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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200589039 審決 商標
無効200589076 審決 商標
無効200489106 審決 商標
異議200690007 審決 商標
無効200589025 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1037826 
審判番号 審判1999-35700 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-29 
確定日 2001-04-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4101020号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4101020号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4101020号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「IDUNHILLI」の欧文字を横書きした構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成8年8月21日に登録出願され、同10年1月9日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
結論同旨の審決を求める。
2 請求の理由の要点
(1)請求人が所有し、現に使用中の商標「DUNHILL」(以下「引用商標」という。)は、日本国内はもちろん、諸外国において国際的な著名商標として認識されているものである。
そして、本件商標「IDUNHILLI」は、著名な引用商標「DUNHILL」をそっくり含んでいることを容易に理解させ、しかもその前後に単純な形状の「I」を付加しただけの構成にかかるものであることを容易に認識させるものである。
また、本件商標は、請求人の商品と同じ被服等の関連商品に使用されるものである。
したがって、本件商標は、容易かつ明らかに請求人の世界的に著名な引用商標「DUNHILL」を想起させるものであり、引用商標に類似する商標と考えられるが、仮に百歩譲ったとしても、本件商標「IDUNHILLI」は、引用商標との間で、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して、登録されたものである。
(2)また、本件商標の使用は、請求人の著名商標によって築き上げられた信用に、故意にフリーライドしようとするものであり、社会一般の道徳に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号にも違反して、登録されたものである。
(3)答弁に対する反論
(ア)被請求人は、本件商標「IDUNHILLI」が一体不可分に表示されていることを強調し、更に平成10年異議第90874号の異議決定を引用(乙第1号証)して、本件商標が「DUNHILL」とは全く異なる構成の商標であり、出所の混同を生じさせるおそれがない旨主張している。
しかし、事案の性質において本件と全く同一と考えられる別件「ILANCELI」と「LANCEL」とのケースで、被請求人は、その特許庁審判部による異議決定(平成10年異議第91010号)に対し、更に裁判所の判断を仰ぐため東京高裁に出訴して、高裁段階でも同趣旨の主張を行っている。その結果として、甲第12号証として提出した判決に示すとおりの判断がなされ、この種の事案について一応の結論が出されたものと考えなければならない。
(イ)被請求人は、「ノービゲン」と「ビゲン」との商標における審決および判決を乙第2号証として引用し、本件商標の登録性を主張しているが、東京高裁ではこれらの審・判決について、「本件とは商標の構成も商品の関連性も異なり、事案を異にするというべきである。」と判示している。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品とその出所について混同を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、本件商標の使用は、請求人の著名商標によって築き上げられた信用に、故意にフリーライドしようとするものであり、社会一般の道徳に反するものであるから、同第7号に違反して登録されたものである。
したがって、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきものである。
3 証拠方法
請求人は、審判請求書及び弁駁書に記載のとおり、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。

第3 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。
2 答弁の理由の要点
(1)請求人は、本件商標は「DUNHILL」の前と後にそれぞれ「I」の文字を単に付加してなるに過ぎないと主張しているが、本件商標は各文宇が同書、同大、同間隔に一体不可分に表示されているものである。
