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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1053769 
審判番号 審判1998-35349 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-30 
確定日 2001-12-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第2558712号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2558712号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第2558712号商標(以下、「本件商標」という。)は、「Carrefour」の欧文字と「カルフール」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成3年5月7日に登録出願、第21類「装身具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成5年7月30日に設定登録がなされたものである。

2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は欧文字「Carrefour」及びカタ力ナ文字「力ルフール」を二段に併記してなるものであるが、「Carrefour」の文字および「力ルフール」の称呼は、本件商標の出願当時、請求人の名称(商号)として世界的に広く知られており、その事実は我が国においても広く報道されている。本件商標はその欧文字部分において請求人の著名な名称と同一である。
また、本件商標は請求人の承諾を得ることなく登録出願され、登録されたものである。
すなわち、本件登録商標は商標法第4条第1項第8号に違反して出願、登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
日本経済新聞、日経流通新聞等の報道を通じて「Carrefour」の文字および「力ルフール」の称呼は、本件登録商標出願前からわが国において広く認識されていたものである。
ところで、請求人の業務はハイパーマーケットであり、その取り扱い品目は食料品、日用品、電化製品、化粧品、衣料品、履物等極めて多岐に亙っているが、これらの取り扱いに係る取引者は流通業者であり、これらの取引者が、業務上最も多く購読する新聞として知られている日本経済新聞、日経流通新聞等の経済記事、特に流通業者に関する記事について強い関心をもって読んでいることは疑う余地がないものと思われる。すなわち、少なくとも「力ルフール」が超大型小売店として世界的に著名であるという事実は、本件登録商標出願前からわが国の流通業者の間においては広く認識されていたものとすべきである。
また、流通業者はハイパーマーケットがいかなる形態の流通業者であり、そのような業者が多分野に亙る取扱商品を有していることについては熟知している筈である。そのような流通業者は当時から、仮に本件指定商品である装身具等について本件商標が使用された場合には、取引業者である流通業者のみならず、ハイパーマーケットの需要者であり、かつ装身具等の需要者でもある一般消費者において、その出所について混同を生ずる恐れがあると認識していた筈である。すなわち、取引者及び需要者が本件商標が使用された場合にその出所について混同を生ずるおそれは、本件商標の出願当時から存在していたというべきである。
さらに、請求人の著名性及びハイパーマーケットという業種に鑑みれば、取引者・需要者は本件商標の指定商品「装身具等」は当然取り扱いのあるものと見る筈であり、仮に、報道において請求人の取扱予定商品として具体的に装身具等に「Carrefour」若しくは「力ルフール」の商標を使用予定である旨の記載がないとしても、本件商標がこれらの商品に使用された場合には、取引者・需要者は、請求人あるいは請求人と何らかの関係のある者の取り扱いに係る商品であると誤認混同するおそれが極めて高いものとすべきである。
本件商標は、出願当時から、本件商標をその指定商品に使用した場合には、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあったことは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して出願、登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
