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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z29
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z29
管理番号 1033483 
異議申立番号 異議1999-90924 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-21 
確定日 2001-01-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第4250878号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4250878号商標の登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4250878号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年4月22日に登録出願され、「のっけもり」の文字を横書きしてなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として平成11年3月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、「のっけもり」の文字を書してなり、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものであるところ、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第2号証の「豆判 大辞泉」(小学館「大辞泉」編集部1998年10月22日発行)には、「牛肉ののっけ盛り」,甲第3号証ないし甲第5号証のインターネットのホームページには、「さんまのドンドンのっけ盛り」「豚肉ののっけ盛り」「豚肉と野菜ののっけ盛り」等各種の「のっけ盛り」料理が紹介されている、また、甲第6号証の「日本食糧新聞」(1998年9月14日発行)、甲第7号証のチラシ(京王ストア発行)及び甲第8号証の株式会社丸井錦糸町店の販売に係る「牛肉タタキ・のっけ盛」の写真によれば、各種の「のっけ盛り」が実際に商品として、スーパーマーケット、デパートの食品売場において販売されているそれぞれの事実を認めることができる。
さらに、甲第10号証の「食品商業」(株式会社商業界平成11年7月15日発行)には、「海鮮のっけ盛りコーナー」の例が示されている、また、甲第11号証の「食品商業」(株式会社商業界平成11年4月15日発行)には、「売れる!のっけ盛り6選」として、「のっけ盛り」の例を紹介しているそれぞれの事実を認めることができる。
そうとすると、申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「のっけ盛り」の語は、「牛肉ののっけ盛り」「豚肉と野菜ののっけ盛り」等の料理を指称するものとして普通に使用されていることが認められる。
そして、「のっけもり」の文字よりなる本件商標と「のっけ盛り」の語とは、一部において平仮名か漢字かの差異を有するが、その称呼を同じくするものであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、それより「のっけ盛り」を表しているものと容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、それをその指定商品について使用するときは、その商品が「のっけ盛り」にした「食肉,食用魚介類,肉製品」等であると認識するにとどまり、単にその商品の品質を表示するというべきであり、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
(1)「のっけ盛り」「のっけもり」なる用語は、それまで料理その他の用語にも全く存しない、弊社が1995年(平成7年)創作し、テレビコマーシャル、及び、商品等に使用を開始した(乙第1号証)「造語」である。弊社が、自己の製造販売する三杯酢「味ぽん」の販売拡張のため、必ず、「味ぽん」を使用した、又は、使用する商品、料理に限定して使用を図るよう「味ぽん」と併用して用いる「商標」であり、現に、「のっけ盛り」印単独の三杯酢(乙第2号証)も製造販売しているところで、いわば、「ミツカン盛り」と指称するのと同様な商標というべきものである。これは、申立人の提出した甲第13号証からも明らかで、タイトルに「味ぽんのっけ盛りの広告」と題しており、同一文中であるため一部「味ぽん」を省略して「のっけ盛り」単独の使用もあるが、必ず、「味ぽんをかける」の記載がなされ、また、次頁でも「味ぽん『のっけ盛り』コンテスト」とあるように、「味ぽん」を使用する場合に限って、「のっけ盛り」の名称を使用させているのが実情である。
特に、「のっけ」「のっける」なる語は、「載せる」と表現するのが通常の語で、この方言または俗語的な会話上の語であり、もし、料理用語であるなら「のせ盛り」とでもなるべき用語と考えられ、この点からも、奇抜なコマーシャルを意図した、独創的な「商標」として採択したものであることが理解できることと思われる。
(2)該「のっけ盛り」の商標は、乙第1号証に示す通り、1995年(平成7年)から、テレビにおいて俳優「西田敏行」を使用し、
1995年 5億3617万円
1996年 4億8017万円
1997年 4億6810万円
1998年 4億7900万円
1999年 4億1585万円
もの宣伝を行い、その他甲第13号証の如き広告、パンフレット等を始め、巨額の費用を投じ、周知を図っているものである。この間、使用権の申し入れが数件あり、本商標権の登録を待って「使用権許諾契約」を行ったものも存している。
甲第6号証に示された「(株)ヤオコー」(乙第3号証)、甲第7号証に示された「(株)京王ストア」(乙第4号証)も、この周知性を利用して、商品の販売拡大を目指し、使用許諾契約を締結した「通常使用権者」の使用である。
(3)取消理由通知は、「のっけ盛り」の語は、「牛肉ののっけ盛り」「豚肉と野菜ののっけ盛り」等の料理を指称するものとして普通に使用されていることが認められる、と指摘しているものの、「のっけ盛り」自体が如何なるものかを明確にしていない。
これに付いて、申立人は「器」に「野菜からなる副材原料」を敷き詰め「主材原料(刺身、肉料理、豆腐等から選択)」をのせ「調味料(ぽん酢、ドレッシング等)」をかけて味付けした料理と定義している。