文字の種類や大きさが異なったり、途中に間隔を有する等の事情があれば、当然ある部分を抽出することも考えられるが、「IDUNHILLI」という一体の構成から「DUNHILL」の文字を抽出するのはいかにも機械的で不自然である。
このように、本件商標は一体不可分のものであり、称呼上も「イダンヒリ」という一連の自然な称呼が生ずる。
本件商標が上記のような称呼を生ずる点については、本件商標の以前の権利者「イダンヒリ カンパニ」の名称を表示したものであることからも明らかである。
被請求人の上記主張については、平成10年異議第90874号の異議決定(乙第1号証)でも、「本件商標は、『IDUNHILLI』の各文字が同書、同大、同間隔にて一体不可分に表示されてなり、その構成中の語頭及び語尾の「I」の文字を省略し、「DUNHILL」の文字部分が独立して認識されるとみるべき特段の事由は見いだせないもので、『DUNHILL』とは、類似するものではなく、『DUNHILL』が著名になっていても、『DUNHILL』を想起させるものでもないから、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。」と判断されている。
したがって、本件商標は、「DUNHILL」の商標とは、全く異なる構成の商標であり、出所の混同を生ずるおそれもなく、「DUNHILL」の名声にフリーライドするものでもないから、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
(2)また、上記の主張は、平成6年(行ケ)第157号審決取消請求事件判決(乙第2号証)が示すように、商標中の一部が著名であったとしても、「構成各文字が外観上まとまりよく一体的に表現されていて、しかも全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼し得ることや、結合商標の一部の文字部分の間に特に間隔があるわけでもなく、書体の大きさや表示態様を異にするものでもないような商標は、構成全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるものとみるのが相当である。」と判断されていることからも明らかである。
(3)被請求人は、本件商標のように、将来問題となりそうな商標を使用する時には、必ず専門官庁である特許庁の判断を仰いでから使用するようにしている。
本件商標は、審査官及び異議申立ての審判官が何れも、問題ないとして、本件商標の登録を認めているものである。
本件商標は、これが異議申立てとほぼ変わりばえしない理由や証拠により無効とされることがあれば、特許庁はその判断についての一貫性が全くなくなるばかりか、特許庁の審査や異議申立ての審判は、全く尊重されなくなってしまう。
(3)むすび
以上に述べた理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号の規定違反を理由とした請求人の主張は理由がない。
3 証拠方法
被請求人は、答弁書に記載のとおり乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

第4 当審の判断
1 引用商標の著名性について
(1)請求人の提出した甲第2号証(「英和商品名辞典」株式会社研究社1991年発行)及び甲第7号証(「世界の特選品’93」株式会社世界文化社1992年11月10日発行)によれば、以下の事実が認められる。
「Dunhill」(ダンヒル)は、英国の紳士服、紳士用服飾品、喫煙具の会社。Alfred Dunhill Ltd.の略、通称、そのブランド。
紳士服、ニットウェア、ゴルフウェア、服地タイ、マフラー、喫煙具(パイプ、ライターなど)、皮小物、旅行カバン、紳士用化粧品、眼鏡、時計、筆記具、アクセサリー、ウイスキーなどを扱う。
Alfred Dunhillが家業の馬具商を引き継ぎ、1907年に35歳でLondonにタバコブレンダーショップを開いたのが起源。喫煙具は英国王室御用達。
1924年に、世界初の水平回転式発火石の片手着火ライターを開発し、大ヒット商品とした。
以降次第にその製品分野を広げて行き、1928年に卓上ライターに時計をはめ込むことをきっかけにして、時計も扱うようになった。紳士用化粧品は1930年から。紳士服部門設立は1976年。ニューヨーク、パリ、東京、大阪などに支店がある。
(2)そして、前記甲第2号証及び甲第7号証のほか、甲第4号証(「男の一流品大図鑑’85年版」株式会社講談社昭和59年12月1日発行、「男の一流品大図鑑’86年版」株式会社講談社昭和60年12月1日発行、「男の一流品大図鑑’87年版」株式会社講談社昭和61年12月1日発行)、甲第5号証の1(「男の一流品大図鑑’84年版」株式会社講談社昭和58年12月1日発行)、甲第6号証の1(「世界の一流品大図鑑’84年版」株式会社講談社昭和59年5月25日発行)によれば、引用商標は、「紳士服、セーター、シャツ、ブルゾン、ネクタイ、マフラー、服地、帽子、手袋、ソックス、アクセサリー、傘、ベルト、バッグ、小物、喫煙具、時計、万年筆、男性化粧品」等の商品に使用されているものであることが認められる。
以上によれば、引用商標は遅くとも本件商標の出願時には、前記の商品について使用された結果、取引者、需要者間において著名商標となっていたものと認められる。
2 本件商標と引用商標との比較
