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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z20
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z20
管理番号 1068104 
異議申立番号 異議2000-90509 
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2002-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-19 
確定日 2002-03-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第4358284号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4358284号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4358284号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年6月16日に登録出願、「SACCO」の欧文字と「サッコ」の片仮名文字とを二段に左横書きしてなり、第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年2月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)異議理由
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、欧文字の「SACCO」とこれに相応する仮名文字「サッコ」から構成されたものであり、必然的に「サッコ」の称呼が生ずる。また、以下で述べる引用商標の著名性により、本件商標からは著名商標「SACCO」及びその製品の観念が生ずる。従って、本件商標は引用商標と「サッコ」の称呼及び観念を共通する類似の商標である。
申立人であるザノッタ ソシエタ ペル アチオニは、1954年に革(布)製家具及びそれらの装飾品の製造・販売を主として設立された会社で、アチル カスチジリオーニ、アレッサンドロ メンデイーニ、パオロ デガネロ等の家具分野における著名デザイナーを擁し、今日まで順調な事業を展開し1999年度は450万米ドルの販売実績を誇る(甲第2号証及び同第6号証)。
申立人の商標である「SACCO」の国内外における著名性は、1948年イタリアで開催された家具類に関するトリエンナーレ展での金賞受賞をはじめとして1951年、1968年、1970年、1971年、1973年、1979年、1981年の受賞実績や、1972年のニューヨークを皮切りに、1984年の東京の草月会館、1985年スペインのマドリッド、カナダのモントリーオール、1986年のニューヨーク、1988年のドイツのデュッセルドルフ、1988年のデンマークのコペンハーゲン、1989年のブラジルのサンパウロ、同年名古屋で開催された「1989年世界家具展」、1990年の東京・汐留駅、1991年のスペインのバルセロナ、1992年の東京での「Fujita Vante Museum」、同じく「小田急グランドギャラリー」、「The museum of Modem Art」富山 Marugame Genichiro、又、広島での「Inokuma Museum of Contemporary Art」等の事実でもって確認できる(甲第3号証)。
よって、「SACCO/サッコ」の文字からなる本件商標が、その指定商品に使用(特に、クッション類)された場合には、本件指定商品の分野の需要者が、申立人の業務に係る商品と出所を混同するおそれがあることは明らかである。然るが故に、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の商品を表示するものとして日本国内及び外国において需要者の間に広く認識されている引用商標「SACCO」と類似の商標である。特筆すべき事実として、本件商標権者が20年近く申立人の輸入販売代理店であったことであり、本件商標の出願(1999年6月16日)は申立人との間で結ばれていた契約が解除された1999年春直後にされたもので、申立人の許諾を得ずして行われた出願・登録は、本件商標権者の契約解除に対す報復措置とも取れる。なお、本件商標を使用した商品(クッション類)が申立人の商標であることを証するインボイスを添付する。
このようなことから、本件商標権者の行為は、著名商標である引用商標の顧客吸引力にただ乗りし不正に利益を得る目的でされたものと考えるのが自然といえる(甲第2号証乃至5号証)。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

3 当審の取消理由
(1)申立人「ザノッタ ソシエ夕 ペル アチオニ」(以下、「申立人」という。)の提出に係る甲3号証等によれば、「SACCO」の文字によりなる商標は、申立人が永年にわたってイタリア、日本、アメリカ等で商品「クッション」に使用してきた結果、本件登録出願時には申立人の業務に係る商品の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認められるものである。
一方、申立人の提出に係る甲第5号証1ないし3のインボイスによれば、商標権者と申立人との間には、1999年に当事者間の契約が解除されるまで、製造販売業者と輸入販売代理店として商品の取引があったことが窺える。そうとすれば、申立人の業務に係る商品を表彰するものとして取引者・需要者間に周知著名な「SACCO」と同じ綴り字を有する本件商標を、商標権者が申立人に断りなくその指定商品に使用することは、不正の目的をもって使用するものと言わなければならない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。」旨の取消理由を商標権者に通知した。

4 商標権者の意見
