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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117 |
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管理番号 | 1075413 |
審判番号 | 審判1998-30312 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1998-04-02 |
確定日 | 2002-04-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2667318号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2667318商標(以下「本件商標」という。)は、「BeaR」の文字を横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成3年10月16日登録出願、同6年5月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,手ぬぐい,ハンカチ,ふくさ,ふろしき,クッション,座布団,まくら,マットレス,衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 (1)本件商標は、平成6年5月31日以降3年以上、商標権者及び使用権者のいずれによっても、その指定商品中請求に係る商品のいずれについても使用されていない。したがって、本件商標登録は、その不使用を理由とする取り消しを免れないものである。 (2)答弁に対する弁駁 ア.答弁の理由(1)▲1▼は否認する。 イ.同(1)▲2▼のうち、本件商標、指定商品、出願日、登録日、出願名義人については認めるがその余は否認する。 ウ.同(1)▲3▼のうち、株式会社フルーツ(以下「(株)フルーツ」という。)の住所が商標原簿上と売上伝票とで番地に違いがあること及び本件商標が(株)フルーツから被請求人に平成8年7月8日移転された旨の登録が行われたことは認めるが、前記相違する住所がそれぞれ(株)フルーツの商業登記簿謄本上の住所と営業所の住所であること、及び平成8年7月8日以降、被請求人が(株)フルーツに通常使用権を許諾したことは不知。その余は否認する。 被請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第15号証が、(株)フルーツの売上伝票である旨主張するが、これは商品販売先の住所、連絡先電話番号すら全く記載されていないものであって、同人が平成7年又は平成9年当時に、当該商品に関して作成したかどうかそもそも疑わしい。 とりわけ、乙第8号証ないし乙第15号証は、平成9年ないし平成10年付の売上伝票であるが、本件商標は平成8年3月29日付で被請求人に譲渡されており、(株)フルーツは平成9年ないし平成10年当時には商標権者として本件商標を使用することはできない。(株)フルーツは、本件商標の移転登録後に通常使用権者としての登録がなされておらず(乙第1号証)、また、同人が被請求人から本件商標についての使用許諾を受けたとの証拠は一切提出されていない。即ち、平成9年ないし平成10年当時に(株)フルーツが本件商標を使用できたことは何ら立証されず、同人がこれを作成したものかどうか疑わしい。 また、乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第15号証には、「品名・規格」又は「品名」欄に「BeaR」等及び当該商品名が掲げられているのみで、かかる証拠によって本件商標が指定商品に「使用」されていたということはできない。そもそも、ここでいう「使用」とは、商標法第2条第3項各号に掲げる行為をいうと解されるところ、当該各号証には前記事項が掲げられているのみで、これらによって、被請求人が、本件商標を指定商品又は指定商品の包装に付していたとも、本件商標を指定商品又は指定商品の包装に付した上譲渡、引渡し、譲渡若しくは引渡しのため展示、又は輸入していたともいえない。事実、乙第13号証には、「品名」に「Bear パジャマ」との記載があり、また、乙第14号証及び乙第15号証の「品名」における「BeaR」の文字は、「Bear」の最後の文字である「r」を手書きにて「R」にしたものと思われることからしても、売上伝票の「品名・規格」又は「品名」欄に「BeaR」との文字があることをもって、被請求人が、本件商標を指定商品又は指定商品の包装に付し、また本件商標を指定商品又は指定商品の包装に付した上譲渡、引渡し、譲渡若しくは引渡しのため展示、又は輸入していたとはいえない。 なお、「BeaR」と「Bear」との標章は、その外観、称呼、及び観念のいずれをとっても類似していないことは言うまでもない。 