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審決分類 審判 全部無効 商品(役務)の類否 無効としない 132
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 132
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 132
管理番号 1033182 
審判番号 審判1997-1720 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-02-06 
確定日 2000-12-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2432634号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件登録第2432634号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成1年10月31日に登録出願され、「カライーカ」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、平成4年7月31日に登録されたものである。

2.請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を概略次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至同第17号証及び回答書を提出した。
(1)株式会社全珍は、昭和61年当時より、商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を製造し、輪郭線で表した片仮名文字からなり、「カラ」の「ラ」の下に「イ」を重ねるように「イーカ」と続けた構成態様からなる「カラ/イーカ」の商標(以下、「引用商標」という。)を付した上で、なとり食品販売株式会社に納品し、引用商標が付された商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」が「なとりグループの販売網」を通じて広く国内販売されてきた。
しかして、請求人は、本件商標の存在により正当な商取引を阻害されているものである。
引用商標は、平成元年4月には、珍味食品業界における取引者及び需要者の間において、直ちに、なとり食品販売株式会社が販売する商品を認識するほど周知となつたものであり、未登録とはいえ周知な商標となっているものである(甲第1号証乃至同第17号証)。
被請求人は、請求人が引用商標「カラ/イーカ」を使用していることを立証しない限り、本件審判の利害関係は立証されていないと主張し、さらに、被請求人は、なとり食品販売株式会社は昭和61年9月頃から平成9年3月まで共同食品工業株式会社より引用商標「カラ/イーカ」を付した商品を購入してきたという事実があると主張し、乙第2号証及び同第3号証を提出しているが、この乙第2号証及び同第3号証に基づく被請求人の主張は、なとり食品販売株式会社が甲第1号証乃至同第17号証に示す構成態様の引用商標を付した商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を、少なくとも昭和61年9月頃から平成9年3月まで販売していたことを裏付けるものにほかならないものである。
そして、被請求人は、甲第1号証乃至同第17号証に示す引用商標を付した商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を請求人が販売していた事実を乙第2号証及び同第3号証を挙げ、請求人が引用商標を使用していることを立証しない限り、本件審判の利害関係は立証されない、という矛盾した主張をしているのである。
(2)本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号証に該当する。
イ.本件商標は、「カライーカ」の文字を一連不可分に横書してなるも、「辛い」の表音を片仮名文字の「カライ」と表し、また「烏賊」の表音を前記「カライ」のイとだぶらせて「イーカ」と表してなるものであるから、これを本件商標の指定商品中、例えば「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」などの商品について使用しても、該商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
ロ.本件商標は、「激しく舌を刺激するような味である辛い」を「カライ」の文字で表し、続いて「ー」でこの辛さを強調するとともに、「自己の疑問をそのまま表現する助詞の(か)」を片仮名文字の「カ」で表したものであって、単に「味覚が激しく辛い商品」という意味合いを示すにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
商標審査基準によれば、「コクナール」、「スグレータ」、「とーくべつ」、「うまーい」、「早ーい」等のように長音符号を除いて考察した場合において、商品の品質、用途、効能等を表示するものと認められるときは、商標法第3条第1項第3号に該当するとされている。
してみれば、本件商標は、「カライーカ」から長音符号を除けば「カライカ」となるので、本件商標は、この「カライカ」の称呼より直感される「辛いか」の語より「味覚が激しく辛い商品」を示しているにすぎない。
因みに、本件商標と同様の構成態様を呈し、且つ本件商標の先願に係る商標出願として、昭和61年商標登録願第9666号第32類「KARAI〜KA」及び昭和62年商標登録願第139233号第32類「からい〜か」の先願商標は、いずれも商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるとの認定を受け、出願が拒絶されている。
