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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z33
管理番号 1041897 
審判番号 審判1999-19929 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-12-16 
確定日 2001-05-24 
事件の表示 平成 9年商標登録願第170666号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第33類「日本酒、洋
酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、平成9年10月27日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、その商品の
形状(収納容器)の一形態であることを容易に認識させる立体的形状を普通に用いられる方法の範疇をもって表してなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおり、金色多面体の容器本体部分と銀色の蓋部分とからなり、液体等を収納する容器の形状としての一形態を表したと認められるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
請求人は、「本願商標の形状は、普通に用いられる容器の形状の範疇に属するものではなく、それ自体特異なものであり、加えて、本体を金色にキャップを銀色に着色した酒類の容器は、他に例がないものであるから、本願商標は、自他商品の識別力を有する。」旨主張する。
しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品が液体であることより、その収納容器として特徴をもたせた多種の形状を採択し、販売していることが一般に行われているところであって、この特徴は、商品等の機能(使い易さ等)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲のものというべきである。
しかして、本願商標は、前記認定のとおり、その形状や色彩がやや特徴的なものであっても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは前記(1)で述べたとおりである。
また、請求人は、「本願商標と同一の立体形状よりなる商標が請求人の本国であるスイスを含め、立体商標の登録を認める国々において登録されていること、そして、パリ条約第6条の5には、『本国で正規に登録された商標は、その商標が識別力を有しない場合・・・を除き他の同盟国で登録を拒絶されることはない。』旨定められているところ、前記の如き特徴を有する本願商標は、パリ条約に定める「識別力を有しないもの」に該当しないし、その他の拒絶理由にも該当しないから、パリ条約の前記規定により、日本国においても登録されるべきである。」旨主張する。
しかしながら、パリ条約第6条(1)は、「商標の登録出願及び登録の条件は、同盟国において国内法令で定める。」とし、各国の商標保護の独立性が規定されているものであるから、登録出願にかかる商標は、我が国の商標法及び我が国の商品取引の実情に照らして登録されるか否かが判断されるものである。
しかして、本願商標は、前記認定のとおり自他商品の識別力を有しない商標であるから、諸外国の登録例をもって、本願商標の我が国での登録を求める請求人の主張は採用の限りでない。

4 結 論
以上のとおり、本願商標は、商品の包装(収納容器)の形状を普通に用いられる方法をもって表示してなるにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


(この商標はカラー写真によって表されたものであるから、
細部及び色彩は原本を参照されたい。)
審理終結日 2000-12-05 
結審通知日 2000-12-15 
審決日 2001-01-05 
出願番号 商願平9-170666 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子小林 薫 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 宮川 久成
小林 由美子
代理人 大村 昇 
代理人 木村 三朗 
代理人 佐々木 宗治 
代理人 小林 久夫 

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