• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14
管理番号 1073510 
審判番号 無効2000-35496 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-09-13 
確定日 2003-02-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4313719号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成13年10月23日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成14年(行ケ)第108号 平成14年6月18日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4313719号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4313719号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年10月6日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第14類「貴金属製喫煙用具、身飾品、時計」を指定商品として、同11年9月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(a)ないし(c)に示すとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(a)昭和25年12月7日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、同27年3月7日に設定登録された登録第409366号商標(以下「引用商標1」という。)
(b)昭和33年2月10日に登録出願され、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、第21類「懐中時計、腕時計、掛時計、置時計、振子時計、時計用鎖、時計機械及び側その他時計並びにその各部及び附属品」を指定商品として、同34年1月31日に設定登録された登録第532721号商標(以下「引用商標2」という。)
(c)平成1年1月26日に登録出願され、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、第23類「時計、その他本類に属する商品」を指定商品として、同4年9月30日に設定登録された登録第2456616号商標(以下「引用商標3」という。)

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、証拠方法として甲第1号証ないし同第15号証を提出し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであり、その登録は無効にされるべきである旨述べた。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、本件商標は上記法条に該当するものではなく、その登録は無効にされるべきではない旨述べた。

5 当審の判断
(1)商標が実際の取引の場で使用される場合、特に本件商標のように図形からなる商標が指定商品の一種である腕時計に使用されるときは、天地がいずれの方向であるか特定されない場合があるものと認められる。この点に従い、引用各商標との対比においては、本件商標を時計回りに90度回転させた態様のものとして、以下判断する。
(2)本件商標中、細線で表された四角輪郭は囲いにすぎず、肉太の線で構成される部分に比して印象が薄いので、本件商標における識別力はほとんどないものといえる。したがって、本件商標で特徴的に認識されるのは、太線で描かれた、円弧とその開口部の両端から延びる短い直線の部分にあるものと認められる。
他方、引用各商標を構成する図形ないしギリシャ文字としての「Ω」(引用商標1〜3)、文字としての「オメガ」(引用商標2)、文字としての「OMEGA」(引用商標1)が、いずれも時計の商標を構成するものとして世界的に極めて著名なものであることは、特許庁に顕著な事実である。そして、ギリシャ文字「Ω」の特徴的な部分は、下部に開口部を有する円弧部分と、その両端から延びる短い直線の部分にあると認められ、この点は、本件商標における上記特徴的に認識される部分も共通して有しているところである。
(3)本件商標の指定商品である「貴金属製喫煙用具、身飾品、時計」などでは、商標を商品に刻印することがしばしば行われ、その場合、刻印は小さく、彫りが浅いため、極めて判読しにくいものが多いのが取引の実情である。
そうすると、かかる取引の実情の下において、本件商標は、開口部を有しそこから両端に延びる直線を有する点において、「Ω」の文字の特徴的な部分で共通するものといえる。
(4)以上述べたところによれば、本件商標と引用各商標とは、本件商標の指定商品の取引の実情からみれば、外観において共通するものというべきである。また、本件商標のこの特徴的な部分からは、「オメガ」の称呼が生じ得るものと認めることができ、この称呼は、引用各商標においても生じるものであることはいうまでもないから、本件商標と引用各商標とは、称呼においても共通するものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観及び称呼において互いに誤認混同のおそれがある類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品中「時計」は引用各商標の指定商品中に包含されるものであるから、結局、本件商標は、その指定商品中上記商品については商標法第4条第1項第11号に該当するものといわなければならない。
(5)また、引用各商標は、本件商標の出願前より、請求人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして世界的に著名な商標であり、これと本件商標とは、その外観、称呼において類似の商標であること前記認定のとおりであって、かつ、本件商標の指定商品中「時計」以外の商品と引用各商標の使用に係る商品「時計」とは販売店等の流通経路や需要者層を共通にする場合も少なくなく、比較的密接な関係を有する商品といい得るものであるから、本件商標は、その指定商品中「時計」以外の商品に使用しても、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当するものといわざるを得ない。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
(1)本件商標



(2)引用商標1



(3)引用商標2



(4)引用商標3


審理終結日 2001-10-05 
結審通知日 2001-10-11 
審決日 2001-10-23 
出願番号 商願平10-85012 
審決分類 T 1 11・ 26- Z (Z14)
T 1 11・ 271- Z (Z14)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 小池 隆
鈴木 新五
登録日 1999-09-10 
登録番号 商標登録第4313719号(T4313719) 
代理人 黒川 弘朗 
代理人 山川 政樹 
代理人 紺野 正幸 
代理人 鈴木 二郎 
代理人 山川 茂樹 
代理人 西山 修 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