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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない 117
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 117
管理番号 1064651 
審判番号 審判1998-35550 
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-11-12 
確定日 2002-08-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第2353908号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2353908号商標(以下「本件商標」という。)は、平成1年1月24日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同3年11月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「商標法第46条第1項の規定により、本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第10号証を提出した(なお、請求人は、平成12年3月29日付上申書において、上記甲号各証とは異なる証拠を甲第1号証ないし甲第10号証として提出しているが、これらは順次、号証表示を繰り下げて、甲第11号証ないし甲第20号証として表示する。)。
(1)本件商標は、全世界で「SMILY FACE(スマイリー・フェイス)」といわれ、アメリカ人である請求人ハーベイ・ボールが1963年に創作したマークであり、アメリカでもそれが公認されている。その為、請求人と無関係な第三者が日本で本件商標を登録する事は適切でない。請求人は現在でもアメリカで健在で、デザイナーとして活躍している(甲第1号証)。
このことは、全米テレビでも再三放映され(甲第4号証)、新聞でも報道され(甲第5号証)、広報誌等の資料にも記載されている(甲第6号証)。また、アメリカのマサチューセッツ州ウスター市にある「歴史博物館」には、請求人の創作であることを示した展示ブースまで設けられており(甲第8号証)、その上、公的な証明として、1996年7月10日上記マサチューセッツ州ウスター市のマリアーノ市長は、請求人にその功績を讃える宣言書を送っており(甲第9、10号証)、7月10日はウスター市の「HARVEY BALL(ハーベイ・ボール)の日」と設定された。
更に、1999年10月1日、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウスター市で「WORLD SMILE DAY」の記念行事が行われ、当日はウスター市長レイモンド・マリアーノ氏が「SMILEY FACE」は「ハーベイ・ボール」の著作である事を認めると宣言した。又、同年に発行されたアメリカ郵政公社の記念切手(70年代を代表するシンボルとして選ばれた)の発行の記念に関して、当日アメリカの郵政公社の代表が来賓として演説し、「SMILEY FACE」は「ハーベイ・ボール」の創作であることを認めている(甲第11号証ないし甲第20号証)。
(2)日本名「スマイル・マーク」は、1970年代前半に日本で大ブームとなり、「ニコニコ・マーク」「ラブ・ピース」とも言われ、その当時知らない日本人はいない程流行した。
しかし、その流行のきっかけは、1970年にアメリカ・ニューヨークの「ステーショナリー・ショー」で本件商標を見かけた日本人が日本へ持ち帰り、それを商品化し、流行させたものと言われている。このことは、その本人である当時、文具メーカー「リリック」勤務の峰与志郎氏が詳しく証言している(甲第2号証)。
その後、リリックの峰与志郎氏は、サンスター文具に共同展開を持ちかけ、「ラブ・ピース」という名称を付けて商品化を始めた。翌1971年3月にはリリックとサンスター文具の提唱により、「ラブピース・アソシエーション」が結成され、共同キャンペーンを大々的に行ったと証言している(甲第2号証)。又、「商品化権資料センター」発行の「マーチャンダイジングライツ レポートNO.442(1997年7月20日発行)」を見ても、「SMILEY FACE(スマイリー・フェイス)」の流行がアメリカから始まったことが分かる(甲第3号証)。
(3)以上を総合的に考えれば、「SMILEY FACE(スマイリー・フェイス)」が知られたのは請求人の創作によることは明らかであり、被請求人の行為は、請求人の創作を横取りし、商標権を得たものと推測される。
