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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1068032 
審判番号 取消2000-30283 
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-03-10 
確定日 2002-11-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第2107508号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2107508号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、昭和56年11月14日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊衣服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成元年1月23日に設定登録され、その後、同10年9月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標は、その指定商品中「被服(運動用特殊被服を除く)」の登録はこれを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、「被服(運動用特殊被服を除く)」について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において使用した事実がない。
したがって、本件は商標法第50条第1項の要件を充足し、本件商標の登録は、取消されるべきである。
(2)第1答弁に対する弁駁
(イ)被請求人がアバークロンビー アンドフィッチ インク(以下「フィッチ社」という。)と結んだ商標保護契約(乙第1号証)の前文に、第1条でいうマークとは、添付書Aに規定するマークと同一のマークをいう旨が定められていると記載しているが、上記商標保護契約と同時に提出された被請求人の翻訳文を見ると前文には、その様な旨の記載はない。またこの添付書Aを見ると14件の商標が記載されているが、これらの商標には何れもその横に米国における登録番号又は、出願番号が記載されており、商標としては特定及び限定されたものである。
よって、この被請求人の主張は根拠の無いもので、被請求人に拠り拡大された解釈である。それ故、被請求人から上記フィッチ社への本件商標の使用許諾があったとは認められない。
(ロ)またカタログ「A&F Quarterly」において、本件商標を使用していると主張しているが、このカタログのどこをもって本件商標の使用を主張されるのか具体的な記載がなく、不明である。また上記カタログを日本の消費者に、1999年度175,606冊、2000年度92,487冊販売したと主張しているが、いつ、どのように販売したのか説明はなく、またこれらの具体的な証拠の提出もない。
次に、このカタログに基づく商品を販売したとして、1999年度及び2000年度の売上額を示し、当該商品に本件商標が付されていることは、「ティーシャツ等のシャツ類にあっては背裏に、ズボンにあっては尻ポケット等に、本件商標付されている。」と主張している。しかし、上記カタログによる商品の売上が上記売上額であること、即ち上記カタログによる商品の売上が上記売上額に至った具体的な説明が無く、またそのことを客観的に明らかにする証拠の提出はない。
また乙第5号証として日本における購入者のリストを提出しているが、このリストは、被請求人が作成した書類であって、客観的かつ具体的に販売の事実を示したものではない。
(ハ)この様に被請求人の主張は、概略的又は大雑把なもので、本件商標の使用を具体的に明らかにしたものではない。不使用取消審判においては、登録商標の個別具体的な使用を明らかにする必要があり、被請求人が本件商標を付した被服の販売をもって、本件商標の使用を主張するのであるならば、当該販売の事実を客観的かつ具体的に記録した伝票類の提出があってしかるべきものと思われる。しかし、これらの提出がないということは、本件商標を使用していないものと思われる。
(3)第2答弁に対する弁駁
(イ)被請求人は、購入者リスト(乙第5号証)の中の二人が本件商標を付した商品を個人輸入したことにより、本件商標の使用を主張している。
そこで、購入者リスト(乙第5号証)の上記二人の行為を乙号証によってまとめ、被請求人の主張を確認する。
