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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消200530788 審決 商標
審判199830905 審決 商標
審判199831328 審決 商標
取消200230989 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商53条の2正当な権利者以外の代理人又は代表者による登録の取消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 010
管理番号 1067786 
審判番号 取消2002-30391 
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-04-09 
確定日 2002-10-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4088089号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4088089号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4088089号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成8年3月29日登録出願、第10類「吸入器,酸素呼吸器,酸素発生器」を指定商品として、同9年12月5日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「商標法第53条の2の規定により、本件商標の登録を取り消す。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)本件商標の出願・登録の経緯
本件商標は、甲第1号証に示すように、ローマ字で横書きされ、やや図案化された「AIRSEP」なる文字からなる商標であり、パリ条約の加盟国であるアメリカ合衆国において商標に関する権利(商標権)を有する者である請求人エアセップ コーポレーションの当該権利に係る商標又はこれに類似する商標について当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品として、正当な理由がないのに、請求人の承諾を得ないで、請求人の代理人である者又は本件商標の出願の日前1年以内に代理人であった者である被請求人今井正幸により、平成8年3月29日付で出願され、平成9年12月5日付で登録されたものである。
このように、本件商標は、パリ条約第6条の7の規定の趣旨に反して、不公正に取得された商標権であり、加えて請求人の承諾を得た正当な日本国の商標登録出願人である株式会社菊池製作所の同一商標に係る商標登録出願(商願平10-78900)が本件商標の存在により拒絶査定されたことは、極めて遺憾であり、本件商標は当然に取り消されるべきものである。
(2)請求人適格
請求人エアセップ コーポレーション(以下「エアセップ社」という。)は、甲第2号証のとおり、次の商標についての米国商標権者である。
米国商標登録第1811997号
「AIRSEP」(文字図形)
指定商品
医学用の、空気をその構成要素に分けるための空気分離器
産業用の、空気をその構成要素に分けるための空気分離器
出願日 1991年 2月22日
登録日 1993年12月21日
また請求人は、上記のとおり日本国において上記米国商標権に係る商標と同一の商標「AIRSEP」を使用すること及び商標登録を受けることについて承諾を与えた正当な商標登録出願人である株式会社菊池製作所(以下「菊池製作所」という。)の商標登録出願が被請求人の先願登録商標の存在により拒絶査定されたのであるから、本件商標を取り消すことについて重大な利害関係を有するものである。
また請求人は、甲第3号証に示すように、米国において酸素濃縮器を製造販売しており、その使用説明書に本件商標と同一の商標「AIRSEP」を使用していることが明瞭に示されている。
以上により、請求人は十分に本件審判の請求人適格を有するものである。
(3)本件商標の取消対象商標及び商標権者適格
本件商標は、甲第1号証に示すとおりであり、商標「AIRSEP」(やや図案化した文字商標)も請求人の米国登録商標とほとんど同一であり、指定商品も同一のものを含んでおり、商標法第53条の2の取消要件を満たしている。
被請求人今井正幸は、甲第4号証及び甲第5号証に示すように、平成2年(1990年)に株式会社アクトメディテックを設立し、代表取締役に就任した。
平成6年(1994年)には、この会社を株式会社メディテック・インターナショナル(以下「メディテック社」という。)に社名変更した。
メディテック社(株式会社菊池製作所(八王子市台町)に同居)は、酸素濃縮器「OXYCON(オキシコン)」の輸入元となった。
菊池製作所は、平成6年(1994年)5月1日に被請求人の会社であるメディテック社と基本契約を結び、この会社から酸素濃縮器「OXYCON」を購入し、株式会社謙友社(以下「謙友社」という。)を通じて販売していた。
しかし、平成7年(1995年)末になると、菊池製作所が「OXYCON」の販売元となった。
ちょうどこの頃、平成7年(1995年)には、被請求人は謙友社から菊池製作所に転居し、菊池製作所といわば一体的となって事業活動を行っていた。
そして甲第4号証に示すように、本件商標登録出願を行った平成8年(1996年)には、被請求人は、MEDOX(メドックス)社として02(「2」は「O」の右下隅に小さく書されている。)4uの開発を行い、菊池製作所はその総代理店となった。
この頃までは被請求人と菊池製作所とは良好な関係にあり、請求人エアセップ社の商品も扱う一体的な営業活動主体となっていた。即ち、被請求人が本件商標登録出願を行ったとき又はこの出願日前1年位(平成7年から平成8年にかけて)は、まさに商標法第53条の2の規定における請求人エアセップ社の代理店又は代理人としての地位にあったことは明白である。
よって、取消対象商標の商標権者適格を被請求人が備えていることは明らかである。
ところが、平成9年(1997年)になると、被請求人は.株式会社大阪造船所及び株式会社大島造船所の資本を得て、株式会社メディテック・ジャパンを設立したが、被請求人今井正幸が酸素濃縮器「OXYCON」を株式会社大島造船所を経由して輸入するという意向を示したことから菊池製作所と不和となってしまったいきさつがある。
この時点で、菊池製作所は、「OXYCON」の取扱いを止め、エアセップ社の製品「NEWLIFE」(米国登録商標第1815392号)を、菊池製作所扱いとし、株式会社メディテック・ジャパン(被請求人今井正幸が社長)から購入することとした。
なお、平成10年(1998年)2月には、菊池製作所は、請求人である米国エアセップ社と直接折衝を行い、年間契約と共に、スポーツタイプ(の酸素濃縮器)に関しての総代理店の権利を取得すると共に、同年6月18日付の、請求人エアセップ社の専務取締役アンジェロ ジェイ.リベラトアが菊池製作所の近藤恒夫顧問に宛てたファクシミリ(甲第6号証)及び同年8月11日付の、同リべラトア専務が同近藤顧問に宛てたファクシミリ(甲第7号証)に記載されているように、請求人エアセップ社は菊池製作所に対して、「AirSep」のロゴを日本国内で使用する権利及び同国で商標登録を受けることの承諾を与えている。
このことは、請求人エアセップ社は、それ以前には日本国において商標登録を受けることについては何人にも承諾を与えていなかったこと.即ち被請求人今井正幸にはこの承諾を与えていなかったことを示すものでもある。
また本件商標の出願当時、日本国内において、関係のない第三者等が不当に「AIRSEP」の商標を急いで出願しようしていた等の事実は全くなかったので、被請求人が請求人の承諾を得ないで本件商標の出願を行ったことについての正当な理由は存在せず、この点においても商標法第53条の2の規定の要件を満たすものである。
(4)以上のように、本件商標は、商標法第53条の2の規定の商標の取消要件をすべて満たしており、同規定により当然取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

