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審決分類 審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1002998 
審判番号 審判1998-30800 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-03-31 
種別 商標取消の決定 
審判請求日 1998-08-12 
確定日 1999-09-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第3060617号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 I 本件商標
本件登録第3060617号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙(1)に示した構成よりなり、第30類「ルレクチエ(西洋梨の品種名)を使用した菓子」を指定商品として、平成4年6月13日登録出願、同7年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
II 請求人の引用する商標
本件商標は取り消されるべきであるとして請求人が引用する登録第2536275号商標(以下「引用商標」という。)は、別紙(2)に示した構成よりなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成2年12月25日登録出願、同5年5月31日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
III 請求人の主張
請求人は、商標法第51条第1項の規定により本件商標を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1.本件商標は、その構成及び指定商品は前記したとおりであるところ、被請求人が現に使用している商標(以下「使用商標A」という。)は、別紙(3)に示した構成よりなるものであって、ゼリー菓子の包装紙に貼付されたラベルに使用されている。
また、同じく、別紙(4)に示した構成よりなる商標(以下「使用商標B」という。)が、該ゼリー菓子を詰め合わせた包装箱の蓋に使用されている(甲第1号証、使用商標A、Bをまとめていうときは、単に「使用商標」という。)。
2.本件商標の不正使用
(1)前記1.のとおり、使用商標Aは、「ル レクチェ」を大きく表わし、最下位にこれよりはるかに小さく「MARUYA HONTEN」の文字表示をしており、「ル レクチェ」の文字は一見して容易に判別できるのに対し、「MARUYA HONTEN」の文字は一見して判別しにくい表示方法をとっている。
また、使用商標Bは、「ル・レクチェ」をやや小さくし、その下段に「Le Lectier」を大きく表わし、かつその周囲を緑色の太枠線で囲んでおり、この太枠線外の最下位に前記「ル・レクチェ」や「Le Lectier」の文字表示よりはるかに小さく「MARUYA HONTEN」の文字表示をしており、「ル・レクチェ」や「Le Lectier」の文字は一見して容易に判別できるのに対し、「MARUYA HONTEN」の文字は一見しては判別しにくい表示方法をとっている。
(2)ところが、本件商標は、使用商標のいずれともほど遠い態様である。即ち、本件商標は、一見して判別できる大きさの「MARUYA HONTEN」は「ル レクチェ」の上方左側にずれて標章の要部となるべく頭部分に配置されており、「ル レクチェ」の表示を支配するような態様から構成されている。
(3)本件商標の指定商品は、「ル レクチェ(西洋梨の品種名)を使用した菓子」であるから、商取引の常識から考えて、商品の品質を表示したものを包装箱や包装紙の前面に最大の大きさの文字で表現するということはあり得ないことである。ということは、本件商標の要部は「MARUYA HONTEN」なのであるから、それを上記したように「ル レクチェ」とは遠く離して小さく、かつ、最下位に一見して判別できないように表示していることは、本件商標の使用とはいえないばかりでなく、故意に請求人の登録商標との間に業務の混同を生じさせているとしか考えられないのである。
(4)被請求人は、「使用商標が、本件商標と『ル レクチェ』の表示位置や大きさが多少相違していても、『ル レクチェ』が商品の品質(使用原料)を普通の方法で表示したにすぎないものであるから、右使用が被請求人の自己の商標使用やその他の他人の業務に係る商品と誤認混同が生ずるおそれは全くない。」と強弁するが、このような考え方はおかしい。
使用商標の態様を見ても、これらが商品の品質を普通の方法で表示したにすぎないものでないことは、何人にも明らかである。けだし、社会通念上、商品における商標の使用態様において、商品の品質を包装箱や包装紙の顔の部分たる前面に大きく表示し、要部であるべき出所表示部を判別しにくい箇所に小さく表示することが、本件商標の使用の普通の方法であるなどという主張は、到底容認することができないからである。