この程度の漠然とした表現では、「丼物」「焼き物」「揚げ物」等より広範囲な表現であり、「のっけ盛り」と称して一般の需要者が料理内容を理解できるほど一般的に理解認識されているものとは考えられず、もし、新たなジャンルとして称するなら「載せ物」とでもいうべき種類の料理と考えられる。
特に、申立人提出の甲第2号証でも、「野菜、牛肉、人参の順に盛り付ける」と記載されており、これは3層であって、上記2層の定義と異なっている。
又、甲第3号証は、「器」に「さんま」を盛り「タマネギ」を散らす。「大根おろし」を真ん中にこんもりとのせ、「トマト」のあられ切り、「みょうが、青じそ」を重ねて盛っていく。半月切りの「トマト」のまわりに「ドレッシング」をかけて食べる。とある如く、前記定義とは全く異なった逆の盛り合わせであり、単なる「盛り合わせ料理」でしかなく、弊社の商標に便乗し、勝手な流行語として意味なく名称を盗用したに過ぎないことが伺われる。
更に、甲第4号証は、「肉」の上に「大根、人参、生姜、あさつき」を散らす。と記載されており、これなども逆の盛り合わせであり、又、単なる「生姜焼き」程度の範疇のものと考えられる。
且つ又、甲第5号証にあっても、「豚肉と野菜ののっけ盛り」とタイトルされているものの、写真に写っている料理は、前記定義と逆の、野菜が上に「乗って」おり、その下に掲載されている「もやしサラダ」の写真の方が、材料的に定義に近い感を覚える程度でしかない。
以上の如く、申立人の「のっけ盛り定義」と各甲号証に示された料理は、殆ど、異なっており、取引者・需要者が「のっけ盛り」から受ける料理の印象は、全く特定されていないことが明らかとなっている。
(4)以上の事実に鑑みても、取消理由通知のメイン理由である「その商品が『のっけ盛りにした食肉,食用魚介類,肉製品』と認識する」なる指摘は、「のっけ盛り」自体が明確でない上、「のっけ盛りにした」なる料理済みの「食肉、食用魚介類、肉製品」が、商品として店頭で販売されているかの如き表現となっている。
このような立証は、取消理由通知が引用する、前記証拠、及び、甲第7号証、甲第8号証、甲第10号証を精査しても、どこにも示されておらず、極めて飛躍した認定であり、何を根拠に指摘されているものか理解に苦しむところである。
(5)また、取消理由通知は、提出された証拠の価値判断を誤ったもので、甲第2号証の「豆判 大辞泉」は、たった60数頁よりなり、申立人が提出した同証拠の「第3頁」を見ても、又、その「目次」から見ても十分理解できるように、週刊誌より稚拙な内容で、一部の社会現象を誇大して記載している興味本位の書籍に過ぎないものである。
甲第3号証のテレビ番組にあっても、弊社のコマーシャルに便乗した視聴者向けの名称を無理に採択したこと明らかな、前記の如く内容的には適合しないものに使用しているもので、取消理由の根拠にはならないものでしかない。
甲第3号証、甲第4号証及、甲第5号証及び甲第9号証は、インターネットから抽出したと述べるものであるが、ホームページ2個所、及び、数あるレストランの1個所がメニューに使用していたものに過ぎず、又、その内容も全く異なっており、これまた、単なる弊社の周知性に対する「便乗組」としか考えられない使用である。
甲第6号証及び甲第7号証は、前記の通り、通常使用権者(乙第3号証、甲第4号証)の使用であり、必ず「味ぽん」又は「のっけ盛り」の三杯酢を近傍で販売する内諾を受け、契約を行っているものである。
甲第8号証のデパート「(株)丸井錦糸町店」は、肉製品を取り扱うテナントの「明治屋産業(株)」の使用であり、弊社の問い合わせに対し、乙第5号証の連絡を受けているものである。
甲第10号証は、「カルパッチヨと同じスタイルのメニュー」と補足してあるように、「のっけ盛り」自体が説明を要する語であること、及び、その内容も「刺身サラダ」なる分かり易い名称を使用し、「刺身」に限定された表現となっている如く取消理由の指摘のような定着された名称となっていないことを明らかにしている。
甲第11号証にあっても、その中身は全く異なっており、定型的といえば、「あるものの上に何かを載せる」程度の内容で、料理の種類を特定するには程遠い使われ方でしかない。
(6)以上の如く、取消理由の指摘内容は、極めて不明確であり、異議申立人の主張する「のっけ盛り」の定義も、その提出された証拠と異なっており、提出された各種証拠も一部は証拠能力がなく、又、その他の証拠も世間に定着しているような事実を証明するには程遠く、統一された内容は見当たらないものであって、指定商品の何れに使用したとしても、その品質を理解認識できるものではなく、且つ、品質の誤認を生ずるものでもないこと明らかと考えられる。
従って、本件登録につき、登録を維持するとの決定を求めるものである。

5 当審の判断
本件商標は、前記したとおり「のっけもり」の文字を書してなるところ、本件商標権者が自己の商品の販売拡張のために「のっけ盛り」の語を使用し始めたとしても、今や食品を取扱う業界、スーパーマーケット及びデパートの食品売場においては、一般に器又は皿に野菜及び海草類からなる副材を敷き詰め、その上に食用魚介類、食肉及び肉製品を載せ盛りした料理又は商品を指称する語として、取消理由において例示した外、「海鮮ののっけ盛」、「フレッシュグリーン野菜と豆腐ののっけ盛」等の如く「〇〇〇のっけ盛り」と表示して使用していることが認められる。これらの事実は本件商標権者と使用許諾契約を締結した通常使用権者の使用とは認められない者の使用と認められる登録異議申立人の提出した甲第2号証、甲第9号証ないし甲第11号証によっても裏付けられる。
してみれば、本件商標は、それ自体自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記に照応しない商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、先の取消理由は妥当なものであるから、本件商標登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-19 
出願番号 商願平9-108633 
審決分類 T 1 651・ 272- Z (Z29)
T 1 651・ 13- Z (Z29)
最終処分 取消  
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 上村 勉
板垣 健輔
登録日 1999-03-19 
登録番号 商標登録第4250878号(T4250878) 
権利者 株式会社ミツカングループ本社
商標の称呼 ノッケモリ 
代理人 松田 治躬 

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