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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 107
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 107
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない 107
管理番号 1051943 
審判番号 審判1997-1309 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-01-22 
確定日 2001-11-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2713755号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2713755号商標(以下「本件商標」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第7類「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、昭和59年12月7日に登録出願され、平成8年5月31日に設定登録がなされ、平成10年12月3日に商標権の一部放棄により、「『建築基礎用組立鉄筋、その他の金属製建築または構築専用材料』以外の建築又は構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」が抹消登録されているものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第23号証を提出している。
2 請求の理由
(1) 本件商標はすぐれた基礎を意味する「super base」を片仮名文字で表わしたものであって本件指定商品中、住宅などの基礎、基礎用の材料などに関し、商品の品質、内容の表示を普通に用いられる方法で表示したものであるに過ぎないから、商標法第3条第1項第3号あるいは同第6号に該当し、これがその意味する商品以外のものに使用されるならばその品質について誤認を生じるので同法第4条第1項第16号にも該当するから、同法第46条に基づき無効とされるべきである。
(2) 本件商標の構成についてみると、本件商標は通常に印刷書体で表わされた片仮名文字「スーパーべ一ス」からなるものである。前半の「スーパー」は英語の「super」の表音を片仮名文字で表したものであり、これは優秀な、すばらしいを意味する平易な用語として一般に知られ、我が国市場においても上級の商品、優秀な商品、優れたものを意味する好ましい用語として各業界に於て使用されているところである。
また、後半の「べ一ス」は、基礎、土台、基礎となる、基礎を置くを意味する平易な英語「base」の表音を片仮名で表わした用語であるにすぎない。
片仮名文字で表わした「ベース」は、英語に由来するといっても日本語化している一般的な用語であって、英和辞典のみならず我が国の国語辞典、片仮名用語辞典にも「基礎、土台」を意味する用語として掲載されている。
したがって、我が国において、「ベース」といえば、建築構築用の基礎、土台を意味する平易な用語として一般に認識されているところである。すなわち、本件商標「スーパーべ一ス」は、英語の「super base」の表音を片仮名文字で表わしたにすぎず、これが、基礎、土台を意味する「base」に商品の品質、等級の表示に、品質の優秀、すばらしいを意味し、接頭語的に用いられる「super」で、形容したものであって、これが全体として、単に、優れた土台、優れた基礎、すばらしい土台を意味する一般的な用語であるにすぎない。英語が普及した今日の社会において、本件商標「スーパーベース」に接する者は、当然にこれが英語の「super base」であることを理解し、優れた基礎、優れた基礎材を意味するものとして認識、記憶するところである。そして、これが優れた基礎、すばらしい土台という以上の意味をもちうるものではないし、これがまとまって先の意味とは異なる格別の意味をもつ用語になるといった特別の事情もない。商品の製造、販売を行なう者は誰でもその取扱いにかかる商品が優秀であること、すぐれていることを訴えるものである。「base」「ベース」が基礎、土台、基礎用を意味する用語として知られているところ、これに「super」、「スーパー」を付しても、依然として商品の内容を表示する一般的な用語であって、これが商標として必要な自他商品識別標識として機能しえないことは明らかである。
以上の通り、本件商標「スーパーべ一ス」は商品の品質表示に商品の一般名を表示する語を加えたものにすぎず、かかる識別力のない用語の単なる寄せ集めにずぎず、これを全体としてみても需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。
