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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効としない 025
審判 全部無効 外観類似 無効としない 025
審判 全部無効 称呼類似 無効としない 025
管理番号 1011067 
審判番号 審判1998-35396 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-08-25 
確定日 2000-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第3235771号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3235771号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUPERGRIP」の欧文字を横書きしてなり、平成6年3月22日に登録出願、第25類「被服,ガーター・靴下止め,ズボンつり・バンド・ベルト,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」を指定商品として、同8年12月25日に設定登録され、指定商品中「被服」についての登録は、同11年3月8日に一部放棄による抹消登録がなされているものである。
2.請求人が引用する商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2578797号商標(以下「引用商標」という。)は、「GRIP」の欧文字と「グリップ」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成2年7月31日に登録出願、第17類「手袋、その他本類に属する商品」を指定商品として、同5年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3.請求人の主張
請求人は、「登録第3235771号商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として申第1号証、甲第2号証(枝番を含む。)及び参考資料を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号により登録無効にされるべきである。
(2)商標の類似について
本件商標は、「SUPERGRIP」の欧文字を一連に書した構成からなるが、これは証拠をあげるまでもなく、「非常によい、一流の、すぐれた」などを意味し「スーパー」と発音される英語の形容詞「super」と、「しっかりつかむ(握る)こと、把握、握力、つかみ、握り」などを意味し「グリップ」と発音される英語の名詞「grip」とを結合したものであることは明らかである。
これらの語句が結合されることにより、それぞれが有する意味と異なった格別の観念が何ら生じないことは、これらが日常生活において日本語と同様に使用され、親しまれていることより明白である。
そのため、「super」は商品の品質の尊称で、自他商品の識別標識としての機能は欠けるものであり、本件商標の要部は「GRIP」であることは一目瞭然である。
一方、引用商標の構成は「GRIP/グリップ」であるから、これは英語の「grip」を表示したものであり、「グリップ」の称呼及び「しっかりつかむ(握る)こと、把握、握力、つかみ、握り」などの観念を生ずるものである。
したがって、両者は称呼、観念を共通にする類似商標であることは明らかである。
参考資料1は特許庁商標課編「商標審査基準」であり、商標法第4条第1項第11号の説明の内、4.結合商標の類否の項(1)において「形容詞的文字(商品の品質、原料、材料等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合していない商標と類似する。」とあり、「スーパーライオン」と「ライオン」が類似することが例示されている。
参考資料2は工藤莞司著「実例でみる 商標 審査基準の解説」であり、同じく第4条第1項第11号結合商標の類否についての項で、「スーパー」が商品の品質表示であるとの説明に続いて、商品の一般的な品質表示として、「ハイ(HI)(HIGH)」、「ゴールド(GOLD)」、「エース(ACE)」等が挙げられる。と解説し、過去の判決の事例が掲載されている。
さらに、参考資料1及び2の「(存続期間の更新登録)」の項における「登録商標の使用と認められる商標の事例」の「▲3▼登録商標と他の文字、図形又は記号との同時使用の場合」では登録商標の構成が「VERNASE/ベルナーゼ」とあるのを「NEOVERNASE/ネオベルナーゼ」で使用している場合、この使用は社会通念上同一として、登録商標の使用と認めることが例示されている。
そのため、登録商標の権利者は使用している商品の品質、機能、デザイン等が改良された場合に、その新商品には使用していた登録商標の前または後にこれら商品の一般的な品質表示である「スーパー(SUPER)」、「ニュー又は新(NEW又はNEO)」、「ゴールド(GOLD)」、「デラックス(DELUXE)」等を付記して以前の商品と区別するために使用するのが普通であり、しかも、このような使用は登録商標に与えられた当然の権利としての使用である。
以上の事実から、本件商標と引用商標とが類似することは明白である。また、引用商標の構成に、商品の一般的な品質表示である「SUPER」を附した本件商様が共存することは、将来の取引きの実際において誤認混同を生ずることは自明であり、決して許されない問題である。
(3)商品の類似について
本件商標の指定商品は、「第25類 被服,ガーター・靴下止め,ズボンつり・バンド・ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であり、引用商標の指定商品は、「第17類 手袋、その他本類に属する商品」である。
そして、引用商標は旧日本分類の第17類に所属する全商品、すなわち、「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」を指定商品としているため、両者の指定商品中の「被服」については、同一または類似するものであることは明瞭である。
(4)出願日について
本件商標の出願日は平成6年3月22日であり、引用商標の出願日は平成2年7月31日、その設定登録日は平成5年9月30日である。
これより、本件商標は引用商標の設定登録日の後に登録出願されたことは自明である。
(5)むすび
上述のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、指定商品も同一又は類似するものである。しかも、本件商標は引用商標よりも後願である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(6)なお、請求人は答弁に対して弁駁していない。
4.被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は却下する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)請求人は現在も有効に存続している引用商標を所有し、当該引用商標には商品「被服」が含まれていることは認める。但し、本件商標と引用商標の類否については不知である。
