ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 031 |
---|---|
管理番号 | 1051949 |
審判番号 | 審判1997-19453 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-11-17 |
確定日 | 2001-11-26 |
事件の表示 | 平成7年商標登録願第131179号拒絶査定に対する審判事件についてされた平成11年5月21日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成12年2月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「BOTTLE FLOWER」及び「ボトルフラワー」の文字を2段に併記してなり、第31類「ドライフラワー」を指定商品として、平成7年12月18日に登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、『瓶詰めされたドライフラワー』等の意を理解させる『BOTTLE FLOWER』及び『ボトルフラワー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。 3 証拠調べ通知書の概略 本願商標の「BOTTLE FLOWER」、「ボトルフラワー」の文字が、商品の品質を表示するものとして使用されている事実として、朝日新聞1998年5月12日朝刊福岡版(以下「証拠資料1」という。)、同新聞1997年9月14日朝刊京都版(以下「証拠資料2」という。)、同新聞1995年9月30日朝刊岡山版(以下「証拠資料3」という。)の写し各1通とインターネットの検索結果(http://www.1-100.com/lavieenrose、1999年11月11日採録)(以下「証拠資料4」という。)、(http://www.bremen.or.jp/2000年6月16日採録)(以下「証拠資料5」という。)、(http://www.saganet.ne.jp/2000年6月16日採録)(以下「証拠資料6」という。)、(http://www.abc ̄craft.co.jp/2000年6月16日採録)(以下「証拠資料7」という。)の写し各1通を通知した。 4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要旨 (1)証拠資料1の「ボトルフラワー」なる標章は、自他商品識別力のある商標として使用されている。 (2)証拠資料2の「ボトルフラワー」は、ペットボトルを使って花の形状を作成したもので、本願商標の指定商品であるドライフラワーを指すものではなく、本願商標が指定商品であるドライフラワーの品質を表示するものとして使用されている事実を証明するものではない。 (3)証拠資料3は、バイオ技術を使って、瓶の中で花を咲かせたものを「ボトルフラワー」と称し、瓶の中の花は生花であり、ドライフラワーではない。 (4)証拠資料4は、「ボトルフラワー」なる標章が記載されているが、証拠資料1の場合と同様に、自他商品識別力のある商標として記載されている。 (5)証拠資料5ないし7の「ボトルフラワー」は、ドライフラワーの商標(自他商品識別力のある商標)として使用されている。 (6)以上、証拠資料1ないし7に記載された事実をもって、本願商標が商品ドライフラワーの品質を表示するものとして使用されているとは到底言えない。証拠資料1ないし7に記載された事実、例えば、「ボトルフラワー」が「フラワーボトル」と称せられたり、ドライフラワー以外の商品が「ボトルフラワー」と称せられたり、ドライフラワーについて商標として「ボトルフラワー」が使用されている事実に鑑みれば、「ボトルフラワー」は自他商品識別力のある商標であると認められる。また、甲第5号証には、「原色ドライフラワー」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第6号証には、「アートドライフラワー」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第7号証には、「フラワーボトル」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第8号証には、「エバーフラワー」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第9号証には、「ハンナジュエリー」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第10号証には、「立体アレンジ」なる名の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。甲第11号証には、「クリスマスグラスフラワー」なる商標の下にグラス容器に封入したドライフラワーが掲載されているが、この説明文の中に、これが「ボトルフラワー」であるとの掲載はない。また、1998年に大阪ドームで開催された大阪国際らん展’98において、請求人の製造に係るドライフラワーが展示されたが、決してボトルフラワーなる分類に属するものとはされてない(甲第12号証)。「…そしてついに、清楚にして華麗な独自のアレンジを完成し、オリジナルなフラワーアレンジメントの世界を開いたのです。請求人は”ボトルフラワー”と名付け、1989年に専門のスタジオを開設。ごく少数に生徒で始めた教室が口コミで人気を広げ、今では17教室350人までになりました。」(甲第13号証)と記載されているように、ドライフラワーなる商品に関する標章「ボトルフラワー」は、請求人が自他商品を識別するために名付けた商標である。大阪市が企画・運営する「咲くやこの花館」では、1996年以降請求人の「生花を乾燥させてガラスの器に飾った作品」を「ボトルフラワー」と称して展示している(甲第14号証ないし17号証)。請求人の商品のみが、公設の施設で毎年展示されているであり、少なくとも大阪市では、請求人の「ボトルフラワー」なる商標は周知である。以上のとおり、本願商標は自他商品識別力を有する商標であることは明らかである。 5 当審の判断 (1)本願商標は、前記したとおりの構成よりなるものであるが、構成文字の「BOTTLE」、「ボトル」及び「FLOWER」、「フラワー」の各文字は、それぞれ「瓶」及び「花」を意味する語として広く親しまれている語と認められる。 