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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1420579 
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2025-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2024-01-19 
確定日 2024-12-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6753650号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6753650号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6753650号商標(以下「本件商標」という。)は、「KIMONO TWILLY」の欧文字を横書きした構成からなり、令和5年4月20日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,財布,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、同年10月5日に登録査定され、同年11月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4764732号商標(以下「引用商標」という。)は、「TWILLY」の文字を標準文字により表してなり、平成15年3月17日に登録出願、第25類「スカーフ,ネッカチーフ」を含む第24類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同16年4月16日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第〇号証」を「甲〇」のように省略して記載する。
1 申立人及び引用商標について
(1)申立人について
申立人は、1837年、フランスのパリにおいて、ティエリー・エルメスにより馬具工房として創業された、バッグ、高級紳士・婦人服、アクセサリー及び馬具等で知られる高級ブランドである(甲3)。
申立人の商品は、高級ブランド品として世界中で著名で、かつ人気を博しており、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツ等の欧州の主要国、アメリカ、メキシコ、キューバ等の北中米の主要国、日本、中国、香港、台湾、韓国、タイ、シンガポール等のアジアの主要国、オーストラリア、インドネシア等のオセアニアの主要国等、世界中に店舗を有する(甲4)。
日本においては、1964年に株式会社西武百貨店と提携し、渋谷、池袋を始め、名古屋、大阪、札幌等全国に合計15店舗の専門店を出店してから、その高い品質及びファッション性がより広い顧客層に知られるようになった。特に、1983年に申立人と株式会社西武百貨店の合弁会社であるエルメスジャポン株式会社が設立されると、日本におけるさらに積極的な販売活動が行われるようになり、申立人の店舗は年々増え、2020年6月時点では、札幌、仙台、千葉、埼玉、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、広島、福岡等、全国に29の直営店舗を有する(甲5)。
申立人の商品は、現在、被服、バッグ、財布等の革小物、ジュエリー、時計、香水、化粧品、生活雑貨・インテリア雑貨、その他馬具及びペット用品に至るまで幅広いジャンルに及び、これらにかかる無数の商品が日本中に流通している(甲6)。
加えて、申立人の商品は、日本で極めて高い人気を誇っていることから、多数の雑誌に取り上げられており(甲7〜甲10(一例))、多くの需要者・取引者による認識の対象となっている。
(2)引用商標について
引用商標は、主に申立人のスカーフに対して用いられている商標である。
引用商標を構成する単語である「TWILLY」には一般的な観念は存在せず(甲11)、同語は申立人による造語である。
ウェブ検索による限り、引用商標の外観である「TWILLY」又は引用商標の称呼である「ツイリー」若しくは「トゥイリー」のいずれによっても、大半は申立人の商品であるスカーフ又は香水(「TUTTI Twilly d’Hermes」(登録商標第6708191号参照))が表示されている(甲12〜甲14)。
また、バッグは申立人の主要な商品であるところ、引用商標を付した申立人のスカーフの主要な使用方法として、申立人の商品であるバッグのハンドルにこれを装飾の目的で結ぶことは、既に需要者において広く知られている(甲15〜甲17)。
2 本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反すること
(1)本件商標と引用商標との類似性の程度
ア 外観及び称呼
本件商標は、「KIMONO」及び「TWILLY」の2語で構成された文字商標であるが、「KIMONO」の語及び「KIMONO」から生じる「キモノ」の称呼は、着物を意味することは明らかであり、本件商標の指定商品との関係においては、着物の素材である絹織物を用いた製品であるということを説明しているにすぎず、当該部分に出所識別標識としての称呼、観念が生じる余地はない(甲18、甲20)。
