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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1421463 
総通号数 40 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-09-26 
確定日 2025-03-27 
事件の表示 商願2022−130982拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年11月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 2月22日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月 2日 :意見書の提出
令和5年 6月20日付け:拒絶査定
令和5年 9月26日 :審判請求書の提出
令和5年11月21日 :上申書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「豆腐」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中、「とよまさり」の文字は、北海道で生産される大豆の代表的な銘柄の一つであり、「絹ごし」の文字は、「「絹漉し豆腐」の略。」を意味する語である。
また、本願の指定商品を取り扱う分野において、北海道産とよまさりの大豆を原材料としていることや、大豆を100%使用していることを表す「北海道産とよまさり」、「北海道産大豆「とよまさり」100%」等の文字が使用されている実情があり、絹漉し豆腐であることを表示する「絹」の文字や、「美味しいとうふ」の文字が使用されている実情もある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「北海道産とよまさりの大豆を100%使用した美味しい絹漉し豆腐」であること、すなわち、商品の産地、販売地、品質、原材料を表示したものと認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項の要件を具備しないことについて
提出された資料を検討すると、請求人の業務に係る豆腐商品のパッケージが掲載された新聞記事があるものの、当該パッケージは「さとの雪」の文字を含むものであり、また、同商品に係る売上高や広告宣伝費等の資料は、「美味しいとうふ」や「さとの雪 美味しい豆腐」などに関するデータであり、放映CM例も「豆腐で健康 さとの雪」の文字を含むパッケージの商品を宣伝するものであるため、いずれも本願商標に関する資料とはいえない。
そうすると、提出された資料をもってしては、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、横長長方形の枠内右寄りに、北海道の地図形状と考えられる図形を背景にして、筆文字風の「北海道産とよまさり 大豆100%使用」及び「美味しいとうふ」の文字を二行に縦書きし、また、それらの左下方に筆文字風の「絹ごし」の文字をやや大きく縦書きしてなるものである。
ここで、本願の指定商品「豆腐」が大豆を原材料として製造されるものであることは一般に知られているものであるところ、原審提示の情報にあるように、本願商標の構成中「とよまさり」の文字は、大豆の品種群銘柄を表す語である。
また、本願の指定商品を取り扱う分野においては、原材料の大豆として「北海道産の大豆(のみ)を使用した商品」や「「とよまさり」(のみ)を使用した商品」が一般に製造、販売されており、そのような商品の商品名や紹介文、包装などにおいて、「北海道産とよまさり大豆100%」「北海道産大豆 100%使用」「北海道産とよまさり」などの文字が広く採択、使用されている事実が認められる。
加えて、原審提示の情報にあるように、本願の指定商品を取り扱う分野においては、「北海道産の大豆を使用した商品」の包装に、北海道の地図形状と考えられる図形が広く採択、使用されている事実も認められるものである。
次に、本願商標の構成中「美味しいとうふ」の文字は、本願の指定商品が「豆腐」であることからすると、その商品が「美味しい(味の良い)ものであること」を表示したに過ぎないものといえる。
さらに、同構成中「絹ごし」の文字は、「濃い豆乳と凝固剤を型箱の中に入れ、上澄みをとらずに全体をかたまらせた豆腐。」を意味する「絹漉し豆腐」の略(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)であって、本願の指定商品「豆腐」との関係において、その商品が「絹漉し豆腐」であることを表示するものとして、一般的に広く使用されているものである。
そして、本願商標の構成中、横長長方形の枠については、それ自体より自他商品の識別標識としての称呼、観念が生じるものではなく、単に本願商標を構成するその他の文字や図形を装飾する図形として、ありふれたものといえる。また、同構成中の文字については、その書体等が格別特徴的なものとはいえず、同構成中の北海道の地図形状と考えられる図形についても、上述のとおり一般的に広く使用されているものの範ちゅうといえるものであり、そのほか、本願商標の構成態様が何らか特殊なものであるというべき事情は見当たらないものである。
以上のことからすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「原材料として使用されている大豆がすべて北海道産の「とよまさり」である美味しい絹漉し豆腐」であることを表示したものと理解するにとどまるものといえることから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項の要件を具備しないことについて
請求人は、本願商標は、請求人らによる長年の使用の結果、我が国の需要者の間で広く認識され、現実の取引の場で十分に自他商品識別機能を発揮している商標であり、そのため、商標法第3条第2項の規定に基づき、商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠として参考資料1ないし参考資料7を提出している。
