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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 037
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 037
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 037
管理番号 1068089 
審判番号 審判1998-35039 
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-01-23 
確定日 2000-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3330898号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1本件商標
本件登録第3330898号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第37類「衛生害虫・建造物害虫・食品害虫・貯穀害虫・衣類害虫・不快害虫類の駆除及び予防施行,害獣・バードコントロールの予防施行,病原菌・一般殺菌の消毒及び防カビ施工,ガスくん蒸施工,床下換気扇取付工事,家屋の改築・増築・補修」を指定役務として、平成4年9月2日登録出願、同9年7月11日に設定登録されたものである。
2請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、無効とすべきものする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第126号証を提出した。
(1)請求人会社は、全国的に多数の支社、営業所、出張所及び工場を有するほか、海外の多数の有数企業と技術提携をしている、わが国有数の製薬を主業務とする一流大企業である(甲第3号証ないし甲第6号証)。
(2)請求人は、別紙に示すとおりの構成よりなる登録第248571号、同第647377号及び同第647378号商標(以下、総称して「引用商標」という。)の商標権者であり、これらの引用商標は、すべての商品の区分において、防護標章の登録及びその存続期間の更新登録もなされている(甲第7号証ないし甲第11号証)。
上記引用商標は、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するものとして、取引者、需要者の間において、古くより広く認識されていること明らかである。
(3)請求人は、製薬業を主たる業務としているところ、昭和35年頃より、薬剤メーカー自体が最初に害虫の防除施工管理業務を始めたことで、業界において注目を浴び、その後、永年の間、継続して、「アメニケアサービス」と称して、盛大かつ広範囲に亙って、引用商標を使用すると同時に、請求人の提出に係る「アメニケアサービス広告掲載実績」に示すとおり、1991年から1994年にかけて、新聞広告において、「有害動物の駆除」という単一役務について、年間3,000万円以上もの巨額を費やしている如く、活発なる宣伝広告活動と相俟って、有害動物の防除に関する役務の商標として、取引業者、需要者の間において、極めて広く認識されるに至った周知著名な商標である(甲第16号証及び甲第17号証)。
(4)本件商標は、「三共消毒」の漢字を左横書きしてなるものであるところ、「消毒」の文字は、「蒸気、薬物などにより、病原菌を殺し感染を防止すること」の意味を有する語で、一般世人に極めて親しまれているばかりでなく、普通に使用されている語であり、本件商標の自他役務を識別するための識別力を有しない部分であるといわなければならず、本件商標における自他役務を識別するための機能を果す最も重要な部分、所謂、商標の要部は、「三共」の文字部分にあるというを相当とするところであるから、これより、単に「サンキョウ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
(5)一方、請求人の所有に係る引用商標は、それぞれの構成上、これらよりは、いずれも「サンキョウ」(三共)の称呼(観念)を生ずること明らかであるばかりでなく、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、極めて周知、著名なものであるから、本件商標をその指定役務について使用をするときは、その役務が、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、誤認、混同を生じさせるおそれのある商標であるといわなければならない。
(6)さらに、請求人の名称は、「三共株式会社」であるところ、「株式会社」は法人の種類を表示する部分であって、自他名称を識別するための主たる重要な部分は、「三共」の文字部分にあり、これが、請求人の名称を表示するための実質的な部分であって、請求人は、「三共」(サンキョウ)とのみ略称されて、取引者、需要者の間において、極めて広く認識され、著名なものであることは顕著なる事実である。
一方、本件商標は、請求人の名称の略称として著名な「三共」の文字を含んでいるにも拘わらず、本件商標は、その登録について、請求人の承諾を得ている事実はないものである。
(7)請求人は、上記主張理由の正当性を立証すべく、著名商標(名称)を保護すべき旨の判決例を次に挙げて、請求人は、これを自己の主張理由に有利に援用することとする。▲1▼平成4年(ワ)第22500号(平成5年9月24日判決言渡)▲2▼平成4年(ワ)第906号(平成4年10月29日判決)▲3▼昭和35年(行ケ)第126号(昭和55年2月19日判決)▲4▼昭和63年(ネ)第1527号(平成2年1月25日判決)▲5▼平成2年(ワ)第5143号(平成3年10月30日判決)▲6▼昭和39年(ネ)第661号、第667号(昭和41年4月5日判決)▲7▼昭和45年(ワ)第6465号(昭和46年6月28日判決)▲8▼昭和38年(ワ)第1415号(昭和41年8月30日判決)の判決例。