また、「TWILLY」には一般的な観念は存在せず、同語は申立人による造語であるとともに、申立人が不断の努力によって出所識別機能を獲得してきた引用商標と同一の文字列である。本件商標の指定商品の中には、かばん等、申立人の主要商品が含まれており、かつ申立人が同類似群に属する商品を指定商品とする周知、著名な商標を有していること(例として商標登録第4384061号。甲19)、及び本件商標の著名性を考慮に入れると、「TWILLY」の部分及び「TWILLY」から生じる「ツイリー」又は「トゥイリー」の称呼が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明白である。
したがって、本件商標からは「TWILLY」の外観及び「ツイリー」又は「トゥイリー」の称呼が生じ、引用商標と類似する。
イ 観念
本件商標は、「KIMONO」及び「TWILLY」の2語で構成された文字商標であるところ、「TWILLY」には一般的な観念が生じないことから、本件商標からは特定の観念が生じることはない。引用商標も同様である。
ウ まとめ
以上のとおり、本件商標は、「KIMONO」及び「TWILLY」の2語で構成された文字商標であるものの、「KIMONO」部分に出所識別機能がないため、本件商標からは「TWILLY」の外観、「ツイリー」又は「トゥイリー」の称呼が生じ、引用商標と類似する。
(2)引用商標の周知著名性及び独創性の程度
「TWILLY」の語は申立人の造語であり、引用商標は日本国内の需要者において著名となっているし、独創性も高い。引用商標は出願時点から既に20年が経過しており、申立人が継続的に多額の費用を費やして引用商標を付した商品の広告宣伝を行ってきた結果として著名性を獲得してきたものであり、その要保護性は極めて高い。
(3)本件商標の指定商品と他人(申立人)の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
本件商標の指定商品に付された類似群コードと引用商標の指定商品に付された類似群コードはいずれも一致しないため、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、類似するとまではいえないが、本件商標の指定商品中には、かばん等、申立人の主要商品が含まれており、かつ、申立人は同商品の類似群に属する商品を指定商品とする周知、著名な商標を有している。その限りにおいて、本件商標の指定商品は、少なくとも申立人の主要な業務に係る商品に包含されている。
また、引用商標を付した申立人のスカーフの主要な使用方法として、申立人の商品であるバッグのハンドルにこれを装飾の目的で結ぶことは、既に需要者において広く知られているところであるため、引用商標の指定商品が本件商標の指定商品に類似せずとも、引用商標自体がバッグ等の本件商標の指定商品を容易に想起させる。
したがって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、性質において申立人の業務に係る商品が本件商標の指定商品を包含しており、また用途において引用商標を付した申立人のスカーフが本件商標の指定商品を容易に想起させる点で、関連性は極めて高い。
(4)商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情など
上記のとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、性質において申立人の業務に係る商品が本件商標の指定商品を包含しており、本件商標の指定商品は需要者の共通性がある。
また、同じく上記のとおり、申立人の商品である引用商標を付した申立人のスカーフをバッグのハンドルに装飾の目的で結ぶことが主要な使用方法として知られており、取引の実情からしても、引用商標が本件商標の指定商品と密接な関係を有しており、その限りにおいても広義の混同を生じるおそれが高い。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標はその外観及び称呼において類似し、引用商標は需要者において周知を超えて著名であるとともに申立人の造語である点で独創性が高い上に、本件商標の指定商品と申立人の業務の関連性は極めて高く、本件商標の指定商品の需要者は共通し、取引の実情においても引用商標が本件商標の指定商品と密接に関連する。
これらの事情からすると、本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力を基準とすれば、広義の混同を生ずるおそれは高いといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 本件商標が商標法第4条第1項第19号に違反すること
引用商標は、申立人が世界で販売する申立人のスカーフに付した標章として、日本国内のみならず、世界的に周知著名なものである。
本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であり、かつ、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(1)引用商標の日本国内又は外国における周知性
引用商標が、申立人が日本国内で販売する申立人のスカーフに付した標章として、需要者の間に広く認識されている商標である。
外国においても、申立人は同一の標章をもってスカーフを販売するとともに、諸外国では引用商標と同様に商標登録を行っている(甲21)。
(2)本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標とが、外観及び称呼において類似する商標であることは、上述のとおりである。