本件商標は、別掲のとおり、「IDUNHILLI」の欧文字を横書きしてなるものである。そして、これはわが国において外国語として何らかの意味を持つものとして親しまれているものとは認められない。そうすると、我が国における最も親しまれた外国語の英語読み風にしたがえば、これよりは「イダンヒリ」の称呼を生ずるものと認められる。しかし、本件商標から「イダンヒリ」の称呼を生じても、「イダンヒリ」もまた、特定の意味を持つものとは認められない。
一方、引用商標は「DUNHILL」の文字よりなるものであり、アルファベット7文字で構成され、この文字全体で何らかの意味を有するものではない。
本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は、引用商標と同一の綴りに、冒頭及び末尾において「I」の文字を付加してなるものである。
3 商品の出所の混同について
(1)前2で認定のとおり、本件商標は全体の文字が一体となって特定の意味を構成するものでなく、また、本件商標から「イダンヒリ」の称呼を生じても、「イダンヒリ」もまた、特定の意味を持つものとは認められない。
(2)本件商標の指定商品は「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であり、一方、引用商標に係る商品も「紳士服、セーター、シャツ、ブルゾン、ネクタイ、マフラー、服地、帽子、手袋、ソックス、アクセサリー、傘、ベルト、バッグ、小物、喫煙具、時計、万年筆、男性化粧品」等の商品であり、「被服」については同一の商品であるほか、いずれもファッションに関係する商品である。
したがって、本件商標に係る指定商品と引用商標の商品との間には高い関連性がある。
(3)そうすると、本件商標の出願時において本件商標が指定商品に使用された場合には、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標全体としては特定の意味を把握できないこと、本件商標を構成する文字の最初と最後に単純な形状の「I」の文字が同じように配置されていること、引用商標が著名であること、及び本件商標が付された商品と引用商標に係る商品との間に高い関連性があることから、本件商標に含まれる「DUNHILL」の文字を認識し、本件商標を、引用商標の両側に飾りが付されているにすぎないものである等と誤認して、その結果、請求人の業務に係る商品との間に出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
また、本件商標の商標登録出願後、登録査定日(平成9年12月5日)までの間に、前記出所の混同を生ずるおそれが消滅するような事情は窺えないから、上記登録査定日においても前記出所の混同が生ずるおそれは継続していたものと認められる。
(4)被請求人は、東京高等裁判所の判決を引用し、本件商標と「DUNHILL」の商標との関係も当該判決と同じように判断されるべきであると述べている。
しかし、引用された判決は、対象とする商標の構成もそれぞれの商品の関連性も異なるものであり、本件とは事案を異にするものである。
(5)被請求人は、「本件商標は、審査官及び異議申立ての審判官が何れも、問題ないとして、本件商標の登録を認めているものであり、また、本件商標が、異議申立てと変わりばえしない理由や証拠により無効とされることがあれば、特許庁はその判断についての一貫性が全くなくなる。」と主張する。
しかし、商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するために、登録異議の申立てがあった場合に特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵ある場合にはその是正をはかるために、何人も申立てできる登録異議申立制度と、特許庁が行った商標登録の処分の是非を巡る当事者間の争いを解決することを目的とし、利害関係人が請求する無効審判制度とは、それぞれの目的において異なり、審理の方法も原則異なるものであるから、商標登録について異議申立てがなされ、商標登録の維持決定がされた商標登録を、無効審判において無効とされたとしてもやむを得ないものである。この点に関する被請求人の主張は採用できない。
(6)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものかどうかは別として、同第15号に違反して登録されたものである。

第5 結語
よって、本件審判請求については、商標法第46条第1項の規定により、本件商標の商標登録を無効にすることとし、審判費用の負担について商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して、結論のとおり審決する。
(審理終結の日 平成12年12月22日)
別掲 本件商標

審決日 2001-02-07 
出願番号 商願平8-93676 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩浅 三彦 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 上村 勉
渡口 忠次
登録日 1998-01-09 
登録番号 商標登録第4101020号(T4101020) 
商標の称呼 イドゥンヒリ、イドゥンヒルワン、アイダンヒリ、アイダンヒルワン 
代理人 浜田 廣士 
代理人 足立 勉 
代理人 鳥羽 みさを 
代理人 松原 伸之 
代理人 村木 清司 
代理人 中山 健一 
代理人 田中 敏博 
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