そこで、提出された資料及びそれに基づく請求人の主張を検討するに、請求人が本願商標を使用して販売していると主張する商品(以下「本件商品」という。)は、商品名称を「美味しい絹ごし(北海道)350」などとするものであり、「美味しいシリーズ(北海道)」などと総称されるもので、2014年(平成26年)度から2021年(令和3年)度までの間で、販売数量が約7千8百万パック、売上高が約68億円とされる(参考資料1:いずれも2021年(令和3年)度については予想値を含む。)。また、例えば本件商品の一部と考えられる商品名称「さとの雪 美味しいとうふ 絹 80G×4」などは、2021年(令和3年)の豆腐の商品別売上ランキングにおいて上位となっており(参考資料6)、同年においては、本件商品について、一定程度の販売数量や売上高があったことが推認できる。
しかしながら、過去数年の本件商品の販売数量等を示す資料(参考資料1)は、その作成時期や作成者などが不明であって、これが本願商標に係る使用数量等を示すものであるとは直ちに判断できない上、その販売数量や売上高が当業界における他者の商品と比較してどの程度の規模であるかを推し測ることのできる資料は、2021年(令和3年)のもの(参考資料6)のみである。また、本件商品の具体的な販売地域を示す資料は提出されておらず、我が国において本件商品が広範に販売されていたことを確認することもできない。
さらに、請求人は、本件商品の認知度は「約29.7%」であると主張し、根拠として参考資料3を示すが、「豆腐」以外にも多種多様な飲食料品を取り扱う食品スーパーにおける、すべての店舗の総売上高、及び、そのうち本件商品を取扱う店舗の売上高を元に、商品「豆腐」の需要者の本件商品の認知度を正しく推定できるとは考え難い上、参考資料3又はその元データの出典や、それがいつ時点のデータかといった点が不明であって、その主張を直ちに採用することはできない。
そのほか、本件商品に係る宣伝広告活動(参考資料4)についても、テレビCMの放送は静岡、愛媛及び高知という限られた地域におけるものと考えられる上、販売促進活動(流通キャンペーン)については、その活動が行われた地域や需要者への遡及の程度が不明であるから、提出された資料をもってしては、我が国において本件商品に係る宣伝広告活動が広範に行われたということはできない。
加えて、実際に本願商標が使用されている場面(本件商品の包装。参考資料7)をみるに、本願商標の近傍には常に「さとの雪」等の自他商品の識別標識として十分に機能する商標が表示されているのであるから、このような実情においては、本件商品に接する需要者において、本願商標が独立して自他商品の識別標識として認識されているとはいい難いものである。なお、このような場合に、本願商標と併用されている文字商標等の影響を排除し、本願商標だけに着目して、その識別力の有無・程度を明らかにするための資料として、認知度アンケート調査が有用なことが少なくないが、そのような資料は提出されていない。
以上のことからすると、提出された資料をもってしては、本願商標が、その指定商品との関係において、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、一体不可分の構成をもつことにより識別力を有する商標というべきである旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標の構成態様は特殊なものとはいい得ないものであり、「北海道産とよまさり 大豆100%使用」「美味しいとうふ」及び「絹ごし」の文字や北海道の地図形状を表したものとは別の称呼観念が生じ得るほどに(すなわち、独占の弊害を生ずるおそれがないといい得るほどに)特徴的であるということはできないものであって、本願商標を一連一体に観察したところで、それが全体として「原材料として使用されている大豆がすべて北海道産の「とよまさり」である美味しい絹漉し豆腐」であるという、その商品の品質を表示したものであると理解、認識されることに変わりはない。
イ 請求人は、本件商品のうち売上の大半を占めているのは2個小分けの商品であって、当該商品において、本願商標は、「豆腐で健康 さとの雪」の文字とは別の豆腐パックに、すなわち、完全に分離して離隔された態様にて使用されているものであるから、一つの商品に本願商標と「さとの雪」等の文字が使用されているとしても、それらは結合関係にはなく、本願商標は、「さとの雪」等の文字とは別個独立して識別されているものである旨主張する。
しかしながら、2個小分けの商品であっても、商品の取引時点又は店舗での販売時点においては、それらは必ず連結されているのであるから、そのような取引の実情からすれば、本願商標が使用される際には「さとの雪」等の文字が常に近傍に表示されているというのが相当であって、それらの表示が完全に分離しており結合関係にはないということは、妥当とはいえない。
そして、上記(1)のとおり、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示した、本来的に自他商品の識別標識としての機能を有しないといえるものであるのに対し、例えば本件商品の包装において表示されている「さとの雪」の文字は、特定の意味合いを理解させない造語といえるものであって、同機能を十分に有するものであることからすると、本件商品において、「さとの雪」の文字が近傍に表示されているにも関わらず、取引者、需要者があえて本願商標に着目し、それのみを自他商品の識別標識として記憶し、取引に当たることは考え難いものである。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲 本願商標



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2025-01-14 
結審通知日 2025-01-20 
審決日 2025-02-05 
出願番号 2022130982 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 白鳥 幹周
清川 恵子
商標の称呼 ホッカイドーサントヨマサリダイズヒャクパーセントシヨーオイシイトウフキヌゴシ、ホッカイドーサントヨマサリダイズヒャクパーセントシヨーオイシートーフキヌゴシ、ホッカイドーサントヨマサリダイズヒャクパーセントシヨーオイシートーフ、ホッカイドーサントヨマサリダイズヒャクパーセントシヨー、ホッカイドーサントヨマサリダイズイチゼロゼロパーセントシヨー、ホッカイドーサントヨマサリ、トヨマサリ、オイシートーフ、オイシー、ホッカイドートーフ、ホッカイドーダイズ 
代理人 堀内 真 
代理人 廣田 雅紀 
代理人 山内 正子 
代理人 廣田 逸平 
代理人 廣田 鉄平 
代理人 東海 裕作 
代理人 渡辺 仁 
代理人 園元 修一 
代理人 篠田 真希恵 

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