本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当すると判断されるためには、まず、本件商標の出願時及び査定時において、本件商標が「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標」であることが必要である。しかしながら、申立人が提出した甲第3号証及び甲第4号証により、本件商標の出願時及び査定時において本件商標が申立人によってイタリア国においてクッションに使用されていることは立証されているものの、本件商標の出願時及び査定時においてイタリア国において本件商標がクッションについて周知性を獲得していることまでは十分に立証されていない。即ち、審査基準の解説によれば、商標の「使用状況に関する事実の把握は、いわば量的に当該商標の使用の事実を認定し、それによって間接的ではあるが当該商標の需要者への浸透度を量り(推定し)、その大小ないしは広狭により当該商標の周知を認定」すべきであるから(乙第1号証)、本件商標の出願時及び査定時において、本件商標がクッションについてイタリア国で周知であると立証するためには、イタリア国におけるクッションの全販売総数のうちのどの程度の割合を本件商標を使用したクッションが占めているのか、あるいはイタリア国における本件商標を使用した広告宣伝の頻度を示すことにより需要者に対する浸透度がどれくらいであるのかということを少なくとも示す必要がある。しかしながら、申立人からは甲第6号証により1969年〜1999年までの年次販売実績は示されているもののその割合が全体でどの程度を占めるものであるか示されていない。また、この販売実績がイタリア国におけるクッションの前販売総数のうちのどの程度の割合をしめるものであるか示されていない。更に、申立人からは、甲第3号証を示して本件商標が国内のみならず外国においても著名性があることを主張するが、甲第3号証の受賞実績のリストだけではカタログ記載のどの商品について受賞したのか全く不明である。また、甲第4号証により、申立人の商品が記載されたイタリア国発行の雑誌に記載された広告が1つ示されているもののこの雑誌広告のみでは需要者に対する浸透度は全く高いものとはいえないし、どのような種類の雑誌に広告が掲載されたのかがわからないためどのような需要者に周知であるのかも不明である。従って、本件商標が申立人の業務にかかる商品を表示するものとしてイタリア国において広く認識されていたものと認定した取消理由通知は誤りである。
また、申立人は提出した甲第3号証により、本件商標が国内において著名性の高いものであることを主張するが、乙第3号証の1乃至6に示すように、本件商標の出願前に発行された雑誌に掲載されている数多くの「サッコ」商品の写真提供者は本件商標の商標権者である「ノバオーシマ」であり、申立人ではない。本件商標の商標権者である株式会社ノバオーシマは、申立人が異議申立理由で述べているように現在までの約20年にわたり申立人の輸入販売代理店として申立人から商品の供給を継続的に受ける継続的供給契約に基づき、当時は日本において全く無名であった「サッコ」商品の宣伝広告及び販売を一手に引き受け、日本語版サッコ商品カタログ及びプライスリストの制作(乙第2号証の1及び2)、雑誌等への「サッコ」商品の広告掲載(乙第3号証1乃至6)等、本件商標の知名度アップのための様々な努力を行ってきた。即ち、永年、我が国において本件商標をクッションに対し使用をしてきたのは申立人ではなく本件商標の商標権者であり、本件商標の出願時及び査定時に我が国において「サッコ」商品を取扱う業者といえば他の業者はおらず、本件商標の商標権者のみであった。そして、本件商標の出願前から本件商標の商標権者は乙第3号証の3に示すような「室内」等のインテリアの専門雑誌のみならず、乙第3号証の6に示すような「BRUTUS」等の一般的な雑誌にも「サッコ」商品の広告を掲載しており、幅広い需要者に対して浸透度を図っているといえる。尚、本件商標を使用した雑誌広告は乙第3号証1乃至6に示されたものに限らず、これら以外にも頻繁に掲載されている。従って、本件出願時及び査定時おいて、本件商標は、本件商標の商標権者の業務にかかる商品を表示するものとして日本国内において周知であったというべきであり、本件商標が申立人の業務にかかる商品を表示するものとして日本において広く知られていたと認定した取消理由通知は誤りである。
次に、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当すると判断されるためには、本件商標の出願時及び査定時において、本件商標が「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するもの」であることが必要である。
申立人は、異議申立理由において本件商標の出願が申立人との間において結ばれていた商品の継続的供給契約が解除された1999年春直後にされたものであると主張する。そして、その証拠として甲第5号証の1乃至3のインボイスを提出し、甲第5号証の3のインボイスの日付である1999年5月17日以降は申立人と本件商標の商標権者との間に一切商取引が存在しないかのごとく主張し、それ以降のインボイスを提出していない。しかしながら、実際は、乙第4号証の1乃至3のインボイスが示すように、1999年5月17日以降も申立人と本件商標の商標権者との間には商取引が存在し、本件商標の商標権者は、本件出願日(1999年6月16日)以降も申立人から継続的に商品の供給を受けている。即ち、本件出願日(1999年6月16日)には、本件継続的供給契約は解除されていなかったのである。従って、本件出願時において申立人と本件商標の商標権者との間の継続的供給契約は解除されていたとの申立人の主張は誤りである。申立人の主張のとおり1999年の春に契約の解除がなされていたのならば乙第4号証の1乃至3のインボイスは存在しないはずである。また、本件査定時においても、本件継続的供給契約は終了していない。即ち、本件のような継続的供給契約関係の下では、仮に一方的解約を許容する約定がある場合でも、信義則上著しい事情の変更や取引関係を継続しがたい甚だしい不信行為の存在等やむを得ない事由がない限り、一方的解約・解除は許されない(東京地裁平成5年9月27日判決(乙第5号証の1)及び東京高裁平成6年9月14日判決(乙第5号証の2)。これは、供給契約が「継続的」であるが故に寄せられる両当事者の期待を一方的な意思表示により否定することを制限する趣旨に基づく契約理論である。本件においては、そもそも一方的解約・解除を許容する約定は存在せず、また、上記のようなやむを得ない事由も認められない。