• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 038
審判 全部無効 商8条先願 無効としない 038
管理番号 1036923 
審判番号 審判1998-35423 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-09-04 
確定日 2000-12-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第3369807号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3369807号商標(以下「本件商標」という。)は、「アンサーセンター」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類「移動体電話・テレックス・電子計算機端末・電報・電話・ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン・有線テレビジョン・ラジオ放送,報道をする者にたいするニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同10年7月10日に設定登録されたものである。
2.請求人の引用商標
引用登録第3004638号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ANSER」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月9日に登録出願、第38類「電子計算機端末による通信」を指定役務とし、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定による使用に基づく特例の適用を主張し、特例商標として、同6年9月30日に設定登録されたものである。同じく、登録第3044264号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ANSER」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月9日に登録出願、第42類「電子計算機による情報処理」を指定役務とし、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定による使用に基づく特例の適用を主張し、特例商標として、同7年5月31日に設定登録されたものである。
3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項及び同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。
(2)商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項について
本件商標と引用A商標は、本件商標の指定役務「移動体電話・テレックス・電子計算機端末・電報・電話・ファクシミリによる通信、無線呼出し」と引用A商標の指定役務「電子計算機端末による通信」とは、互いに類似する役務であり、かつ、両商標は、「アンサー」の称呼を共通にする類似商標である。
▲1▼本件商標は「アンサーセンター」の文字を一連に書してなるが、これを指定役務との関係において考察するに、本件商標の指定役務中の「電子計算機端末を利用する通信」に含まれる「電子計算機端末の通信ネットワーク」システムの一種として、「ANSER(アンサ-)」及び「ANSERシステム」を紹介する文献(甲第4号証ないし甲第8号証)が存在し、その記述によれば、該システムは、金融機関の照会応答業務を自動化する目的で昭和56年8月以降、請求人により、通信サービスの提供が開始されたものであるが、そのネットワークの構成図等によって、「銀行センター」と「ANSERセンター」とがNTTデータシステムを利用する回線で接続され、これによって、顧客は応答サービスが迅速に受けられる旨の内容が了解されるものである。
さらに、「NTTデータ通信の電子金融取引システム」の表題の基に説明のある新聞記事(甲第6号証)には、従来形態と将来形態のシステムが図示され、その従来図に、各証券会社・銀行・生保(生命保険)の金融機関は、NTTデータを介して各「アンサーセンター」に接続され、また、個人及び企業の各ユーザーはパソコン等の利用により、各「アンサーセンター」を経由して、金融機関の応答サービスを受けられる旨が掲載されている。
▲2▼以上のとおり、「ANSER(アンサー)」という名称が請求人による「電子計算機端末利用の通信サービス」を示す商標として10年以上に亘つて実際に使用されていたものであるから、当該サービスのなかで「アンサーセンター」という名称が「ANSERサービスにおける中央処理センター」を示す用語である事実も容易に認定されるものである(甲第13号証の1ないし10)。
▲3▼また、本件商標を構成する文字中の「センター」の文字については、以上の使用例以外に、コンピューターネットワーク又はコンピューターシステムの一般的解説において幅広く使用され、掲載されているものである。
例えば、VANシステムの構成要素中には、「ホストセンター」及び「通信センター」の文字が使用されている。また、VANネットワークの構成要素としても「通信センター」の文字が使用されている(甲第17号証)。さらに、共同利用のコンピューターについては、「計算センター」の語が使用され(甲第18号証)、通信ネットワークオペレーションの基本構造の解説図においては業務アプリケーションごとのコンピュータ端末によるセンタ(ー)が「専用線センタ」のごとき用例で記載されており(甲第19号証)、「センター」の文字は、「コンピューターを利用する通信関係の事務処理、データ処理を行う中心部」という一般的意味において普通に使用されているものである(甲第20号証ないし甲第21号証の2)。
▲4▼してみれば、例え本件商標を構成する「アンサーセンター」がその構成上は不可分一連の構成にかかるものであったとしても、コンピューター利用の通信関係において「センター」の文字は、前記使用例に明らかなとおり、本件商標の指定役務中の「電子計算機端末による通信」について使用しても、自他役務の識別力を有しないものであることが明白であるから、本件商標は、その全体の構成文字に相応して生ずる「アンサーセンター」の称呼のほかに、本件の指定役務に実際に使用され、取引者、需要者に広く知られているのみならず、語頭部に位置することで印象に残りやすい「アンサー」の文字部分を捉えて、これに相応する「アンサー」の称呼をもって取引に資せられることが少なくないものと判断するのが取引の実情に照らして相当である。