よって、本件商標をかかる商品に使用してもこれが優れた品質を有する基礎であることを示すに過ぎず、単にその商品の内容を普通に用いられる方法で表示するものであるにすぎず、本件商標は商標として登録するに足りる自他商品識別力を有するものではなく、商標法第3条第1項第3号または第6号に該当するものである。
(3) 本件商標は、商標法第3条第2項が適用されて、登録されたものではなく、実際の市場をみても商標法第3条第2項が適用されうるものではない。
請求人等は、従来より各種木造住宅やプレハブ住宅の基礎鉄筋枠の組立をワンタッチでできる商品を製造販売してきた。これは、基礎鉄筋枠を構成するべ一ス基礎鉄筋に現場で立上がり筋を引起こすことにより、組み立て可能とする商品であって、従来の基礎にない優れた基礎を意味する「スーパーべ一ス」としてその内容を誇示すべく共通して表示してきた。すなわち、自己の商品について「スーパーベース」を使用しており、本件商標「スーパーベース」は、建築業界において、高機能の基礎を意味する一般的な表示として認識、記憶されていたものである。本件商標が登録された平成8年5月以前において、「スーパーベース」は、多数の業者によって、優れた基礎、機能的に優れた基礎材料、素晴らしい基礎を意味する好ましい表示として使用されていたのであって、かかるありふれた用語が突然として独占権として浮上することは、これら既得の使用者の継続使用を妨げることになり、取引の秩序、安全を害することに他ならない。
本件商標「スーパーベース」は、素晴らしい基礎を意味する平易な用語であって、「スーパー」「ベース」「素晴らしい」「基礎」「土台」などの用語と同様に、何人もその商品に自由に使用しうる一般的な用語であるにすぎない。
英語の「super base」を片仮名文字で表わしたにすぎない本件商標「スーパーべ一ス」は、自他商品識別力のないものとしてこれを特定人の独占に委ねるべきではない。本件商標のごとく一般的な用語「べ一ス」に品質を誇示する「スーパー」を単に組合せたに過ぎないものが登録され特定人の商標として独占されることは一般人の商標採択の自由を奪い、結局「スーパー」「べ一ス」といった用語に独占権を認めたこととなってしまい不合理である。
かかる基準に即し考察するとしても、素晴らしい基礎を意味する英語の「super base」を片仮名文字で表わしたにすぎない本件商標「スーパーベース」は、商品の内容を直接に記述するものであって、その内容を直観させるものである。
(4) 本件商標は、上記した各種基礎用以外の「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材」をも指定商品として登録されている。基礎として使用しえない各種金属製建築または構築専用材料、セメント、木材、石材などに基礎を意味する「べ一ス」の語を含む本件商標が使用されれば、これを基礎用の商品、あるいは基礎に適した商品としてその商品の種類を誤認するおそれのあることを否定できない。特に、住宅や各種建築構築物の基礎をなす商品については、厳格に強度を要請されるところ、壁や屋根用などの一般的な用途用の各種金属製建築、構築材料、セメント、木材、石材などを、べ一スの文字から「基礎用」として理解し、建築現場で誤って使用してしまうおそれを否定できず、かかる意味における誤認が建造物の耐久性に関し危険を生じるおそれも指摘される。以上のように、基礎を意味するべ一スの文字を含む本件商標「スーパーべ一ス」が基礎用以外の各種金属製建築、構築材料、セメント、木材、石材のみならず、あらゆる用途の各種金属製建築、構築材料、セメント、木材、石材などに使用されるならばその商品の品質について誤認を生じるおそれがあり、本件商標は同法第4条第1項第16号にも該当するものである。
2 答弁に対する弁駁
(1) 本件商標「スーパーべ一ス」は、この「スーパー(super)」及び「べ一ス(base)」を連続したにすぎず、単に、優れた基礎、優れた土台を意味する一般的な用語であるにすぎない。商品の一般名称を表わす名詞「べ一ス」の前に、これを形容する「スーパー」を配するのは自然かつありふれた用法である。本件商標「スーパーべ一ス」は、これを全体としてみても優れた基礎、すばらしい土台あるいはこれらを構築する材料を直接に意味する一般的な用語であるにすぎず何等自他商品識別力を有するものではない。商品の製造、販売者は何人でもその商品が優秀であること、優れていることを訴えるものである。本件商標「スーパーベース」は、かかる商品の一般名を普通の方法で誇称する表示であるにすぎない。基礎、土台に関し「スーパーべ一ス」なる用語は、何人もその使用を欲する一般的な魅力ある用語であるにすぎない。たとえ、この結合した形態で現に使用されてはいないものであったと仮定しても、かかる用語は商標として登録されるに足りる独占適応性を有するものではなく、これが自他商品識別力を有するものではない。建築用の基礎について最近の技術的な発展は目覚ましいものであり、従来にない高機能な商品、優れた商品を開発した場合に、「スーパーベース」といった表示を使用し、あるいはその使用を欲することは充分に予想されるところである。