(3)不正の目的
上記のとおり、引用商標の周知著名性に加え、「KIMONO」の語から想起される絹織物を用いた製品であるという説明以上の意味を有しないことから、そのことのみをもっても、本件商標の出所表示機能にフリーライドしようとした意図が推認可能である。
加えて、相手方は本件商標に加えて、「KIMONO TWILEE」という標章についても本件商標と同一の指定商品で商標登録を出願している(商願2023−52376号。甲22)。当該事実は、「TWILLY」と「TWILEE」では称呼は同一であるものの、外観が同一ではないため、引用商標との類似性がより否定されるとの判断があり得ると考えて出願をしたと考えるほかない。当該事実も併せて考慮に入れれば、本件商標は、意図して本件商標の出所表示機能にフリーライドし、引用商標の著名性を自らの顧客誘引のための手段として利用しようとしていることが明らかである。
したがって、本件商標権者は、申立人の周知著名な引用商標と類似する本件商標を不正な目的をもって使用している。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であり、かつ、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、1837年、フランスのパリにおいて、ティエリー・エルメスにより馬具工房として創業された(甲3)。
イ 申立人は、フランスを含む欧州、日本を含むアジア、オーストラリアを含むオセアニア等、世界各国に店舗を有し(甲4)、日本においては、2020年6月時点で、札幌、仙台、千葉、埼玉、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、広島、福岡等、全国に29の直営店舗を有する(甲5)。
ウ 申立人の業務に係る商品は、現在、被服、バッグ、ジュエリー、靴、時計、香水、スカーフ、アクセサリー、ネクタイ、ペット用品などに及んでいる(甲6)。
エ 申立人の業務に係る商品は、雑誌に掲載されている(甲7〜甲10)。
オ 「TWILLY」、「ツイリー」及び「トゥイリー」の語をGoogle検索すると申立人の商品(香水及びスカーフ)が表示される(甲12〜甲14)。
カ 「ツイリー」に関し、ウェブサイトにおいて次の記載がある。
(ア)バイセル(BUY SELL)のウェブサイト(甲15)には、「エルメスのスカーフ「ツイリー」の使い方!バーキンのハンドルに巻く方法も紹介」の見出しのもと、「高級ブランド「エルメス」の定番アイテムの一つであるスカーフのうち、シルクスカーフ「ツイリー」は細長い形状が特徴です。」、「エルメスの「ツイリー」は、2003年に販売が開始されたスカーフです。」、「バッグに巻く使い方は、ツイリーのアレンジとして最も一般的なものです。」との記載及び「スカーフ」の画像の掲載がある。
(イ)買取大吉のウェブサイト(甲16)には、「エルメスのスカーフ「ツイリー」の使い方・巻き方 特徴・種類・人気アイテムも紹介」の見出しの下、「エルメスのツイリーは、世界的なブランドにふさわしい高級感溢れるスリムタイプのスカーフです。・・・最高品質のシルクスカーフで手首やバッグなどに巻いてファッションを彩るアイテムとして絶大な人気を誇ります。」との記載及び「Twilly」の文字とともに「スカーフ」の画像の掲載がある。
(ウ)KOMERUのウェブサイト(甲17)には、「まるでアートなエルメスのツイリー。おしゃれに身に着ける活用法をレクチャー」の見出しの下、「エルメス(Hermes)のツイリーは、世界的なブランドにふさわしい高級感溢れるスリムタイプのスカーフです。」、「「ツイリー」は2003年に誕生のスカーフで、手首に巻いたりバッグの持ち手に巻いたり、おしゃれで幅広い用途があることから、瞬く間に人気シリーズとなりました。」との記載及び「スカーフ」の画像の掲載がある。
(2)上記(1)からすれば、申立人は、申立人の業務に係る商品「スカーフ」に「Twilly」及び「ツイリー」の文字を使用していることはうかがえるとしても、該商品の我が国又は外国における売上高、市場シェア等の販売実績及び広告宣伝の規模等、引用商標「TWILLY」の周知性を数量的に判断し得る具体的な証拠の提出はないから、引用商標が、我が国又は外国の需要者にどの程度認識されるに至ったかうかがい知ることはできず、その他に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で、広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、申立人提出の証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
なお、申立人は、引用商標を付した申立人のスカーフの主要な使用方法として、申立人の商品であるバッグのハンドルにこれを装飾の目的で結ぶことは、既に需要者において広く知られている旨主張しているが、そのことを立証する申立人の提出に係る証拠は、わずか3件のインターネットの記事(甲15〜甲17)のみであり、かつ、それらは本件商標の登録査定後のもの又は掲載日が不明なものであるから、該証拠のみをもって、上記申立人の主張を認めることはできず、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知著名性を左右するものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
