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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 037
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 037
管理番号 1047524 
審判番号 審判1999-35382 
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-07-26 
確定日 2001-10-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3249768号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3249768号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成4年12月16日に登録出願され、「ソリューション」の文字と「SOLUTION」の文字を2段に横書きしてなり、第37類「建築-式工事,しゅんせつ工事,土木-式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土木又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,船舶の修理又は整備,船舶の建造,航空機の修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,映写機の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,エレベーターの修理又は保守,火災報知機の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,電話機の修理,土木機械器具の修理又は保守,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,家具の修理,楽器の修理又は保守,時計の修理又は保守,洗濯,被服のプレス,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,浴槽又は浴槽がまの清掃,電話機の消毒,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),土木機械器具の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定役務として、平成9年1月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、「ソリューション」の片仮名と「SOLUTION」の欧文字を書してなる商標に係るものであるが、「ソリューション」なる語は、原語である英語の「SOLUTION」の有する「解決」の意味を有する語として、国内においても日常頻繁に使用される馴染み深い語であるため、「ソリューション」、「SOLUTION」なる語を例えば「建築工事-式,しゅんせつ工事,土木一式工事,有害動物の駆除」等に使用した場合、単に役務の質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
一方、上記以外の役務に本願商標を使用した場合は、役務の質の誤認を生じるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号または同法第4条1項16号に該当するものであることは明らかであり、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
請求人は「ソリューション」の語が外来語として日本語として定着しており、日常頻繁に使用される馴染み深い語であることを示す資料として甲第2号証の1、2を提出する。
次に、請求人は、「ソリューション」の語がコンピュ-夕のユーザ企業の各種業務・ビジネス等における問題や課題を解決すること、問題解決、問題解決提案、問題解決手法をいうことを示す資料として甲第3号証の1ないし4を提出する。
なお、甲第3号証の4は発行日が平成8年11月25日であり、本登録の登録査定日より後に発行されたものであるが、登録査定の僅か3か月後に発行されたものであり、発行の準備期間を考慮すると本登録査定時にはすでに「ソリューション」の語が上記の意味を有する語となっていたことを十分に示すものである。
また、「ソリューション(Solution)」の語は甲第4号証の1ないし5のように不特定の分野でまさしく「解決」の意味で「解決」の語より響きがよい外来語として多用されており、本登録の登録査定時にも同様の状況であったことは明白である。
被請求人は該語がコンピュータ用語として使用されている概念はあいまいであると述べているが、上記のとおり、該語は、「ユーザ業務における問題や課題のコンピュータシステム化を通じた解決」という特定の意味を有しており、その解決する内容は多岐にわたるが決して「あいまいな概念」ではない。
