのみならず社名まで印刷されており、かかる領収証は控えとしては異常に立派な装丁である。さらに、商慣習上記載されるべき但し書きまで未記入である。
これらのことから、平成13年9月3日に作成された領収証の控えであるとの証明力に乏しく、他事案の領収証に日付を同日にした請求書を偽造したか、領収証そのものも本件審判請求後に作成したものであるとの疑念まで生じかねない。
また、原本の写しであって、記名の中島ユリ氏から拝借したものを添付したものであるとしても、第一に商慣習上一般的にされるべき押印がない。また、税法上収入印紙を貼付し押印しなければならないところ、かかる領収証には収入印紙が貼付されておらず、貼付された収入印紙にされるべき押印もない。さらに、商慣習上記載されるべき但し書きまで未記入である。このように、領収証が原本の写しであっても税法違反もいとわない様子から、平成13年9月3日に作成された領収証原本の写しであるとの証明力に乏しく、他事案の領収証に日付を同印こした請求書を偽造したか、領収証そのものも本件審判請求後に作成し、有印私文書偽造を避けるために押印をしていないとの疑念まで生じかねない。
以上より、乙第3号証は、本件商標をその指定役務について本件審判事件請求の日前3年以内に使用した客観的な証拠として成立していないものと考える。
(エ) したがって、請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標をその指定役務について本件審判事件請求の日前3年以内に使用した証拠として成立していない。

3.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
(1) 乙第1号証は、被請求人が使用する会社案内である。当該会社案内には、本件商標の掲載が確認できる。次いで、当該会社案内には取消しに係る指定役務を業として提供している事実も確認できる。
(2) 乙第2号証は、被請求人が「行動の調査」につき業務を実施して当該業務に対する報酬を請求した事実を示す請求書の写しである。さらに、乙第3号証は、前記請求書に対応する被請求人の領収書の写しである。
(3) 前記証拠方法には、取消しに係る商標「アスカ」と、取消しに係る指定役務である「行動の調査」が明記されており、かつ、これらの証拠方法の作成及び取引が平成13年であることから、本審判請求の1年以上も前に本件商標が使用されている。

4.当審の判断
被請求人(商標権者)が、本件商標を本件審判の取消対象商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし乙第3号証を以下、検討する。
(1) 乙第1号証は、その裏表紙にある会社の名称及び所在地の表示から、商標権者の会社案内(パンフレット)と認められるところ、これの表紙下段部、見開き右部中程、及び裏表紙の会社名称の上部に、本件商標と同一といえる「アスカ」の表示が確認できること、業務の内容として「身元調査(援助者の身元先の調査、被援助者の方の調査、行動調査)の記載があること、及び裏表紙の下段右隅の「2001.7.1,000」の表示から、当該会社案内は、2001年(平成13年)7月に1,000部が作成されたものと推認できる。
(2) 乙第2号証は、商標権者の業務にかかる「行動調査」についての請求書(写)、及び乙第3号証は、前記請求書に対応する領収書(写)と認められ、これらより「徘徊老人の行動調査」業務を実施しその報酬を請求した事実のほか、商標権者の表示、本件商標と同一といえる「アスカ」の表示、及び平成13年9月3日に作成されたことがそれぞれ確認できる。
(3) してみれば、商標権者(被請求人)は、本件商標を本件審判の取消請求にかかる指定役務「個人の身元又は行動に関する調査」と同一ないしこれに含まれる役務「身元調査(援助者の身元先の調査、被援助者の方の調査、行動調査)」について業務の内容としていることが認められ(乙第1号証)、さらに、請求書(写)及び領収書(写)の各取引書類(乙第2号証、乙第3号証)から、少なくとも「徘徊老人の行動調査」についての役務に関して取引が行われていたことを充分窺わせるものである。
そして、会社案内(パンフレット)、請求書(写)及び領収書(写)の各取引書類の印刷ないし作成日に照らせば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる標章をもって、本件審判の取消請求にかかる指定役務について使用してたものと認め得るものであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定役務について、その登録は取り消すことができない。
なお、請求人は、被請求人の提出に係る書証について、その作成に関し疑念をいだき客観的な証拠として成立していない旨述べているが、該書証が通常の取引書類でないと断定する程の不自然さがあるといい難く、これを否定し得る証拠方法がない以上、その書証による使用は認めざるを得ない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-05-30 
結審通知日 2003-06-04 
審決日 2003-06-17 
出願番号 商願平4-286661 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 幸一 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 山下 孝子
高野 義三
登録日 1997-10-17 
登録番号 商標登録第3351546号(T3351546) 
商標の称呼 アスカ 
代理人 佐藤 勝 

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