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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1076650 |
審判番号 | 審判1999-35260 |
総通号数 | 42 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-06-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-06-02 |
確定日 | 2003-04-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4172780号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4172780号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4172780号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成5年2月15日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として同10年7月31日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第40号証を提出している。 「POLO(ポロ)」は、一般に知られた「スポーツ名」にすぎず、日本では「ポロシャツ」として「一般用語」の一部であり、普通に用いられる言葉である。 「POLO」商標そのものは、登録になるべき商標ではなく、「スポーツ名」、「一般用語」として本件商標の登録は無効とされるべきである。 第3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、本審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第8号証(枝番を含む。)を提出している。 本件商標「POLO」がたとえ請求人のいう「スポーツ名」又は「一般用語」であったとしても、必ずしもその指定商品の「普通名称」、「慣用商標」には該当しない。 本件商標がスポーツ名「ポロ競技」を観念させ得たとしても、「POLO」又は「ポロ競技」が本件商標の指定商品についての普通名称等とはいえない以上、本件商標は商標法第3条第1項第1号及び第2号には該当しない。 また、本件商標は、その指定商品に使用しても十分自他商品の識別力を具備するものであり、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないから、同項第3号はもとより、同項第6号及び同法第4条第1項第16号にも該当しない。 さらに、昭和50年代後半においては、未だラルフ・ローレンの日本における事業展開はほとんど進んではおらず、本件商標の出願時には、ラルフ・ローレンに係る「POLO」は周知な商標ではなかったから、本件商標は同法第4条第1項第15号にも該当しない。 したがって、本件商標の登録は同法第46条の規定により無効とされるべきではない。 第4 当審において通知した登録無効の理由 当審において、平成14年11月27日付及び同月29日付で両当事者に通知した本件商標の登録無効の理由は、要旨次のとおりである。 1 本件の審理に当たり、当審において、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレン及び同人の関係者が被服等について使用する商標(別掲(2)参照。以下「引用商標」という。)について調査したところ、以下の事実が判明した。 (1)(株)講談社昭和53年発行7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。 アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が組み合わされ又は単独で(別掲引用商標参照)用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。 (2) (株)洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。 (3) ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前記「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。 (4) 平成3年研究社第3刷発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1937?)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略して呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣装を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。平成11年1月10日小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY Ralph Lauren」」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。 (5) 引用商標を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付朝日新聞夕刊に報道されている。 (6) 引用商標の周知性について認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京地裁平成8年(わ)1519号(平成9.3.24言渡)があるほか、東京高裁平成11年(行ケ)250号、 同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)等がある。 (7) 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、「ポロ」(ポロ競技)の称呼及び観念を生じ、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本件商標の登録出願時には既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。 2 本件商標は、別掲(1)のとおり、ややデザイン化した「Polo」の文字を書してなるものと容易に理解できるものであるから、「ポロ」(ポロ競技)の称呼及び観念を生ずるものといえる。 そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼及び観念を共通にする類似の商標といわざるを得ない。また、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品「被服」とは同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を無効にすべきものである。 第5 当審の判断 当審において、両当事者に対し、上記第4のとおりの登録無効の理由を通知し、期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたが、両当事者からは何らの意見もない。 したがって、この登録無効の理由は妥当なものと認められるので、本件商標は、この登録無効の理由により、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
審理終結日 | 2003-02-14 |
結審通知日 | 2003-02-19 |
審決日 | 2003-03-04 |
出願番号 | 商願平5-14373 |
審決分類 |
T
1
11・
252-
Z
(025)
T 1 11・ 253- Z (025) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田辺 秀三、佐藤 正雄 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
高野 義三 滝沢 智夫 |
登録日 | 1998-07-31 |
登録番号 | 商標登録第4172780号(T4172780) |
商標の称呼 | ポロ |
代理人 | 白石 吉之 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 江原 省吾 |