そして、「瓶の中で帆船などを組み立てた手工芸品」を「ボトルシップ」(bottle ship)と称している用例にならえば、本願商標は、その指定商品である「ドライフラワー」の需要者に、「瓶状容器に入ったドライフラワー」程度の意味合いを容易に認識させるとみるのが相当である。 (2)証拠資料1において、「加工した花をびんに詰めた」ものを「ボトルフラワー」といっている事実、証拠資料2において、「ペットボトルを組み合わせて花が咲く様子を再現してみせる」ことを,「ボトルフラワー」といっている事実、証拠資料3において、「瓶の中で栽培されているサボテン、オリヅルラン、ポトス、ドラセナ等」を「ボトルフラワー」といっている事実、証拠資料4において、「ウエディングブーケなど特殊ドライ加工したものをボトルの中に埋め込んだ」ものを平成11年11月11日当時まで「ボトルフラワー」といっていた事実、証拠資料5において、「ガラス容器で生花の色をそのままに」したものを「ボトルフラワー」といっていた事実、証拠資料6において、「ドライフラワーをガラスビンにセット」したものを「ボトルフラワー」あるいは「フラワーボトル」といっている事実を平成12年6月21日付け証拠調べ通知書を請求人に通知した。 (3)これに対し、請求人は、証拠資料1、同4及び同5ないし7の「ボトルフラワー」及び「フラワーボトル」は自他商品識別標力のある商標と主張している。 しかしながら、上記通知書に掲げた「ボトルフラワー」及び「フラワーボトル」の文字が自他商品の識別標識として機能し得ないことは、上記(2)の事実に照らして、いずれも「瓶状容器に入ったドライフラワー等の花のたぐい」を「ボトルフラワー」及び「フラワーボトル」といっていることからして明らかである。 また、請求人は、甲第12号証ないし甲第17号証に基づき、「ボトルフラワー」は自他商品識別力のある商標識として採用し、1989年以降継続して使用している。しかも、少なくとも大阪市では請求人の「ボトルフラワー」なる商標は周知である、旨主張している。 しかしながら、甲第12号証(「大阪国際らん展’98」のパンフレット)をみると、「ボトルフラワー」の文字は、同パンフレット6頁の出展者一覧のその他の部分に「しょうこボトルフラワースタジオ丸山しょうこ」の文字の一部を構成文字として形成しているにすぎず、「ボトルフラワー」の文字部分が指定商品「ドライフラワー」との関係において、自他商品の識別標識として機能しているとは到底認められないものである。甲第13号証(漫遊紀行’95新年号)に「…そしてついに、清楚にして華麗な独自のアレンジを完成し、オリジナルなフラワーアレンジメントの世界を開いたのです。請求人は”ボトルフラワー”と名付け、…」の記載に基づき、ドライフラワーなる商品に関する標章「ボトルフラワー」は、請求人が自他商品を識別するために名付けた商標である、としているが、名付けた「ボトルフラワー」の文字が自他商品の識別標識として機能するか否かは該記載とは無関係である。さらに、甲第14号証ないし甲第17号証(「咲くやこの花館21,29、33及び37巻春号」のパンフレット)をみると、「丸山しょうこボトルフラワー作品展」、「ボトルフラワー教室」、「ボトルフラワー作品展」及び「協力:しょうこボトルフラワースタジオ」の記載を確認でるが、いずれも「作品展名」、「教室名」及び「スタジオ名」の構成文字の一部を形成しているにすぎず、「ボトルフラワー」の文字自体が指定商品「ドライフラワー」に使用されて、少なくとも大阪市では請求人の「ボトルフラワー」なる商標は周知であるとする証拠はみあたらず、この点請求人は主張するに止まると認められる。 (4)以上を総合すれば、本願商標は、「瓶状容器に入ったドライフラワー」等の意味を容易に認識させる「BOTTLE FLOWER」及び「ボトルフラワー」の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないこと、証拠資料1ないし6を総合すると、「瓶状容器に入っているドライフラワー等の花のたぐい」を「ボトルフラワー」といっていることが窺い知れること、「ボトルフラワー」は、請求人が名付けた商標であるとしているが、指定商品「ドライフラワー」との関係において、商標として機能するようによほどの工夫をこらさない限り、「BOTTLE FLOWER」及び「ボトルフラワー」の文字は、その取引者・需要者にあっては「瓶状容器に入ったドライフラワー」程度の意味合い認識するに止まるとみるのが相当である。 (5)そうとすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、商品の品質、用途を表示したものと理解、認識するに止まると認められ、自他商品の識別標識として機能し得ないといわざるを得ない。 (6)請求人は、平成13年1月4日付け上申書において、本願商標が自他商品識別力がある資料として参考資料2ないし4を提出し、本願商標も「辞書や辞典等に記載がなく」、「請求人自らが案出した造語であり」、「これは1989年以降10年以上長年使用されているのに対し、第三者の使用は1998年以降の最近の短期間であり」、「他の同業者の多くは、別の名称を使用している。」したがって、本願商標は、乙第1号証及び乙第4ないし8号証の存在によって、自他商品識別力を失っているものではない旨主張している。 しかしながら、提出された参考資料2ないし4は、いずれも本願とは商標において相違し、指定商品において相違するものであるから、その主張は採用できない。 (7)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしてその出願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消す限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-04-19 |
結審通知日 | 1999-05-07 |
審決日 | 1999-05-21 |
出願番号 | 商願平7-131179 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(031)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 真規子 |
特許庁審判長 |
佐藤 敏樹 |
特許庁審判官 |
板垣 健輔 上村 勉 八木橋 正雄 山田 忠司 |
商標の称呼 | ボトルフラワー、ボトル |
代理人 | 奥村 茂樹 |