最初に(a)瀬尾氏についてみると、瀬尾氏はフィッチ社のカタログ(乙第15号証)から、購入したい商品を選び、このカタログ(乙第15号証)に綴じ込まれている注文書(乙第16号証)に、それらの商品番号等を記入して注文書(乙第14号証の2)を作成し、ファクスで米国のフイッチ社に送信した。その後米国のフイッチ社から注文確認書(乙第14号証の1)が送られてきた。
次に(b)村田氏についてみると、フイッチ社のカタログ(乙第18号証)に基づいて米国のフイッチ社に注文した。その後米国のフイッチ社から納品書(乙第17号証の1)が送られてきた。またこの時の国際郵便物課税通知(乙第17号証の2)もある(以下、「カタログ、注文書等の証拠番号を省略する場合がある。)
これらのことから、我国において、上記各カタログが配布されていること、及び我国において販売された上記各商品には「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが明らかである。 また注文書や納品書の冒頭における「Abercrombie & Fitch」の表示も本件商標の使用である、というものである。
(ロ)しかし、彼ら二人は、日本でどのようにしてカタログを手に入れたのか具体的な記載がなく、不明である。また被請求人は、カタログを「配布」したと主張し、まるで無償で不特定多数の消費者に配ったような印象を受けるが、そうではなく、平成12年10月23日付被請求人提出の答弁書における乙第4号証に記載されているとおり、年間(4刊)76ドルで注文により販売したものである。
上記二人のうち(a)瀬尾氏の場合、注文書及び注文確認書があるだけで、実際に我国に輸入されたことの証拠はなく、途中で注文をキャンセルした可能性もあり、実際に我国に輸入されたか否かは不明である。さらに(b)村田氏の場合、納品書及び国際郵便物課税通知があるだけで、同通知が同納品書の商品のものであることを特定することはできず、販売された商品のものである否かは確認できない。
また上記二人は、本件商標を付した商品を購入したとは、一言も証明していない。全て被請求人が、これらの二人の状況から、注文確認書、注文書、カタログ、納品書、国際郵便物課税通知などを、被請求人の思惑通りに組合わせて構成したものである。
この様に今回被請求人から提出された乙各号証では、本件商標を付した商品が我国に個人輸入されたことを立証するには何れも不十分で、被請求人が主張される、我国における本件商標の使用は確認できない。
(ハ)次に、これらの個人輸入が仮に立証できたとしても、本件商標の使用とは認められない。即ち、商標法第50条第2項には「日本国内における指定商品についての登録商標の使用」の立証を求めているのであって、ここで商標法上の(指定)商品とは、属地主義を前提として、我国における商品の流通経路に実際にのることが要求される。そうでなければ我国の競業秩序の維持に貢献し得ず、ひいては我国の産業の発達に寄与することができないからである。
ここで確認するフイッチ社の商品は、我国において小売店などでの販売は勿論、宣伝広告もされているものではない。それ故、上記二人は通信販売を利用したものと思われるが、通信販売の場合、商品の比較及び選択は、入手したカタログにおいて行なわれ、商品は消費者に直接送られる。つまりカタログ上で商品の比較選択が行なわれる以上、このカタログ上で商標の機能が発揮されることとなり、通信販売の場合、カタログの入手が我国の一般消費者が行なう日常の商品購入の範囲内にあるか否かが問題となる。
しかし、フィッチ社のカタログについては、この様な範囲内にあるものではなく、我国の消費者が、日常の商品購入行為において、目に触れたり耳に聞こえたりするものではなく、容易に接触し入手できるものではない。
この様に上記二人が商品を購入したとされる形態では、特殊な方法でカタログを入手し、我国の消費者から直接米国の会社に注文し、米国の会社から我国の消費者に直接送付されたもので、我国における商品流通経路を全く通らないもので、我国における競業秩序とは無関係の位置又は経路にあるものである。
よって、この様な状態において、例え本件商標を付した商品を購入したとしても、これらでは、本件商標の使用は認めらない。
また上記二人が購入したとされる数量は、8枚と7枚であり、これらは各自の着用が目的で購入されたもので、第三者に販売する目的ではなく、輸入後、我国における商品流通経路にのるものとも思われない。
よって、被請求人は、我国に本件商標を付した商品の個人輸入をもって、本件商標の使用を立証しようとされているが、これらでは本件商標の使用は立証できるものではない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第5号証、乙第7号証、乙第12号証ないし同第19号証(枝番を含む。また乙第6号証及び同第8号証ないし同第11号証は、他の審判2000年審判30284号事件との共通性を保つため、欠番としている。)を提出した。