申立人は、本件継続的供給契約を解約・解除できるような立場になかったのであり、現在もその状態に変更はない。本件商標の商標権者は、申立人からの解約・解除の意思表示の存在そのものを否定するものであるが上記のようなやむを得ない事情が存在しない以上、仮にその趣旨の意思表示が存在したとしても、かかる意思表示はその法的効果を発生させるものではなく、本件継続的供給契約は有効に存在しているのである。このように、本件継続的供給契約が終了していることを示す事実が認められない一方で、前記の通り、申立人から本件商標の商標権者に対しては継続的に商品の供給がなされており、更に、乙第6号証に示すように本件商標の出願日以後も本件商標の商標権者は申立人から商品の取引に関するFAXを受領している、というような継続的供給契約の存在を示す事実が認められるのである。従って、本件出願時及び査定時において、申立人と本件商標の商標権者との間の継続的供給契約は終了しておらず、契約解除を行ったとする申立人の主張は誤りである。
また、申立人は、申立人の許諾を得ずして行われた本件商標の出願及び登録は、申立人が契約を解除したことに対する報復措置であるから本件商標権者の行為は、引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、不正に利益を得る目的でされたものであると主張している。しかしながら、前記のとおり、申立人と本件商標の商標権者との間の契約は解除されておらず、契約が解除されたとする主張がそもそも誤っている。しかも、本件商標の商標権者が本件商標を出願し、登録した理由は報復措置などではなく、申立人との継続的供給契約の下で、本件商標の商標権者が日本において「サッコ」商品を第三者の商標権を侵害することなく適法に販売するための当然の措置である。
尚、本件出願後には、本件商標の商標権者は自己が日本において宣伝や販売を行っているイタリア家具を第三者の商標権を侵害することなく適法に販売等する目的のため、それらの家具のメーカーの名前である「Tisettanta/ティッセタンタ」や「HALIFAX」という商標を出願しており(乙第7号証)、上記のような目的をもって出願を行ったのはなにも本件商標に限られたものではない。従って、本件商標の商標権者の出願が、契約を解除したことに対する報復措置であるから引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、不正に利益を得る目的でされたものであるとする申立人の主張は荒唐無稽であり、そのような主張に基づき本件商標が不正の目的もって使用するものであると認定した取消理由通知は誤りである。
以上より、本件出願時及び査定時において、本件商標は「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するもの」ではないのは明らかである。そして、特筆すべきことは申立人と本件商標の商標権者との間の継続的供給契約が正式に解約又は解除された時には、本件商標の商標権者は、本件商標の登録を申立人に移転する意思を有していることである。このことから将来においても本件商標の商標権者が本件商標の登録を盾に申立人に継続的供給契約を強制的に継続することを要求するものではなく、本件商標は「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するもの」には該当しない。

5 当審の判断
申立人提出の甲第3号証の1乃至7号証によれば、申立人「ザノッタ ソシエタ ペル アチオニ」は、1954年にイタリアにおいて「革製椅子、革製クッション」等、主に革製家具を製造・販売する会社として設立されたものであるが、近年、イタリア国内の家具の展示会において金賞を受賞していることを窺い知ることができる。また、申立人の家具の年次別販売実績(甲第6号証)、商標権者の提出しているインボイス(乙第5号証)等を見るに、申立人の業務に係る商標「SACCO」は、本件商標の出願・登録時に、上記会社の業務に係る商品を表示するものとして、イタリアのみならず我が国の取引者、需要者間にも広く認識されていたものであることが推認される。
ところで、我が国には、輸入総代理店である商標権者を通じて申立人の「SACCO」の商標が付された「クッション」が輸入されているが、商標権者が「SACCO」なる商品を我が国で販売するにあたっては、雑誌の宣伝広告に、該商品が「ザノッタ」(社)(イタリア)の商品である旨の記載をしているところである(商標権者提出の乙第3号証の1乃至5号証の雑誌の広告)。
一方、イタリアの製造販売側の当事者である申立人が、本件商標権者との日本における輸入販売代理店契約を解除した旨を主張している以上、本件商標登録出願は、申立人の許諾を得ずして行われているものと判断するのが相当である。
そして、上記甲各号証、乙第5号証及び本件商標の登録出願が両者の代理店契約の解除された1999年5月17日直後の6月16日であった等の事情を総合勘案すれば、かって輸入販売代理店の地位にあった商標権者が、イタリアにおいて申立人の業務に係る商品「クッション」を表示するものとして著名な申立人の商標「SACCO」と類似する本件商標を、本人(申立人)の承諾なしに取得することは、不正に利益を得る目的をもって使用するものと言い得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-03-13 
出願番号 商願平11-52752 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Z20)
T 1 651・ 271- Z (Z20)
最終処分 取消  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 小池 隆
為谷 博
登録日 2000-02-04 
登録番号 商標登録第4358284号(T4358284) 
権利者 株式会社ノバオーシマ
商標の称呼 サッコ 
代理人 垣内 勇 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 澤木 誠一 
代理人 神田 正紀 
代理人 吉田 隆志 
代理人 澤木 紀一 
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