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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200030826 審決 商標
取消200030574 審決 商標
取消2012300362 審決 商標
取消200230131 審決 商標
取消200130270 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 129
管理番号 1051860 
審判番号 取消2000-30665 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-06-09 
確定日 2001-12-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第1956721号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1956721号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第1956721号商標(以下、「本件商標」という。)は、「南アルプス」の文字を書してなり、第29類「清涼飲料、果実飲料、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和59年10月20日登録出願、同62年5月29日に設定登録、その後、平成9年10月7日に商標権存続期間の更新登録を経て、現に有効に存続しているものである。

2.請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を(一)のように述べるとともに、被請求人の答弁に対して(二)以下の旨弁駁した。
(一)請求人の調査によれば、本件商標は、過去3年以上に亘り取消請求に係る商品に全く使用されていないことが判明したので、その登録は商標法第50条の規定により取消しを免れない。
(二)請求人は、被請求人が、「南アルプス精水」という商標を用いて清涼飲料の分野に属するミネラルウオーター飲料を販売していることについては争わない。
しかし、被請求人の主張は、前記「南アルプス精水」において、自他商品識別力を発揮するのは、「南アルプス」の文字であるから、「南アルプス精水」は、本件商標の使用にあたるというものであるが、請求人は、本件商標「南アルプス」には識別力がなく、「南アルプス精水」の「精水」の文字部分には識別力があるので、「南アルプス精水」は全体として識別力を有し、それは一連一体不可分であり、本件商標とは異なると考える。
(ア)被請求人は、かつて、請求人の所有する登録第2669597号商標(「SUNTORY」「南アルプス天然水」の二段併記)に対して、本件商標を引用して無効審判請求を行ったが、その審判及びその審決取消訴訟において、「南アルプス」の表示は、採水地表示にすぎず、自他商品識別力がないとの判断が下っており、既にそれが確定している(平成13年1月29日付弁駁書の添付書類 東京高等裁判所の審決取消請求事件 平成10年11月26日判決言渡)ので、「南アルプス精水」の使用は、本件商標の使用でない。
(イ)被請求人は、上段に「南アルプス」を、その下段に「雪解精水」を表示した商標「南アルプス 雪解精水」を付した清涼飲料の販売をしていたと主張し、それに添付したラベルを提出しているが、それは本件商標をその指定商品に使用した事実を立証していない。
しかも、「南アルプス」の文字には識別力がないから、「南アルプス 雪解精水」が使用されていたとしても、「南アルプス」の表示そのものは、採水地表示にすぎず、本件商標を使用したことにならない。
したがって、被請求人の主張には理由がなく、本件商標は、過去3年以上に亘り使用されていないと判断されるべきである。

3.被請求人の主張の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として(一)以下の旨答弁するとともに、証拠方法として参考資料1乃至4並びに甲第1号証乃至同第7号証を提出した。
(一)請求人は、本件商標「南アルプス」が、過去3年以上に亘り全く使用されていないと主張し、本件取消審判請求をしているが、その主張には承服できない。
本件商標は、「清涼飲料、果実飲料、その他本類に属する商品」を指定商品としており、被請求人は、昭和63年頃より今日に至るまで継続して「富山市桜町1-1-61」に所在の「富山ターミナルビル株式会社」の「マリエとやま」1階の1区画において、その製造に係る商品の展示即売をしているが、その中には、「南アルプス精水」の商標を用いた清涼飲料水が含まれている(参考資料1及び2)。