(1)第1答弁
(イ)被請求人は、請求外アバークロンビー アンド フィッチ インク(以下、「フィッチ社」という。)に対して、商標保護契約(乙第1号証)に基づいて本件商標を含む被請求人が有する標章の使用を許諾している。なお、請求人は、フィッチ社の商標管理を目的とするフィッチ社の100%子会社である。
この本商標保護契約は、その第1条において、被請求人がフィッチ社に対して、「マーク」を「全世界において使用する」ことを許諾する旨定めているが、この「マーク」とは、添付書Aに規定するマーク(標章)と同一のマーク(標章)をいう旨が定められている(前文)とともに、合衆国以外の地域においても、請求人に対して、登録及び維持の義務が課されている。
したがって、本件商標である「Abercrombie & Fitch」の標章が添付書Aに規定するマーク(標章)と同一である以上、本商標保護契約によるフィッチ社への商標使用許諾は、日本における本件商標を使用を当然含むものである。
(ロ)フィッチ社は、米国ニューヨーク証券取引所に上場するアパレルメーカーであって、その製品は、若者を中心に大人気を博しており(乙第2号証)、日本における購読者に対して、そのカタログ「A&FQuarterly」(例として乙第3号証)を送付しているが、その数は、1999年会計年度(1999年2月乃至2000年1月)において175,606冊、2000年会計年度(2000年2月乃至6月)において、92,487冊に及んでいる。そして、このカタログにおいては、本件商標が使用されている(乙第3号証)。
(ハ)また、この季刊カタログに基づく売上は、1999年会計年度(1999年2月乃至2000年1月)において786,350米ドル、2000年会計年度(2000年2月乃至6月)において345,329米ドルに達している(乙第4号証及び同第5号証)。
そして、この売上にかかる商品には、例えばティーシャツ等のシャツ類にあっては背裏に、また、ズボンにあっては尻ポケット等に、本件商標が付されている(乙第3号証のカタログの写真から明かである)。
(ニ)以上のとおり、請求人の通常使用権者であるフィッチ社が、我国において本件商標を使用しているのであるから、商標法第50条第2項に規定する要件を具備しており、請求人の本件審判請求は成り立たない。
(2)弁駁に対する第2答弁
(イ)商標保護契約(乙第1号証)第1条にいう「マーク」は、米国において登録された登録番号0951410の「ABERCROMBIE & FITCH」の商標(乙第19号証)を含んでいるところ、このマークは、本件商標と同一のものである。この商標保護契約の第1条は、フィッチ社に対して、かかる「マーク」を全世界において使用することを許諾しているのであるから、日本においても、本件商標を使用する旨の許諾を含んでいると解すべきものである。実際にこの商標保護契約の当事者である被請求人もフィッチ社も、そのように解釈しているのである。この点に関する請求人の解釈は、条文の文理に反する上、許諾当事者の意思にも反するものであり、到底採用し得るものではない。
ちなみに、この点については、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第75号審決取消請求事件においても争点となったが、この事件の判決(乙第7号証)は、フィッチ社が被請求人から本件商標の使用を許諾された使用権者である旨を認定しており、この判決は、上告棄却により確定したものである。
請求人の代表者は、上記審決取消請求事件における被告の代表者であるところ、本件における請求人の主張は、同じ争点を蒸し返すものであるにすぎない。
(ロ)さらに請求人は、カタログ「A&F Quarterly(BACK TO SCHOOL ISSUE99)」(乙第3号証)では、本件商標が使用されていないと主張する。しかし、その目次(乙第3号証の2枚目)には、最上段に大きく「Abercrombie & Fitch」と表記されているが、これは、このカタログに載せられている様々な商品を示す目次部分における表記であるから、商標としての使用に該当する。なお、「Abercrombie & Fitch」との表記は、すべて大文字で表記された本件商標「ABERCROMBIE & FITCH」と同一ではないが、両者が社会通念上同一であることは極めて明白である。
