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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Z41
管理番号 1060027 
審判番号 不服2000-1046 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-26 
確定日 2002-05-22 
事件の表示 平成10年商標登録願第69892号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
この出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、平成4年9月28日に登録出願された平成4年商標登録願第216675号について、商標法第10条第1項の規定に基づき平成10年8月19日にした出願の分割に係るものであって、第41類「興行場の座席の手配」を指定役務とするものである。

2 引用商標
原査定が、本願商標は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則(以下「改正法附則」という。)第5条第3項で読み替えられた商標法第8条第2項の要件を具備しないとして引用した登録第3036782号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日登録出願、第41類「演劇・映画・音楽・寄席・講演を主とする施設の提供、興行場の座席の手配」を指定役務とする特例商標(改正法附則第5条による使用に基づく特例の適用が認められた商標)として平成7年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第3163736号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日登録出願、第41類「演劇・映画・音楽・寄席・講演を主とする施設の提供、興行場の座席の手配」を指定役務とする特例商標(改正法附則第5条による使用に基づく特例の適用が認められた商標)として平成8年6月28日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)に示すとおり、欧文字「K」の字体風図形とその右側に「KINOKUNIYA」の欧文字を横書きしてなるところ、これよりは、前記文字部分に相応して「キノクニヤ」の称呼を生ずるとみるのが自然である。
他方、引用A商標は、別掲(2)に示すとおり、「紀伊國屋ホール」の文字を横書きしてなるところ、当該名称に係るホールは、件外株式会社紀伊國屋書店(東京都新宿区所在)(以下「件外書店」という。)に係る芸能等を上演(提供)する施設を指称するものであることは既に周知な事実であり、請求人も認めるところである。そして、件外書店は、前記ホールのほか、「紀伊國屋サザンシアター」(芸能等の提供施設)や「紀伊國屋画廊」の運営、「紀伊國屋演劇賞」(1966年創設)の主催等、演劇芸術の文化振興に力をいれていることは、請求人提出の甲第8号証によるまでもなく顕著な事実であって、これら文化活動に共通して冠されている「紀伊國屋」の文字部分は、件外書店事業又はその文化関連事業全般を表彰するいわば代表的出所標識と目される部分と認められる。
また、一般に「ホール」の文字(語)は、会館、公会堂を意味し、各種芸能の上演、教育・文化関連の各種講演会等の会場(施設)を指称するものと容易に理解されるものである。そして、これら施設(ホール)は、当該施設において行われる各種興行に関する「座席の手配」を行う場合も少なくないのが取り引きの実情であるから、「ホール」の文字は、当該役務である「興行場の座席の手配」の提供場所又は提供の用に供するもの(施設)としか認識し得ないものであって、役務の出所識別の機能を有しないか、若しくは、その機能の極めて弱い部分というべきである。
そうすると、引用A商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は前記事情よりして、役務の出所表示機能を果たす部分は「紀伊國屋」の部分にあると認識し、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないといえるから、引用A商標は、その全体から生ずる称呼のほか、「紀伊國屋」の文字部分に相応して単に「キノクニヤ」の称呼も生ずるものといわなければならない。
また、引用B商標は、別掲(3)に示すとおり、黒塗りの図形内に「KINOKUNIYA」、「HALL」の欧文字を上下2段に横書きしてなるものである。そして、引用A商標の場合と同様の理由により、「HALL」の文字部分は当該役務の提供場所又は提供の用に供するもの(施設)を表示したものと理解されるに止まるから、上段に表された「KINOKUNIYA」の文字部分より「キノクニヤ」の称呼も生ずるものといわなければならない。
そうしてみると、本願商標と引用各商標とは、「キノクニヤ」の称呼を同じくする点で互いに紛らわしく、このほか、外観・観念の点を考慮してもなお両者はその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、引用各商標は、その指定役務中に本願商標の指定役務「興行場の座席の手配」を含むものであり、かつ、引用各商標に係る商標権は改正法附則第5条に規定する使用に基づく特例の適用がされたものであること前記のとおりである。
してみれば、本願商標と引用各商標は、改正法附則第4条3項により同日にしたものとみなされる出願であって同一又は類似の役務について使用をする類似の商標であり、かつ、本願商標は改正法附則第5条において定めるいわゆる特例適用を主張する出願ではないから、同附則第5条3項の規定により読み替えて適用する商標法第8条第2項により、その登録はこれを認めることができない。
請求人は、甲第1号証ないし同第4号証を提出して、本願商標は、請求人(出願人)が30年以上使用している周知、著名商標であり、引用A商標は「キノクニヤホール」の一連の称呼のみで特定されているから、両商標は類似しないものであると主張している。しかしながら、本願商標は請求人に係るスーパーマーケットの店名として使用されていることは認め得るものの、本願商標の指定役務である「興行場の座席の手配」に使用されている事実は見出せないから(甲第1号証)、前記役務において本願商標が周知であるとは言い得ないものである。そして、件外書店に係るいわゆるインターネットのホームページ情報及び同ホームページの事業内容「ホール・画廊」を示す当該表示には「KinokuniyA」の文字が表示され、「ホール・画廊」の当該表示には「紀伊國屋ホール」「紀伊國屋サザンシアター」「紀伊國屋画廊」の紹介がされていること(甲第2号証)等の点を併せ考慮すれば、これら件外書店に係る各施設名に共通して冠され用いられている「Kinokuniya」又は「紀伊國屋」の文字(標章)は、その代表的出所標識として、すなわち、件外書店の業務に係る役務の出所識別の標識として機能し得るとする点を推認するのに充分である。
そうすると、本願商標がその指定役務について周知である旨述べる請求人の主張はその理由が充分でなく、また、件外書店に係る役務の取引事情も併せ考慮するに、引用各商標に接する需要者は構成中の「紀伊國屋」「KINOKUNIYA」の文字部分を主要な出所識別の標識と目して取引きに当たるとした前記判断は相当というべきであるから、引用各商標の不可分性を述べる請求人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。このほか述べる請求人の主張は、前記主張を覆すに足りない。
なお、原査定摘示の法条の規定(商標法第4条第1項第11号)の誤りについては、明瞭な記載の誤りというべく、当該拒絶理由通知書及び請求人の主張の全趣旨に照らし、本審決においてこれを是正して差し支えないものと判断し審決した。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本願商標



(2)引用A商標



(3)引用B商標


審理終結日 2002-03-26 
結審通知日 2002-03-28 
審決日 2002-04-09 
出願番号 商願平10-69892 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Z41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文井出 英一郎 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 村上 照美
鈴木 新五
商標の称呼 キノクニヤ 
代理人 網野 誠 
代理人 網野 友康 

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