(8))また、請求人の所有に係る登録第248571号商標を原商標登録とする防護標章が、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類及び第42類に、それぞれ登録されている事実がある(甲第8号証及び甲第26号証ないし甲第33号証)。このことは、請求人は、製薬業務を主とする多角経営の法人会社であって、該登録商標を上記の各類に属する役務について、第三者が使用をするときは、その役務が、請求人の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所につき、誤認、混同を生じさせるおそれが充分にあるという証左に外ならない。
(9)請求人は、ここに、請求人自身が、自己の業務の取引者若しくは依頼者(需要者)に対して行ったアンケート調査表(88通)を証拠方法として提出する(甲第39号証ないし甲第126号証)。
これらに徴するも、本件商標が、その指定役務について、使用された場合には、一般の取引者、依頼者(需要者)は、請求人又は請求人の関係会社が、その役務を行っているかの如く、誤認混同を生ずるおそれがあること明らかである。
(10)してみれば、本件商標は、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている請求人の所有に係る引用商標と称呼において、彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならないので、これをその指定役務について使用をするときには、その役務と請求人の業務に係る役務との間において、役務の誤認、混同を生ずるおそれのある商標であり、かつ、請求人の名称の著名な略称を含んでいる商標であるにも拘わらず、その登録について、請求人の承諾を得ていないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。
4被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、乙第1号証ないし乙第232号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標及び本件商標と称呼を同じくする他の3件の商標権の審査段階にそれぞれ異議申立てをしたが、「本件商標と引用商標とは何等類似するところのない別異の商標であり、これをその指定役務に使用しても、引用商標を想起ないしは連想させるものとは認め難いから、役務の出所について混同を生ずるおそれはなく、また、申立人(請求人)の略称を含んでなるものともいい得ない。」と判断されている。
また、本件商標と引用商標とを全く同じくし、第42類「樹木・森林の害虫駆除及び予防施工」を指定役務とする他の4件の商標権の審査段階にそれぞれ異議申立てをしたが、「申立人(請求人)の「三共」が申立人(請求人)の名称の略称として著名であるともいい難く、本件商標と引用商標とはその外観、称呼及び観念上のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない全く非類似の商標である。」と判断されている。
さらに、請求人は、上記第42類の商標権に対する商標登録無効審判を請求したが、「本件商標と各引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれの点においても区別できる差異を有する非類似の商標であり、商標法第4条第1項第10号に違反せず、また、本件商標をその指定役務について使用しても役務の出所について混同を生ずるおそれはなく、本件商標に接する取引者・需要者が構成中の「三共」の文字部分から直ちに請求人を想起又は連想するものとはいい難く、本件商標は他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできないから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第8号に違反してなされたものということができない。」と判断されている。
よって、本件も前記事案とはほぼ同一の事案であり、同様の判断がなされてしかるべきである(乙第1号証ないし乙第12号証)。
(2)本件商標は「三共消毒」という漢字4文字を、同一書体、同一大、同一間隔、同一色彩にて軽重の差なく、一体不可分に連綴して成るものであり、これより「消毒」の文字を捨象して称呼、観念すべき格別の理由は全く存しない。すなわち、「消毒」の文字からは本件指定役務との関係において、直ちに役務を示すものとして理解され、分離観察されなければならない必然性が見出せないからである。
したがって、本件商標からは、一体不可分に「サンキョウショウドク」と淀みなく称呼、観念されるのが自然である。
(3)被請求人は、大正14年に衛生動物、衛生害虫等の駆除、予防の専門業者として創業し、昭和41年に三共消毒社として発足すると共に「三共消毒」の名称の下に、現在まで盛大に広告宣伝活動をして継続使用してきたものである(乙第13号証及び乙第14号証ないし乙第221号証)。ちなみに被請求人の広告宣伝費は、厖大な額となっていることが明白である(乙第222号証)。
したがって、今や本件商標は業務内容の優秀性と相俟って、一般世人においては、「三共消毒」の一体不可分のものとして、広く親しまれて定着しているものであって、充分業務上の信用が確立されているものである。
それ故、本件商標に接した需要者、取引者は、むしろシロアリ等の防除、駆除として有名な被請求人である「株式会社三共消毒」の使用商標として認識し、理解するものであって、本件商標からは「サンキョウショウドク」の称呼以外の称呼は生じないとするのが相当であり、たとえ請求人と同様の「三共」の文字が含まれているからといって、請求人の企業を直感することはあり得ないものである。
したがって、前記請求人の主張はその観察方法において、本件商標に永年培われた取引の実情を無視したものであって、余りに機械的、形式的、画一的であり、当を失するものと言わざるを得ない。
(4)仮りに万歩譲って、請求人の引用商標が、製薬会社の目印として周知性があるとしても、本件商標の指定役務との関係において、本件商標の使用が、果して引用商標の人格権を毀損すると客観的に認められる程の違法性があるか否か極めて疑問である。
すなわち、請求人の提出する甲第6号証をみても、「三共」及び「三共」の文字を含む他人の会社名が存在しているものであり、被請求人の調査したところによれば、全国に「三共」の文字を含む会社名は多数存在していることが判明している。そこで、被請求人の主張を裏付けるべく、乙第223号証を提出するが、当該証拠からも明らかなとおり、「三共」の文字をその法人名として採択している者は数多く存在し、「三共」の文字自体には同法条による保護を必要とするだけの稀少性はないと考えるのが相当である。加えて、「三共」の文字は、被請求人自らも「南京虫・家ダニの駆除」について昭和17年の時点において既に使用している名称であり、これからも明らかなように、人格権の段損がなされる程の稀少性が「三共」の文字に有しないとするのが相当である。