請求人が主張する通り、三栄商事株式会社、新光産業株式会社、株式会社タツミ、株式会社テザックほかが「スーパーべ一ス」を本件商標の登録時使用していたこと、これら各社の使用は広範なものであって、取引界において広く知られていたことはこれを認める。そして、これら各社が件外林精工株式会社より住宅用の「べ一ス(基礎)」に関する実用新案に基づく実施権の許諾を受けていたこともこれを認める。しかしながら、この契約は専ら実用新案の許諾に関するものであり商標に関するものではない。
「ベース(基礎)」について一般的な誇称表示にすぎない「スーパーべ一ス」について同社及びその関係会社とも何等の権利はなかったし、かかる用語は何人も自由に使用しうるものであると当然に認識されていたのである。
使用中止の申入れなるものも専ら本件商標の登録を基礎として平成8年7月にされた主張であり本件商標が登録されるまで何等の間題なくこれら各社が「スーパーべ一ス」を自由に使用していたのである。当該製品は、従来現場で個別に編上げなければならなかった基礎筋を予め工場で組み立てたものとしておき、現場では設置して立上げるだけで直ちに基礎筋の工事を完了しうるもので、従来にない優れた基礎という意味で「スーパーべ一ス」と称するようになったものであるにすぎない。そもそも、無効審判の対象となっている本件商標はサプロン建材工業株式会社のため登録されたものであって先の実用新案の許諾者たる件外林精工株式会社とは別法人である。
(2) 本件商標の登録は、その使用より実質的にみても使用による顕著性の取得など認められるものではない。本件商標の構成と乙各号証に示す実際の商標の使用態様は同一性を有するものではない。使用による顕著性の取得が認められるためには完全に同一の態様で使用していなければならない。本件登録の過程における拒絶査定において正しく指摘された通り使用商標と本件商標は同一ではない。
本件商標はサプロン建材工業株式会社のため登録されたものである。その登録時には、「スーパーベース」は、サプロン建材工業株式会社のほか、三栄商事株式会社、新光産業株式会社、株式会社タツミ、株式会社テザックなどが並行して使用していたのである。本件商標の登録時においてサプロン建材工業株式会社が本件商標を独占的に使用していた事実など全くない。そもそもサプロン建材工業株式会社の「スーパーべース」の販売額よりは三栄商事株式会社、新光産業株式会社、株式会社タツミ、株式会社テザックほかの販売額の方が遥かに上であって、「スーパーべ一ス」がサプロン建材工業株式会社の商標として周知されていた事実はない。「スーパーベース」は、サプロン建材工業株式会社のみならず、請求人、三栄商事株式会社、新光産業株式会社、株式会社タツミそのほかの各社が自由に使用していたのである。被請求人は、実用新案の許諾をいうが、実用新案の実施についてもこれら各社はサプロン建材工業株式会社と同等の実施者である。ちなみに、件外林精工株式会社とも実用新案の許諾は得たが商標の使用について何等の許諾関係もなかった。いずれにしても、サプロン建材工業株式会社以外の「スーパーべ一ス」の使用は、「スーパーベース」が一般的に使用されていて独占適応性がないことの主張に寄与することは当然として、本件商標が自他商品識別力を有することを基礎づけるものではない。請求人と本件商標登録時における出願人であったサプロン建材工業株式会社とこれら使用者との間で何等の契約はなく、件外林精工株式会社の実用新案に関する主張は商標に関する本件商標の無効審判の審理において何等問題となるものではない。
(3) この使用は、件外林精工株式会社との地域を分割してベース筋の実用新案に関する実施許諾契約に基づくものであるが、この実施契約は専ら実用新案に関するもので「スーパーべ一ス」の名称は各社自由に使用しうるものとして本件商標が登録されるまで平穏かつ自由に使用してきたのである。林精工株式会社自身「スーパーべ一ス」の文字について何等の権利を主張することはなかったし、また同社及び関連する者が商標出願をしていることに言及したこともなかった。一般常識よりしても「べ一ス」「べ一ス筋」について「スーパーべ一ス」といったあたりまえの名称がよもや商標登録されるとは思わなかったし、あるいは本件の出願を知ってもこれが自他商品識別力を有しないとして拒絶された先の審査経過を信頼して各社が自由に使用してきたのである。そして、実用新案登録の期問満了による契約終了に伴い各社が自由に当該考案を実施しうることも勿論である。しかるところ、当初拒絶されていた本件の商標出願がその出願より12年を経て突然浮上し、同じ被許諾者の一に過ぎなかったサプロン建材工業株式会社によって登録されたものである。自他商品識別力のないあるいは極めて弱い本件商標「スーパーべ一ス」のごとき商標に登録を認め平穏に継続してきた取引の安全を害することは商標法の目的とするものではなく、本件商標の登録は適法なものではない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第28号証(枝番号を含む)を提出している。