このように、先願商標の先例からしても、本件商標は、「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」或いは「味覚が激しく辛い商品」であることを示すにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときには、商品の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
被請求人は、具体的事実等を考慮した先入観をもたない限り、本件商標「カライーカ」から長音符号を除いた「カライカ」から「辛いか」を想起する一般需要者はいない旨述べているが、本件商標の指定商品を考慮すれば、客観的な観点からみて、取引者及び一般の需要者が「カライカ」から「辛いか」を直感すると判断するのが相当である。
(3)本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
株式会社全珍は、昭和61年当時より、商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を製造し、輪郭線で表した片仮名文字からなり、「カラ」の「ラ」の下に「イ」を重ねるように「イーカ」と続けた構成態様からなる引用商標を付した上で、なとり食品販売株式会社に納品し、該商標を付された商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」が「なとりグループの販売網」を通じて広く国内販売されてきたものであり、今や引用商標は商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」の商標として、取引者及び需要者の間に広く認識されているものである。
しかして、本件商標は、「カライーカ」の文字を書してなるから、その構成態様より「カライーカ」という4音からなる称呼を生ずるものであるのに対して、なとり食品販売株式会社の使用に係る引用商標は、その構成態様より「カライーカ」の称呼を生ずるものであって、両者は称呼を同一にする商標であること明白である。
そして、本件商標の指定商品は、なとり食品販売株式会社の使用に係る商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を包含するものであるから、両者は指定商品においても抵触すること明らかである。
被請求人は、甲第1号証乃至同第17号証の証明書は信憑性に欠けると主張するが、各証明者はいわゆるこの種珍味食品の取引業者であり、製造メーカーである請求人からの本件商品の供給を受けて自己の販売店へ現実に商品を流通させている者であり、自ら当該珍味商品を取り扱っている当業者であって、これら取引業者が「証明書」を証明するに際し、その内容を熟知することなく、盲判を押すことなど決してないものである。
さらに、被請求人は、引用商標を付した「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」、即ち商品「カライーカ」は共同食品工業株式会社から被請求人及びなとり食品販売株式会社に至る販売ルートで販売したものであり、仮に引用商標が周知だとしても、この販売ルートの商品の商標として周知なのであって、その商品の出所は共同食品工業株式会社である旨主張しているが、商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」の製造元が株式会社全珍であれ、共同食品工業株式会社であれ、なとり食品販売株式会社による甲各号証の証明書に示す引用商標を付した商品の販売ルートはなとり販売網である。なとり食品販売株式会社は、甲各号証の証明書に示す引用商標を付した商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」を、なとりグループの販売網を通して日本国内において広く販売したことにより、なとり食品販売株式会社の使用に係る商標として取引業者及び一般需要者において周知になったものである。商標を付して商品を流通させる販売ルートと商品の製造元とは明確に峻別されるもので、製造元が同一の商品はすべて同一の販売ルートによるものと解することができないことは明白である。
さらに、被請求人は、なとり食品販売株式会社と被請求人とは、商標法第4条第1項第10号の「他人の業務…」の「他人」には該当しない旨主張するが、この「他人」に関する解釈は被請求人独自のものであり、到底容認することができない不当なものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同法第4条第1項第10号に該当し、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
(4)平成9年8月20日付け証人尋問申請書について
被請求人は、同証人尋問申請書において、証すべき事実として乙第3号証及び同第4号証に係る事実の真否などを挙げているが、これらを乙第3号証及び同第4号証に記載の事実を立証することで、何を根拠付けたいのか不明確である。

3.被請求人の答弁の全趣旨よりして、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求めたものと認められる。そして、その理由及び弁駁に対する答弁を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第7号証(枝番を含む。)、証人尋問申請書及び回答書を提出した。
(1)請求人は、本件審判請求について利害関係が存しない。