さらに、今回提出するカタログ「A&F Quart e rly(BACK TO SCHOOL ISSUE98)」(乙第18号証)は、上記カタログの前年度版であるが、この目次部分の表記についても、同様のことがいえるし、乙第15号証のカタログには、表紙に「Abercromble & Fitch」との表記がなされている。そして、これらのカタログが我国において配布されたことは、後述するところから明らかでる。
したがって、カタログに本件商標が使用されていないとの請求人の主張は、理由がない。
(ハ)さらに、請求人は、カタログ記載の商品と実際の売上との具体的説明がなく、また、乙第5号証の購入者リストは被請求人が作成した書類であって、客観的かつ具体的に販売の事実を立証するものではない旨主張する。
しかし、同第5号証の購入者リストは、約6000件の購入について、購入者の性名、住所、アカウントナンバー、最終購入日、購入回数、最終購入金額、クレジットカード使用の有無等を記載したものであるから、被請求人が作成したものであっても、虚偽の内容を記載することなどあり得ない。
なお、被請求人のカタログ記載の商品と実際の売上とが一致していること、及び上記購入者リストが真正であることを立証するため、被請求人は、このリスト記載の者のうち、購入回数が複数で、最終購入金額が高額となっている者のうち、東京近郊在住者15名を適当に選択して乙第12号証の依頼状を送付した。この依頼状には、回答書及び返信用の封筒を同封した。
このうち、回答書が返送されてきたのは6名(乙第13号証の1ないし6)であった(1名は転居先不明でそのまま返送された)。
そして、この6名のうち、被請求人代理人が依頼した書類が同封されていたのは3名であったが、うち1名は、本件審判請求日以降の書類であったため、他の2名から送付されてきた書類を次のとおり証拠として提出する。
(a)瀬尾氏分(乙第14号証の1及び2)
(なお、乙第5号証の購入者リストは、アカウントナンバー(ACCT#)の順に列記されているところ瀬尾氏は169384である。)
乙第14号証の1は、Abercromble & Fitch inc.(フィッチ社)の注文確認書であって、乙第14号証の2の注文書が添付されている。また、この注文書には顧客名の記載とあわせて瀬尾氏のアカウントナンバー(顧客ナンバー)CUST#「169384」が印字されている。
しかして、この注文書は、瀬尾氏が1999年12月5日にファックスでフィッチ社に送付したものであって、カタログに綴じ込まれたフォーム(乙第16号証)を使用し、瀬尾氏は、これと同じフオームを用いてファックスで注文した。
また、カタログとは、乙第15号証のものである。そして、上記注文書に記載されている瀬尾氏注文にかかる商品と、このカタログとの関係を示すと、次のとおりとなる。
まず、乙第14号証の2の注文書における注文商品を列記した部分を見ると、その1段目には、PAGE N0(ページ番号)の欄に「75」、IEM NUMBER(商品番号)の欄に「QI98」、COLOR(色)の欄に「C」、SIZE OR WAIST(サイズまたはウエスト)の欄に「S」、HOW MANY(数量)の欄に「1」、DESCRIPTION(商品名)の欄に「TECH TURTLNECK」、PRICE EACH(価格)の欄に「$79.50」の各記載がある。
これを、乙第15号証のカタログでみると、75頁には、TECH TURTLNECKの商品写真が4点掲載されているとともに、同頁の下部には、TECH TURTLNECKの商品名、QI98の商品番号、Aレッド、Bネイビー、Cグレー、Dナチュラルの色、素材や性状等の表示、女性用S、M、Lのサイズ、$79.50の各記載がなされており、瀬尾氏は、グレーでSサイズのこの商品を購入したことが判明する。このように、この注文書の記載は、カタログの記載と対応している。
なお、この商品の写真では、「Abercromble& Fitch」の標章を付した襟首のラベルは写っていない。
しかし、同様に、この注文書における注文商品を列記した部分の6段目を見ると、PAGE N0(ページ番号)の欄に「104」、ITEM NUMBER(商品番号)の欄に「Q218」、COLOR(色)の欄に「A」、SIZE OR WAIST(サイズまたはウエスト)の欄に「XL」、HOWMANY(数量)の欄に「1」、DESCRIPTION(商品名)の欄に「TICONDEROGA PLAID」、PRICE EACH(価格)の欄に「$49.50」の各記載がある。
これを、乙第15号証のカタログで見ると、104頁には、TICONDEROGA PLAIDの商品写真が6点掲載されているとともに、同頁下部に、TICONDEROGA PLAIDの商品名、Q218の商品番号、Aオリーブ、Bネイビー、Cブルガンディ、Dグリーン、Eブルー、Fレッドの色、素材や性状等の表示、S、M、L、XLのサイズ、$49.50の各記載がなされており、瀬尾氏は、オリーブ色でXLサイズのこの商品を購入したことが判明する。