1 本件商標を構成する「super base」の文字が、取引の実情に照らし、需要者に商品の品質を表示するものとして格別の意味を有するものであるとは認識しえず、また、「super base」の語が本件商標の指定商品について、商品の品質を表示する文字として、一般に使用されている事実もなく、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質を表示するものではなく商標法第3条第1項第3号あるいは6号には該当しない。また、これがその意味する商品以外のものに使用されても商品の品質を誤認を生じさせるおそれもないものであり、同法第4条第1項第16号に該当しないものである。更に、本件商標は、その登録出願当時、既にそれ自体で自他商品の識別機能を営むに十分であったというべく、商標法第3条第2項のいわゆる特別顕著性を備えていたものである。
(1)本件商標を構成する「スーパーべ一ス」の文字を全体として見るときは、前半の「スーパー」の文字がたとえ「よりすぐれた等」の語義を有する「super」の字音を、また、後半の「ベース」の文字は、「基礎等」の語義を有する「base」の字音を片仮名で表したものであるとしても、これに接する通常の取引者、需要者が「スーパーべ一ス」の文字が本件商標を実際に付して使用している商品である基礎鉄筋ユニットの品質を表示する語として、格別の意味を有するものであるとは認識し得ない。このため、「スーパー」の文字を名詞の前に置くような商標であっても、結合されたことにより、特定の意味を表現しない造語と判断されて識別性を有するものとして判断されてきた。従って、本件商標の全体を商品の品質の呼称表示として認定すべきではない。
「ベース」「base」の文字は、「基礎、土台等の意味として一般に親しまれ用いられている」とされたが、前半に形容的な語句を付けて造語とすることにより、単独で「べ一ス」として取引上普通に使用されている建築用の基礎という意味がなくなり、実際に、今までも「XXXベース」として、指定商品第7類の「建築又は構築専用材料、セメント、木材、ガラス」を指定商品として登録されていることを勘案するに、「ベース」単独で使用されている場合にはともかく、「XXXベ一ス」として造語として使用された場合には、需要者の間にも何らの混乱もなく、商取引がなされているのが現実である。
(2)三栄商事は、東関東及び西関東に専用実施権を設定された専用実施権者であり、新光産業は、岡山、沖縄等13県について使用許諾された通常実施権者であり、タツミは、設定された専用実施権者であり、テザック(旧帝國産業株式会社)は設定された専用実施権者である。また、これらの4社を合む実施権者等で、日本スーパーベース協会を設立し、限定された実施権者等の各許諾設定範囲において、スーパーベースを使用するようにしたものである。しかしながら、平成7年10月2日をもって、上記実用新案登録が権利消滅となったが、上記ノウハウ契約書も権利消滅したものとして、上記実施権者のうちテザックが通知書を送付してきたため、被請求人が「スーパーベース」の使用差し止め要求の回答書を送付したのにもかかわらず、依然として「スーパーべ一ス」の商標で基礎鉄筋ユニットに使用していたため、平成8年12月27日付けで、本件商標出願人が、商標「スーパーベース」の名称を使用しないでほしい旨上記実施権者に再度通知したところ、、商標「スーパーベ一ス」の登録は無効であるとして、上記4社の実施権者等が本無効審判を請求したという回答書を送付してきたものである。従って、本件商標の無効審判請求人は、商標「スーパーベース」を付した基礎鉄筋ユニットの実施権者であり、建築業界において、高機能の基礎を意味する一般的な表示として認識、記憶されていたものであり、これら既得の使用者の継続使用を妨げるものであるという上記主張は、全く当を得ないばかりでなく、商取引の信義則に反する行為であると言わざるを得ないものである。ノウハウ実施契約が終了したにもかかわらす、商標「スーパーベース」を付して、基礎鉄筋ユニットを販売し使用を継続している上記通常実施権者の行為は取引の秩序、安全を害する行為であると言わざるをえない。