審判請求の利害関係とは現時点において、請求人が本件商標に抵触する若しくは抵触する可能性のある商標を使用してはじめて成立するものである。たとえ、審判請求時に使用していても、現時点で当該商標を使用していなければ利害関係は消滅するものであって、請求人適格の缺欠となるのである。請求人は自己の商標「カラ/イーカ」を使用していることを立証しない限り、本件商標の利害関係は立証されていない。甲第1号証乃至同第17号証の信憑性が否定されたら、請求人は、現在引用商標を使用していることが何ら立証されていないことになる。
被請求人は、なとり食品販売株式会社に係る乙第2号証とは別の商品を入手している(乙第7号証)。
以上から、被請求人は、請求人が請求人適格を有していないと主張しているのであって、乙第2号証及び同第3号証の提出と請求人の主張とは何ら矛盾していない。
よって、請求人において引用商標を現時点において使用していることの立証をすべきである。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
イ.請求人は、本件商標の構成は、「辛い」の表音を片仮名文字の「カライ」と表し、また「烏賊」の表音を前記「カライ」のイとだぶらせて「イーカ」と表してなるものであるから、これをその指定商品中、例えば「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食品」などの商品について使用しても、該商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると主張しているが、本件商標は「商品の品質を普通に用いられる方法で表示した標章」ではない。本件商標は「カライイカ」でなく、「カライーカ」だからである。
登録商標が無効理由を有するか否かはあくまで当該登録商標の態様とその指定商品を考慮して判断するものであり、実際の取引実情等の具体的事実は捨象して行わなければならないことは争いの余地がない。
請求人の主張は当該具体的事実を取り込んだ誤った主張である。
ロ.請求人は、本件商標は、「激しく舌を刺激するような味である辛い」を「カライ」の片仮名文字で表し、続いて「ー」でこの辛さを強調するとともに、「自己の疑問をそのまま表現する助詞の(か)」を片仮名文字での「カ」で表したものであって、単に「味覚が激しく辛い商品」という意味合いを示すにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると主張しているが、これも単なる憶測に過ぎない。また、本件商標の構成要素「カ」が、なぜ「自己の疑問をそのまま表現する助詞の(か)」を意味すると決めつけているのであろうか。全く不可解である。
請求人のような実際に生起している具体的事実等を考慮したことにより生じる先入観をもたない限り「カライカ」から「辛いか」を想起する一般需要者はいないものと思慮する。
本件商標「カライーカ」は「カライカ」ではない。 ハ.請求人は、上記イ.では、本件商標の「イーカ」は「烏賊」のことを意味すると主張しているにも拘わらず、上記ロ.では今度は「カ」は助詞であるといっている。この矛盾した主張は上記イ.ロ.の主張が単なるその場限りの主張に過ぎないという証左にほかならない。
ニ.請求人は過去の先例として2つの出願拒絶例を呈示しているが、パトリス記録による結果のみを甲第1号証の1及び2、甲第2号証の1及び2と呈示しているだけで、これら2つの先例の拒絶理由通知、意見書が甲号証として呈示されていない以上、請求人の主張事実は何ら立証されていない。
尚、この先例は、本件商標と同様でなく、何ら本件商標の有効性の障害とはなりえない。
「KARAI〜KA」は「〜」で前後が分離されている。したがって、上記ロ.のように判断される可能性も否定できないかもしれない。「からい〜か」も上記同様である。けだし、平仮名に「〜」という字は存在しない。
ホ.以上から、本件商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するという請求人の主張は誤りである。
(3)商標法第4条第1項第10号に該当性について
請求人は、自己の使用に係る引用商標は平成元年4月に取引業者間で広く認識し得るほど周知になっていた旨主張し、甲第1号証乃至同第17号証を提出している。
甲第1号証乃至同第17号証の証明者は、請求人とどういう関係の者か不明であるが、何らかの関係のある者、例えば取引者であれば頼まれれば、その証明書に記載の事実を理解せずして盲判を突くことが多いことに鑑みると、この証明書は信憑性に欠けるものである。
ある商標が周知商標であるとする為には少なくとも具体的な使用実績が明示されなければならない。商標とは、もともと商品について使用することを本質としているものであり、わずかでも使用すれば、即ち商品の販売を行う企業が通常行う程度の使用を所定期間続けたら、その商標はある程度知られたことになる。しかし、ある程度知られたとしても、商標法第4条第1項第10号でいう「周知」になることなどあり得ない。
被請求人は、本件商標に係る商品のパッケージの表裏のコピーを乙第1号証として、また、なとり食品販売株式会社が周知商標であると主張する引用商標に係る商品のパッケージの表裏のコピーを乙第2号証として提出する。そして、これらのパッケージが酷似している点は一目瞭然である。商品「カライーカ」はもともと広島県呉市広白岳1丁目1番28号所在の共同食品工業株式会社が昭和61年4月頃に製造販売(乙第3号証)したものである。その後、被請求人は、昭和61年5月頃から商品「カライーカ」を共同食品工業株式会社から購入して販売するようになり、被請求人と共同食品工業株式会社の取引は現在も続いている(乙第3号証、同第4号証)。
一方、なとり食品販売株式会社は、被請求人と共同食品工業株式会社の取引開始に遅れること4カ月、即ち、昭和61年9月頃から商品「カライーカ」を共同食品工業株式会社から購入し、なとり食品販売株式会社と共同食品工業株式会社の両者間に取引が始まったものであり、この取引は平成9年3月に終了(乙第3号証)しているものである。
このように被請求人及びなとり食品販売株式会社は当時から現在まで(なとり食品販売株式会社は平成9年3月まで)、共同食品工業株式会社から商品「カライーカ」を購入してきたという事実がある。