したがって、上記使用商標はいずれも、本件商標と同一性がある態様とはいえないものであり、このように故意に本件商標を変更して使用することは、請求人が現に指定商品中の菓子「ゼリー」について使用している引用商標に類似するものであり、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものというべきである。
3.故意について
(1)被請求人のこのような変更行為が故意によるものであることは、商品「ゼリー」に「ル レクチェ/LE LECTIRE」という標章を使用したのが請求人がわが国で最も早いことを、当初被請求人と請求人とが取引関係にあったことに鑑みれば十分承知しており、これに倣った商品を請求人との取引を中止して独自に製造し始めた事情を考えれば、被請求人は反論できないところである。
(2)商標法第51条第1項の規定は、一般公衆である需要者の保護を目的とするものであり、同規定による商標登録の取消は、「何人」も請求することができるものであって、公益性の強いものである。
また、「故意」とは、一定の結果が発生することを認識しながら、それを容認して行動することをいう。被請求人は、正に顧客をして請求人との間に何らかの関係があるもののようにその業務を混同させるという結果の招来を認識し、かつ、期待して、現在の原告(「請求人」と思われる。)使用の引用商標のように変更したのである。
使用商標は、引用商標と同一の形態に近づく方向へ変更されているのであり、社会通念上同一と認められるような普通に行われる程度の変更を加えたものと解することは到底できないのである。
(3)請求人は、被請求人に対し、平成5年7月以来、商標権侵害の旨の警告をして来たが、当時、被請求人は商標登録の出願中であるとの回答をしたので、どのような商標を出願しているのかの間合わせ(甲第4号証)に対し、何らの回答もなく、今日に至っている。
請求人が、たまたま平成10年7月30日付新潟日報紙に掲載された被請求人の広告(甲第5号証)を見たので、調査をしたところ、本件商標の存在を知った次第である。
このような被請求人の商標の使用行為は、これまでの請求人との関係及び請求人の登録商標との関係を考慮すれば、十分故意をもって行っていることは明らかである。
4.(1)被請求人は、引用商標は商標法3条1項3号に違背して登録されたことは明らかであると主張するが、そうであれば、被請求人は、これまで引用商標に対し、登録無効審判を請求する機会が常にあったにもかかわらず、そのような方法をとらなかったのはなぜかと言いたい。したがって、そのような方法が存するにもかかわらず、商標法26条の規定にあぐらをかいているのは、取引者としての通常の態度とはいえないし、同条は商標権の効力についての消極的規定であるから、専ら裁判所において主張し適用されるべき規定ではあっても、特許庁においては関係のない規定であり問題である。
しかも、本件は、本件商標の不正使用を原因とした商標登録取消審判請求であり、端的にその事実の認否の判断が求められている事件であるから、この問題に集中するだけで十分なのである。
(2)乙第3号証ないし乙第6号証に係る文献は、本件においては関係のないものであり、また乙第7号証ないし乙第11号証に係るものは、他人の商品についてのものであり、民事訴訟の対象になり得るものであっても、本件審判には関係のないものである。
(3)したがって、上記(1)(2)の被請求人の主張及び証拠は、本件審判事件における本件商標の不正使用による登録取消の問題については、論外である。
5.以上の理由により、本件商標は、登録商標とは類似するが別異の構成態様をもって、故意に使用したことによって、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものとなっている。
IV 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第11号証を提出した。
1.本件商標の指定商品は、「ルレクチエ(西洋梨の品種名)を使用した菓子」であり、本件商標中「MARUYA HONTEN」が出所表示機能を有し、「ル レクチエ」の部分が商品の品質を表示するにすぎないものである。したがって、使用商標は、実質的に本件商標の使用であり、使用商標を付した商品は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはない。以下詳述する。
2.本件商標の出願経過
本件商標の出願に対して、引用商標と抵触するとして拒絶理由通知(乙第1号証)を受けたが、「ル レクチエ」の部分が商品の品質表示であるから、本件商標と引用商標は、商品出所の混同が生じないとの意見書(乙第2号証)を提出して登録を受けた。
3.「ル レクチェ」及び「ル レクチエ」の表示について
(1)社団法人日本果樹種苗協会(平成2年4月1日)発行「特産のくだものせいようなし」(乙第3号証)によれば、「ル レクチエ」は、導入された初期には本来の名称が不明で、「ロクチ」等と称呼され、昭和40年代に一応「ル・ルレクチェ」と称呼の統一が図られ、昭和58年に「ル レクチエ」(Le Lectier)に変更統一し現在に至っていると説明されている。
