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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 021
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 021
管理番号 1075234 
審判番号 無効2001-35362 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-08-21 
確定日 2003-04-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3190581号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3190581号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3190581号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年6月11日に登録出願、「木の猫砂」の文字を横書きしてなり、第21類「愛玩動物用糞尿処理材」を指定商品として、平成8年8月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第65号証を提出した。
1 利害関係について
請求人は、請求人の製造する「猫砂」について「固まる木の猫砂」の表示を使用しているが、この表示に対し商標権侵害及び不正競争防止法に基づく使用中止を求める警告書を被請求人から受領した(甲第59号証)。
一方、被請求人は、請求人が製造する商品の販売会社である請求外「株式会社ジョイフル本田」に対し、本件商標権を侵害することを内容とする警告書を送付した(甲第3号証)。
したがって、請求人が本件審判を請求することについて法律上の利害関係を有することは明らかである。
2 商標法第3条第1項3号及び同法第4条第1項第16号について
(1)商品「猫砂」について
「猫砂」とは猫のトイレ砂の通称である。これが商品名として一般的に使用されるようになった時期は、必ずしも明確ではないが、遅くとも昭和45年(1970年)頃から当業者及び需要者間において猫のトイレ砂の通称として使用されていた。すなわち、商品としての猫砂は、昭和40年(1965年)代の初めに欧米から輸入されていたが、昭和45年(1970年)に以前から土壌改良剤として利用され、吸収性、消臭効果の高いゼオライトを原材料としたものが登場し、これが我が国における猫砂ビジネスのスタートといわれている(甲第5号証及び甲第6号証)。また、昭和62年に日本貿易振興会海外経済情報センターから発行された「日本のペット用品市場」(甲第7号証)には、「犬・猫が室内で排泄する際に使うトイレ用シーツ(犬用)や猫砂…のニーズが高まってきている」あるいは「その後猫砂を使用する人が口コミで徐々に増えてきて、80年頃から急速に普及し始めた」等の記載がある。
猫砂は現在も「川砂」が一番猫の習性にあっていると考えられているが、猫をペットとして飼う人の増加、マンションなどによる住環境の変化、川砂自体の入手が困難であること、排泄物の処理、においなど様々な問題が生じ、川砂に代わる材料で、処分するのに容易であり、また、防臭効果も有するような商品が1970年頃から開発され、商品化されるようになった。
この種の商品が「猫砂」と呼ばれるようになり、これが一般消費者にも普及し市場規模が拡大した1980年代には、「猫砂」の用語が当該商品の普通名称として業界及び需要者間で通用するようになったことは明らかである。事実、1980年代の後半から1990年代にかけて、「猫砂」の用語は、一般新聞紙上、その原材料である化学業界の専門紙、ペット関連用品の雑誌やガイドブック等にも、独立した商品名として頻繁に掲載されるようになった(甲第10号証ないし甲第40号証)。
一方、公開実用新案公報の明細書中には「…従来の猫砂」という記載があるし、特許公報の明細書中にも「従来、いわゆる猫砂と称されるペット用排泄物処理材…」の記載があり、その後にも本件商標が登録された以前までに、該商品に関連した発明について出願された特許あるいは実用新案の明細書に「猫砂」が普通名称として使用されている(甲第41号証ないし甲第46号証)。