(5)請求人は、「1991年から1994年にかけて、新聞、雑誌等への広告掲載が「有害動物の駆除』という単一役務について、年間3,000万円以上もの巨額を費やしている……極めて広く認識されるに至った周知著名な商標である……」と主張するが、むしろ被請求人は、上記役務について請求人以上の厖大な広告宣伝費をかけているものである(乙第222号証)。ちなみに、請求人の主張する年度における被請求人の広告宣伝費をみると、被請求人のそれは請求人よりも2倍ないし3倍以上となっているものであり、如何に被請求人が本件商標を代表的出所標識として重要視しているものであることが理解し得る。
(6)乙第225号証ないし乙第232号証は、本件商標が昭和41年以来継続して使用された結果、被請求人の使用する商標として広く知られた著名商標となっていること、並びに、本件商標がその指定役務について使用されても、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれはないことを立証するものである。
すなわち、本件商標も永年にわたる企業努力により独自の著名性が確立されており、何ら一般世人にあっても、あえて本件商標から「三共」の文字を抽出し、請求人の名称を認識することは何らあり得ないものである。
(7)請求人は、甲第3号証ないし甲第126号証を提出し、請求人が引用する商標の著名性を立証している。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、商標構成資料の一部において共通する文字は存在するも、前述した如くそもそも全く別異の非類似の商標として、それぞれの商標使用者によって永年の間明確に区別され、使用されてきたものであって、両商標の間には何ら出所の混同を生じる余地は全くないものである。
5当審の判断
請求人の提出した甲各号証に徴すれば、請求人が、わが国において著名な製薬会社であること、また、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するものとして、取引者、需要者間において、広く認識されていることは認め得るものである。
一方、被請求人の提出した乙各号証に徴すれば、被請求人は、昭和32年「三共社」を設立、その後、「有限会社三共消毒」に名称変更、さらに、昭和44年に「株式会社三共消毒」と名称変更し、現在に至っていることが認められる。そして被請求人は、「三共消毒」の文字を使用し、昭和49年頃より「白アリ、南京虫・家ダニの駆除」等の業務を行い、これに関する宣伝広告を継続して各新聞に掲載していることが認められる。
また、被請求人の提出した「帝国データバンク:企業情報リスト(乙第223号証)」によれば、全国に「三共」の文字を含む会社が、少なくとも数千社存在することが認められる。
そこで、本件商標をみるに、本件商標は、「三共消毒」の文字よりなるところ、「消毒」の文字が、「病原菌を殺し感染を防止すること。」の意味を有するとしても、該文字は、同じ書体、同じ色彩で、まとまりよく一体に構成されているばかりでなく、被請求人が「三共消毒」の文字を使用し宣伝広告していること、「三共」の文字を含む会社が多数存在する前記の事実を考慮すれば、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、理解されるものとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応し「サンキョウショウドク」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、「三共」、「SNKYO」の文字に相応して、「サンキョウ」の称呼を生ずるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
以上を総合勘案すると、例え、引用商標が取引者、需要者間に広く認識されているものであるとしても、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、請求人又は引用商標を想起するようなことはなく、請求人の著名な略称を表したものと認識、理解するとはいえず、また、該役務が請求人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
なお、請求人の提出に係るアンケート(甲第39号証ないし甲第126号証)は、全体で何通の用紙がどのようなの下に配布されたか、全体の回答率はどの程度か、「はい」と回答した者の比率はどの程度か等が定かではなく、その全体像が必ずしも明らかでないので、このアンケートに基づく請求人の主張は、これを採用することができない。
さらに、請求人は判決例を挙げ述べているが、該判決例は、本件とは事案を異にし、本件の判断に必ずしも影響を及ぼすものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、及び同第15号に違反してなされたものということができないから、同法第46条第1項第1号により無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審理終結日 1999-08-13 
結審通知日 1999-08-27 
審決日 1999-09-07 
出願番号 商願平4-168792 
審決分類 T 1 11・ 23- Y (037)
T 1 11・ 271- Y (037)
T 1 11・ 25- Y (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 昭夫原 隆 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 茂木 静代
小林 薫
登録日 1997-07-11 
登録番号 商標登録第3330898号(T3330898) 
商標の称呼 1=サンキョーショードク 2=サンキョー 
代理人 飯島 紳行 
代理人 浅村 肇 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 浅村 皓 
代理人 高梨 範夫 
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