社団法人農山漁村文化協会(昭和58年10月31日)発行「農業技術大系 果樹編3ナシ・洋ナシ」(乙第4号証)に「ル ルレクチェ(Le Lectier)」の、誠文堂新社発行「農耕と園芸1989年9月号」(乙第5号証)の「西洋梨の品種と特性」欄に「ル=レクチエ」「Le Lectier」の説明がある。
また、昭和58年12月22日に新潟県園芸試験場長から関係者に、新潟県特産西洋ナシ「ル レクチエ」の称呼統一の通達がなされている(乙第6号証)。
以上の書証から、「ル レクチエ」「ル レクチェ」は、西洋梨の品種名であることが明らかであり、外国語のカタカナ表示に際しての差違にすぎなく、同一の語句というべきである。
(2)「ル レクチェ」等の商品への使用状況
上記(1)より「ル レクチェ」「ル レクチエ」「Le Lectier」等の語句は、新潟県特産の西洋梨の品種名であることは明らかであり、被請求人以外にも、「ゼリー菓子」に前記語句を使用し、現に販売している例は多数認められる(乙第7号証ないし同第11号証)。
乙第7号証は、株式会社美松(新潟県長岡市山田2-2-16)製造の「西洋梨ゼリー」で、「ル・レクチェ」「Le Lectier」が各独立して表示されている。乙第8号証は、ニコル菓子店(新潟市寄居町707-1)販売の「フルーツゼリー」で、「LE・LECTIER」と表示されている。乙第9号証は、有限会社匠の森(新潟県中蒲原郡亀田町亀田工業団地2丁目2番3号)発売の「ルレクチェゼリーとレアチーズケーキ」で、「Le Lectier」と大きく表示されている。乙第10号証は、新潟県観光物産株式会社(潟県中蒲原郡亀田町亀田工業団地2丁目2番3号)発売の「ルレクチエゼリーケーキ」で、「Le Lectier」と単独で大きく表示されている。乙第11号証は、株式会社新潟東洋(新潟市流通センター3丁目2番地3)発売の「ゼリー菓子」で、「ハロー!!ルレクチエゼリー」の表示と共に、リボンで示されている箇所に「Le Lectier」が独立して表示されている。
4.使用商標について
(1)使用商標は、別紙(3)(4)に示したとおりであり、その表示中、「新潟旬菓」は「新潟の季節の菓子」を意味し、「ル レクチェ」は、乙第7号証ないし同第11号証で示したように、「西洋梨(ルレクチェ)を使用した商品」を示し、「西洋菓子処」は業務表示であり、「MARUYA HONTEN」が出所表示である。
したがって、使用商標が、本件商標と「ル レクチエ」の表示位置や大きさが多少相違していても、「ル レクチェ」が商品の品質(使用原料)を普通の方法で表示したにすぎないものであるから、右使用は、本件商標の同一性の範囲内の使用であり、被請求人の自己の商標使用やその他の他人の業務に係る商品と誤認混同が生ずるおそれは全くない。
(2)使用商標は、「ル レクチェ」が大きく表示されているが、被請求人の商品が、新潟県の特産品である「ル レクチェ」を原材料として使用したものであることを強調したものであり、このように特に強調したい材料や品質等を大きく表示することは、一般採用されている表示手段である。例えば「米」でいうと、「新潟産コシヒカリ」とか「魚沼産米」は、米袋の表面に大きく表示され、生産者や販売者を示す商標などは、小さく表示されている。また、酒においても「大吟醸」とラベルに大きく表示されていることも広く知られている。このように強調したい商品の品質や材料等について商品の包装の中心に大きく表示することは普通に行われていることである。
5.故意について
(1)被請求人は、本件商標の出願前から使用商標を採用しているものであり、使用形態から登録に必要な事項、すなわち出所表示としての「MARUYA HONTEN」及び品質表示であることが確認できる「ル レクチェ」を抽出して出願し登録を受けたものである。また、本件商標の登録目的は、「ル レクチェ」の語句の使用が品質表示であることを確認するためであった。
したがって、被請求人は、本件商標の登録後もしくは出願後に故意に使用商標を採用したものではない。
(2)被請求人は、菓子の製造小売りを業務としており、明治11年創業の所謂老舗であって現在21店舗を有し、昨年で10億数千万円の売り上げを行っている企業であり、新潟県内特に新潟市内では広く知られている有名菓子店である。そして現在では、使用商標は、被請求人の商品「ゼリー菓子」の表示として広く知られているものである。
一方、請求人の「ル レクチェ」を使用した「ゼリー菓子」の販売数量は、多く見積もっても被請求人の1/25以下程度である。このような状況下で、殊更被請求人が請求人の業務と関係あるような混同させることによって得る利益は全くなく、逆に混同されることは、被請求人に不利益な結果となる。
したがって、被請求人は将来的に混同が生ずる結果を期待することなどあり得ない。
6.引用商標について
(1)「ル レクチエ」は、前記したとおり、新潟特産の西洋梨の品種であることも周知の事実であり、引用商標は、西洋梨の品種を示す語句を、カタカナ表示と、アルファベット表示とを上下2段に表示したにすぎないものである。