また、本件商標以外にも「猫砂」の文字を構成中に含み「猫の(猫用)糞尿処理用砂」あるいは「ペット用のトイレ砂」「愛玩動物の糞尿処理材」を指定商品として、本件商標の登録日前あるいはその後に登録された商標が数件存在する(甲第47号証ないし甲第51号証)。さらに、「猫砂マット」)及び「ひのきの猫砂」という商標の出願が、これらの商標は「猫砂」についての品質表示であるという理由で、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとされ拒絶査定になっている(甲第52号証及び甲第53号証)。
さらに、最近では、インターネットにおいて「猫砂」と「木」の二語をキーワードとして検索すると、商品案内から利用者の意見に至るまで、約900件以上の非常に多くのホームページや項目にアクセスすることができる(甲第54号証)。他方、様々な学会における研究発表や論文においても「猫砂」は商品の普通名称として使用されている(甲第55号証及び同第56号証)。さらに、最近の市場において様々な素材からなる多種多様な「猫砂」が多数の業者により製造販売されている(甲第57号証)。
これらの事実から、現在では「猫砂」の用語は、商品の普通名称となっていることは明らかである。
(2)木を原材料とする「猫砂」について
「猫砂」が商品化され市場で取引されるようになったのは1970年に遡るが、その当時の「猫砂」の原材料としては、吸収性及び消臭効果の高い「ゼオライト」が主であった。その後、水に濡れると固まるという性質を持つ「ペントナイト」が使用されるようになった。これらの鉱石系物質を原材料とする「猫砂」は、尿を吸うと固まる特性を有し、におい成分を吸着して消臭作用も高いので、現在も広く出回っているが、使用後に燃えるゴミとして処分できない場合(地域)があり、最近では可燃性の高い素材を利用したものが主流になりつつある。(甲第5号証ないし甲第9号証)
鉱石系以外のものを原材料とする猫砂としては紙製のものがあり、この中には水洗トイレに流せるものもある。また、紙製のものと並んで多く出回っているのが木製のものであり、木の粉やおがくずを利用し、それらに吸水性ポリマーとでんぷんなどののり剤を混ぜ合わせ、吸水性を高めることにより固まりやすくし、におい成分も閉じこめるようしたものが商品化され、広く販売されている。これらの木を原材料とする「猫砂」としては、木をペレット状に固形化したものや木のチップを組み合わせたものが、平成元年(1989年)から同2年(1990年)にかけてすでに発売されており(甲10号証及び同第29号証)、平成5年(1993年)には請求人が開発した木の粉を原材料とする商品の販売が開始された(甲第32号証及び甲第33号証)。その後、おがくずや木粉あるいは天然檜等の木材系を原材料とする猫砂を扱う業者が増加している(甲第39号証及び同第57号証)。
また、木粉その他の木を材料とする猫砂あるいは動物の糞尿処理材として利用した特許等も昭和63年(1988年)頃から現在までに相当数が出願されている(甲第42号証及び同第58号証)。すなわち、木粉、パルプ、おがくず等の木材をペットや家畜の糞尿処理材として利用する技術的な思想は、当業者間において、遅くとも1980年代後半には公知であったことは明らかである。
以上のことから、「木」それ自体、「木粉」等の木の副産物やそれらを加工したものがペットの糞尿処理材として20年ほど前から現実に利用されてきたことは明らかである。
(3)本件商標について
本件商標は「木の猫砂」の文字からなるものである。本件商標中の「木の」の部分はそれに続く「猫砂」の修飾語として後者の原材料を示していると理解される。したがって、本件商標は「木または木材系を原材料とする猫砂」の意味合いで容易に認識され、それ以外の意味でこれが理解されることはあり得ない。すなわち、本件商標は、「愛玩動物用糞尿処理材」という本件商標の指定商品中「猫砂」の品質そのものを表示するに他ならない。また、本件商標が指定商品中その他の商品に使用されれば、当該商品の品質を誤認させることは明らかである。
3 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「広辞苑」等の国語辞典に「猫砂」という語が掲載されていないことを根拠に「猫砂」という用語は普通名称として通用していないと主張している。
しかしながら、特許庁商標課編「商標審査基準(改訂第7版)」には、商標法第3条第1項第1号に規定する「普通名称」には、原則として、その商品又は役務の略称、俗称等も含まれるとし、正式な商品名ではなくても商品名として通用しているような語句等も、普通名称であると説明されている(甲第60号証)。本件において「猫砂」は甲第5号証ないし甲第58号証に示すように、「ネコのトイレ砂」として当業者及び需要者間に通用していることは明らかであるから、これは商標法上の「普通名称」である。国語辞典に掲載されていなくても、商品名として現実に通用している語句は多数あるから、国語辞典への掲載の有無のみによって商標法上の普通名称か否かが決定されるわけではない。