(3)無効審判請求人中、三栄商事株式会社は、被請求人の商標「スーパーベース」を、上述したノウハウ実施契約を締結していたにもかかわらず、あたかも三栄商事株式会自身が「スーパーべ一ス」の商品名の下に開発、考案した商品であるとして、同業者に対して通知書を送付しており、同業関係者に多大の迷惑をかけているのが実情である。更に、三栄商事は評価報告書等において、「ニュースーパーベース」という商品名で、本件商標と酷似する商標を使用している。なお、実用新案権については、上記ノウハウ実施契約により、知り得た技術内容を冒認して実用新案登録出願して登録されたものであり、ノウハウ実施契約の主旨に反するものであり、被請求人は、現在、実用新案登録無効審判を請求中である。
2 商標法第3条第2項について
(1)本件商標の登録に至る過程で、被請求人は、昭和60年10月22日付け意見書、昭和60年11月26日付け物件提出書を提出して、使用による顕著性の取得を主張したが、昭和61年1月24日付け拒絶査定において「甲各号証に示す標章と本願商標は、その構成が相違し、本願商標は、その指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるに至ったものとは認めがたい」と判断されたが、上記の証拠に示す日刊工業新間の記事「スーパーベース」は誤記によるものであり、これは、本件被請求人が拒絶査定の不服の審判においてその請求の理由で説明したように明らかであり、上記のノウハウ実施契約書及び出荷台数表により、本件商標による商品は約100億円近い売り上げとなっており、更に引き続いて太々的に使用しているので、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識されて、平成7年11月15日付けの審決により商標登録されたものである。請求人は、「スーパーベース」は多数の業者によって、すぐれた基礎、機能的にすぐれた基礎材料、すばらしい基礎を意味する好ましい表示として使用されていた」としているが、「多数の業者」とは、請求人等の上記ノウハウ実施契約による通常実施権者にすぎないものである。そもそも、本件商標の当初の出願人である林精工株式会社は、昭和39年に資本金100万円創立されて、現在では資本金2000万円となり、その後、サプロン建材工業株式会社という子会社を設立し、現在資本金1000万円となっており、主に、基礎鉄筋ユニット等を製造販売して発展してきた会社であり、業界においてもその製品の独自性には、定評があり、上記のノウハウ契約書にも示されるように、製品は同業他社へも通常実施権を設定し、出荷台数も本件商標が登録出願された昭和58年12月7日よりも以前の昭和57年11月より昭和58年12月7日までにも、既に約25000個以上が売られていたものである。商標登録出願後も、更に、売り上げを順調に伸ばし、平成8年度における年度別売り上げは、10億円以上となっている。また、上記4社からのノウハウ契約による実施料も、合計約9760万円以上となっている。更に、「スーパーべ一ス」を基礎鉄筋ユニットに表示した製品を広告宣伝したものとして、添付した被請求人の「スーパーベース」の新間広告、パンフレット及びカタログ等多数あり、かかるカタログ、パンフレット、新聞、広告等、約8000万円の宣伝費用をかけて、昭和58年から平成7年まで約15年間において、宣伝広告を行った結果、本件商標が取引者及び一般需要者間に広く知れ渡るように努力を重ねてきたものである。このように、「スーパーベース」を基礎鉄筋ユニットに使用した被請求人の商標は、商標登録出願をした昭和58年12月7日当時及びその登録がされた平成7年12月4日当時、一般取引界において、「スーパーベ一ス」と表示すれば、サプロン建材工業株式会社の製品であることを示すものとして、周知著名になっていたものである。以上述べたように、被請求人であるサプロン建材工業株式会社の製造販売する「スーパーベース」を付した基礎鉄筋ユニットの業界に繋ける好評判と、被請求人の多種多様な手段を用いた宣伝広告の結果、本件商標は特定の業者が製造する基礎鉄筋ユニットを示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者及び一般需要者の間に広く認識されるに至ったものである。詳述したとおり、本件商標「スーパーべ一ス」は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質を表示するものとは言い難く、自他識別標識としての機能を果たしうるものである。従って、本願商標は、商標法第3条第1項第3号又は6号に該当するものではなく、また、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものであり、同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、請求人の主張は当を得ないものであると言わざるを得ない。更に、本願商標は、その登録出願当時、使用により、既にそれ自体で自他商品識別機能を営むに十分な、いわゆる使用による顕著性を備えていたものであり、商標法第3条第2項に該当するものでもあるので、長年の使用事実により出所表示機能を発揮するようになった既得権を尊重するという商標法の趣旨からも本件商標登録を無効とすべきであるという請求人の主張は全くの誤りであると言わざるを得ないものである。