請求人は、1997年頃より再三に渡り、被請求人に対して適切な価格での商標譲渡を申し入れたところ、被請求人は自己の会社の企画担当課長が創作したとの説明があるだけで、それに応じない。
このことは請求人が本件商標を使用して、日本国内での商品化事業を行うことを妨げる結果となっている。
よって、本件商標の登録は無効とされるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
請求人は、本件商標は請求人が創作したマークであり、被請求人が本件商標を登録する権利を有しているものとはいえないから、商標法第46条の規定により無効とすべきである旨主張している。
しかしながら、審判請求書において、請求人は、本件商標が請求人創作によるマークであることを繰り返し述べているにすぎず、商標法第46条のどの具体的な無効理由に基づいた主張であるのかを明らかにしていない。
商標法第46条は、商標登録の無効の審判について規定するが、条文によると、「商標登録が次の各号の一に該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。・・・」とある。すなわち、請求人は、審判の請求書の「請求の理由」において、登録無効事由として特定法条を明記しなければならない(同法第56条で準用する特許法第131条第1項第3号)。
ところが、本件審判の請求書中「請求の理由」には、請求人の主張する無効事由の根拠である特定法条の記載がなされておらず、これでは審理の対象が特定されない。
よって、被請求人は、何について本件審判事件が請求され、何に基づいて答弁すればよいのかを理解することができない。加えて、無効理由の根拠となる特定法条の記載がなければ、該請求理由が商標法第47条に規定するいわゆる除斥期間に拘束されるものかどうかをも知る余地がない。
以上の理由により、請求人は、無効理由を具体的に示した商標法第46条に基づく審判を請求すべきである。

4 当審の判断
(1)本件審判について、請求人は、甲第1号証ないし同第20号証を提出して、本件商標登録は無効にされるべきである旨主張しているが、無効理由の具体的な条項を明示していない。そして、この点を主張する被請求人の答弁に対して、請求人は、相当の期間が経過するも、何ら弁駁をしていない。
ところで、本件無効審判は、本商標権の設定の登録の日から5年を経過した後の請求であることから、商標法第47条(除斥期間)との関係から、無効を主張できる理由は自ずと限定されており、審判請求書において開示されている主張と証拠を総合して勘案すれば、請求人の主張は、商標法第4条第1項第7号あるいは同第19号の規定に違反していることを根拠にしているものと解するのが相当であるから、本件審判は、この点について審理し、次のとおり判断する。
(2)本件商標は、別掲に示したとおりの構成からなるものであるところ、請求人は、該マークは、請求人が1963年に創作したマークであること、又、当該マーク(日本名「スマイル・マーク」)は、日本においても、1970年代前半に大ブームとなったが、その流行のきっかけは、1970年にアメリカ・ニューヨークの「ステーショナリー・ショー」で当該マークを見かけた日本人が日本へ持ち帰り、それを商品化し、流行させたものであり、被請求人が考案したり、流行させたりしたものではなく、そのため、請求人と無関係な被請求人が本件商標を登録することは適切でない旨主張し、その間の事情を明らかにするものとして、甲第2号証及び甲第3号証を提出している。
確かに、請求人の提出に係る甲第1号証、同第4号証ないし同第20号証によれば、請求人は、アメリカ、マサチューセッツ州ウスター市を本拠地とするウスター・ギャランティ両保険会社のキャンペーンとの関係において、「SMILY FACE(スマイリー・フェイス)」といわれるマークに携わった者であり、その「SMILY FACE(スマイリー・フェイス)」が人気を博したことから、マサチューセッツ州ウスター市が「SMILY FACE(スマイリー・フェイス)」はハーベイ・ボール(請求人)の創作に係るものであるとして、請求人を顕彰していることを窺うことができる。
しかしながら、甲第2号証(「月刊ライセンシングブック VOL.16(ボイス情報株式会社 発行 1997年12月25日号)」)中の文具メーカー「リリック」の峰与志郎氏の記述によれば、「1970年のニューヨークのステーショナリーショ一で、いわゆるスマイルマークの力ード類が、沢山展示されておりました。そして私は、これは何だろう、アメリカで今流行っているマークなんだろうかと思い、写真をとったり、サンプルを入手したりしました。そしてこのマークに版権があった場合、契約しなくてはならないと思い、スマイルマークの商品を出している会社に権利の所在を聞いて回りましたが、皆どこかと契約して使っているというわけではなく、自由に使っていました。そのため、各社で使っているスマイルマークは皆、微妙にデザイン等が異なっていました。また、このスマイルマークについては、都市の環境を守るとか、西海岸で生まれたとか、ヒッピーが使っているマークとか、当時から諸説がありました。」と記載されている。