上記1(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標は、上記第1のとおり「KIMONO TWILLY」の文字を横書きしてなるところ、その構成は、「KIMONO」と「TWILLY」の文字の間に半角程度の空白を有するものの、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生じる「キモノトゥイリー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中の「KIMONO」の文字部分が、漢字の「着物」の読みを欧文字で表したものと理解させる場合があるとしても、上記のとおり、まとまりよく一体に表された本件商標においては、「KIMONO」の文字部分が本件商標の指定商品の品質等を直接的に表示するものとして理解、認識されるというよりは、むしろ、その構成文字全体をもって一連一体のものとして認識、把握されるものと判断するのが相当である。
また、「KIMONO TWILLY」の文字は、辞書等に載録のない文字であり、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「キモノトゥイリー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、上記第2のとおり、「TWILLY」の欧文字からなるところ、その構成文字に相応して「トゥイリー」の称呼を生じ、該文字は、辞書等に載録のない文字であり、造語と認識されるものであるから、特定の観念を生じるとはいえない。
そこで、本件商標と引用商標との類否を検討すると、両者は、外観において、「KIMONO」の文字の有無において明らかな差異を有するものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、称呼において、本件商標より生じる「キモノトゥイリー」の称呼と引用商標から生じる「トゥイリー」の称呼とは、本件商標の前半における「キモノ」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両者は、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかな差異を有するものであり、両商標は非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、両者の類似性の程度は低いものである。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品は、「かばん類,袋物,財布,携帯用化粧道具入れ」であるのに対して、申立人の業務に係る商品は、ファッションに関連する商品といえるものであるから、その需要者の一部を共通にする場合がある。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)ないし(3)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いことからすれば、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が需要者の一部において共通にする場合があるとしても、本件商標に接する需要者が、申立人に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
なお、申立人は、引用商標を付した申立人のスカーフをバッグのハンドルに装飾の目的で結ぶことが広く知られているため、取引の実情からしても、広義の混同を生じるおそれが高い旨主張するが、上記1(2)と同様に、申立人の提出に係る証拠(甲15〜甲17)のみをもって、当該申立人の主張を認めることはできず、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情として参酌することはできない。
(5)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであって、上記2(2)のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標である。
また、上記2(4)のとおり、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものではなく、その他、申立人から提出された証左によっては、本件商標は、本件商標権者が登録出願時に引用商標を認識し、引用商標の著名性に便乗する等、不正の目的をもって使用をするものと認めるに足る事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
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異議決定日 2024-12-16 
出願番号 2023049360 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W18)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 鈴木 雅也
特許庁審判官 馬場 秀敏
板谷 玲子
登録日 2023-11-14 
登録番号 6753650 
権利者 特定非営利活動法人きものを世界遺産にするための全国会議
商標の称呼 キモノトゥイリー、キモノツイリー 
代理人 高松 薫 
代理人 椿原 直 

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