したがって、請求人及び被請求人の使用に係る商品の容袋は同じ製造者が作成した容袋であるから乙第1号証、同第2号証のように酷似しているのである。
このような事実関係から、引用商標が周知商標であったとしても、その主体はなとり食品販売株式会社ではない。この引用商標はあくまで、共同食品工業株式会社が販売した販売ルートの商品に付された商標であり、このルートの商品の商標として周知なのである。なとり食品販売株式会社がこの商品「カライーカ」を沢山販売したとしても、その商品の出所は共同食品工業株式会社なのである。即ち、商品「カライーカ」の販売ルートは、共同食品工業株式会社から被請求人並びに共同食品工業株式会社からなとり食品販売株式会社であって、引用商標は、なとり食品販売株式会社の商品「カライーカ」の商標として周知になった訳ではない。
商標法第4条第1項第10号の「他人の業務に係る商品」の「他人」とは「出所」若しくは「販売ルート」のことであり、具体的に「○○会社」等の営業主体名を指すものではない点は争いがない。
共同食品工業株式会社となとり食品販売株式会社及び被請求人の関係が前記のようにあって、なとり食品販売株式会社が商品「カライーカ」を沢山販売したから商品「カライーカ」に係る引用商標が商標法第4条第1項第10号の周知商標となった。そして、その周知性はなとり食品販売株式会社に係るものであるから、やまなか食品工業株式会社となとり食品販売株式会社とは「他人」の関係にあり、よって、本件商標に商標法第4条第1項第10号が適用される、という考え方は失当である。即ち、なとり食品販売株式会の使用に係る引用商標が周知商標になったとしても、当該商標は共同食品工業株式会社から供給される販売ルートの商品として周知になっているに過ぎない。尚、この販売ルートの商標を誰が所有するかはその販売ルート内の問題であって商標法の関知するところではない。
本件ケースのような場合において、なとり食品販売株式会社の商標が周知商標ということになれば、商品流出源たるメーカーが販売者へその商品を納品し、その販売者が多量に商品販売を行った後にメーカーが商標出願した場合、その商標出願は登録されないことになる。即ち、このような場合、販売者ならば商標権者になり得るが、メーカーは商標権者になれないことになる。逆にいうと販売者しか商標権者になり得ないことになる。これは商標法の目的から明らかに不合理である。
仮に、なとり食品販売株式会社の使用に係る引用商標が周知商標であったとしても、その事実をもって本件商標が商標法第4条第1項第10号により拒絶されることはない。何故なら、なとり食品販売株式会社は商標法第4条第1項第10号の「他人の業務に…」の「他人」には該当しないからである。
そして、請求人が提出したような証明書(甲第1号証乃至同第17号証)は、被請求人でも提出できる(乙第5号証の1乃至31)。乙第5号証の1乃至31をもとに請求人の考え方に立脚すれば被請求人の使用に係る商標(乙第2号証に表示の商標)も商標法第4条第1項第10号の周知商標となってしまう。
被請求人及びなとり食品販売株式会社の2社で共同食品工業株式会社から購入した商品「カライーカ」を販売していたものであり、販売テリトリー等を考慮すれば両者の有名さは同等のものといえると考える。
ちなみに、乙第6号証によれば、むしろ被請求人の商標の方が有名ともいえる(もちろん、有名さは地域において差がある為、乙第6号証のみをもって請求人の商標の方が被請求人の商標より有名であるとはいえないが)。

4 当審の判断
(1)本件審判請求について、当事者間に利害関係の争いがあるので、その点についてみるに、本件審判請求書の全趣旨によれば、請求人株式会社全珍は引用商標を付した商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食料品」を製造して請求人なとり食品販売株式会社に卸していること、そして、甲各号証、乙第3号証及び同第7号証によれば、これを請求人なとり食品販売株式会社が販売していることが認められるところ、商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食料品」に係る引用商標と指定商品を「加工食料品等」とする本件商標とは、互いに抵触する関係にあるとみられる。
そうとすれば、請求人株式会社全珍及び同なとり食品販売株式会社は、本件商標と抵触する商標を使用しているものと認められるから、本件審判請求について、利害関係を有するものと判断するのが相当である。
(2)本件商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについてみるに、本件商標を構成する「カライーカ」の文字は、その構成各文字が外観上まとまりよく一体的に表現されてなるものであり、これを「カライ」の文字部分と「イーカ」の文字部分とに分離して観察しなければならない理由もないばかりでなく、「カライ」の文字部分が「辛い」に通じる場合があるとしても、「イーカ」の文字部分が「烏賊」を意味するものとして、直ちに理解され、認識されるともいい難いから、係る構成においては特定の商品又は商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして理解されるとはいえず、むしろ構成全体をもって一体不可分の造語を表現してなるものとみるのが自然である。
しかして、本件商標は、「カライーカ」の文字を一体不可分に書してなる造語よりなるものであるから、これより「味覚が激しく辛い商品」の意味合いを容易に想起し得るものとはいい難いところである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質又は用途等を表示するものではなく、それ自体自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当しないものである。