即ち、引用商標は、商標法第3条第1項第3号に違背して登録されたことは明らかであり、同法第47条の規定に基づいて権利が存続しているにすぎない。
したがって、単に「ル レクチェ」「ル レクチエ」「Le Lectier」の表示は、商標法第26条第1項第2号の規定により、引用商標の商標権が及ばないことは明らかである。
「ル レクチェ」「ル レクチエ」「Le Lectier」が西洋梨の品種名であることを充分承知している請求人が、自己の登録商標に基づいて、自己の業務に係る商品と混同するおそれがあるとして、「ル レクチェ」「ル レクチエ」「Le Lectier」の表示の禁止や、被請求人の使用商標が不正使用であるとの主張は、権利の濫用に他ならない。
(2)商標の使用に基づく商品が、他人の業務に係る商品とその出所の誤認混同が生ずる原因は、少なくともその他人の業務に係る商品の表示が周知であることを要すると認められる。単に登録を受けた事実のみでは、出所の誤認混同は生じない。
引用商標は、上記(1)の如く「商品の原材料を普通に表示した標章のみからなる商標」であり、出所表示機能は全く具備しない商標であることは明らかであって、このような品質表示の表示形態の商標は、その使用によって出所表示機能を獲得する場合があるが、当然その場合には、使用による周知性獲得の事実の立証が必要であるが、本審判請求においては、引用商標の使用すらも明らかにしていない。
7.公益性について
使用商標が商品の品質の誤認を生じさせて需要者に不測の損害を与えるものでもなく、また非周知の請求人商品と誤認することで需要者に不測の損害を与えるものでもない。
したがって、公益性等の理由は存在しない。
8.むすび
以上のとおり、使用商標は、本件商標と同一の出所表示機能を具備し、実質的に本件商標の使用であり、請求人が自己の商品について引用商標をどのように使用したとしても、被請求人の前記使用商標を付した商品は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれは全くないので、本件審判請求は理由がない。
V 当審の判断
1.本件商標は、別紙(1)に示した構成よりなり、前記Iに記載の商品を指定商品とするものである。
2.請求人が本件商標の変更使用に当たると主張する使用商標は、別紙(3)(4)に示した構成よりなるものである。
3.本件商標と使用商標との比較
(1)乙各号証を総合すれば、「ル レクチェ」「ル レクチエ」の表示は、西洋梨の一種類である「Le Lectier」の片仮名表記と認められ、該「Le Lectier」は、明治時代にわが国に導入されたこと、昭和58年に新潟県ではその呼称を「ル レクチエ」と統一したこと、新潟県内のゼリー菓子等の製造販売業者の間では、上記「Le Lectier」を原材料に使用した商品について、「ル・レクチェ/洋梨ゼリー/Le Lectier」、「LE・LECTIER」「ル・レクチェゼリー」、「新潟特産/ルレクチェ使用」、「ルレクチェゼリーケーキ」、「ル レクチエゼリー」などの表示が使用され、商品の原材料表示欄にも「西洋梨果肉・果汁(ル・レクチェ)」、「ル・レクチェ果実」、「ル・レクチェ果汁」、「ルレクチエ果汁」等と表示されていることなどが認められる。
(2)本件商標は、別紙(1)に示した構成よりなるものであるところ、その構成中の「ル レクチエ」の片仮名文字部分は、前記3.(1)記載の実情よりすれば、ゼリー菓子等商品の原材料を表したと理解されるにとどまるものとみるのが相当である。
してみると、本件商標は、その構成中、上段に書された「MARUYA HONTEN」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分ということができる。
(3)使用商標Aは、別紙(3)に示した構成よりなるものであるところ、その構成中、顕著に書された「ル レクチェ」の文字部分は、前記3.(1)で記載したとおり、ゼリー菓子等商品の原材料を表示するものである。また、同じく、「新潟旬菓」の文字部分は、「旬菓」が成語ではないとしても、「旬」の語が「魚介・蔬菜・果実などがよくとれて味の最もよい時」(広辞苑第5版)の意を有するものであり、使用に係る商品が「西洋梨ル・レクチエを使用したゼリー菓子」(甲第1号証の包装用箱の蓋の裏に記載された「Le Lectier/ル・レクチエ物語」より)であるところから、全体として、「新潟の季節ものの菓子」なる意味合いを想起させるものであり、「西洋菓子処」の文字部分は、「西洋菓子の店」程度の意味合いを理解させるものである。
したがって、使用商標Aは、これをその使用に係る商品「西洋梨ル・レクチエを使用したゼリー菓子」について使用した場合は、その構成中の「ル レクチェ」、「新潟旬菓」、「西洋菓子処」の各文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない部分であって、「MARUYA HONTEN」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分といわなければならない。
