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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1075337 
審判番号 取消2000-30776 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-07-04 
確定日 2003-03-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第1845499号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1845499号商標の指定商品中「かばん類、袋物、洗面用具入れ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1845499号商標(以下「本件商標」という。)は、「WARP」及び「ワープ」の文字を二段に書してなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和61年2月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「かばん類、袋物、洗面用具入れ」についての登録を取り消す旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「かばん類、袋物、洗面用具入れ」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条の規定によりその指定商品中前記商品についての登録は取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
乙第1号証の作成者(株式会社ブランナウ・代表取締役 橋本盛直)は本審判事件について被請求人との利害を共通とする被請求人の取引会社の代表者であり、このような証明者適格を欠く者が作成した乙第1号証を証拠として採用することは基本的に認められない。
証明書(乙第1号証)が証拠力を欠く資料であることは上記したとおりであるが、仮に、証明書添付の「商品カタログ」に何らかの証拠力があるとしても、この「商品カタログ」は、商標法第50条第2項に規定の使用事実を証明していない。
乙第1号証(証明書)の記載中に「・・・当社店舗において展示し、販売するとともに・・・」とあるが、展示及び販売がされた(商標法第2条第3項第2号)ことを認めるに足る何らの資料(証拠)も添付されておらず、この記載は単に証明者適格を欠く株式会社ブランナウ・代表者の一方的な陳述にすぎず、「商品が実際に展示又は販売されたこと」及び「その時期」を客観的に立証するものではない。
乙第1号証(証明書)の記載中に「・・・上記カタログを同期間中(平成12年1月から同年7月までの間)、来店者が自由に持ち帰りできるよう展示した・・・」とあり、資料としてカタログを添付するものであるが、乙第1号証は、該カタログが展示及び頒布された(商標法第2条第3項第7号)こと、並びにその時期を客観的に立証するものではない。
即ち、乙第1号証より添付カタログの存在が窺いしれるとしても、これをもって(該カタログが存在するからといって)商標法第2条第3項第7号の「使用」には該当せず、商標の「使用」というためには、該カタログが「実際に展示又は頒布された事実」の存在が必要不可欠である。にも拘わらず、被請求人は、前記の証明不適格者による陳述以外、該カタログが、「実際に展示又は頒布された事実」を客観的に裏付ける何らの証拠も提出していない。
また、「実際に展示又は頒布された時期」は、本件審判請求の予告登録(甲第1号証)前3年以内(平成9年8月2日〜平成12年8月1日)でなければならない。にも拘わらず、乙第1号証(証明書・該カタログ)からは、前記陳述以外「実際に展示又は頒布された時期」はおろか、その「印刷日」すら明らかではない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求を却下するとの審決を求め、請求の理由及び弁駁に対する各答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
(1)請求に対する答弁
本件商標「WARP」は、「かばん」及び「袋物」について、本件審判請求日前3年以内に、日本国内において使用されていたものである。即ち、別紙証明書(乙第1号証)には、「同証明書に添付されたカタログに示された各品番の商品を、WARPシリーズ商品として展示し、販売したこと、」、「その展示販売はラブロン株式会社の委託によるものであること」、「展示販売期間は平成12年1月から同年7月であること」、「販売展示場所が大阪市中央区南船場3-2-6にあるSHOP『Za・cca』なる店舗であること」、「同店舗で同期間に同証明書に添付のカタログを自由に持ち帰りできるように展示したこと」が示されている。
また、同カタログに示されている商品は、同カタログに示された写真から明らかに、品番「278-111」から「278-114」は「かばん」であり、品番「278-115」から「278-118」は袋物である。
以上の内容から、乙第1号証は、商標権者が本件商標である「WARP」を商品「かばん及び袋物」について、平成12年1月から同年7月に、日本国内にて使用していたことを証明するものである。
(2)弁駁に対する答弁
