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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z29 審判 全部申立て 登録を維持 Z29 審判 全部申立て 登録を維持 Z29 |
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管理番号 | 1066598 |
異議申立番号 | 異議1999-91591 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-07 |
確定日 | 2002-09-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4303787号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4303787号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4303787号商標(「以下本件商標」という。)は、別掲に表示のとおりの構成よりなり、平成10年3月9日に登録出願、第29類「納豆」を指定商品として、同11年8月13日に設定登録されたものである。 2 申立理由の要旨 商標登録異議申立人(以下「申立人」または「申立人会社」という。)は、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品について使用をするものであり、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。また、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって不正の目的をもって使用をするものである。したがって、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号に該当するので登録されるべきではない。 (1)本件商標は申立人の業務に係る商品を表示する商標(以下「申立人商標」という。)又はこれに類似する商標であって、その商品について使用をするものである。 申立人会社は、昭和48年9月1日に設立されその業務の一として納豆の製造に関する業務を行っており(甲1号証)、申立人商標としては本件商標と同一あるいは類似するものを使用している(甲2、3号証)。 (2)申立人商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。 (i)申立人商標の使用開始時期 明治10年創業であるが(甲4号証)、申立人商標が付された包装資材を納めているある業者は、昭和48年10月末ごろより継続して申立人会社に申立人商標が付された包装資材を納めている旨の証明をしており(甲5号証)、他の業者はそれぞれその後継続して申立人会社に申立人商標が付された包装資材を納めている旨の証明をしている(甲6号証)。また昭和62年7月5日の食品経済新聞に「 ”紫竹納豆”で知られる(株)森口加工食品…」の記事がある(甲7号証)。 (ii)使用期間 現在も使用中であることは申立人会社に申立人商標が付された包装資材を納めている業者の証明の日付で分かる(甲5、6号証)。上記(i)を考慮すると、申立人商標は少なくとも、昭和48年10月末ごろより現在に至るまで継続して甲立人会社により使用されているものである。 (iii)使用地域 京都を中心としているが(甲7号証)流通システム開発センターに共通取引先の登録がされており、全国にひろがっている(甲8号証)。 (iv)生産の数量・生産の規模 昭和48年9月1日から昭和49年7月31日における売上高は158,706,145円、昭和63年8月1日から平成1年7月31日における売上高は240,438,095円、平成8年8月1日から平成9年7月31日における売上高は306,801,032円、平成8年8月1日から平成9年7月31日(平成10年8月1日から平成11年7月31日の誤記と認められる)における売上高は293,455,016円である。 商品の単価が安いことに鑑みて、生産の数量は多量である(甲9号証)。 納入先ごとの数量を示す例として平成8年1月分、平成11年10月分の納入先への仕切伝票の数例を添付する(甲10,11号証)。さらに申立人会社は営業規模のみならずその食品の取扱い及び営業施設の優良を認められ、平成6年および平成8年京都市長より表彰された(甲12号証)。 (v)広告宣伝の方法、回数及び内容 (イ)以下の新聞、雑誌に紹介記事が掲載される。 ・食品経済新聞(昭和62年7月5日)「マーブル納豆新発売」(甲6号証) ・AMUSE(1995年No.22)「発酵を控え豆本来の味わいを生かす京都ならではの白っぽい紫竹納豆」(甲13号証) ・BLUE SIGNALwinterl997「コク深くしてまろやか絶妙の旨味納豆」(甲4号証) ・トーヨー新報(1998年4月11日)「“世界の食品”ブームに乗って生産増へ」(甲14号) ・コーポ口(1998年2月号)「こだわりは国産大豆と納豆菌、本物の納豆をおとどけします」(甲15号証) ・くんしらん(1998年Vol.2)「京のほんまもん一紫竹納豆」(甲16号証) (口)つり看板を各販売店の店頭にかける(甲17号証)。 (ハ)会社所有の自動車の車体に商標を付す(甲18号証)。 以上により申立人商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の出願時および登録時において日本国内における需要者の間に広く認識されているものである。 (3)本件商標は不正の目的をもって使用をするものである。 特許庁は商標法第4条1項19号における 「不正の目的」を「『不正の目的』の定義である 『不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的』とは図利目的・加害目的をはじめとして取引上の信義則に反するような目的のことをいう。」と解説している(特許庁編工業所有権法逐条解説[第15版]、1008ページ)。 本件商標権者は本件商標の出願時から登録時にわたって申立人会社の役員であったにもかかわらず(甲1号証)、役員会の承認なしに本件商標の登録出願を行い、本件商標の登録時にも役員会にその報告を行わなかった。これら商標権者の役員であったにもかかわらず役員会の承認を得ないで行った行為は取引上の信義則に反する行為である。申立人は別の経路から本件商標の登録を知り、代理人を通じて本件商標権者に対して本件商標の譲渡を申し入れた(甲19号証)。本件商標権者はこれを拒否し、通常使用権の許諾についてはその可能性を示唆した(甲20号証)。その後、申立人の要求にしたがって(甲21号証)商標権者は通常使用権の許諾についての条件を提示した(甲22号証)。しかしながら、これは申立人の到底受入れることの出来ないものでありその旨を商標権者に伝えた(甲23号証)。 以上の経過から鑑みて、本件商標は「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的」すなわち「不正の目的」をもって使用されるものと判断されるべきである。 (4)本件商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品について使用をするものであることは明白である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。 また、本件商標は申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 さらに、本件商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をする商標である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。 3 当審の判断 申立人提出に係る甲各号証及び商標権者の提出に係る資料によれば、 (1)申立人会社は、昭和48年9月に設立され、その取扱いに係る商品である「納豆」に「紫竹納豆」の文字よりなる標章を使用していること。 (2)申立人会社は、明治10年に商品「納豆」の製造が開始され、昭和7年に本格営業された「森口食品製造所」の組織変更された会社であること。 (3)「森口食品製造所」は、森口家個人の事業として「紫竹」の文字を含む標章をその事業に係る商品「納豆」に創業以来使用し、製造販売してきており、「紫竹」の文字を有する登録第436205号商標は、平成5年11月30日の存続期間の満了までの間は森口与志ゑ所有の有効な商標権として存在していたこと。 が認められる。 以上の事実に基づいて判断するに、申立人の使用する「紫竹納豆」を含む標章は、申立人会社として組織変更した昭和48年から、少なくとも、登録第436205号商標の商標権が抹消するまでの間は、その使用については商標権者との間において、黙示的に使用権が認められていたものと推認することができる。 そうとすれば、昭和48年9月以降平成5年11月30日までの期間においては、「紫竹納豆」の文字を含む標章は、登録第436205号商標権の所有者及び申立人の双方の努力によって、取引者、需要者間に知られることとなったとみるべきである。 また、「紫竹納豆」の語は、申立人会社設立以前においては、本件商標権者の先代に係わる者が経営する「森口食品製造所」を介して、取引者、需要者間で取引が行われていたものと認め得るものであって、「紫竹」の文字を含む標章は、本件商標の出願時において、申立人のみによって取引者、需要者間に広く知らしめたものと断定することはできない。 そして、これら事情よりして、本件商標権者が、本件商標を出願し登録を受けたとしても、その行為が、不正の意図の下に行われたとみるべき理由はない。 さらに、明治10年の創業以来申立人会社となった今日まで、組織変更を経たとはいえ、その経営基盤は一定しており、取引者、需要者をして、商品「納豆」の品質等において一貫性を有しているものと認識され得るものであって、他人の業務に係る商品と混同を生ずるものとみることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1) 本件商標 ![]() (色彩については原本参照) |
異議決定日 | 2002-09-11 |
出願番号 | 商願平10-19603 |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(Z29)
T 1 651・ 271- Y (Z29) T 1 651・ 222- Y (Z29) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 米重 洋和 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
滝沢 智夫 高野 義三 |
登録日 | 1999-08-13 |
登録番号 | 商標登録第4303787号(T4303787) |
権利者 | 森口 清子 |
商標の称呼 | シチクナットー、シチク、ムラサキダケ、キョウトシチクナットウ |
代理人 | 村田 紀子 |
代理人 | 武石 靖彦 |
代理人 | 木村 高久 |