そして、「ソリューション」の語が「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」業務について使用された場合には「顧客のコンピュ-タハードウェアに関する問題を解決する」の意味で把握され、役務の質(内容)を表わすものであることは明らかである。
「ソリューション」の語は、その登録査定時には甲第3号証の1ないし同第4号証の5に示すような状況になっていた訳であるから、「取引上、現実に多数人に使用されているから、商標として登録しても特定人の役務を識別する標識としての機能を営みがたく、また、取引上多数人にその使用を開放しておかなければ商取引上不便であり、特定人に独占される場合には多数人に不足の損害を与える」ものとして登録されるべきではない。
また、被請求人は「ソリューション」の語が識別力を表す証拠として過去の第42類の登録例を複数あげているが、第42類の例が本件第37類に適用されるとはいえない。なぜ、第37類の例をあげないのか疑問である。
さらに、これら「ソリューション」の語を含む複数の語が併存しているということは、「ソリューション」の語には識別力がないか又はこれらの商標が一連一体でのみ看取されて全体として識別力を有する語として判断されたかを示すものであり、決して「ソリューション」の語が識別力を有することの証明にはなり得ないものである。
したがって、「ソリューション」の語は識別力を有しないものであり、本件は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、無効にされるべきものである。
なお、上記資料によってもなお、該語がコンピュータ用語として使用されている概念の特定が難しいとしても、該語は上記に述べた意味を想起させるものであり、需要者をして何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものにも該当するので、本件登録が商標法第3条第1項第3号に該当しない場合には同法第3条第1項第6号に該当するものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出している。
(1)商標法第3条第1項第3号に該当するとの理由について
(イ)請求人は、「『ソリューション』なる語は、原語である英語の『SOLUTION』の有する『解決』の意味を有する語として、国内においても日常頻繁に使用される馴染み深い語であるため、『ソリューション』、『SOLUTION』なる語を例えば、『建築工事-式,しゅんせつ工事,土木-式工事,有害動物の駆除』等に使用した場合、単に役務の質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3条に該当する。一方、上記以外の役務に本願商標を使用した場合は、役務の質の誤認を生じるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨を説示された。
即ち、本件商標「ソリューション/SOLUT ION」は、乙第2号証によれば、「溶解、解決」等の意味を有する英語であることが認められる。請求人は、該語は「国内においても日常頻繁に使用される馴染み深い語」と断定しているが、この指摘は、何らその事実の立証がなされていなく、正当性を欠くものである。
「SOLUTION」に「解決」の意味を含み、近年コンピュータ関連の用語として「顧客の情報化の課題を理解し、その解決のための支援をトータルに行なう」の意味において用いられているとしても、請求人が説示する指定役務について、「ソリューション/SOLUTION」が具体的にその役務の質を表わすものとして、普通に使用されている事実はなく、又、該語がコンピュータ用語として使用されている概念はあいまいであり、したがって、これからは役務の質は特定できないものである。
この点に関し、請求人は本件商標から「解決」の意味が生じ、したがって指定役務中の例えば、「建築工事-式,しゅんせつ工事,土木-式工事,有害動物の駆除」等に使用すれば役務の質を表示する旨を述べるだけで、「解決」の意味を有する「ソリュ-ション/SOLUTION」がなぜこれら役務に使用され、その役務の質を表わすものであるとする具体的な事実、役務の質を表わす語として普通に使用されている事実等を全く示していない。
(ロ)ちなみに、第42類の役務であるが、上記事実を示すものとして、過去の登録例をたどってみても、例えば、Quick-Solution登録第3331787号、BEST/SOLUTION登録第4027921号、ソリューションブティック登録第4067582号、ASソリューション登録第4083382号、98ソリュ-ションセット登録第4093039号、98BestSolution登録第4303349号等々が存在し、そのいずれもが役務として識別力を有し、又、役務の質の誤認を生ずるおそれがないとして、登録されており、これら事実は被請求人の答弁と一致その正当性を充分証左するものと深く確信するところである。
したがって、本件商標は商標法第第3条第1項第3号に該当するとの請求人の理由は成り立たないものである。
(3)商標法第4条第1項第16号に該当するとの理由について
前記(2)述べた理由により、本件商標をその指定役務に使用するも、充分自他役務の識別機能を果たし得るものであるから、これを如何なる指定役務に使用するも、役務の質について誤認を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するとの請求人の理由は成り立たないものである。