3 被請求人は近々に本件商標登録にかかる指定商品中、実際に使用している商品以外の商品を放棄し、本件商標と指定商品との関係を明確にする所存である。
本件商標中「スーパー」及び「べ一ス」を分離して観察すれば、各々が本件指定商品との関係において自他商品識別力が極めて弱い語である。しかしながら、だからこそこれらの二語は質的軽重の差なく密接不可分に結合しているのである。「スーパー」及び「ベ一ス」のいずれもがさほど強い自他商品識別力を有さない故に、一方が突出することなく堅固に結びついている。加えて本件商標「スーパーベース」は外観からみても同書、同大で一連一体にあらわされており、全体称呼を観察しても7音から構成されて、格別冗長にわたることもなくよどみなく一気に称呼されるひとつの造語と認識される。このように本件商標「スーパーべ一ス」は全体として一連一体のものであり、ひとつの造語であるから、そこから「スーパー」あるいは「べ一ス」のみを抽出して観察するのは不適当である。
上記契約は林精工株式会社の考案にかかる基礎鉄筋ユニットに関わるノウハウの供与についての契約であり、この契約書中、上記基礎鉄筋ユニットの商品名は「スーパーベース」であることが明記されている。上記契約は複数の会社と結ばれているが、それぞれの契約書において「スーパーベース」という商品名が明記されており、それとは別に客体の普通名称として「基礎鉄筋ユニット」と記されている。即ち、商品「基礎鉄筋ユニット」の商標として「スーパーベ一ス」が採択されていることがわかる。そして上記ノウハウ契約は昭和59年3月30日付けであるが、その日前の昭和58年12月7日に本件商標は出願されていた。このことは、林精工株式会社が商品「基礎鉄筋ユニット」の商標として「スーパーべ一ス」を遅くとも昭和58年12月7日には採択し、商標として使用する意思を有していたことを示している。又、林精工株式会社は昭和58年10月19日以前から商標「スーパーベース」を採択、使用しており、しかもその使用態様はまさに商標的使用態様である。これらの事実を鑑みれば、上記ノウハウ契約の当事者であった請求人等は商標たる「スーパーべ一ス」に注意を払うべきであったと思われるところ、「ベース(基礎)」について一般的な誇称表示にすぎない。「スーパーベース」について同社及びその関係会社とも何等の権利はなかったし、かかる用語は何人も自由に使用しうるものであると当然に認識されていたのである。」と述べているのは自らの商標についての知識の不足を露呈しているに過ぎない。
ある商標が使用により普通名称化したというためには客観的な事実の判断が必要であり、少なくとも一般消費者が普通名称化していることを認識する必要がある。そして、辞書や一般刊行物等において普通名称であるかのように使用されているのみでも足りない。この判断基準からみると、本件商標は登録時において被請求人の他、被請求人とノウハウ契約を交わしていた請求人等に限定して使用されていたのみであり、広く一般に使用を開放していたわけでもないし、一般刊行物において普通名称として取り扱われたこともなく、一般消費者が普通名称と認識していた事実も皆無である。従って、本件商標は登録時において自他商品の識別力を失っていなかった。
第4 当審の判断
そこで、本件商標が商標法第3条第1項第3号あるいは同第6号及び同法第4条第1項第16号に違背して登録されたものであったかどうかについて検討する。
1 まず、本件商標がこの法条に該当するが否かが判断される時期は、本件審判の審決日(本件商標に関する拒絶査定不服審判の審決日である平成7年11月15日)と解されるところ、審決時において、本件商標が上記法条に該当するか否かについて検討するに、当事者より提出された証拠によれば以下の事実が認められる。
(1)請求人(三栄商事株式会社、新光産業株式会社、株式会社テザック)の「住宅用基礎鉄筋ユニット」の商品カタログに、商品名として「スーパーベース」を使用している(甲第15号証ないし同17号証(乙第4号証の1ないし同号証の3と同じ))。
(2)乙第5号証は、「木造住宅基礎構築用筋枠」の公開実用新案公報であり、件外林精工株式会社の出願に係るものである。
(3)件外林精工株式会社と請求人「三栄商事株式会社」「新光産業株式会社」「株式会社タツミ」及び件外「佐澤金物株式会社」「帝国産業株式会社」「株式会社札幌山水」におけるノウハウ実施契約書、日本建築センターの評定に関する契約書、機械売買契約書、専用実施権設定契約書、通常実施権設定契約書等は、上記件外林精工株式会社の権利に係る基礎鉄筋ユニットの供与に関するものであり、商品名として「スーパーベース」と記載されている(乙第6号証)。