請求人は世界規模の企業であり、「Carrefour」の標章は、請求人の名称として、また請求人の取り扱いに係る商品を表示する商標として国際的に認識されており、その認識の上に現在の国際競業秩序が維持されている。
本件商標は、請求人の名称及び商標が著名である事実がわが国に報道された後に出願されている事実に鑑みれば、仮に本件商標権者に不正競争の目的がなかったとしても、国際競業秩序を乱す商標であることは疑いのない事実である。
また、商標「Carrefour」が請求人の商標として内外国で著名であることは、フランス大使館経済公使の証明するとおりであって、国際競業秩序が求められる現在にあって、これを乱す本件商標は商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同15号及び同7号の規定に違反して登録されたものである。

3.被請求人の答弁
被請求人は、「本件請求は成り立たない。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(なお乙第2号証には、平成8年審判第18221号事件での被請求人の答弁書に添付の乙第1号証の1ないし乙第11号証が含まれている。)及び乙第12号証、乙第13号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
請求人は、本件商標が請求人の著名な名称と同一であり、その商号は世界的規模で広く知られている旨主張しているが、どのような法人格か請求人は明らかにしていない。この名称は請求人が考案した造語ではなく、フランス語における一般的な名詞である。
すなわち、この名称「Carrefour」がフランス語における固有名詞や造語の場合であるならば(たとえば「カルダン」、「グッチ」等)、請求人の主張は正しいのであろうが、本件商標は、フランス語において「盛り場、交叉点」を表す語であり、英語のサーカス/Circusやクロス/Crossに相当する語である。
また、請求人は、本件商標が請求人を表す著名な名称である旨主張しているが、具体的には「国際的なハイパーマーケット」とのみ主張し、どのような具体的商品に関し、どのように著名かを全く主張していない。通常こうした一般的な名詞が商標として著名に至るには、その語について少なくともどのような商品に関し、どのようにセカンダリーミーニングが確立したかを詳細にするべきにも拘わらず、請求人は単に「ハイパーマーケットの雄」とのみ主張している。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本号の規定の適用については、商標法第4条第3項の規定の趣旨から、本件商標の出願日(平成3年5月7日)において、本件商標が本号の規定に該当するか否かが決せられるべきである。この意味からすれば請求人が提出した各証拠のうち、甲第4号証ないし甲第6号証、甲第20号証ないし甲第26号証、甲第28号証ないし甲第31号証のそれぞれは、出願日以降の発行に係るものであり、そもそも本件審判における請求人の主張証拠となり得ない。
出願前の新聞記事に係る各証拠(甲第3号証、甲第7号証ないし甲第19号証、甲第27号証)の記事は、ハイパーマーケットの経営者である請求人が、我が国以外の外国において店舗を出店しているという事実を掲載しているにすぎないところであり、またそれらの店舗においては、本件商標の指定商品(例えばバッグ、装身具)を具体的に使用し、例えば本件商標をこれらの商品につき表示している等の事実が何ら確認できないところである。すなわち、これらの証拠に示される事項は、外国においてのスーパーマーケットの営業実態を示すに止まるところにすぎず、我が国においては勿論、国際的な商品の流通状態を指定商品との関係において示すものではない。
本件商標の出願前における各証拠は、具体的に日本若しくは全世界での指定商品に関する本件商標の使用状況を示すものではなく、仮にこれらの証拠を日本の需要者、取引者がその時点で購読したとして、「Carrefour」が全世界的規模で知られた商標である旨認知することは到底できないところである。
被請求人は、審判請求がなされるまでフランスにおいてカルフール社なる企業が存在することすら関知しなかったところであり、これらの証拠をして本類において本件商標が請求人の著名商標であるとする請求人の主張は我田引水に他ならない。
これに対し、被請求人は、本件商標の出願前において依頼書に基づき旧第21類の商標調査を行い、類似する商標が発見されなかったことから平成3年5月7日に出願を行い、誠実に本件商標の使用を開始したところである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
請求人は、本件商標が請求人の世界的規模で知られる著名商標であることをもって、本件商標が国際競業秩序に反する公序良俗を害するものである旨主張している。