4 当審の判断
本件商標は、前記に示すとおり「ソリューション」の片仮名文宇と「SOLUTION」の欧文字よりなるところ、「SOLUTION」の欧文字は「解決、解答、溶解」等の意味を有する英語であり上段の「ソリューション」の片仮名文宇は、下段の欧文字の読みを表したものと認められる。
請求人の提出した甲各号証によれば、1995年4月15日株式会社アスキー発行の「パソコン用語ハンドブック」(甲第3号証の1)には、「ソリューション(solution)」の項で「メーカーやペンダーが、ユーザーの抱えている問題点や課題を解決するための方法を考えて、取引を成立させること。」、平成6年9月22日株式会社オーム社発行「最新マルチメディアに強くなる用語事典」(甲第3号証の2)には、「ソリューションブロバイダ」の項で「企業の情報システム構築をトータルにサポートするメーカーやソフト会社のこと、単にハードウェアを販売したり、ソフトウェアを受託開発するだけでなく、顧客の情報化の課題を理解し、その解決のための支援を行う。」、平成7年10月10日株式会社技術評論社発行「95一96年版、パソコン用語事典」(甲第3号証の3)には、「ソリューシヨンサービス」の項で「ユーザーに対してメーカーが問題解決手法を提供することをいう。」、平成8年11月25日株式会社オーム社発行「情報ネットワーク用語辞典」(甲第3号証の4)には、「ソリューション業務」の項で「ユーザー企業などにおける問題点を的確に把握し、最適なシステム化に向けての提案/販売/開発/保守により問題解決を行う業務をいう。・・・システム販売業界などにおいてはSI(システムインテグレーション)業務の一端としてソリュウション部門を設置することにより、自社業務の見直しや、販売手法の見直しを図っている。自社業務においてはシステム化/OA化により問題点を解決することが主眼である。」旨の記載がそれぞれあることが認められる。
なお、請求人は、上記のほかに、コンピュータ関連雑誌(甲第4号証の1ないし4)を提出し、その記事及び見出し等で「ソリューション/SOLUTION」の語が使用され、同じく、検索キーを「ソリューション」とした「YAHOO!」の検索結果(甲第4号証の5)の中に「ソリューション」「SOLUT1ON」の語が使用されていることが認められる。
そこで、上記甲第3、4号証(枝番を含む)の事典類及記事の記載について判断するに、これらの記事は、コンピュータ、パソコン、インターネットの利用者(取引者・需要者)をその購買者層として含むと考えられる出版社及び情報通信企業によって掲載されたものであるが、これらは紹介する用語又は紹介する記事、検索結果として、「ソリューション」「SOLUTION」等の用語が使用されているにすぎないものであって、それも他の語と連綴した熟語として使用されていることも多く、また、該検索結果はビジネスと経済、趣味とスポーツ、コンピュータとインターネット等、不特定多数の分野を検索対象にしたものと認められるものであり、該語が本件商標の指定役務との関係において結びつき具体的な指定役務の質(内容)となることを読者に認識させるような内容とはいえない。
ところで、コンピュータ、パソコン、インターネットのIT情報産業分野においては、次々と新しい機器が販売され、これに伴うシステムの提供に際して種々の問題課題を抱えており、これはユーザーにとっても同様のことであるが、これらの問題の解決にむけて機器の開発、製造及びこれに伴う業務を行うことは当然のことであり、かつ、永遠の課題ともいえるものである。
そうとすれば、本件商標は、「SOLUTION」(ソリューション)の語が「解決、解答、溶解」等の意味を有する英語(単語)であり、前述の如く該語が情報通信の分野において使用されているとしても、これが指定役務の分野を具体的に特定した語として理解されることはなく、また、該語がそのように用いられている証左は見出せない。
してみれば、本件商標は、その指定役務(例えば、「建築工事-式,しゅんせつ工事,土木一式工事,有害動物の駆除」等)に使用した場合、役務の質(内容)を具体的に表示したものとはいえず、自他役務の識別標識として機能し得るものであり、また、指定役務のいずれについて使用しても、その役務の質の誤認を生じさせるおそれのないものと判断するのが相当である。

5 むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-08-09 
結審通知日 2001-08-14 
審決日 2001-08-29 
出願番号 商願平4-323617 
審決分類 T 1 11・ 13- Y (037)
T 1 11・ 272- Y (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 巻島 豊二山口 烈 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1997-01-31 
登録番号 商標登録第3249768号(T3249768) 
商標の称呼 ソリューション 
代理人 作田 康夫 
代理人 井桁 貞一 

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