(4)日本スーパーベース協会発行のカタログよりすると、住宅基礎鉄筋ユニット「スーパーベース」が件外林精工株式会社に係る商品であり、日本建築センターの技術評定が完了(昭和59年12月15日評定)していること及び同協会が請求人を含め、被請求人及び前記(3)の件外「佐澤金物株式会社」「帝国産業株式会社」「株式会社札幌山水」の7社で構成されている(乙第12号証の1)。
被請求人の製造、販売に係る基礎鉄筋ユニットのカタログに、商品名として「スーパーベース」と記載されている(乙第12号証の3ないし4)。
(5)被請求人及び件外林精工株式会社に係る住宅基礎鉄筋ユニットを開発した新聞記事によると、該新聞の発行は昭和58年ないし同60年と認められる(乙第14号証ないし同19号証)。
(6)件外林精工株式会社と被請求人の新聞広告、新聞記事及びスーパーベース協会の雑誌広告は、基礎鉄筋ユニットに関するものであって、商品名として「スーパーベース」と記載されている。そして、該新聞の発行は昭和58年ないし同60年と認められる(乙第28号証)。
(7)乙第21号証ないし同22号証によれば、スーパーベース協会の懇談会は、件外林精工株式会社が主催していること、件外林精工株式会社とスーパーベース協会の一社である被請求人は、登記簿謄本によれば、代表者、住所が同じ(但し移転されてはいる)であること(この点は、被請求人は上記林精工株式会社の子会社であると主張している)から、親子会社と認められる。
以上の事実を総合勘案すれば、「木造住宅基礎構築用筋枠」が遅くとも昭和59年頃に、件外林精工株式会社により開発され、該社が実用新案登録権利者であること、請求人、被請求人等で構成する日本スーパーベース協会が設立され、上記林精工株式会社と同協会の各社が上記実用新案登録に基づくノウハウ実施契約書等の契約を結び、商品名を「スーパーベース」として、日本全国における製造、販売を担当していることが認められる。
また、乙第21号証によれば、請求人、被請求人等で構成する日本スーパーベース協会の懇談会が、第1回懇談会は、昭和59年7月7日、第2回は、昭和60年5月8日、第3回は、昭和61年3月17日〜18日、第4回は、昭和62年6月26日〜27日に開催され、林精工株式会社の代表取締役林明が主宰者として(その後理事長、会長に選出されている)、協会各社が参加し、事務局が帝国産業株式会社内に置かれたことの事実を認めることができる。(但し、被請求人の記載はないが、実質的に件外林精工株式会社と被請求人とは一体のものと認められる。)
さらに、昭和58年10月19日発行の日刊工業新聞(乙第14号証)、昭和58年10月30日発行の日本工業新聞(乙第15号証)、昭和58年12月3日発行の日刊工業新聞(乙第16号証)、昭和59年4月27日発行の日本工業新聞(乙第17号証)によれば、被請求人が住宅用基礎鉄筋ユニット「スーパーベース」を完成し、製造販売、昭和60年2月28日発行の日本工業新聞(乙第18号証)、昭和60年3月2日発行の日刊工業新聞(乙第19号証)によれば、件外林精工株式会社の開発した基礎鉄筋ユニット「スーパーベース」が日本建築センターから品質、性能面について公認され、製販協会(日本スーパーベース協会)を設立し、全国7ブロックに分担して製造販売することが認められる。
乙第28号証によれば、日刊工業新聞等の業界紙、住まいの設計等の業界誌の出版物に被請求人或いは件外林精工株式会社は、自社の名称と協会各社名とを表示した「スーパーベース」の広告を掲載し、基礎鉄筋ユニット「スーパーベース」の施工に関する各種技術等全国規模にわたるスーパーベースの宣伝広告に関する活動を継続して行ってきたこと、そして、同スーパーベースの施工実績(売上高)は、被請求人において、昭和62年度に101,199,759、平成4年度に431,780,288、平成8年度に1,027,502,014に達している事実を認めることができる。
そうすると、前示認定事実及びスーパーベース協会設立時前後の取引の実情に照らすと、スーパーベース協会は、被請求人及び件外林精工株式会社の開発した、基礎鉄筋ユニットスーパーベースの実施権を取得して、同工法を実施しようとする製造販売会社全員を会員として設立されたいわゆる業界団体であり、被請求人及び林精工株式会社による前示の普及宣伝活動の状況及び全国7ブロックに分担している普及状況よりすると、遅くとも本件商標の登録査定される時期までには、「スーパーベース」の語が「住宅用基礎鉄筋ユニット」の自他商品の識別機能を有する商標として継続使用され、上記住宅用基礎鉄筋ユニットを取り扱う当業者、需要者間において、「スーパーベース」の文字からなる本件商標は、被請求人の商標として広く認識されていたものと判断するのが相当である。そして、前記商品以外の商品について使用しても、当業者、需用者間において商品の品質の誤認を生ずる可能性はないものと判断するのが相当である。