次に、「商品に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」についても、商標法上「使用」に該当するが(商標法第2条第3項第7号)、当該売上伝票が「展示」又は「頒布」の対象となっていないことのみをもっても、この売上伝票自体で指定商品について本件商標が「使用」されていたとはいえない。 エ.同(1)▲4▼のうち、株式会社ユー・エックス(以下「(株)ユー・エックス」という。)が(株)フルーツの製造商品を各生協に卸したことは不知。その余は否認する。 被請求人は、(株)ユー・エックスが(株)フルーツの子会社であり、再使用権を許諾された旨主張するが、証拠からは主張の事実は明らかでない。(株)フルーツが使用権者とはいえない以上、(株)ユー・エックスが(株)フルーツから再使用権を受けたともいえない。 オ.同(1)▲5▼のうち、乙第20号証ないし乙第31号証の写真が平成10年9月24日付で作成されたことは概ね認め、各号証が商品の写真であること、昨今商況が、折りネーム、下げ札等に書されるに止まらず、商品自体の一部にやや目立つように使用されているものであること、人気のある商標の場合、需要者がその商標に自己同一化を求める憧れが起こり、それを誇示する欲求があることは不知。その余は否認する。 被請求人は、乙第20号証ないし乙第31号証の商品は(株)フルーツが平成6年から本件商標を付して販売している商品の一部である旨主張しているが、同号証は、平成10年9月24日付で撮影された写真であるから、これをもって、その商品を平成10年より以前に販売していたとはいえない。 被請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第15号証の売上伝票により、(株)フルーツが本件商標の付された指定商品を販売していたと主張しながら、その具体的な商品としては、平成10年9月24日付で撮影したと主張する商品を掲げるのみで、(株)フルーツが平成7年あるいは平成9年当時に販売していたと主張する商品については何ら証拠が提出されていない。これは、(株)フルーツが平成7年あるいは平成9年当時に販売していたという商品に何ら本件商標を「使用」していなかったためと考えられる。事実、乙第31号証の商品には、値札が付されているが、(株)フルーツの名称は一切うかがえない。そもそも、乙第20号証ないし乙第31号証の写真に掲げられている商品については、その製造場所、製造時期等一切明らかでなく、上記商品を(株)フルーツがその販売用に製造したものかどうか疑わしい。 さらに、乙第20号証ないし乙第31号証の写真に掲げられている各商品の「BeaR」の文字は、各商品の模様に過ぎず、何ら商標としての機能を果たしていない。即ち、このように「BeaR」の文字を各商品の中央部分に大きく表示するのは、商標としての機能を発揮せしめるためではなく、需要者が上記表示の図柄が嗜好ないし趣味感に合うことを期待しその商品の購買意欲を喚起させることを目的としたものと解される(昭和51年2月24日大阪地裁判決判例時報828号69頁参照、甲第1号証)。従って、一般顧客は上記表示をその表示が付された商品の製造源あるいは出所を知り、確認する目印とは解さないのであって、上記「BeaR」の文字の表示使用行為は、商標の本質的機能である自他商品の識別機能及び商品の品質保証機能を有せず、また商品の出所を表示する目的をもって表示したものではなく、単純な模様に過ぎないといえる。この点からも、乙第20号証ないし乙第31号証によって、本件商標が「使用」されていたとはいえない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第35号証を提出している。 (1)請求人の主張は失当であり、その理由を以下に述べる。 ▲1▼本件商標はその指定商品について登録後ただちに使用開始され、今日にいたっている。 ▲2▼本件商標は、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定して、平成3年10月16日付、(株)フルーツ(前商標権者)名義で出願され、平成年5月31日登録されたものである。(乙第1号証) そして、(株)フルーツ社は、本件商標の登録後まもなくその指定商品中、たとえばバスタオル、ラップ、ケット、毛布、シーツ、バスローブ、ネグリジェ、靴下、等に使用し今日にいたっているものである。(乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第17号証、乙第20号証ないし乙第31号証) ▲3▼その事実を証明する証拠資料中、乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第15号証は、前商標権者である(株)フルーツの前掲各商品に関する売上伝票である。 (株)フルーツの住所が商標原簿上と前記各商売上伝票において、番地に相違があるも、前者は(株)フルーツの商業登記簿上の住所であり、後者は同じ地続きにある営業所の住所である。 