なお、「南アルプス精水」については、上記以外でも、数年前から今日まで継続して販売している(参考資料3)。
(二)被請求人は、その経営に参加している藤井侃から、上段に「南アルプスノ」の文字を表示し、下段に「雪解精水」の文字を表示した登録第4245213号商標についての通常使用権の許諾を受け、さらに、藤井から、登録第3357617号商標の「南アルプス野天然水」と、登録第3100832号商標の「南アルプスの」の通常使用権を受け、本件商標の連合商標である両商標の商品化準備をしている。
(三)被請求人は、「南アルプス 雪解精水」を表示した清涼飲料水を「マリエとやま」1階の1区画で販売していた(参考資料4)。
被請求人が平成5年頃より使用していたミネラルウオーターのパンフレットには、「南アルプス」が商標であることが表示されている(参考資料5)。
(四)「南アルプス精水」において、自他商品識別力を有する部分は「南アルプス」にあり、「南アルプス精水」は、本件商標「南アルプス」と類似するので、「南アルプス精水」の使用は、本件商標の使用といえる。
(五)本件商標の商標権は、平成10年1月26日に藤井侃から被請求人
に移転登録され、現在、被請求人が商標権者となっている。そして、その移転登録がなされるまで、被請求人は通常使用権者として、本件商標を使用していた。
そこで、被請求人は、本件商標の使用事実を証明するために、「南アルプス 雪解精水」のラベル(参考資料4)を提示する。
「南アルプス 雪解精水」は「南アルプス」の文字と「雪解精水」の文字とを上下二段に横書きし、後者の文字は、前者の文字よりもやや大きく書してなるから、「南アルプス 雪解精水」の文字に相応して「ミナミアルプス」「ユキドケセイスイ」の称呼を生じ、当該称呼によって商取引に資されている。
地理上の「南アルプス」は、長野・山梨・静岡3県にまたがる山岳を占める国立公園として広く知られ、著名な名称であるから、使用商標に接する取引者、需要者は、上段に書された「南アルプス」の文字に注目し、これを捉えて、「ミナミアルプス」の称呼をもって取引にあたるとみるのが自然である。
してみれば、「南アルプス 雪解精水」のうち、「南アルプス」は、独立して認識、看取されるから、本件商標「南アルプス」の使用といえる。
被請求人は、その事実を証するために、指定商品中の清涼飲料水を販売しているボトルに「南アルプス 雪解精水」を付している写真(甲第1号証)を提出する。
また、それに付されている「南アルプス 雪解精水」は、「南アルプス」と「雪解精水」の大小の文字よりなるから、商標審査基準(甲第2号証)の第4条第1項第11号における(2)大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標の判断基準によって、それぞれ独立して認識される。
したがって、「南アルプス」の文字部分は独立して看取されるので、「南アルプス 雪解精水」は、本件商標「南アルプス」の使用に該当する。
(六)請求人は、「南アルプス 雪解精水」が、使用されていたとしても、「南アルプス」の表示は、採水地表示にすぎないから、本件商標「南アルプス」の使用にならないと断言しているが、本件商標「南アルプス」は、登録商標であって、現に有効に存続している商標権である。
請求人が、本件商標「南アルプス」の文字に識別力がないと決めつける根拠は、同人が引用した判決によると解されるが、本件商標と当該判決の商標とは、構成態様を異にするので、事案が相違し、参考にならない。
また、請求人の主張する「南アルプス」の文字が識別力を有しないということは、その登録が無効原因を含んでいるということであるが、たとえ、そうであったとしても、登録商標が当然無効あるいは識別力がないということにはならない。商標登録の無効は、特許庁における審判手続によってのみなし得るもので、商標権侵害訴訟で商標権に係る登録の無効が争われた場合であっても、裁判所は先決事項として商標登録の無効を判断し得ず、審決により商標登録が無効とされない限り、これを有効として判断しなければならない(甲第3号証)。
したがって、被請求人が提示した「南アルプス精水」の「南アルプス」の文字が識別力を有しないとか、「南アルプス 雪解精水」において「南アルプス」の文字は採水地表示である等を判断し得るものではない。
なお、登録後に商標権の存続が妥当でなくなった場合でも、商標登録は残存するし、商標が普通名称化したり、慣用商標化した場合でも、適切な無効事由のない限り、登録は存続する(甲第4号証)。
