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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 117 |
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管理番号 | 1015229 |
審判番号 | 審判1994-18425 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1994-11-07 |
確定日 | 2000-04-14 |
事件の表示 | 平成3年商標登録願第56120号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「POLO COUNTRY」の文字を横書きしてなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く。)、布製身回品(他の類に属するものを除く)、寝具類(寝台を除く。)」を指定商品として、平成3年5月30日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶理由 原査定は、「本願商標は、『POLO COUNTRY』の文字からなるところ、その構成中『POLO』の語は、アメリカのトップデザイナー、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ネクタイ等を表示するためのものとして、本願商標の登録出願前より、我が国においても、前記商品の取引者、需要者の間に広く知られており、『POLO』の文字を含む本願商標をラルフ・ローレンとなんの関係も有しない出願人が指定商品に使用するときは、これが恰もラルフ・ローレンの業務に係り、あるいは同人の業務と何等かの関係ある商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。また、本願商標は熟語的意味合いの語として把握されるような格別の事情は存せず、出願人が引用する異議決定例とは事案を異にし適切ではなく、『POLO』の著名性については平成2年(行ケ)第183号の判決のとおりである。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3 請求人の主張 本願商標と引用商標「POLO」は構成上別異の商標であり、本願商標より「POLO」の文字のみを抽出して観察することは結合商標を否定することとなり妥当ではない。したがって、本願商標は、「ポロカントリー」と称呼され、「ポロ」の称呼を生ずるとは言い難く、「ポロの国」の観念を生ずる。引用商標は「ポロ」として「ポロ競技」に着るシャツとして普通名称化している。ラルフローレン社の商標は「POLO BY RALPH LAUREN」であり、「ポロ」は同社の著名商標ではない。 また、「ポロ」又は「POLO」を一部に有してなる結合商標が多数登録されている。したがって、本願商標と引用商標は非類似の商標であって、引用商標の「POLO」は、当該文字を一部に有してなる商標との関係で出所の混同を生ずる程の周知、著名性を有していない。第21類において「ポロカントリー」「POLO COUNTRY」の商標が、ラルフローレン社の登録異議の申立てがあったが登録された(登録2579042号)。 4 当審の判断 (1)引用商標「POLO」の周知、著名性について (株)講談社昭和53年発行7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。 アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。 そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファツション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。他に、これを覆すに足りる証拠はない。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2(行ケ)183、平成3.7.11)がある。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標「POLO」は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用するものとして遅くとも本願の登録出願前までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識され、周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。他に、これを覆すに足りる証拠はない。 (2) 出所の混同の虞について 本願商標は、前記構成からなるものであるところ、「POLO」、「COUNTRY」がそれぞれ既成の意味を有する語であるから、これらの語を結合してなるものであることは明らかであって、「POLO」の文字部分が1つの語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。 この点について、請求人は、本願商標は「ポロの国」という一連に纏まった一体の観念を有する商標である旨主張するが、本願商標がかかる意味合いを有するものとして一般に知られているものとは認められないし、請求人も何らその証左を示すところがないから、請求人のこの主張は採用することができない。 そうすると、本件商標をその指定商品である「被服等」に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、前記周知、著名になっているラルフ・ローレンに係る引用商標「POLO」を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずる虞があるものといわざるを得ない。 なお、請求人は当庁における審査例を挙げて種々主張するところがあるも、それらは指定商品はもとより、商標の構成、周知、著名性の認定資料又は判断時期等が同じでなく事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。 (3) 結論 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。 なお、商標法第4条第1項15号においては本願商標と引用商標の同一又は類似を要件としていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-29 |
結審通知日 | 1999-07-16 |
審決日 | 1999-08-09 |
出願番号 | 商願平3-56120 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(117 )
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 原 隆 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
野上 サトル 江崎 静雄 |
商標の称呼 | 1=ポロカントリ- 2=ポロ 3=カントリ- |
代理人 | 若林 拡 |