本件商標が被請求人に平成8年7月8日移転されてからは、被請求人が通常使用権を許諾し、前商標権者が引き続き前掲商品に使用している。(乙第8号証ないし乙第15号証、売上伝票) ▲4▼さらに、乙第16号証及び乙第17号証の納品書の作成者は、(株)ユー・エックスとなっているが、同社は(株)フルーツの子会社であって、(株)フルーツの製造する商品を各生協に卸させたので、直接(株)フルーツの名前がでていないだけである。いうなれば、同社は、(株)フルーツから再使用権を許諾され、本件商標をその指定商品に使用していたものである。 ▲5▼また、乙第20号証ないし乙第31号証は、本件商標が使用された写真である。これらは、平成10年9月24日付けで撮影されたものではあるが、(株)フルーツが平成6年から本件商標を付して販売している商品の一部である。 なお、本件商標は、これらの商品の一部にやや目立つように書されているが、このような使用が商標の使用の範疇に属することに問題はない。つまり、昨今の商標は、折りネーム、下げ札等に書されるに止まらず、商品自体の一部にやや目立つように使用されているものである。本件商標のように人気のある商標の場合には、需要者がその商標に自己同一化を求める憧れが起こり、それを誇示する欲求があるから、それに答えて顕著に表現しているものである。この事実は商標の意匠化現象が起こっていることを意味するものであるが、なお立派に商標としての使用であることに変わりはないものである。 (2)以上、本件商標は、本件審判請求が登録される前3年以内に、わが国においてその指定商品に使用されていたものであるから、商標法第50条の規定には該当しないことは明らかである。 4 当審の判断 被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第6号証は、平成7年12月18日付株式会社ラジンに対する売上伝票の写しであって、当時、商標権者であった(株)フルーツの売上内容を記載したものと認められる。そして、この売上伝票の「品名・規格」の欄には「BeaR」の文字と共に、「バスタオル」「毛布」「シーツ」等の記載が認められる。 乙第8号証ないし乙第15号証も(株)フルーツの東タオル他5社に対する売上伝票であり、平成9年6月11日から同10年1月22日の間の日付及び「品名」欄に「BeaR」又は「Bear」の文字と並べて「靴下」「ハンカチ」等の記載が認められる。 なお、当該日付当時には本件商標権が既に被請求人に移転されているが、これら各号証も被請求人の提出に係るものであり、その主張とも併せ考えれば、被請求人は、(株)フルーツに本件商標を使用させる意思を有し、現に当該売上伝票に見られるようにその使用をさせていたものというべきである。 この点に関し、請求人は、使用者が本件商標の移転登録後に通常使用権者として登録されていない旨主張するが、商標権の許諾による通常使用権は、その成立に当たって設定の登録を必要とするものではなく、被請求人が本件商標を使用させていたことは前記認定のとおりであるから、その主張は認められない。 また、売上伝票は、取引書類の一つであって、現実の商取引における商品と使用商標とが明確に表示されたものである。仮に、本件商標が売上伝票発行当時、乙第20号証ないし乙第31号証の写真に示される態様でのみ使用されたとしても、これらが商品の模様であって、出所表示機能を全く果たさないものであるということはできない。 売上伝票と写真とを併せ勘案すれば、本件商標は、商標権移転前は権利者により、またそれ以降は本件商標の通常使用権者により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「毛布、シーツ、靴下、スリップ、ネクタイ、パンツ、シャツ、セーター、チョッキ、ポロシャツ、Tシャツ、スーツ、スカート、ズボン、ハンカチ、マフラー、帽子、ふとん、エプロン」等について使用されている事実を認めることができる。 したがって、本件商標の指定商品中取消請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-05-14 |
結審通知日 | 1999-05-28 |
審決日 | 1999-06-15 |
出願番号 | 商願平3-106467 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(117)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 尾原 静夫、小宮山 貞夫、鈴木 茂久 |
特許庁審判長 |
金子 茂 |
特許庁審判官 |
大橋 良三 小松 裕 |
登録日 | 1994-05-31 |
登録番号 | 商標登録第2667318号(T2667318) |
商標の称呼 | 1=ベア |
代理人 | 塩谷 信 |
代理人 | 菊地 栄 |
代理人 | 志知 俊秀 |
代理人 | 神林 恵美子 |
代理人 | 佐藤 一雄 |