又、甲第3号証(「マーチャンダイジングライツ レポート No.442(商品化権資料センター発行 1997年7月20日号)」)の記事によれば、「このマークは1968、9年(昭和43、4年)に、アメリカの若者達の間でベトナム反戦運動が盛り上がりを見せた頃、胸につけるバッジやTシャツ、その他の雑貨品などに商品化されました。・・・そのうちこのスマイルマークは、日本にも輸入され、70年安保と呼ばれる反戦、反体制運動の学生達にもよく使われました。・・・その頃、アメリカ国内では著作権があるのかどうかを、ニューヨークに本社のある法律事務所に依頼して調べて貰ったことがあります。その時の回答は『誰かが著作権局に登録を申請したが、創造性が無いという理由で登録は拒絶された。』というものでした。日本でも『へのへのもへじ』の絵柄のようなものには著作権は認められないと、現行著作権法の生みの親の一人である佐野さんがおっしゃっておられます。・・(中略)・・私は、友人に調査して貰った結果、ロスアンゼルスで決定的な証拠写真を見る結果になったのです。・・・それは1945年10月に発行された、ロスアンゼルス・タイムズの中に掲載されていました(カリフォルニア大学の図書館に行けばいつでも見られる)。嬉しそうな顔の若い女性が、海兵隊の軍服を着た若い男性と肩を組んでいます。その女性の胸につけた丸いバッジ。そこにスマイルマークつまりハッピー・フェイスの丸い顔が笑っていました。・・・私はようやく、あのスマイルマークの持っている意味が解かったような気がしました。戦争が終わって、恋人や夫が自分のところへ帰ってくる。その歓びをいっぱいに表現したスマイルだったのです。・・・このマークの意味は重い。だからこそ50年以上も生き続けてこれたんだ。このマークは、だから、絶対にパブリック・ドメイン、公的範囲に属して当然なものなのです。公的とは国民全体のもの、それぞれの国で、アメリカで、イギリスで、フランスで、そして全世界の国々の平和を愛する庶民すべてのものであるべきです。どうして私的に独占なんて出来るものですか。著作権オープン。違います!パブリック・ドメイン(自由使用)とは全世界の人類全部のものという意味なんです。」との記述がされていることを認めることができる。
そうとすれば、「本件商標は請求人が1963年に創作したマークである」との請求人の主張は、請求人の提出している証拠中において、既に矛盾をきたしているものであるから、請求人が前記のような事情のもとにおいて「SMILY FACE(スマイリー・フェイス)」といわれるマークに携わった者であることを否定するものではないが、請求人の提出に係る甲号証のみをもってしては、いわゆる「スマイルマーク」と称されているマークが請求人の創作に係るものであると認めることは、困難なことといわなければならない。
したがって、本件商標は、請求人の創作を盗用したものということはできない。
(3)してみれば、請求人の主張は、その前提を欠くものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反してされたものということはできない。更に、これを同第10号(不正競争の目的で商標登録を受けた場合)等の条項にまで広げて考慮したとしても、本件商標の登録を無効にし得る証拠は見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2002-03-28 
結審通知日 2002-04-02 
審決日 2002-04-15 
出願番号 商願平1-6979 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (117)
T 1 11・ 22- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 英世板垣 健輔 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1991-11-29 
登録番号 商標登録第2353908号(T2353908) 
代理人 掛樋 悠路 
代理人 中村 博 
代理人 三枝 英二 
代理人 岩出 誠 
代理人 村林 俊行 
代理人 中川 博司 
代理人 外山 勝浩 
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