このように、この注文の記載も、カタログの記載と対応している。
そして、この商品の写真では、「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが認識できる。
この注文書おける注文商品を列記した部分の7段目(最下段)の商品「ABERCROMBIE ATHLETIC CREW」においても、上記と同様に乙第15号証のカタログの118頁に掲載されているところ、このカタログの商品写真から、「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが認識できる。
(b)村田氏分(乙第17号証の1及び2)
(なお、乙第5号証の購入者リストで村田氏のアカウントナンバー(ACCT#)は、136107である。)
乙第17号証の1は、村田氏が購入した商品に同封されていた1998年8月10日付納品書であり、乙第17号証の2は、この商品の国際郵便物課税通知である。
この商品は、上記納品書のCAT.NBR(カタログにおける商品番号)から判明するところによれば、乙第18号証のカタログに基づいて村田氏が注文したものである。
すなわち、この納品書における商品のうち、1段目には、CAT.NBR(カタログにおける商品番号)の欄に「E167」、QTY(数量)の欄に「1」、SIZE COLOR(サイズ 色)の欄に「34×32 MEDIUM」、DESCR1PTION(商品名)の欄に「LOOSE FIT JEAN MED STONEWASH」、UNIT PRISE(単価)の欄に「39.50」、TOTAL(合計)の欄に「39.50」の記載がある(STATUS及びITEM NO.の各欄は、フィッチ社の社内使用コードにつき省略する)。
そして、乙第18号証のカタログの126頁には、BOOT FITのジーンズの商品写真及びAないしFの色の見本写真が掲載され、同頁下部には、順次、BOOT FIT、CLASSIC FIT、LOOSE FIT、WIDE FIT、及びBAGGY FITの各タイプのジーンズの表示があり、LOOSE FITの段を見ると、LOOSE FITのジーンズには、C、D、Eの3色があることが分かる。そして、EのMediumStonewashの商品番号には、E167と記載されており、価格は、$39.50と記載されている(ちなみに、LOOSE FITのDは、Eと同価格であるが、Cは$49.50と記載されている)。
このように、村田氏は、34×32サイズ(ズボンやジーンズのサイズは、注文書とともにカタログに綴じ込まれた一覧表による。乙第16参照)のMedium Stonewash色のLOOSE FITのジーンズを購入したことが判明する。
この商品写真では、ジーンズに添付されたラベルの記載が識別できないが、上記納品書における商品のうち、2段目のCAT.NBR(カタログにおけ商品番号)「E147」の商品「FORAKER CHAMBRAY」は、乙第18号証のカタログ118頁に掲載されているところ、このカタログの商品写真においては、「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが認識できる。上記納品書における商品のうち、3段目のCAT.NBR(カタログにおける商品番号)「E133」の商品「RICKSECKER CHAMBRAY」も、上記カタログの41頁に掲載されているところ、この商品写真からも、「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが認識できる。同じく4段目のCAT.NBR(カタログにおける商品番号)「E191」の商品「MSCOT TEE」も、上記カタログ42頁に掲載されているところ、この商品写真(Bの商品写真)においても同様である。
(ニ)以上の事実から、我国において、上記各カタログが配布されていること、及び我国において販売された上記各商品には「Abercrombie & Fitch」の標章を付したラベルが襟首に添付されていることが明らかである。そして、「Abercrombie & Fitch」の標章と「ABERCROMBIE& FITCH」の標章は社会通念上同一であるから、「Abercrombie & Fitch」の標章を付したこれらの商品を販売することは、商品に標章を付したものを譲渡する行為として、本件標の使用に該当する。