4 当審の判断
請求人の主張及び甲第1号証(本件商標の商標公報)、甲第2号証(請求人のアメリカ合衆国における商標登録を示すインターネット表示及びその訳文)、甲第3号証(請求人の酸素濃縮器の使用説明書抜粋及びその訳文)、甲第4号証(平成11年(1999年)11月18日付菊池製作所の近藤恒夫顧問が請求人代理人弁理士内田和男に宛てたファクシミリ)、甲第5号証(被請求人今井正幸の経歴書)、甲第6号証(平成10年(1998年)6月18日付請求人エアセップ社のアンジェロ ジェイ.リベラトア専務が菊池製作所の近藤恒夫顧問に宛てたファクシミリ)、甲第7号証(平成10年(1998年)11月8日付請求人エアセップ社のアンジェロ ジェイ.リベラトア専務が菊池製作所の近藤恒夫顧問に宛てたファクシミリ)によれば、次の点を認めることができる。
(1)請求人がパリ条約の同盟国の一つであるアメリカ合衆国において「AIRSEP」の欧文字を書してなる商標を、商品「医学用の、空気をその構成要素に分けるための空気分離器、産業用の、空気をその構成要素に分けるための空気分離器」について権利(商標権)を有する者であること。
(2)被請求人が代表取締役であるメディテック社が本件商標の登録出願の日前1年以内(平成7年から同8年)の時期に、請求人が製造販売する請求人の当該権利に係る商品に相当する酸素濃縮器について日本の輸入元となり、該商品を販売していたことからすると、メディテック社の事業活動は、当該企業の代表取締役である被請求人と不離一体の関係にある行為というのが相当であり、被請求人は、本件商標の登録出願の日前1年以内において前記商標に関する権利を有する者(請求人)の代理人の地位にあったとみて差し支えがないこと。
(3)請求人がアメリカ合衆国において権利を有する商標「AIRSEP」と本件商標とは、それぞれの構成よりして、「エアセップ」の称呼を同一にする類似の商標であり、かつ、両商標の商品においても共に医療用の器具と認め得るものであるから、類似する商品であること。
(4)被請求人の所有する本件商標の登録出願は、正当な理由によってなされたものであること、及び、被請求人が本件商標の登録出願をするについて、請求人の承諾を得ていることについては、これを認めるに足る証拠がないこと。
そして、被請求人は、本件審判の請求に対し、前記3のとおり答弁するところがない。
してみれば、パリ条約の同盟国の一つであるアメリカ合衆国における権利を有する商標と商標及び商品において類似すること明らかである本件商標の登録出願は、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで、当該登録出願の日前1年以内に代理人であった者によってされたものというのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第53条の2の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本件商標


(色彩は原本参照)
審理終結日 2002-07-25 
結審通知日 2002-07-30 
審決日 2002-09-06 
出願番号 商願平8-33743 
審決分類 T 1 31・ 6- Z (010)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 千里 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 野本 登美男
茂木 静代
登録日 1997-12-05 
登録番号 商標登録第4088089号(T4088089) 
商標の称呼 エアセップ 
代理人 内田 和男 

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