▲5▼他方、引用A商標は「ANSER」の文字を書してなるものであるから、該文字に相応し「アンサー」の称呼を生ずること明らかである。
したがって、本件商標と引用A商標とは、ともに「アンサー」の称呼を共通にする類似商標であることを免れない。
▲6▼結局、本件商標は、サービスマークの特例期間内に出願された引用A商標と競合する出願であって、引用A商標は本件商標の指定役務中の「電子計算機端末による通信」について永年使用され使用実績を有するものである。
したがって、本件商標は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項に該当し、その登録が拒絶されるべきものであるにもかかわらず、誤って登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号につて
▲1▼本件商標「アンサーセンター」の名称は、請求人の提供する通信サービス「ANSER」における中央処理センターを意味するものであって、該名称はともに周知であることが該サービスの利用者である銀行の証明書その他の書証により明らかである(甲第4号証ないし甲第14号証)。
本件商標「アンサーセンター」の名称については、「ANSERシステム」が昭和56年8月から開始されたものであり、本件商標が出願された平成4年9月30日の時点においては既に主要銀行において、該システムが利用されていたものである(甲第5号証及び甲第13号証)。
「アンサーセンター」の名称は、「ANSER」システムの構成において「中央処理センター」を指称する名称であり、昭和56年8月以降、東京、大阪、名古屋の各地において実際に稼働し、該役務の需要者、取引者間において広く知られていた名称であることは明らかである。
▲2▼引用A商標及び引用B商標は、その指定役務の需要者、取引者間において周知されているものであること、本件商標と引用A商標の指定役務は、ともに、「電子計算機端末による通信」役務において共通し、また、本件商標と引用B商標とはその所属区分が異るとしても、ともに、電子計算機端末を利用して提供され、かつ、その需要者が共通する点において密接な関係にある役務といえる。
▲3▼以上の事実を総合してみると、本件商標をその指定役務に使用するときは、その役務の取引者、需要者は、請求人において10年以上に亘つて、「電子計算機端末による通信」又は「電子計算機による情報処理」の役務に使用してきた「ANSER」、「ANSERシステム」、「アンサーセンター」の各文字を容易に想起させ、「アンサーセンター」といえば、請求人の取扱にかかるサービスであるか、若しくは、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係にある者の取り扱いにかかるサービスであるかのごとく誤認し、役務の出所について混同するおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当するものである。
4.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、そ理由を次のように述べている。
(1)商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項について
▲1▼請求人の提出した甲第4号証ないし甲第21号証には語頭から語尾までの全部が片仮名表記された「アンサーセンター」は一つも記載されていない。第4号証に記載されているのは頭部が欧文字表記の「ANSERセンター」であり、甲第6号証に表記されているのは「証券アンサーセンター」「銀行アンサーセンター」「生保アンサーセンター」「統合アンサーセンター」「ゲートウェイセンター」であり、これらは「センター」の前に「証券」「銀行」「生保」「統合」「ゲートウェイ」の文字が付加されている。したがって、甲第4号証ないし甲第21号証によって片仮名表記された「アンサーセンター」の使用を認めることはできない。
▲2▼甲第13号証として一部金融機関からの証明書が提出されている。しかし前記のように全部が片仮名表記の「アンサーセンター」は請求人により使用されていない。それにも拘らずそのような認定が何故できるのか疑問である。仮にその様に認定されているとしても甲第13号証は極わずかの金融機関からの証明書に過ぎず、それら以外の業界での使用の事実、使用形態、使用回数、使用頻度等については何の証拠も立証もない。
▲3▼「センター」という用語は単独で使用されることもあるが、通常は「センター」の前に何らかの用語や単語を付加して「○○○センター」、「◇◇◇センター」といったように使用されることが多い。しかもそれらは「○○○」、「◇◇◇」を付加することにより独自の意味を持つ用語として認識され、互いに混同されることなく使用されている。この場合「センター」が省略されると「○○○センター」、「◇◇◇センター」の意味が不明となってしまい互いに識別できなくなる。そのため「センター」は省略されることなく全体が一連に称呼されているのが実情であり、決して「センター」の前の部分だけが称呼されることはない。
▲4▼ちなみに、請求人は「ホストセンター」、「通信センター」、「計算センター」、「専用センター」、「通信センター」といった用語を使用しているが、これらは請求人自らが「センター」を省略することなく使用しており、被請求人も「センター」を省略することなく使用し、理解することができる。
▲5▼第5号証には「銀行センター」、「企業センター」、「ANSERセンター」、「ゲートウェイセンター」の用語が、甲第6号証には「証券アンサーセンター」、「銀行アンサーセンタ」、「生命アンサーセンター」、「統合アンサーセンター」の用語が使用されており、それらも「センター」が省略されることなく識別されて使用されている。この他にも日常生活において「文化センター」、「ショッピングセンター」、「サービスセンター」、「集配センター」といった用語も使用され、それらも互いに誤認・混同されることなく明確に識別されて使用されている。