(2)また、被請求人は、自己が行ったアンケートの回答には「猫の糞尿を処理するための資材」が「猫の砂」と呼称されることはあっても、「猫砂」と呼称されることはなかったと述べているが、そのアンケートがどのような方法で何のために行われ、内容が何であったかを一切明らかにしていないから、「猫砂」が普通名称でないとする根拠としては、証拠価値がないものである。
(3)さらに、「猫砂」の同意語としては「ペット用トイレ砂」「愛玩動物用トイレ砂」等の用語も使用されており、被請求人のいう「ネコ用のトイレ砂」もこれらの一つである。したがって、これらの用語はすべて上記商品の普通名称として通用しているのであるから、これらを区別する必然性はない。
また、被請求人は「砂」についての「広辞苑」の説明を引用しているが、請求人の主張を詳細に検討していけば、「木の猫砂」という構成からなる本件商標が、被請求人のいう「ネコ用トイレ砂」の原材料と商品の普通名称を示すに過ぎないという結論になる。
(4)請求人は、「木製トイレ砂」、「木製猫のトイレ砂」、「木製猫砂」、「ちらからない猫砂」の商標を第21類「愛玩動物用糞尿処理材」及び「木のトイレ砂」の商標を「木を使用した愛玩動物用糞尿処理材」)を指定商品として商標登録出願をしたが、これらの出願に対して拒絶理由通知書を受領した(甲第61号証ないし甲第65号証)。
これらの拒絶理由通知は、当業者及び需要者間において、現在「猫砂」という表示が「猫の糞尿処理材」を意味し、「木の」あるいは「木製」という表現はそれらの原材料の表示であると広く認識されていることを示すものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、請求人の請求をいずれも棄却する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番を含む。)を提出した。
1 利害関係について
被請求人が請求人並びに請求外株式会社ジョイフル本田に対して、請求人らの製造販売する、猫の糞尿処理材に関し、内容証明郵便で商標法並びに不正競争防止法違反を理由に差止請求等の警告をした事実は認める。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
(1)猫の糞尿処理材については、時折トイレ砂とか猫砂と使用されていたかもしれないが、それは正式な商品名としてではない。
猫の糞尿処理材の名称として「猫砂」なる用語が普通名称として使用され、業界、需要者間で通用されている事実はない。また、一般においても、例えば、「広辞苑第2版、第4版」(乙第1号証の1及び2)、「新選国語辞典(第6版)」(乙第2号証)、「辞林21」(乙第3号証)等には猫砂なる用語は見あたらない。
(2)さらに、平成11年12月9日付朝日新聞地域版(東京23区、神奈川、埼玉、栃木、群馬の各県版)において、被請求人の商品アンケート記事が掲載され、約1081通の応募があった際、被請求人の猫の糞尿処理材については「猫の砂」と呼称されることはあっても、「猫砂」とは呼称されていないのが実情であった(乙第5号証等)。
したがって、猫の糞尿処理材につき、「猫砂」なる用語が普通名称化されて呼称されることはありえない。
(3)猫の糞尿処理材に関し、特許、あるいは商標出願が多数なされている事は請求人の主張どおりであるが、これらは全て「ねこ用のトイレ砂」に関連するものとして公表されてきているのであって、その原料にはオガクズ、石炭を加工したコークス、高分子吸水ポリマー、長繊維パルプ紙、ペントナイト、ゼオライト、天然鉱石、木等種々雑多である。これらの原料を各会社により取捨選択し加工して、「ネコ用のトイレ砂」を製作販売しているのである。しかし、これらの商品が請求人の主張する年月に製作されてきたか否かは不明であって、これらの事は単なる請求人の憶測にすぎない。
(4)請求人は先ず、「猫砂」なる用語を「ネコ用のトイレ砂」の普通名称として規定し、その前に付す「文字」を品質を表すものと決め付けている。
しかしながら、「ネコ用のトイレ砂」には、その原材料が種々雑多であり、請求人が主張するような単純なものではない。
岩波書店発行の広辞苑の「砂」の欄には「細かい岩石の粒の集合。主に各種鉱物の粒子から成る・・・」と記されている。このことは、通常「砂」といえば岩石を構成する造岩鉱物の粒子の集合を指しているので、鉱物ではないものを砂とはいうことはなく、また鉱物で構成されないものを一般に砂と認識することはないことを示すものである。