請求人は、被請求人が乙第1号証として提出した証明書に関し、「証明者の橋本盛直は、被請求人取引会社の代表者であるから利害関係を共通するものであり、証明者適格を欠き、証拠としては採用されない」旨を主張しているが、かかる主張は著しく妥当性を欠くものである。即ち、請求人は証明者が請求人の取引会社であるから利害関係を有するとしているが、証明者は被請求人の商品の販売を委託されて、店頭にて展示販売する等の商取引関係にある者ではあるが、被請求人と証明者の会社は、資本的及び人的関係において全く独立した別個の組織であり、取引関係において互いに一方が他方に大きく依存している関係には無く、証明者は被請求人の登録商標が取り消されることに関して利害関係が無い等、被請求人と証明者は、特別な経済的、人的関係には無く、かつ、証明者は本件取引審判の審決に関しては何ら利害がないものであって、単に事実を証明する善意の第3者的立場にある者である。したがって、乙第1号証の証明者は十分に証明者適格を有しているものである。請求人は乙第1号証に関し、証明者と被請求人との関係に関し、何らの証拠も提示することなく、単に取引者であることのみを理由に証拠能力を否定しているにすぎず、かかる主張は著しく妥当性を欠くものである。
また、請求人は乙号証に添付されている商品カタログ自体についての証拠力に言及しているが、同カタログは証明書に添付され、その配付状況やこれに記載されている商品の展示、販売日時等、商標の使用態様及び使用時期は証明書によって立証されているものである。

4 当審の判断
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る商品について当該商標を所定の期間内(審判請求の予告登録日前3年以内)に使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。そこで、被請求人が本件商標を使用している事実を証明するものとして提出した乙第1号証について検討する。
乙第1号証の証明書は、被請求人からの委託により、本店を大阪市中央区南船場3-2-6とする株式会社ブランナウが、自ら経営する「Za・cca」なる店舗(本店と同住所)において本件商標を付した「かばん」及び「袋物」を平成12年1月から同年7月までの間、展示し、販売するとともに、該商品の商品カタログを同期間中来店者が自由に持ち帰れるように展示したことを株式会社ブランナウの代表取締役橋本盛直が証明すると述べたものである。
しかしながら、該証明書は被請求人の取引業者による陳述に止まるものであって、証明内容を直接的・間接的に裏付ける客観的な書証、例えば商取引に際しては当然発生する販売の委託に係る契約書、商品の納品書、商品販売時の伝票等の書類の提出のないものである。
次に、乙第1号証に唯一添付の商品カタログは、当該書類の印刷インクの状態や用紙の材質等からみて、通常の印刷により作成されたものではなく、カラープリンターによる出力で作成されたものと認められる。
そして、該書類が、カラープリンターによる出力で作成され、正式に印刷されたカタログではないことからすると、該商品カタログの提出のみをもってしては、本件商標が、我が国において、取消請求に係る商品について現実に使用されていたとの主張は信憑性に乏しいものといわなければならない。
さらに、被請求人は、請求人が当該商品カタログの作成時期についてこれを客観的に立証するものがなく、証拠力について疑義があると指摘しているにもかかわらず、同人は、乙第1号証の証明書により立証されている旨述べるにとどまり、何ら印刷業者の証明書や取引書類(例えば、領収書、納品又は入金伝票等)等といった客観的に裏付けし、納得し得る反証を示すところがない。
したがって、被請求人提出の乙第1号証によっては、本件審判請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも「かばん」及び「袋物」について本件商標を使用したと認めることはできない。そして、他に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしたと認めるに足る証拠の提出もない。
以上のとおり、被請求人は、請求に係る指定商品について本件審判請求の予告登録日前3年以内に本件商標を使用したことを証明し得なかったものであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「かばん類、袋物、洗面用具入れ」について、その登録を取り消すべきである。
よって、本件審判請求は、理由があるので認容することとし、審判費用の負担につき、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-01-27 
結審通知日 2003-01-30 
審決日 2003-02-14 
出願番号 商願昭58-116629 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (121)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 勝義 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 田中 幸一
山口 烈
登録日 1986-02-28 
登録番号 商標登録第1845499号(T1845499) 
商標の称呼 ワープ 
代理人 野原 利雄 
代理人 田中 雅雄 

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