(4)使用商標Bは、別紙(4)に示した構成よりなるものであるところ、使用商標Aと同様、その構成中、顕著に書された「Le Lectier」及びその片仮名表記である「ル・レクチェ」の各文字部分は、ゼリー菓子等商品の原材料を表示するものであり、「新潟旬菓」、「西洋菓子処」の各文字部分は、前記3.(3)で認定したとおりである。また、「新潟旬菓」、「Le Lectier」、「ル.レクチェ」の各文字部分を囲む長方形輪郭は、付記的図形と認められる。
したがって、使用商標B中の自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分は、「MARUYA HONTEN」の文字部分といわなければならない。
(5)以上3.(2)ないし(4)によれば、本件商標と使用商標とは、これらを構成する文字中、▲1▼「ル レクチエ」と「ル レクチェ」、「ル・レクチェ」において、「エ」と「ェ」の差異、中黒の有無の差異、文字の大きさ及び表示位置の差異、▲2▼「新潟旬菓」及び「西洋菓子処」の各文字の有無の差異、▲3▼長方形輪郭の有無の差異等を有するものであるとしても、これら▲1▼ないし▲3▼の差異は、いずれも自他商品の識別機能を有しない部分における変更であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分である「MARUYA HONTEN」の文字部分は、同一の態様で表示されていることが認められる。
してみると、使用商標の使用は、使用上普通に行われる程度の変更を加えたものと認められ、商標法第51条第1項にいう「登録商標に類似する商標の使用」に当たるものとは認められず、したがって、本件商標を不正に変更しているものとはいえない。
4.本件商標の指定商品と使用に係る商品
本件商標の指定商品は、前記したとおり、「ルレクチェ(西洋梨の品種名)を使用した菓子」であるところ、使用に係る商品は、前記3.(3)で認定したように、「西洋梨ル・レクチエを使用したゼリー菓子」(甲第1号証の包装用箱の蓋の裏に記載された「Le Lectier/ル・レクチエ物語」より)と認められるものであるから、本件商標の指定商品と使用に係る商品は同一のものと認められる。
5.引用商標と使用商標
引用商標は、別紙(2)に示した構成よりなるものである。
一方、使用商標は、それぞれ別紙(3)(4)に示した構成よりなるものであるところ、その構成中の「ル レクチェ」、「Le Lectier」、「ル・レクチェ」、「新潟旬菓」、「西洋菓子処」の各文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない部分であって、「MARUYA HONTEN」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分であること前記したとおりである。
したがって、使用商標は、「MARUYA HONTEN」の文字を有しない引用商標とは、外観、称呼、観念において類似しないものといわなければならない。
6.他人の業務に係る商品との混同を生ずるおそれの有無
使用商標は、引用商標と類似しない別異の商標であること前記5.のとおりであり、これをその使用商品である「西洋梨ル・レクチエを使用したゼリー菓子」について使用しても、この種商品の取引者、需要者は、使用商標中の「MARUYA HONTEN」の文字部分に着目し、該文字部分を捉えて商品の取引に当たるものとみるのが相当であるから、被請求人が使用商標を使用することにより、請求人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
7.以上によれば、被請求人(商標権者)は、本件商標を不正に変更して使用しているものではなく、また、被請求人が使用商標を使用することにより、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないものというべきであるから、本件商標は、商標法第51条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙




審理終結日 1999-06-29 
結審通知日 1999-07-13 
審決日 1999-07-23 
出願番号 商願平4-124437 
審決分類 T 1 31・ 3- Y (130 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司山口 烈巻島 豊二 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 茂木 静代
小林 薫
登録日 1995-07-31 
登録番号 商標登録第3060617号(T3060617) 
商標の称呼 1=マルヤホンテンルレクチエ 2=ルレクチエ 3=マルヤホンテン 4=マルヤ 5=レクチエ 
代理人 近藤 彰 
代理人 牛木 理一 
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