(2)被請求人は引用商標に含まれている指定商品と抵触する商品「被服」については、本件商標から抹消すべく近日中に商標権の一部抹消(指定商品の一部放棄)登録申請書を提出する予定である。
したがって、この手続が完了すれば本件審判請求の対象物は消滅することになり本件審判請求は却下されるべきものである。
(3)被請求人は本件商標と引用商標の類否については争うことなく抵触する商品の一部抹消を行うものであるが、被請求人はあえて次のことを付言したい。
本来、無効審判などを請求する場合には審判を請求することについて利害関係が必要とされることは周知の事実である。
仮に、本件商標と引用商標が類似の商標であったとしても、請求人は本件商標に含まれている指定商品中「ガーター・靴下止め・ズボンつり,バンド・ベルト,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」については審判を請求することに利害関係を有していない。
即ち、商標法第4条第1項第11号の規定は商標が同一又は類似であって、かつ、指定商品も同一又は類似の場合にのみ適用される条文である。
ところが、引用商標に含まれている商品は旧第17類の「被服(運動用特殊被服を除く。)、布製身回品(他の類に属するものを除く。)、寝具類(寝台を除く。)」である。それに対し、本件商標に含まれている商品中、旧第17類に含まれていた商品は「被服」のみである。
そうとすると、例え本件商標と引用商標が類似の商標であると仮定しても、本件商標に含まれている指定商品中、前述の「ガーター・靴下止め・ズボンつり,バンド・ベルト,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」は引用商標の指定商品とは非類似であるから、これらの商品については商標法第4条第1項第11号の適用を受けるものではない。
したがって、請求人は、本件商標に含まれている指定商品中「ガーター・靴下止め・ズボンつり,バンド・ベルト,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」については、無効審判を請求するにつき利害を有していないにもかかわらず、指定商品の一部(被服)について無効審判を請求せず、利害関係を有していない指定商品についてまで無効とするとの審決を求めているので、本件審判は却下されてしかるべきと思料する。
5.当審の判断
(1)被請求人は、本件商標に係る商標権の一部抹消登録によって、本件審判請求の対象物は消滅することになるから、本件審判請求は却下されるべきである旨主張している。
しかしながら、商標法第46条の2第1項の規定から明らかなように、商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、商標権は、初めから存在しなかったものとみなされるのに対し、商標権の全部又は一部放棄は、登録によりその効力を生ずるものであって、その効力は遡及しないものと解されるから、本件商標の登録後になされた商標権の一部放棄によっては、本件審判請求の対象物が消滅したとは言えず、被請求人の上記主張は採用することができない。
(2)また、被請求人は、本件商標の指定商品中旧第17類に含まれていた商品が「被服」のみであるとして、被服以外の商品は引用商標の指定商品と非類似の商品であり、これらの商品については請求人は利害関係を有していないにもかかわらず、これらの商品についてまで無効とするとの審決を求めているので、本件審判は却下されるべきである旨主張している。
しかし、商品の区分、商品及び役務の区分が商品又は役務の類似範囲を定めるものでないことは、平成3年法律第65号による改正前の商標法第6条第2項、平成8年法律第68号による改正前の商標法第6条第2項の規定により明らかであるから、同一の商品の区分に含まれることを商品が類似することの根拠とする被請求人の上記主張は、これも採用することができない。
(3)そこで、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるか否かについてみると、商標の類否の判断は、商標が使用される商品の取引の実情を考慮し、商標の外観、称呼及び観念の判断要素を総合的に考察し、需要者の通常有する注意力を基準として個々具体的に判断すべきてある。
これを踏まえ、本件商標と引用商標をみれば、本件商標は、「SUPERGRIP」の文字よりなるものであり、例え「SUPER」の文字が商品の品質を表示するものとして用いられることがあっても、本件商標を構成する文字は同書同大等間隔で全体がまとまりよく一体的に表されていて、その文字全体から生ずる「スーパーグリップ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであることから、本件商標に接する取引者・需要者はその構成中「SUPER」の文字を品質を表示した文字として認識することなく、本件商標全体が不可分一体のものと理解するものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、「スーパーグリップ」の称呼のみを生ずるものであって、その構成文字「SUPERGRIP」が特定の語義を有するものとは認められないから、特定の観念を生じないものと言うべきである。
他方、引用商標は、「GRIP」と「グリップ」の文字よりなり、その文字に相応し「グリップ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観においては両者の構成よりして、称呼においては前者の語頭音「スーパー」の有無の差異により、さらに観念においては比較することができないから、両者はいずれの判断要素を見ても、また、これらを総合的に見ても互いに相紛れるおそれのないものである。
(4)したがって、本件商標と引用商標とは類似しない商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-09-16 
結審通知日 1999-10-05 
審決日 1999-10-15 
出願番号 商願平6-26908 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (025 )
T 1 11・ 261- Y (025 )
T 1 11・ 262- Y (025 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人村上 照美 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 森吉 正美
茂木 静代
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第3235771号(T3235771) 
商標の称呼 1=ス-パ-グリ+ツプ 2=グリ+ツプ 
代理人 江尻 隆 
代理人 森本 義弘 
代理人 安形 雄三 

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