また、注文書(乙第14号証の2)や納品書(乙第17号証の1)の冒頭における「Abercrombie & Fitch」の表示も、フィッチ社の社名が「Abercrombie & Fitch,Inc.」であるため、社名の表示を兼ねてはいるが、「Abercrombie & Fitch,Inc.」ではなく、「Abercrombie & Fitch」と表示していることからすれば、これらは、商品の取引書類に標章を付する行為として、本件商標の使用と認められるべきである。

4 当審の判断
被請求人の提出の商標保護契約書(乙第1号証)によれば、被請求人は、1995年(平成7年)4月1日にフィッチ社との間で商標保護契約を締結し、同社に対し「ABERCROMBIE & FITCH」標章の全世界における使用権を付与したことが認められる。
したがって、フィッチ社は、被請求人から本件商標の使用を許諾された使用権者であって、本件商標に関する通常使用権者ということができる。
なお、このことは、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第75号審決取消請求事件においてその旨判示しているところである。
そして、1999年(平成11年)11月27日付け夕刊読売新聞における「アバークロンビー アンド フイツチ」ブランドの紹介記事(乙第2号2証)、商品カタログ(乙第3号証)、季刊カタログの売上宣誓書(乙第4号証)、購入者リスト(乙第5号証)、購入者への依頼状(乙第12号証)、購入回答書(乙第13号証)、商品番号等を記入した注文書(乙第14号証の2)、米国のフイッチ社から注文確認書(乙第14号証の1)、フィッチ社のカタログ(乙第15号証及び同第18号証)、同カタログに綴じられている注文書(乙第16号証)、米国のフイッチ社からの納品書(乙第17号証の1)、国際郵便物課税通知(乙第17号証の2)を総合すれば、日本における消費者二人(瀬尾氏、村田氏)は、被服についての「Abercrombie & Fitch」ブランドに関する商品カタログを入手し、これにより「Abercrombie & Fitch」の標章が付された商品「被服」を、1998年8月10日及び1999年12月5日に、フィッチ社に対しファックスにより注文し、これを受けてフィッチ社は、注文確認書を発し、次いで商品を納品し、通信販売の取引がなされたことを認めることができる。また、購入者リスト(乙第5号証)に記載された約6000件の購入についても、同リストには氏名、住所、アカウントナンバー、最終購入日、購入回数、最終購入金額、クレジットカード使用の有無等を記載事項からして、前記二人の消費者と同様に通信販売の商品取引がなされたことが推認できる。
そうすると、二人の消費者の購入数量はともかく、商品カタログにより被服が我が国に輸入、購入され、そこでは「Abercrombie & Fitch」標章が使用され、それが機能し商品取引がなされたものである。
また、同カタログの使用標章「Abercrombie & Fitch」と本件商標は社会通念上同一のものと認められる。
請求人は、上記二人が商品を購入したとされる形態では、特殊な方法でカタログを入手し、我国の消費者から直接米国の会社に注文し、米国の会社から我国の消費者に直接送付されたもので、我国における商品流通経路を全く通らないもので、我国における競業秩序とは無関係の位置又は経路にあるものであるから、本件商標の使用ではないと主張するが、商品カタログにより商取引が行われ、商標が機能したこと前記のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る商品「被服(運動用特殊衣服を除く)」に使用していたものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第50条により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

審理終結日 2002-02-18 
結審通知日 2002-02-21 
審決日 2002-03-05 
出願番号 商願昭56-94530 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川津 義人信太 明夫須藤 晟二郎鈴木 幸一 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1989-01-23 
登録番号 商標登録第2107508号(T2107508) 
商標の称呼 アバークロンビーアンドフィッチ、アバークロンビー、フィッチ、アベルクロンビーアンドフィッチ、アバークロンビーフィッチ、アベルクロンビーフィッチ 
代理人 松浦 康治 
代理人 藤沢 則昭 
代理人 浅村 皓 
代理人 斎藤 三義 
代理人 藤沢 正則 
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