しかも、商標法第47条に規定する除斥期間の5年がすぎた場合には、妥当でない商標権でも存続することになるが、この場合には、商標法第26条により禁止権が及ばないとの調整がなされる。
すなわち、不使用による取消審判は、登録商標が識別があるとかないとかの問題ではなく、その登録商標が、法で定める期間内にその指定商品に使用されていれば、継続して使用していなかったことにはならないというものである。
(七)請求人は、本件商標「南アルプス」の文字が識別力を有しないとか、採水地表示と決めつけ、縷々主張しているが、請求人自身が、「南アルプス」の文字よりなる商標を、被請求人の指定商品と同一に近い商品に指定し、商標登録出願していることからすれば、同人の主張は矛盾している(甲第5号証及び同第6号証)。
(八)被請求人は、前記「マリエとやま」一階の1区画に、自己の経営する「愛菓」という直営店を設けており、ここで昭和63年頃より今日まで継続して、その製造に係る商品を観光客等に対して、直接展示販売している。その販売に係る商品中には、当然、本件商標を付した清涼飲料も存し、現に販売しているが、末端の消費者に対する販売であるから、レシートの発行のみで、取引伝票はなく使用の立証が困難であった。しかしながら、被請求人の所有する得意先元帳(抜粋)写し(甲第7号証)から、顧客の「広島県尾道市美ノ郷町三成丘 3086」に所在の「有限会社三協堂薬品」に対して、本件商標を付した清涼飲料を販売していた事実が判明したので、その使用を立証する。
なお、使用事実を示す証拠は、法に定められた期間内のものでなければならず、その条件を満たすのは、前記得意先元帳の伝票番号26734であって、平成9年7月28日取引している。
当該得意先元帳は、コンピューターで作成しており、商品名「アルプス精水南」と表示しているが、これは「南アルプス 雪解精水」の商品名をこのように表記したものである。
なお、得意先元帳の単価と金額は、企業秘密であり、データを削除している。
以上のとおりであるから、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

4.当審の判断
そこで、本件商標が、被請求人により本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、取消請求に係る商品に使用されていたか否かについて判断する。
被請求人の提出した参考資料一及び二には、「南アルプス精水」の文字を赤色で横書きした飲料水のボトルが見受けられる。
参考資料三からは、「南アルプス精水」の文字を横書きし、それを付してなる商品が、本件審判請求の登録前3年以内である1999(平成11)年9月28日、同11月24日、2000(平成12)年2年14日、同4月4日、同5月20日、同7月6日に取引されたことが窺える。
そして、当該資料からは、「アルプス精水」の文字を横書きし、それを付してなる商品が、本件審判請求の登録前3年以内である1999(平成11)年12月21日に取引されたことが窺える。
また、参考資料四には、「南アルプス」及び「雪解精水」の文字を上下二段に赤色で横書きし(以下、「南アルプス 雪解精水」という。)、それを付してなる清涼飲料水のラベル(紙片)が見受けられる(ただし、当該ラベルの作成年月日、これを実際に商品に使用した時期を特定する証左は見当たらない。)。
さらに、参考資料五には、「アルプス精水」の文字を黒又は青色で横書きし、それを付してなるミネラルウォーターのパンフレットが見受けられる(ただし、当該パンフレットの作成年月日等の記載は何ら見当たらない。)。
なおさらに、被請求人提出の甲第1号証には、「南アルプス」及び「雪解精水」の文字を上下二段に赤色で横書きし、それを付してなる空のプラスチックのボトルが見受けられる(ただし、その製造年月日等の記載は見当たらない。)。
それに加えて、甲第7号証(得意先元帳)からは、「アルプス精水南」の文字を横書きし、それを付してなる商品が、本件審判請求の登録前3年以内である1997(平成9)年7月28日、同11月8日に取引されたことが窺え、かつ、当該資料からは、「アルプス精水」の文字を黒色で横書きし、それを付してなる商品が、同年11月8日に取引されたことが窺える。
以上によれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する使用商標は、(1)「南アルプス精水」、(2)「南アルプス 雪解精水」、(3)「アルプス精水」、(4)「アルプス精水南」の文字からなるものと認められる。
そこで、本件商標「南アルプス」と使用商標中、(1)「南アルプス精水」、(3)「アルプス精水」及び(4)「アルプス精水南」を比較するに、本件商標が、「南アルプス」の文字のみを横書きした構成よりなるのに対して、(1)(3)及び(4)の商標の構成は、上記したとおりであって、その構成上、いずれも一体不可分のものと認められる。