2 請求人は、乙第28号証における使用は、スーパーベース協会各社の商標としての使用であり、独占適用性を有するものではない旨主張する。
しかしながら、前記認定のとおり、被請求人及び林精工株式会社が基礎鉄筋ユニット「スーパーベース」の開発者、命名者として、契約に基づき工法及び名称を管理してきた事実が認められ、被請求人の商標として広く認識されていたものであるから請求人の主張も、これを肯認することはできない。
3 請求人は、本件商標はすぐれた基礎を意味する「super base」を片仮名文字で表わしたものであって本件指定商品中、住宅などの基礎、基礎用の材料などに関し、商品の品質、内容の表示を普通に用いられる方法で表示したものであるに過ぎない旨主張する。
しかしながら、本件商標は、後記のとおり「スーパーベース」の欧片仮名字の構成よりなるところ、いずれも外観上まとまりよく一体として表現され、しかも、全体をもって称呼しても、「スーパーベース」とよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、たとえ、その構成中の「スーパー」の文字部分は「極度の、超、高級な」等の意味を表す接頭語で、我が国において親しまれた語であり、「ベース」の文字部分は、英語で「基本、土台、基地」等を意味する語であるとしても、かかる構成においては特定の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難い。
確かに、請求人の主張するように、「スーパー」(SUPER)の文字が、「優秀な」「高級な」の意において、商品の品質又は品質誇称表示として随時使用されているものであることは認められるとしても、他方において、該「スーパー」(SUPER)の文字は他の文字と結合して複合語を作る児童でさえ理解できる極めて平易な英語である。例えば、「super car」「super city」「super market」「super store」「super man」「super computer」等の如く、一つの熟語を構成する語である。
これに対して、「ベース」の文字は、上記意味合いを有するところ、本件指定商品との関係において、具体的に商品の品質を表示する語として使用されているとする事実を発見できない。
そうすると、本件商標は、全体として自他商品の識別機能を否定することはできないというべきである。
4 請求人は、「基礎用以外の各種金属製建築、構築材料、木材、石材のみならず、あらゆる用途の各種金属製建築、構築材料、木材、石材等に使用されるなら商品の品質について誤認を生ずるおそれがある」旨主張している。
しかしながら、「ベース」の文字から「基礎用」として理解し、建築現場で誤認し、建築物の耐久性に関し危険を生ずるおそれが指摘されるかどうかの評価は、多分に主観的な程度問題であるから、個人差も極めて大きく、このことは、品質の異同の問題ではなく、品質の優劣の問題に過ぎないものと考えるのが自然である。
そうとすれば、本件商標を全体としてみるときは、自他商品の識別力を持つと解するのが相当であって、その指定商品に使用しても商品の品質、用途等を表示するものではなく、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
5 したがって、本件商標が商標法第3条第1項第3号あるいは同第6号及び、同法第4条第1項第16号に違反して登録された旨述べる請求人の主張は、いずれも理由のないものであるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標

審理終結日 2000-03-17 
結審通知日 2000-04-07 
審決日 2000-05-01 
出願番号 商願昭58-116014 
審決分類 T 1 11・ 13- Y (107)
T 1 11・ 16- Y (107)
T 1 11・ 272- Y (107)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 三男 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 小池 隆
小林 和男
登録日 1996-05-31 
登録番号 商標登録第2713755号(T2713755) 
商標の称呼 スーパーベース、ベース 
代理人 高橋 康夫 
代理人 山口 栄一 
代理人 橋場 満枝 
代理人 高橋 康夫 
代理人 赤澤 日出夫 
代理人 石戸 久子 
代理人 高橋 康夫 
代理人 高橋 康夫 
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