(3)次に、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当するか否かについてみるに、同号により他人の商標登録を無効にするためには、請求人の使用に係る引用商標は、全国的に周知性を有するには至らなくても、その周知性はある程度広範囲に亘っていることを要し、商品が本件使用商品のように安価で大衆向けのものであってみれば、その商品は相当量の販売数が必要なものであって、そして、本件商標のように暗示的な商標が周知性を獲得するには、一般的に識別力を有する商標に比して、期間、地域等においても広範囲な使用が必要であると解されるところである。
しかして、請求人は、甲第1号証乃至同第17号を提出し、引用商標は、なとり食品販売株式会社が長年にわたり商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食料品」について引き続き使用してきたものであり、平成元年4月には、珍味食品業界における取引者及び需要者の間において、直ちになとり食品販売株式会社が販売する商品であることを認識し得る程周知となり、さらに引き続き周知性を高め、現在に至っているものである旨主張する。
そこで、甲第1号証乃至同第17号証をみるに、これら証明書に表された商標は、被請求人の提出した乙第2号証にみられるとおりの商標の使用形態であるか定かでないが、なとり食品販売株式会社がこの商標を付した商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食料品」を9都府県内で販売していたという事実を窺い知るにすぎないものであって、証明に係る裏付けがないため、文言とおりのものとしては採用し難いものである。
そして、甲第1号証乃至同第17号証に表された商標がどの程度の期間、どの程度の数量、どのような地域について使用されたか等について、審判長が審尋書を発したところ、請求人は、平成11年9月20日付けで回答書を提出した。
回答書によれば、株式会社全珍が製造しなとり食品販売株式会社に納品した数量については、その開始時から本件商標の登録出願時に至るまでの数量をみると、昭和61年9月から同62年3月までは750,560(単位袋数)、昭和62年4月から同63年3月まては1,023,096、昭和63年4月から平成1年3月までは937,630、そして、平成1年4月から同2年3月までは965,312であると回答しているところ、これらを年平均にしてみると、株式会社全珍の納品数量は、77〜78万袋ほどのものである。
そして、この株式会社全珍の納品数量の1.5倍ほどが株式会社共同食品工業からなとり食品販売株式会社に納品した数量とすれば、株式会社共同食品工業の納品数量は年平均して87万袋ほどのものと推定でき、両社合わせてみると、年平均にして150万袋乃至160万袋ほどがなとり食品販売株式会社により販売されている旨の回答と言うことができる。
しかして、なとりグループの販売網を通じて販売された数量は、年間にして、150万袋乃至160万袋ほどのものであって、引用商標に係る商品が比較的安価で日常的に消費される商品であってみれば、その販売数量は多量ともいい難いところであり、その販売数量についての具体的な裏付けがないばかりでなく、商品についての宣伝・広告についても、なとりグループの販売網が全国各地にあるとしても、その販売網は明らかでなく、かつ、その宣伝・広告の方法も同グループの小冊子のみで行われているのであれば、商品の宣伝・広告はさほど広く行われていたものとはいえないというのが相当である。
他方、被請求人の提出に係る乙第各号証及び回答書によれば、本件商標についての使用実績も相当数あるものと推認されるところである。
そうとすれば、本件審判においては、提出された甲各号証等から窺われる程度の使用実績では、本件商標の登録を無効とする程には、本件商標の登録出願時に、商品「辛い味付けを施された烏賊を使用する加工食料品」に付した引用商標がこの珍味食品業界において、請求人なとり食品販売株式会社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者間に広く知られていたとは認め難いというのが相当である。
してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、証人尋問の申請をしているが、本件商標については乙第3号証及び同第4号証についての供述を得なくても、上記のように認定、判断し得るから、証人尋問は採用しない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号並びに同第4条第1項第10号に違反して登録されたものでなく、同第46条第1項第1号の規定により無効とすることはできない。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-15 
結審通知日 2000-03-31 
審決日 2000-04-20 
出願番号 商願平1-123854 
審決分類 T 1 11・ 13- Y (132)
T 1 11・ 272- Y (132)
T 1 11・ 254- Y (132)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 幸一 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 野上 サトル
江崎 静雄
登録日 1992-07-31 
登録番号 商標登録第2432634号(T2432634) 
商標の称呼 カライーカ 
代理人 千葉 太一 
代理人 千葉 太一 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 吉井 剛 

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