そうとすると、本件商標からは、「ミナミアルプス」の称呼を生じ、「日本アルプスを構成する赤石山脈の別称」(株式会社岩波書店「広辞苑」第五版2568頁)といった観念を生じるといえるのに対し、使用商標(1)、(3)及び(4)からは、「ミナミアルプスセイスイ」、「アルプスセイスイ」又は「アルプスセイスイミナミ」の称呼を生じるというべきであり、これらの使用商標より、「ミナミアルプス」の称呼及び前記観念までをも生ずると判断すべき合理的理由は見当たらない。
したがって、本件商標と使用商標(1)(3)及び(4)は、社会通念上同一の商標ということはできない。
次に、本件商標「南アルプス」と使用商標(2)を比較するに、使用商標(2)は、「南アルプス」と「雪解精水」の文字を上下二段に横書きした構成よりなるところ、いずれの文字も赤色で軽重の差なく表示されており、色彩の一体性が認められ、構成上も一体と認め得るものである。
そうとすれば、「南アルプス 雪解精水」の文字に接する取引者、需要者は、これより例えば、「南アルプスの雪解けの精製水」というような一連の意味合いを看取し、取引等に資するものといわなければならない。
してみると、使用商標(2)からは、「ミナミアルプスユキドケセイスイ」の称呼及び上記した観念を生ずる。
これに対し、本件商標は、前記したとおり、「ミナミアルプス」の称呼及び「日本アルプスを構成する赤石山脈の別称」といった観念を生ずる。
そうとすると、本件商標と使用商標(2)とは、外観のみならず、称呼及び観念においても著しく相違するので、社会通念上同一の商標ということはできない。
それに加えて、使用商標(2)につき、被請求人が提出した参考資料四(清涼飲料水のラベル)においては、そのラベルの作成年月日及びそれを実際に商品に使用した時期が特定できないばかりでなく、甲第1号証(空のプラスチックのボトル)におけるボトルには、その製造年月日の記載すらもないので、結局、使用商標(2)は、商品に使用された時期が定かでないといわざるを得ない。
なお、被請求人の提出に係るパンフレット(参考資料5)には、「・・・・南アルプス・・・は商標登録です。」という記載があるものの、これが特定の商品につき、商標法上の商標として、自他商品識別標識としての機能を果たす形態で使用されていると判断することはできない。
しかも、当該パンフレットは、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用された事実も窺えない。
してみれば、被請求人の使用商標は、いずれも本件商標とは、その外観、称呼及び観念において著しく相違し、社会通念上同一の商標とは認められないので、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していなかったものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
なお、被請求人は、審理再開申立書を提出し、そこで「平成13年8月7日付提出にかかる被請求人の第2回審判事件答弁書の4頁下から11行目から9行目に記載のとおり、当該取消にかかる登録商標並びにその商標の使用時期について、証人を立てて立証する。」旨述べているが、新たに本件商標の使用事実を客観的に示す証拠の提出がない以上、証人尋問のみをもって、本件審判事件に係る認定・判断が左右されるものではなく、証人尋問の必要性も認められないので、本件審判事件に係る審理の再開は行わない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-09-26 
結審通知日 2001-10-02 
審決日 2001-11-05 
出願番号 商願昭59-110942 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (129)
最終処分 成立  
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 鈴木 新五
泉田 智宏
登録日 1987-05-29 
登録番号 商標登録第1956721号(T1956721) 
商標の称呼 ミナミアルプス、アルプス 
代理人 足立 泉 
代理人 柳生 征男 
代理人 吉村 公一 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
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