しかし、被請求人は、出願時から今日に至るまでその存在事実を関知しなかったところであり、誠実かつ平穏なる本件商標の使用を継続してきたことから、該主張は全く理解しがたいところである。
また請求人は、フランス大使館経済公使の発行に係る証明書を提出し、あたかも本件商標が請求人の著名商標である旨主張しているが、該書面は海外における請求人会社の出店事実、各国での商標の登録事実を示しているにすぎず、何ら本類の各商品についての具体的な著名性を立証するものではない。
(4)結論
以上、請求人の本件商標に対する無効理由の主張は、全く正当な根拠が見出せない。

4.当審の判断
(1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
本件商標の出願前に発行された昭和50年9月13日付けの日本経済新聞に「日本に技術供与 仏カルフール社長語る・・・ハイパーマーケットの雄、仏カルフール(本社パリ)」と記載されている(甲第3号証)ほか、日経流通新聞には、昭和59年3月26日付けで「仏ハイパー・スーパー10社共同仕入れグループ設立 中心となっているカルフールは、63年にルクレールにその座を譲るまで業界の売上一位」と、昭和59年4月2日付けで「83年は、前年比増収減益 仏のカルフール」と、昭和59年4月16日付けで「ハイパー、全国に発展 スペイン国内企業も育つ スペインのハイパーの草分けは、73年に進出したフランス大手のカルフール」と、昭和59年9月10日付けで「買い物ついでの自動車保険が人気 仏ハイパー カルフール」と、昭和60年4月15日付けで「仏ハイパーマーケット3社 PB商品を大量導入 カルフール社は1976年にすでに『ホワイト・プロダクツ』シリーズを導入し、この分野の先駆者を自認している。」と、昭和60年5月13日付けで「自動車保険、軌道に 仏ハイパーマーケットのカルフール 他の金融事業にも触手」と、昭和60年9月9日付けで「生協連合会と新会社 仏のカルフール 赤字店を引き継ぐ」と、昭和61年2月20日付けで「自動車保険を販売 フランスでは、同国の小売業界初の試みとして、ハイパーマーケット大手のカルフールが店内で保険の販売を始め、話題になっている。」と、昭和61年12月1日付けで「仏カルフール、米国進出」と、昭和62年5月18日付けで「仏の小売業カルフール NY出店を延期」と、昭和62年5月25日付けで「合併で台湾にスーパー展開 仏カルフール」と、昭和62年11月19日付けで「欧米の現状と日本市場の魅力 カルフール社長デフォレ氏」と、平成2年11月20日付けで「フランスカルフール 台湾出店で足場築く」(甲第7号証乃至甲第19号証)と、日経金融新聞には、平成2年9月5日付けで「カルフール 下値抵抗力強く再び3400フラン台 大規模スーパーを展開するフランス最大の小売業、カルフールの株価がペルシャ湾岸危機の不安の中で下値抵抗力の強さを示している。」(甲第27号証)と記載されている。
また、本件出願後においても、日本経済新聞には、平成6年8月26日付けで「仏流通最大手カルフール 中国でスーパー展開」と、平成6年10月19日付けで「自転車で通う量販店 仏カルフール」と、平成7年4月6日付けで「仏カルフール 韓国でスーパー開業」と記載され、平成10年8月18日付けで同新聞のアクサ生命保険株式会社の宣伝広告には、「ヨーロッパで最も尊敬されている企業ランキング 」に「Carrefour FRANCE Retail,distribution」の記載がみられ(甲第4号証ないし甲第6号証及び甲第35号証)、日経流通新聞には、平成3年7月9日付けで「仏流通業に寡占化の波 スーパー大型合併 カルフール、年商1000億フランに」と、平成5年12月21日付けで「1992年度小売業 売上高世界ランキング9位にカルフール」と、平成5年10月26日付けで「仏ピエール・カルダン スーパーで香水販売 国内大手スーパーのカルフールで11月2日から、通常価格の20〜30%安い販売を開始する。」と、平成6年5月10日付けで「カルフールUSAの米国撤退」と、平成6年5月17日付けで「仏カルフール アジア開拓を加速」と、平成7年1月1日付けで「始まったアジア市場争奪戦世界の有力小売業続々進出・・・欧州から仏カルフール、・・・」と、平成7年5月23日付けで「仏カルフール アジア進出加速」と、平成9年12月18日付けで「大型店、食うか食われるか・・・アジア地域で広くハイパーマーケットを展開するカルフール・・・」と、平成9年7月1日付けで「実績武器に日本進出 仏スーパー・カルフール 英百貨店・M&S」と、平成9年1月7日付けで「アジア戦略の”要衝“に フランス最大の流通業カルフールが日本へ向けて動き出した。」と記載され、(甲第20号証ないし甲第26号証及び甲第37号証ないし甲第39号証)、日経金融新聞には、平成4年9月23日付けで「カルフール 業績の回復は期待薄」と、平成6年3月10日付けで「仏流通大手のカルフール 財務改善進み増益 93年」と、平成6年9月19日付けで「上期経常利益36.3%の大幅増 仏カルフール」(甲第28号証乃至甲第30号証)と記載されている。