▲6▼したがって、本件商標「アンサーセンター」の「センター」の部分が省略されて、単に「アンサー」とのみ称呼されることは日常の経験則上あり得ない。このため本件商標の「アンサーセンター」と請求人の引用A商標「ANSER」からは共に「アンサー」の称呼が生ずるため両者は称呼において共通する類似商標であるとの請求人の主張は是認できない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
▲1▼確かに「ANSER」は使用はされているが、それは請求人と取引きのある極く限られた範囲での使用に過ぎない。また、片仮名表記の「アンサーセンター」はANSERシステムにおいても使用されていない。このため「アンサーセンター」は請求人が提供する「電子計算機端末利用の通信サービス」の商標として「ANSER」と共に広範囲の需要者に認定された周知商標であると認めることはできない。
▲2▼本件商標「アンサーセンター」は、引用A商標、引用B商標「ANSER」とは非類似であり、しかも本件商標の指定役務は引用A商標の指定役務である「電子計算機端末による情報処理」とも類似しない。
▲3▼本件商標「アンサーセンター」と請求人の引用する商標「ANSER」とは非類似であることは前記のとおり明らかである。また、請求人は片仮名表記の「アンサーセンター」を使用していないため本件商標「アンサーセンター」がそれと類似することもない。
▲4▼このため本件商標権者が本件商標「アンサーセンター」をその指定役務について使用しても、請求人の引用A商標、引用B商標と混同されることはなく、また請求人と経済的又は組織的に何らかの関係にある者の取扱にかかるサービスであるかのごとく誤認されることも、役務の出所について混同されるおそれもない。
5.当審の判断
(1)商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項について
本件商標は、「アンサーセンター」の文字よりなるものであるところ、その構成文字は同書同大等間隔で全体がまとまりよく一体的に表されていて、その文字全体から生ずる「アンサーセンター」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものである。
そして、「アンサー」の文字は「答、回答、応答」、「センター」の文字は「中心、中心となる施設」等の意味をそれぞれ有する外来語として一般に親しまれたものであり、さらに、「センター」の文字はコンピュータを利用する通信との関係において、例えば「通信センター」「計算センター」等のように他の語を冠し「○○○センター」とし、「その語に関する事務処理・データ処理を行う中心部・中心的施設」を表すものとしても親しまれているものである。
これらのことからすれば、本件商標は、これに接する取引者・需要者が本件商標を構成する「アンサーセンター」の文字より「回答や応答に関する事務処理、データ処理を行う施設」のような意味を理解し、全体が不可分一体のものと認識するものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は「アンサーセンター」の称呼のみを生ずるものというべきである。
他方、引用A商標は、「ANSER」文字よりなり、その文字に相応して「アンサー」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しないものである。
してみれば、本件商標と引用A商標とは、称呼において「センター」の有無の差異により聴別し得るものである。また、外観上区別し得るものであり、観念においては比較することができない。
そうとすれば、本件商標と引用A商標とは、その称呼、外観、観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人提出の各甲号証をみると、甲第4号証、甲第5号証及び甲第13号証より、請求人が、本件商標の出願日前より、「音声照会応答システム」について、「ANSER」の文字を使用してたことは認められる。
しかしながら、甲第6号証ないし甲第12号証及び甲第14号証によっては、本件商標の出願の日前の事実が明らかでなく、また、甲第13号証の1ないし10は、それらの記載内容が利用開始時期以外は同一の文言であって、そのサービスの利用者による証明は、単に請求人の商標として認識していた旨のものであるから、甲各号証によっては、「ANSER」「ANSERシステム」及び「アンサーセンター」の文字は、請求人の業務に係る役務であることを表すものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。
さらに、本件商標と引用A商標及び引用A商標と同一の構成からなる引用B商標とは、(1)で判断したとおり、非類似の別異の商標というべきである。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定役務に使用しても請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
(3)したがって、本件商標は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第3項の規定によって読み替えられた商標法第8条第2項の規定及び同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということができないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-12-02 
結審通知日 1999-12-14 
審決日 1999-12-17 
出願番号 商願平4-273974 
審決分類 T 1 11・ 4- Y (038)
T 1 11・ 271- Y (038)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 隆為谷 博 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 江崎 静雄
野上 サトル
登録日 1998-07-10 
登録番号 商標登録第3369807号(T3369807) 
商標の称呼 1=アンサーセンター 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 小林 正治 
代理人 鈴江 武彦 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