このため、一般の需要者は「砂」と言った場合、造岩鉱物の粒子の集合を思い浮かべるのであり、鉱物ではない木を原料とするものを「砂」と観念することはない。例えば、材木を切ったときに生ずるものを「おが屑」、「鋸屑」とは言うが、これが粒子状のものの集合だからといって、これを「砂」という表現はしないし、一般の需要者は本件商標の「木の猫砂」をなんらの観念を生じない単なる造語と認識するのが一般であり、これをもって犬猫用トイレ用砂の品質を表示するものと認識することはあり得ない。
(5)したがって、「猫砂」の文字の前に付す用語がその製品の原材料、品質等を表すものとは断定できないものである。
猫の糞尿処理材について本件商標を使用しても品質表示にはならないし、又、それ以外の愛玩動物用糞尿処理材に使用した場合でもその品質を誤認させる事はない。
3 弁駁に対する答弁
(1)「猫砂」なる用語が普通名称として一般に認知されるためには、各種辞典において多く掲載されて初めて一般に通用する事であるが、被請求人の調査によれば、昭和50年頃から平成14年に至るまで日本国内において発行されている「国語辞典」類、「百科辞典」類、「情報・知識のimidas」類においても「猫砂」なる用語が普通名称としては掲載されているものはない(乙第6号証ないし乙第20号証)。
一般には「猫のトイレ砂」とか「市販のトイレ用砂」とされているのであって「猫砂」としては掲載されていない。市販されている大部分の辞書類に普通名称として表示されていないものが商標法第3条第1項第1号に該当することはありえない。
甲第60号証とし例示されている「アルミ」、「波の花」、「おてもと」、「一六銀行」、「呼屋」、「空輸」等は、全て市販の国語辞典類において、既に略称として認知され掲載されている(乙第23号証)。
それに比し、「猫砂」なる表示はいかなる辞書にも「猫のトイレ用砂」の略称である旨の掲載はされていない。
したがって、「猫砂」なる用語はまだ、商標法上も「猫のトイレ用砂」の略称として一般に認知されていない証拠である。
(2)次に、被請求人が乙第5号証として提出したアンケートは、その消印からわかるように、本件紛争問題が発生していない時のものである。これを証拠に被請求人は、平成11年12月8日付の朝日新聞地域版を乙第22号証として提出する。乙第22号証を見れば被請求人が何ら作為をしているものでない事は明白である。これは朝日新聞が中心となり、各協賛企業の商品を各アンケート回答者にプレゼントをするとしたものであって、各企業が具体的商品名を指示したものではない。
以上の諸点を考慮に入れて、乙第5号証のアンケートをみると一人として「猫砂」なる用語を普通名称として使用している人はいない。したがって、この事は猫のトイレ用砂を使用している一般の需要者間においても「猫砂」なる文字を普通名称としても、その略称としても使用していない事を示すものである。
(3)さらに、請求人は「猫砂」の前に表示する「木の」という表示は「木製の」意味を有し、商品の品質を表示する旨を主張している。しかし、「木の」という用語と「砂」なる用語とは特別の関連性はありえないし、また、用語上も相反するものである。したがって、「木の猫砂」と表示しても何ら具体的商品の品質を表すものとはいえないものである。

第4 当審の判断
1 利害関係について
請求人及び請求外株式会社ジョイフル本田に対して、被請求人が発した商標権侵害及び不正競争防止法に基づく使用中止を求める警告書(甲第3号証及び甲第59号証)に関し、請求人と被請求人の間で、その解釈、その後の経緯について、互いに主張の相違点は見られるが、請求人らが本件商標及びこれに関連した上記警告書を被請求人から受領した事実が認められることからすれば、請求人は、本件審判を請求することについて法律上の利害関係を有する者というのが相当である。
2 商標法第3条第1項3号及び同法第4条第1項第16号について
(1)請求人の提出に係る「月刊ペットページ」(甲第6号証)の砂のうつわ(上)の「新素材の導入で猫砂市場の活性化」の項をみると、「猫砂が日本のペット市場に導入されたのは1969年より数年前のこと、輸入品だった。そして、1970年以前、土壌改良剤として利用され、吸収性、消臭効果の高いゼオライトを原材料とした国産品が登場した。これが日本における猫砂ビジネスのスタート点となる」等記載され、この記事中に、猫砂、猫砂製品、猫砂市場等の語が普通に使用されていることが認められる。また、「日本のペット用品市場」(甲第7号証)には、「犬・猫が室内で排泄する際に使うトイレ用シーツ(犬用)や猫砂…のニーズが高まってきている」あるいは「その後猫砂を使用する人が口コミで徐々に増えてきて、80年頃から急速に普及し始めた」等の記載がある。
