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審決分類 |
審判 028 |
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管理番号 | 1055369 |
審判番号 | 審判1998-9711 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-06-24 |
確定日 | 2002-02-28 |
事件の表示 | 平成8年商標登録願第25283号拒絶査定に対する審判事件について、次の通り審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
理 由 1 本願商標 本願商標は、下記(イ)に表示したとおりの構成よりなり、第28類「キャディーバック、その他の運動用具」を指定商品として、平成8年3月12日に登録出願されたものである。 2 当審の拒絶理由 これに対し、当審では、新たに「本願商標は、その構成中の一部に、米国ニューヨーク生まれの著名なデザイナーである「ラルフ・ローレン」(注、同人の関連企業「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)が、1970年代より現在まで「眼鏡、紳士服、シャツ」等の商品に長年に亘って使用してきた結果、本願商標の登録出願時に、我が国で、当該文字よりなる商標は、上記デザイナーである「ラルフ・ローレン」(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)の業務に係る商品を表す商標として、取引者・需要者間に広く認識されていた「POLO」の文字を有してなるものであるから、これを請求人(出願人)が、その指定商品に使用した場合には、上記「ラルフ・ローレン」(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)の業務に係る商品又は同人と何等かの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがある。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認められる。」との拒絶理由を通知した。 3 当審の拒絶理由に対する出願人の意見 (1)本願商標の「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の欧文字部分は、同一大の同一書体でまとまりよく一段に書してなるところ、これらの欧文字が有する意味からしても、ポロ愛好者の集まりである特定クラブを表現したものと容易に理解される。したがって、「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の欧文字部分は、全体が一体不可分のものとして、認識されるべきものであって、本願商標は、その全体の構成文字に相応して、「ビバリーヒルズポロクラブ」の一連の称呼のみを生ずるものである。 (2)1985年当時ラルフ・ローレンの「POLO」商標を所有していたポロ・ファッションズ・インコーポレイテッドと本件出願人との間で同意契約書が締結されたこともあり、ポロ側が同社の「POLO」商標とは明確に区別されるものと容認していたものであり、この同意契約書は米国のみならず全世界における商標の使用及び登録を対象とする包括的なものであって、契約締結者の承継人をも拘束するものである。したがつて、本願商標の使用に関しては、ポロ社側及びその承継人が何ら異議を唱えるようなものでなく、本願商標は、ポロ側の商標と出所混同を生ずるものではない。 (3)我が国において各種商品につき使用されてきたが、現にポロ側の商標との混同は一切生じていないので、商標法第4条第1項第15号の規定には該当しないものである。 (4)本願商標は、東京高裁でなされた審決取消訴訟平成11年(行ケ)第253号判決と同様な判断が下されるべきである。 4 当審の判断 (1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。 アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年(昭和42年)に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年(昭和49年)に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。 そして、株式会社洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。 また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」「ポロプレーヤー商標」(下記ロに表示)の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平成2年(行ケ)第183号、平成3.7.11言い渡し、東京高裁平成11年(行ケ)第251号、平成11.12.16言い渡し、東京高裁平成11年(行ケ)第267号、平成11.12.16言い渡し)がある。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くとも昭和55年頃までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして「POLO」の欧文字よりなる商標、下記(ロ)に表示した「ポロ競技のプレーヤーの図形」(以下、「ポロプレーヤー商標」という。)よりなる商標及び引用商標が、取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。 (2)ところで、本願商標は、下記(イ)に表示したとおりゴシック体で書した「BEVERLY HILLS」と「POLO CLUB」各欧文字の間にポロ競技のプレーヤーの図形を表してなるものであるところ、これらの文字と図形とは、常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事由が存するものとも認められないものである。そして、該「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の欧文字部分は、特定の観念を生じさせるものではなく、かつ、その構成中には上記(1)で認定しているとおり、ラルフ・ローレンが「紳士服、紳士靴、サングラス」等に使用するものとして周知著名な「POLO」に類似する「POLO」の欧文字及び「ポロプレーヤー商標」に類似する「ポロ競技のプレーヤーの図形」を有してなるものである。 (3)そうすれば、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記した実情から、その構成中の「POLO」及び「ポロ競技のプレーヤーの図形」に注目し、前記ラルフ・ローレンが「紳士服、紳士靴、ネクタイ、サングラス」等に長年使用し、本願商標の出願前に、取引者・需要者間に広く認識されていた「POLO」及び「ポロプレーヤー商標」を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。 (4)以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであってこれを取り消す限りでない。 なお、請求人は、本願商標は、東京高裁でなされた審決取消訴訟平成11年(行ケ)第253号判決と同様な判断がなされ、登録されるべき旨を主張しているが、上記判決と本件とは事案を異にするのでこの点に関する請求人の主張は採用し難い。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(イ)本願商標 (ロ)ポロプレーヤー商標 |
審理終結日 | 2000-01-28 |
結審通知日 | 2000-02-15 |
審決日 | 2000-03-16 |
出願番号 | 商願平8-25283 |
審決分類 |
T
1
80・
271-
WZ
(028)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 祀久、小林 薫、柳 紀子 |
特許庁審判長 |
寺島 義則 |
特許庁審判官 |
野上 サトル 滝沢 智夫 |
商標の称呼 | ビバリーヒルズポロクラブ、ベバリーヒルズポロクラブ、ポロクラブ |
代理人 | 照嶋 美智子 |