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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200020976 | 審決 | 商標 |
不服200412168 | 審決 | 商標 |
不服2007650066 | 審決 | 商標 |
審判199915644 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z30 |
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管理番号 | 1066335 |
審判番号 | 審判1999-20949 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-24 |
確定日 | 2002-08-02 |
事件の表示 | 平成9年商標登録願第170665号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類に属する商品を指定商品として、平成9年10月27日に立体商標として登録出願されたものであり、その指定商品については、平成10年10月19日付け提出の手続補正書をもって、「チョコレート」と補正されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、その商品の形状(収納容器)の一形態であることを容易に認識させる立体的形状を普通に用いられる方法の範疇をもって表示してなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人が提出した甲第1号証ないし同第6号証によっては、本願商標が出願人の取扱いに係る商品として周知されるに至っているものということができない。」旨認定して本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。 また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 (2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、金塊(インゴッド)を模した六面体よりなる包装容器の立体的形状を表したものとみるべきであって、これを本願指定商品「チョコレート」について使用しても、取引者、需要者は、単に包装容器の形状の一形態を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。 (イ)請求人は、本願商標を構成する立体的形状は、特異なインゴットの形状をしているから、識別性を有し、さらに、金色に着色されることにより一層識別性が付加されている旨主張する。 しかしながら、本願指定商品を含む菓子を取り扱う業界においては、包装容器の形状に特徴をもたせ、かつ、これに、種々の色彩を施したものを採択し、販売していることが一般に行われているところであって、請求人の主張する形状等の特徴は、包装容器の美感(見た目の美しさ)等を効果的に際立たせるための範囲のものというべきであり、本願商標が殊更特異な形状であるとはいえないものである。 してみれば、本願商標は、前記認定のとおり、商品の包装容器の形状の一形態を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状及び色彩に特徴をもたせたことをもって、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められない。 (ロ)請求人は、本願商標を使用したチョコレートが、請求人の日本における代理店である兵庫県神戸市所在の株式会社ボンド商会(以下「ボンド商会」という。)により輸入され、旅行関係会社、販売店等により販売された結果、需要者間に請求人の商品たることを示す標識として周知されるに至っている旨主張し、甲第1号証ないし同第6号証(原審において提出した甲第1号証ないし同第6号証と当審において提出した甲第1号証ないし同第6号証とは、内容が同一のものと認められる。)を提出している。 ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるところである。 したがって、出願に係る商標が立体的形状のみからなるものであるのに対し、使用に係る商標が立体的形状と文字、図形等の平面標章より構成されている場合には、両商標の全体的構成は同一でないことから、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。 ただし、使用に係る商標の形状の全体を観察した場合、その立体的形状部分と出願に係る商標とが同一であり、その立体的形状が識別標識として機能するには、そこに付された平面標章部分が不可欠であるとする理由が認められず、むしろ平面標章部分よりも立体的形状に施された変更、装飾等をもって需要者に強い印象、記憶を与えるものと認められ、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至っていることの客観的な証拠(例えば、同業組合又は同業者等、第三者機関による証明)の提出があったときは、直ちに商標の全体的な構成が同一ではないことを理由として商標法第3条第2項の主張を退けるのではなく、提出された証拠から、使用に係る商標の立体的形状部分のみが独立して、自他商品を識別するための出所表示としての機能を有するに至っていると認められるか否かについて判断する必要があるというべきである。 そこで、使用に係る商標と本願商標との同一性をみるに、甲第2号証ないし同第6号証の商品パンフレットによれば、商品「チョコレート」の包装容器の表面には、山を描いた図形及び「GOLDKENN」の文字、その他種々の文字等が付されているから、使用に係る商標と出願に係る商標との同一性については認めることができないものである。 次に、使用に係る商標の立体形状部分のみが独立して、自他商品を識別するための出所表示としての機能を有するに至っている否かについて判断するに、甲第2号証ないし同第6号証に示された包装容器の形状は、これがスイス銀行承認のもとに金塊を模してデザインされたものであることを伺い知ることができるにしても、指定商品との関係においては商品「チョコレート」の包装容器そのものの形状を表したものであって、該包装容器の表面に付された文字等のうち、山を描いた図形及び「GOLDKENN」の文字により出所が識別されているとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきである。甲第1号証は、ボンド商会の多田育弘が、本願の代理人である木村三朗に宛てた書面であり、請求人の国内における主な取引先、広告費、販売実績を記載したものと認められる。これによれば、請求人の広告費が、年間約1000万円である旨、本願商標を使用したチョコレートが、1995年に約4210万円、1996年に約4060万円、1997年に4300万円の販売実績があった旨等の記載が認められるが、これらの記載が事実であるとしても、上記チョコレートの販売実績を示したにすぎず、請求人の使用に係る包装容器の形状そのものが、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至っているを示す証拠とはいい難いものである。 してみれば、請求人提出の甲各号証によっては、本願商標が使用された結果、これが需要者、取引者間において請求人の取扱いに係る商品を表示するものとして認識することができる状態に至っているとは認めることができないものである。 (ハ)請求人は、本願商標と同一の立体形状よりなる商標が、スイス、WIPOにおける国際登録及びアメリカ合衆国で登録されているとして甲第7号証の1ないし4を提出し、パリ条約第6条の5 A(1)の趣旨からしても本願商標の登録は認められるべきである旨主張する。 しかしながら、出願に係る商標が登録要件等を具備しているか否かについては、当該出願に係る国の法令及びその国の商品取引の実情等に照らして判断がなされるべきものであるところ、諸外国の登録制度とわが国のそれとが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、諸外国の登録例をもって、本願商標が直ちにわが国で登録されるべき旨の請求人の主張は採用し得ない。 4 結 論 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項には該当しないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別 掲】 本 願 商 標 (この商標はカラー写真により表されたものであるから、細部及び色彩については原本を参照されたい。) |
審理終結日 | 2001-04-10 |
結審通知日 | 2001-04-20 |
審決日 | 2001-05-02 |
出願番号 | 商願平9-170665 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z30)
T 1 8・ 17- Z (Z30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 順子、小林 薫 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
久保田 正文 宮川 久成 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 佐々木 宗治 |