(2)また、公開実用新案公報(平成1‐87647)の明細書中に「…従来の猫砂」という語句及び特許公報(平成4‐48407)の明細書中にも「従来、いわゆる猫砂と称されるペット用排泄処理材…」と記載され使用されていることが認められる(甲第41号証及び甲第42号証)。
(3)さらに、請求人の提出に係る新聞、化学業界の専門紙、ペット関連用品の雑誌、ガイドブック(甲第6号証及び甲第10号証ないし甲第40号証)、インターネットにおける「猫砂」の検索(甲第54号証)及び「日本獣医師会雑誌」、「資源と環境」(甲第55号証及び同第56号証)の研究発表や論文をみると、「猫砂」が商品化され市場で取引されるようになったのは1970年ころと推測され、その当時「猫砂」の原材料としては、吸収性及び消臭効果の高い「ゼオライト」が主であったが、その後、水に濡れると固まるという性質を持つ「ペントナイト」が使用されるようになった。これらの鉱石系物質を原材料とする「猫砂」は、尿を吸うと固まる特性を有し、におい成分を吸着して消臭作用も高いので、現在も広く出回っているが、使用後に燃えるゴミとして処分できない場合があり、可燃性の高い素材を利用した「猫の糞尿処理材」が存在することが認められる。
そして、鉱石系以外のものを原材料とする「猫の糞尿処理材」に紙製、モミガラ、木の粉、とうもろこしの芯、コーヒーの豆殻等が使用された商品が、本件商標の登録査定時において、既に、製造発売されている事実も認められる。
(4)そこで、本件商標をみると、本件商標は「木の猫砂」の文字からなるところ、前記した実情よりすれば、その構成中、「猫砂」の文字は、「猫が室内で排泄する際に使うトイレ用の砂」を認識、理解させるものである。また、「砂」は元来「細かい岩石の粒の集合」の意味を有する語であるとしても、前記したとおり「猫の糞尿処理材」に「木」が原材料として使用されている事実よりすれば、本件商標中の「木の」の文字部分は「砂」の代わりとして「木」を原材料とした「猫の糞尿処理材」を容易に認識、理解させるというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、本件商標の登録査定時においても、「愛玩動物用糞尿処理材」の指定商品中「木を使用した猫の糞尿処理材」に使用するときは、その原材料、品質を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得なかったものといわざるを得ない。また、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質を誤認させるおそがあるものである。
この点において、被請求人は、国語辞典、百科事典等に「猫砂」の語が掲載されていないこと、被請求人による商品アンケートの中で「猫砂」と呼称されていない事実、「砂」は「細かい岩石の粒の集合」の意味であること等を理由に、本件商標は「猫の糞尿処理材」の原材料、品質を表示するものではない旨主張しているが、「猫の糞尿処理材」を扱う業者間において、既に、前記のとおり、「猫が室内で排泄する際に使うトイレ用の砂」の代替品として「木」が使用されている実情よりすれば、上記のとおり判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-07-11 
結審通知日 2002-07-16 
審決日 2002-07-29 
出願番号 商願平5-57531 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (021)
T 1 11・ 271- Z (021)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神田 忠雄 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3190581号(T3190581) 
商標の称呼 キノネコスナ、コノネコサ 
代理人 大島 厚 
代理人 松村 武 
代理人 中村 稔 
代理人 上村 正二 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 石川 秀樹 
代理人 松尾 和子 
代理人 加藤 建二 
代理人 石葉 泰久 
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