さらに、「1997年度アニュアルリポート」には、「1963年にフランスのアネシーに第1号店をオープン、1973年にスペインのバルセロナに同国第1号店を出店、1975年にブラジルに同国第1号店を出店、1982年にアルゼンチンに同国第1号店を出店、1989年に台湾にアジアにおける第1号店を出店、1991年にポルトガルに同国第1号店を出店、1993年にイタリア、トルコにおいて同国第1号店を出店、1994年にマレーシアに同国第1号店を出店、1995年に中国に同国第1号店を出店、1996年に香港、韓国、タイにおいて同国第1号店を出店、1997年にポーランド、シンガポールにおいて同国第1号店を出店した。」旨の記載がみられ(甲第31号証)、昭和53年6月25日産業能率短期大学出版部発行の「ECの企業戦略(副題:欧州企業の実態と情報)」には、「CARREFOUR スーパーの代名詞-カルフール・・・・現在カルフール・グループは、フランス内外に50店舗、総売り場面積37万平方メートルを有し、年商49億フラン(約3000億円)を越えるフランス最大級の流通グループに成長し、カルフールという名がスーパーの代名詞として使われているほどである。」(甲第34号証)との記載がみられる。
以上を総合勘案すれば、請求人は、フランスのスーパーマーケットであって、1963年にフランス南東部に第1号店をオープンして以来、フランス全土に出店を進め、フランス国内の大型小売店となり、1975年頃より積極的に海外への進出を図り世界規模の企業へと発展し、1989年の台湾出店を皮切りにアジア地域への進出を進め、その後もタイ、中国、韓国等アジア地域を重要な市場として積極的に海外発展を図ってきていることが認められ、「Carrefour/カルフール」の文字は、請求人の名称ないしは商標として、遅くとも本件商標の出願時には、我が国において知られていたということができる。
(2)被請求人は、「本件商標は請求人自身が考案した造語ではなく、フランス語において『盛り場、交叉点』を表す語であり、また、請求人は本件商標が請求人を表す著名な名称である旨主張しているが、『国際的なハイパーマーケット』とのみ主張し、どのような具体的商品に関し、どのように著名かを全く主張していない。」旨述べている。
しかしながら、「Carrefour」がフランス語において『盛り場、交叉点』を意味する語であるとしても、「Carrefour」の欧文字と「カルフール」の片仮名文字を上下二段に書してなる本件商標は、上記(1)で認定のごとく、本件出願時には、フランスのスーパーマーケットの名称、すなわち請求人の名称として、この種業界において知られていたものであり、その状態は、現在においても継続しているというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、請求人の名称よりなるものと容易に認識されるものといわざるを得ず、かつ、その承諾を得ているものとも認められない。
したがって、本件商標は、請求人のその他の主張について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものと認められるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-05-17 
結審通知日 2000-05-26 
審決日 2000-06-06 
出願番号 商願平3-45839 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (121)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野上 サトル小宮山 貞夫 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 酒井 福造
大渕 敏雄
登録日 1993-07-30 
登録番号 商標登録第2558712号(T2558712) 
商標の称呼 カルフール 
代理人 石田 敬 
代理人 宇井 正一 
代理人 田島 壽 
代理人 山田 智重 
代理人 山田 勝重 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 山田 博重 
代理人 青木 篤 
代理人 山田 克巳 
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